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答申第19号及び第20号

2019年9月9日

ページ番号:6391

概要

 「平成7年から請求日に至るまでの請求人に係るすべての障害者ケース記録票」の個人情報開示請求があった。

 大阪市長(以下「実施機関」という。)は、本件ケース記録票について部分開示決定を行ったが、請求者は、当該決定を不服とし、本件ケース記録票の全部開示を求めて異議申立てを行ったので、審議会に対して諮問があった。

 審議会は審議の結果、大阪市長が非開示としたもののうち、別表記載の「本市職員が認識した客観的事実を記載した部分」、「当面の措置についての覚書に当たる部分」及び「異議申立人が面談した関係者の性別」については、開示すべきであるとの判断を示した。

1 争点及びその決定の理由

(1) 争点
 本件非開示部分(以下のとおり。)の条例第19条第2号又は第6号該当性
1) 本市機関以外の関係機関の担当者(以下「関係機関担当者」という。)の氏名及び補職
2) 個人である第三者に関する部分(関係機関担当者を除く関係者の氏名、連絡先、住所地、年齢、性別、勤務状況、発言、行動、意向、本市職員の所見)
3) 本市機関が行った評価等に当たる部分
4) 本市機関以外の関係機関から収集した情報に当たる部分
 ただし、1)から4)までに掲げる情報であっても開示請求者本人が知っていることが明らかである部分については既に開示している。 

(2) 理由
 上記1)及び2)については、開示することにより、第三者のプライバシーが害され、当該第三者が不利益を被るおそれがあるため、旧条例第17条第3号に該当し、非開示とした。
 上記2)、3)及び4)については、開示した場合、開示請求者との信頼関係を損ない、担当者による率直な評価等の記載を躊躇させ、本件ケース記録票の指導援助記録としての機能の著しい低下を招くとともに、本市以外の関係機関との協力関係を損なうなど本件支援事務及び反復継続される支援事務の適正な遂行に重大な支障を来すおそれがあるため、旧条例第17条第2号又は第5号に該当し、非開示とした。

2 異議申立ての要旨

1) 実施機関は、率直な評価や所見を記載したものを開示すると、当事者との信頼関係を損なう旨主張しているが、問題なのはその内容表現の仕方であり、信頼関係を回復するためにも直ちに全部の開示を行うべきである。  
2) 関係機関から収集した情報の開示に関して、一部の関係機関(第三者)に問い合わせたところ、別に隠す必要はなく、疑問なところはいつでも説明できる用意があるとの回答を得ており、実施機関の主張する支障は杞憂に過ぎない。  
3) 「個人である第三者に関する部分」等であると思われるのに、一部開示されている部分もあり、整合性がない。

3 審議会の判断

(1) 結論
 実施機関が行った部分開示決定により非開示とされたもののうち、「本市職員が認識した客観的事実を記載した部分」、「当面の措置についての覚書に当たる部分」及び「異議申立人が面談した関係者の性別」(明細は別表のとおり)については、開示すべきである。

(2) 理由要旨
条例第19条第2号該当性について
1) 「関係機関担当者の氏名、補職及び関係者の氏名」について
  上記各情報は、当該情報そのものにより、又は、他の情報と照合することにより、関係機関担当者又は関係者を識別することができる情報であることは明らかであり、条例第19条第2号本文に該当する。

2) 「関係者の住所地、年齢、性別、勤務状況及び同人に対する本市職員の所見」について
 上記各情報は、担当者が関係者であるガイドヘルパー等を伴い異議申立人宅を訪れ、面談した際の記録であり、当該ガイドヘルパーの「氏名」は既に本件決定において開示されていることから、「当該情報に含まれる氏名…により開示請求者以外の特定の個人を識別することができる」情報であると認められるので、条例第19条第2号本文に該当する。

3) 「関係者の発言、行動、意向及び連絡先(答申第19号においては、当該各情報に加えて本市職員の所見)」について本件ケース記録票は、その性質上、記載されている関係者が限られており、上記各情報については、そのいずれか一つの情報であっても、当該情報そのものにより、又は、他の情報と照合することにより、当該関係者を識別することができる情報であると認められるので、条例第19条第2号本文に該当する。

4) 上記各情報について条例第19条第2号ただし書該当性を検討すると、上記2)に掲げる情報のうち、異議申立人と面談したガイドヘルパーの「性別」については、異議申立人も当然了知しているであろうから、本号ただし書アに該当すると認められるので、開示すべきである。
  上記各情報のうち「性別」を除くその余の情報については、その内容からみて、本号ただし書アからウまでのいずれにも該当しない。
  よって、「性別」を除くその余の情報については、条例第19条第2号に該当すると認められるが、「性別」については同号に該当するとは認められない。

条例第19条第6号該当性について
1) 「本市機関が行った評価等に当たる部分」については、次のアからウまでに掲げる情報に分類される。 
ア 「本市職員が行った評価、判定及び所見を記載した部分(ただし、開示請求者本人が知っていることが明らかである部分を除く。)」について
 主管課の担当者(以下「担当者」という。)の異議申立人に対する面接時の率直な評価及び所見並びに指導又は援助の過程で関係機関から収集した情報を踏まえた異議申立人の状況に対する率直な評価及び所見等の記載は、当事者の予想と異なる場合もあり得ることから、開示することによって誤解や不信感を生じさせ、担当者との信頼関係が損なわれることとなり、今後の指導援助活動に支障が生じるおそれがあると認められる。
 また、担当者は、指導、援助の過程で、他の本市機関から収集した異議申立人に対する評価、判定及び所見についても必要に応じて記載しており、指導、援助の必要から二次的に保有している立場である主管課が、これらの各機関の評価、判定等を注釈なしに開示すれば、異議申立人と他の本市機関との信頼関係を損ない、当該他の本市機関の事務又は事業の遂行に 支障を生じるおそれが否定できない。
 また、ケース記録票に記載された評価、判定及び所見に当たる部分の 開示が前提となると、担当者が正確かつ率直な記載を躊躇するなど、本件ケース記録票の指導援助記録としての機能を著しく低下させ、本件ケースのみならず反復継続する今後の支援事務の適正な遂行に支障が生じるおそれがある。
イ 「本市機関又は本市職員の指導方針及び採ることとした措置等に当たる部分(ただし、開示請求者本人が知っていることが明らかである部分を除く。)」について
 この部分は、アの評価、判定等に基づき、主管課を含む本市機関又は本市職員の指導方針及び採ることとした措置等にあたる部分である。
 本市機関又は本市職員がその専門的見地から事実を把握、認識し、これに対する評価等を加えた上で裁量的に決定したケース対象者に対する指導方針ないし措置は、一般的に、必ずしもケース対象者又は家族の希望に沿ったものであるとは限らず、ケース対象者又は家族の意向が合致しない こともままあり得るところであり、このような場合、担当者が、当事者の理解、協力を得るためにケース記録票の記載とは異なる婉曲な表現を用いるなど慎重を期すことが十分に予想される。
 当該ケース記録票には指導方針及び措置の内容又はこれらの決定に至る関係機関との調整の経過が率直かつ詳細に記載されていることが認められ、このような状況の下、これらを開示すると、異議申立人の誤解や不信感、無用の反発を招く事態が相当程度予想され、今後の指導援助活動の円滑な遂行に支障を生じるおそれがあり、また、上記アのとおり、ケース記録票の記載の形骸化による指導援助記録としての機能低下も懸念される。
 一方、別表に掲げる当面の措置についての覚書に当たる部分については、ごく当面の措置についての担当者の覚書又は備忘録といった内容であり、上記のような基本的な指導方針及び当該方針に基づく継続的な措置とはその性質を異にするものであると解されるので、これを開示することにより、直ちに上記のような支障が生じるとは認められない。
ウ 「本市職員が認識した客観的事実を記載した部分」について
 この部分は、本市職員が面接時に認識した異議申立人の様子等を記載した部分であり、評価や所見等の主観的要素の入る余地の比較的少ない客観的事実を主な内容とするものであることから、適切な表現を用いて記載されている限りにおいて、これらの客観的事実自体を開示することにより、直ちに実施機関の主張するような支障が生じるとは認め難い。

2) 「関係機関から収集した情報を記載した部分(ただし、開示請求者本人が知っていることが明らかである部分を除く。)」について
 これらは、異議申立人に対する支援事務を適正かつ円滑に行うために、本市機関以外の関係機関から収集した情報を記載した部分であり、本件においても、関係機関と連携しつつ、更正、授産施設等の援護施設への入所支援及び就労支援等を行っており、当該施設等から異議申立人の状況等に関する事実とともに多くの意見、助言を得ながら支援を行っていることが認められ、実施機関からの協力依頼に基づき収集したこれらの情報を開示することは、実施機関と当該関係機関との信頼関係又は協力関係を損ない、本件のみならず、今後も反復継続される他の指導援助活動の円滑な遂行に支障を生じるおそれがある。

3) よって、「本市職員が行った評価、判定及び所見を記載した部分」、「本市機関又は本市職員の指導方針及び採ることとした措置に当たる部分」及び「関係機関から収集した情報を記載した部分」(いずれも、開示請求者本人が知っていることが明らかである部分を除く。)については、条例第19条第6号に該当すると認められるが、別表に掲げる「当面の措置についての覚書に当たる部分」及び「本市職員が認識した客観的事実を記載した部分」については同号に該当するとは認められない。

その他   
 異議申立人は、実施機関において、本件ケース記録票の社会保険庁への提供の経過が記録されていなかったことから、当該保有個人情報の取扱いに関し不信を持った旨重ねて申し述べている。
 これは、本審議会の判断を左右するものではないが、当該提供は、条例第  10条第1項第1号に規定する「法令等に定めがあるとき」に該当するものの、本条に基づく保有個人情報の提供を行った場合には、提供先、利用目的等必要な事項を記録しておくべきであったと認められ、実施機関においては、今後、かかる不信を招くことのないよう、保有個人情報の提供に際しては、必要事項の記録を含め厳正な取扱いに留意すべきである。

4 実施機関(担当局)

 大阪市長(主管課:都島区保健福祉センター地域保健福祉課)

答申第19号及び第20号

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