北消防署の建替えに関するサウンディング型市場調査実施結果
2026年7月31日
ページ番号:684478
北消防署の建替えに関するサウンディング型市場調査の結果について
本報告書は、大阪市消防局北消防署の建替整備における民間活力導入の可能性を探るため実施したサウンディング調査の結果をまとめたものです。
大阪市内の一等地である北消防署敷地の高度利用と、民間施設との複合化による市民サービス向上、新たな都市価値創出を目指し、民間事業者のアイデアや事業参画への意向、課題等を 把握することを目的として調査を実施しました。
調査の背景・目的
大阪市北区茶屋町に位置する北消防署は、築63年が経過し、建物の老朽化が進んでいます。
市内中心部の安全を担う災害活動拠点として、現代の都市災害に対応できる新庁舎の建設が急務です。
本市の財政状況を鑑み、民間活力の導入により効率的な整備と持続可能な運営を目指すため、本調査を実施しました。
| テーマ | 北消防署建替整備における民間活力導入 |
| 実施日 | 2026年7月7日(火)~7月9日(木) |
| 実施方法 | 対面又はオンラインによるヒアリング調査 |
| 主な論点 | 事業手法、事業スキーム、事業期間、活用アイデア、想定される課題やリスク、参画可能性など |
| 対象企業 | 不動産事業者や設計・建設事業者、運営事業者を中心に計15社に対して実施 |
調査結果
今回のサウンディング調査では、対象地がJR大阪駅、阪急大阪梅田駅等の主要公共交通機関の結節点に近接し、オフィス、ホテル、各種店舗等が立地する商業・業務地「茶屋町」という立地特性から、民間事業者から高い関心と具体的な意見が多数寄せられました。
- 当該地域の消防・防災機能の維持・強化と民間活力導入による土地利用の高度化に期待を持てることから市が想定する事業方式(PFI(BTO方式)+区分所有)については可能とする意見が多くありました。
- 昨今の金利上昇や物価上昇の状況、PFIを選択したとしてもVFMが出づらく、コスト的メリットは小さいのではとする意見もありました。
- 区分所有については、定期借地権上の権利床(建物)であることから、民間事業者からは、将来の区分所有権の売却が可能な不動産の流動性を求める声がありました。
- 区分所有者とPFI事業者では契約期間や事業形態が異なるため、事業主体を一体とすることや区分所有の複合建築物における維持管理、リスク(責任)分担への懸念を示す意見もありました。
- 消防署より上階に確保できる床面積が限られていることから参入条件のカギとなる民間施設の収益性の確保が現時点では見通しにくく、引き続き検討が必要との意見もありました。
北消防署建替整備サウンディング調査結果
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サウンディングに係る主な意見
1.事業手法・事業スキームについて
市が想定する事業手法(BTO方式のPFI事業+区分所有)について
- 市が想定する事業手法でも十分に成立するとの意見が複数確認できました。
- 一方で、定期借地権上の建物かつ区分所有といった観点で将来的な売却が難しくなるため出口戦略を描きづらく、参画のハードルになる可能性も指摘されました。
- PFIについて、運営要素の強い事業であれば VFMが出やすいが、本事業については運営要素が少なくVFMが出づらい可能性が指摘されました。
- 昨今の物価上昇、金利上昇の状況を踏まえてもVFMは出づらく、PFIを選択するコスト上のメリットは小さくなってきているとの意見がありました。
- 仮に土地を共同所有にしたとしても、所有者は市も含め二者となると想定され、住居系の機能にしなければ将来の建て替え時の合意形成もそこまで困難にならないと考えられることから、等価交換方式(土地を売却し、 建設後に建物を区分所有、土地を共同所有)でも実現可能ではないかとの意見がありました。
市の想定以外の事業手法について
- 建物全体をDB方式またはPFI(BTO方式)で整備し、建物全体を市が所有しながら上層階を民間に建物賃貸借する方法も考えられるとの意見がありました。
- PFI(BOO方式)や土地売却、一般定期借地権設定のうえ民間が施設を整備所有し、消防署が建物賃貸借する方法も考えられるとの意見がありました。
- リース方式なども考えられるとの意見がありました。
事業スキームについて
- 単独企業での事業参画の可能性もあるが、複数事業者による共同体での参画を想定する意見が多くありまし た。具体的な企業構成については民間施設の機能用途によって決まるとの意見が多くありました。
- SPCの組成有無は民間施設の機能用途によって決まるとの意見が多くありました。また、SPCの運営費が負担となるためSPCの組成を任意とする事業も増えてきており、本事業においても任意としてほしいという要望が確認できました。
- SPCの代表企業について、施設整備段階と維持管理運営段階で交代する方法についても示されました。
- 消防署部分と民間施設部分とでは事業特性やリスク、関与する会社が大きく異なるため、リスクを適切に分担・ 管理できるよう事業主体を分ける(SPCを分けて設立するなど)方法も考えられるとの意見がありました。
区分所有する場合の留意事項について
- 民間施設部分の所有者については、SPCとするか単独企業とするかも含め機能用途によって変わるとの意見が多くありました。
- 電気・機械設備、給排水などのインフラ設備や階段・EVなどについて、消防署と民間施設で共用した方が建物全体としての建設コストが抑えられ効率的との意見もありましたが、消防署の機能を損なうリスクや維持管理上の容易さを踏まえると、完全に分離する方が良いとの意見が多くありました。
- 民間施設部分の区分所有権については、譲渡可能としてほしいとの意見が多くありました。
- 大規模修繕や長寿命化改修については、消防署と民間施設で個別に実施するのではなく、面積按分を前提とした共同実施が効率的であり、その費用については市と民間施設の所有者間で管理組合を設置し、将来の修繕費として積み立てていく方法も示されました。
定期借地権設定に関する留意事項について
- 更地返還時の解体は面積に応じて按分するなどが考えられるが、事業開始当初から長期間に渡って費用を見込み続けることは難しいため、所有者が変わっていくことを前提として、解体費用を積み立てながら次の所有者へ引き継いでいくという考え方も可能との意見がありました。
2.事業条件について
事業範囲について
- 施設の維持管理について、消防署部分と民間施設部分をそれぞれ維持管理する方法と、一体として民間が維持管理する方法のいずれも考えられるとの意見が多くありました。
- 消防署の維持管理については、施設の特殊性を考慮すると民間で対応できない部分も出てくる可能性があり、場合によっては民間が担当することでかえってコストが増える可能性もあるとの意見がありました。
- 既存施設の解体について、事業範囲に含めることは問題ないとの意見が多くありましたが、地中埋設物等のリスクを考慮すると市で解体し更地引き渡しとする方が参画のハードルが下がるとの意見もありました。
事業期間について
- PFIの事業期間については、20年~30年先の大規模修繕費を見込むことは難しい為、大規模修繕が発生する前に終了する期間設定が望ましいとの意見が多くありました。
- PFI期間終了後の大規模修繕と維持管理については、新たにPFI(RO方式)を実施するなど様々な方法が考えうるとの意見が多くありました。
事業費用について
- 施設整備費及び維持管理費用について、物価高騰や人件費高騰の影響を考慮し、適切な物価スライド条項の設定や柔軟に協議・調整できる仕組みを設ける必要があるとの意見が多くありました。
事業スケジュールについて
- 市が想定する事業スケジュールについて、概ね問題ないとの意見が多くありましたが、実施方針の公表期間や選定から契約までの期間については十分に確保してほしいとの意見がありました。
- 解体から新築までの期間は機能用途によって必要な期間が異なり、プラス半年程度余裕があるとよいとする意見もありました。
- 仮庁舎の建設は前倒しで進めてもよいとの意見がありました。
3.民間施設の用途等について
想定される民間施設の用途について
- ホテル(ビジネス、ラグジュアリー、アパートメント)やオフィス、社宅、学校、病院など様々な機能用途の提案が確認できました。
- 立地条件や建設費高騰の状況、消防署機能との共存条件(面積確保や騒音問題など)を踏まえ検討していく必要があるとの意見が多くありました。
民間施設整備において想定される課題やリスク
- 民間施設として確保できる床面積が限定的であるため、事業収支を勘案した上で、容積率の緩和の要望が出る可能性があるとの意見がありました。
- 民間施設の機能用途によっては駐車場や駐輪場、ゴミ置き場など地上に設置する必要がある機能が存在するため、訓練棟や屋外訓練スペースとの共存が課題になるとの意見がありました。
- 立地的なポテンシャルは高いが、建設費が高止まりしている状況の中で適切に投資回収できるプランを描けるかが課題になるとの意見がありました。
4.参画可能性について
参画可能性について
- 事業への関心は高く、今後も情報提供を求める意見が多くありました。
- 立地条件や事業手法、事業スキーム面で検討のハードルが高い難しい事業であると認識しているとの意見もあ りました。
- 設計・建設企業からは、民間施設部分の所有と運営を実施できる事業者が見つかるか次第での参画になるとの意見が複数みられました。
次年度実施を予定している導入可能性調査への参加について
- 積極的に参加したいとの意見が多くありました。
5.その他
事業の実現可能性について
- 消防署との合築であるため、通常では要求されない設備水準や安全水準を求められることになり、また設備インフラをそれぞれ整備する必要があることから、建物自体が割高なものになる恐れがあるとの意見がありました。
- 建築物価の高騰を踏まえると、事業自体の成立可能性が低い可能性があり、消防署の建て替えを優先するな ら単体で実施する形が安全であるとの意見がありました。
サウンディングに係る主な意見
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