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答申第184号

2024年3月22日

ページ番号:21253

【要旨】

   「平成11年1月1日より今日まで梅田貨物駅移転に関し 1 鉄建公団と大阪市の間で交した文書のすべて 2 鉄建公団と大阪市の間で協議した イ.日付と場所 ロ.鉄建公団と大阪市の参加者氏名 ハ.協議された際に出された資料のすべて ニ.協議事項を記載した議事録、備忘録およびメモなどのすべて」の情報公開請求があった。

   大阪市長(以下「実施機関」という。)は、「梅田貨物駅の移転計画について(平成11年2月25日付西支計工二第525号) ・梅田貨物駅の移転計画について(平成13年12月17日付西支計工三第655号)他2件」(以下「本件文書」という。)を特定し、法人の印影部分を非公開とする部分公開決定を行ったが、請求者は、本件文書以外に文書が存在するとし、当該部分公開決定を不服とし、「公開文書の欠落部分の即時公開」を求め異議申立てを行ったので、審査会に対して諮問があった。

   審査会は審議の結果、実施機関の本件文書以外について不存在とした部分公開決定を取り消し、「貨物移転関係経過(昭和61年10月以降請求日時点までのもの)」及び「大阪駅北地区の整備の進め方等(平成14年3月市会においての答弁の方向性を内部で検討・確認したもの)」を対象文書として特定し、改めて公開決定等をすべきであるとの判断を示した。

 

【概要】

 

1 争点及びその決定の理由

 

(1) 争点:本件文書以外について不存在とした実施機関の決定の妥当性。

 

(2) 理由:本件文書以外に公文書を作成しておらず、実際に存在しないため。

 

2 大阪市情報公開審査会の判断

 

(1) 結論

   実施機関が行った部分公開決定を取り消し、「貨物移転関係経過(昭和61年10月以降請求日時点までのもの)」及び「大阪駅北地区の整備の進め方等(平成14年3月市会においての答弁の方向性を内部で検討・確認したもの)」を対象文書として特定し、改めて公開決定等をすべきである。

 

(2) 理由要旨

ア 実施機関による説明内容

(ア) 梅田貨物駅移転に関する鉄建公団との関係について
   実施機関の説明によると、梅田貨物駅の移転は、当該貨物駅の土地を所有する日本鉄道建設公団(現独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構。以下「鉄建公団」という。)が一義的に事業計画を策定し実施するものであり、大阪市は自ら決定する立場にはなく、平成11年1月には、梅田貨物駅取扱量の約半分を吹田操車場跡地に移転する基本協定(以下「基本協定」という。)が大阪市を除く関係5者(大阪府・吹田市・摂津市・日本貨物鉄道株式会社・鉄建公団)で締結され、その中で、残る半分の貨物機能については大阪市内で取り扱い、鉄建公団が責任を持って処理することとされたとのことであった。
   また、大阪市は平成13年12月の「梅田貨物駅の移転計画について」(回答)(以下「大阪市の回答」という。)において、基本協定の趣旨を理解して鉄建公団と協議していく旨回答しており、その後、基本協定の趣旨を認識し、将来鉄建公団が大阪市に対して大阪市内で貨物移転を円滑に進められるよう、大阪市に関わる内容について側面的に協力する立場で、鉄建公団から説明を受けてきたものであるとの説明があった。

(イ) 鉄建公団の説明内容について
   さらに、本件請求がされた段階では、大阪市と鉄建公団においては、協議というよりむしろ、梅田貨物駅移転問題に関し、貨物列車の運行計画や鉄道施設活用・改造等、安治川口・百済の2駅における貨物取扱いの可能性について鉄建公団が日本貨物鉄道株式会社・西日本旅客鉄道株式会社と協議しながら検討されている内容や、自動車対策など地域に関連する内容について説明を受けているところであり、その時点では、鉄建公団から具体的な検討案は提出されておらず、計画内容が未成熟で更なる検討が必要な段階であり、鉄建公団と大阪市との間で確認事項等が存在せず、協議録等を交換する必要がないこと、また鉄建公団として、吹田等の地元事情及び今後の大阪市内の地元対応を勘案すると資料の取扱いは慎重を期する必要があること等の理由により、本市として資料提供を受けておらず、また特に議事録等も作成していない、とのことであった。また、鉄建公団から説明を受けた内容については、その進捗状況を担当課長から上司に口頭で報告を行っているとのことであった。

(ウ) 市会答弁について
   異議申立人は、岩本計画調整局長(当時)の大阪市会での答弁内容から考えると、このような重要な検討課題について協議した内容の議事録等が作成されていないことは考えがたいと主張している。
   この点につき実施機関は、当該答弁内容は、基本協定、平成13年12月の鉄建公団から大阪市への協力依頼、大阪市の回答及び上述の実施機関の説明の内容以上には踏み込んだものではなく、そもそも大阪市は基本的に鉄建公団から協議を受けるだけの立場でしかない、と説明している。

(エ) 提出資料について
   この点に関連して、実施機関から当審査会へ、参考資料として、梅田貨物ターミナル駅の移転について経過を記載した「貨物駅移転関係経過」、平成14年3月の市会において、答弁の方向性を内部で検討・確認するために作成された「大阪駅北地区の整備の進め方等」及び同じく同年11月の市会において、答弁の方向性を内部で検討・確認するために作成された「貨物駅移転に対する鉄道公団の検討状況」(以下「提出資料」という。)が提出されている。
   実施機関は、当該提出資料について、市会での答弁等にあたり内部的な検討に際して作成した資料であり、「協議内容がわかる議事録、備忘録、メモ」といった本件各請求の趣旨に適う文書ではないと判断したため、結果として対象文書として特定しなかったとのことであった。

イ 当審査会の判断

(ア) 実施機関の提出資料について
A 資料の内容について
   しかしながら、提出資料のうち、本件請求時に既に作成されていた「貨物駅移転関係経過」及び「大阪駅北地区の整備の進め方等」の内容を検討すると、協議内容そのものとはいえないが、鉄建公団の説明内容が反映されており、異議申立人が請求する公文書の範囲に含まれると認められる。また、これらの記載内容は、条例第7条各号に該当しないと判断できる。

B 電磁的記録について
   なお、実施機関は、これらの提出資料のうち「貨物駅移転関係経過」については電磁的記録として作成管理し、必要に応じて文書化しているが、文書そのものは用務終了後その都度廃棄しているため、今回提出された資料は、提出時点の電磁的記録を文書化したものである、と説明している。
   また、その内容は、梅田貨物駅移転に関する経過項目を時系列で記載したものであり、当初の作成使用後も新しく発生した経過項目の逐次追加のみを行い、既掲載の経過項目自体に対する追加・削除・修正等は行っていないため、現在の記載内容の一部範囲を限定することによって、請求日時点の記載内容を現在でも容易かつ確実に特定できる、とのことであった。

C  結論
   以上のことから、提出資料のうち、別紙に記載の公文書を対象文書として特定し、公開決定をすべきである。

(イ) 実施機関の市会答弁について
   当審査会において実施機関の市会答弁についての上記の主張につき検討すると、平成14年度における市会議事録のうち梅田貨物駅移転に係る答弁内容を確認したところ、答弁の内容はこれらの記載内容からは必ずしも踏み出したものであるとは認められないこと、また、提出資料の記載内容についても、これを見分すると、上記の環境影響評価のあらまし、基本協定及び大阪市の回答の記載内容にその時々の鉄建公団との協議内容を付加したものに過ぎないと認められる。

(ウ) 実施機関のその余の判断について
   したがって、当審査会が新たに公開決定すべきであると判断した「貨物駅移転関係経過」及び「大阪駅北地区の整備の進め方等」を除き、本件文書以外の公文書は不存在であるとする実施機関の主張を覆すに足る特段の事情も見いだしがたく、よって、実施機関のその余の判断は、妥当であると認められる。

(エ) 担当課長の手帳について
   なお、異議申立人は、担当課長個人の手帳の記録について言及し、当該記録について公開するよう求めている。実施機関は、担当課長個人の手帳の記録(日時、場所、参加者の氏名、概要等)は、職員個人が自らの便宜のために作成し保有している個人の備忘録であると主張しているが、当審査会において当該手帳について見分したところ、確かに、日時、場所、参加者の氏名等が記載されているだけであり、個人の手帳そのものが組織共用されているという実態があるとまでは認められない。したがって、当該手帳が、条例第2条第2項にいう公文書に該当しないとする実施機関の主張は、妥当であると認められる。

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