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答申第181号

2024年3月22日

ページ番号:21259

【要旨】

   「○○の騒音苦情に関し、鶴見区役所地域保健福祉課生活環境係が保管する一切の市民の声・受付簿」(以下「本件文書」という。)の情報公開請求があった。
   大阪市長(以下「実施機関」という。)は、請求の対象となった文書について、個人の氏名、住所等は、特定の個人が識別され、又は識別され得るものであり、また、工場の名称、代表者の氏名、所在地等については、事業を営む個人の当該事業に関する情報であり、公にすることにより当該個人の正当な利益を害すると認められるため、当該各情報を非公開とする部分公開決定を行ったが、請求者は当該決定を不服とし、当該非公開部分の公開を求めて審査請求を行ったので、審査会に対して諮問があった。
   審査会は審議の結果、実施機関が行った決定は、妥当であるとの判断を示した。

 

【概要】

 

1 争点及びその決定の理由

 

(1) 争点

   個人の氏名、住所、電話番号の条例第7条第1号該当性
   工場の名称、代表者の氏名、所在地、電話番号の条例第7条第2号該当性

 

(2) 理由

   特定の個人が識別され、又は識別され得るものであるため。(条例第7条第1号該当)

   事業を営む個人の当該事業に関する情報で、公にすることにより、当該個人の事業の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。(条例第7条第2号該当)

 

2 大阪市情報公開審査会の判断

 

(1) 結論
 実施機関が行った部分公開決定は、妥当である。

 

(2) 理由要旨

 

ア 条例第7条第1号該当性について
   本件文書に記載されている苦情者の「氏名・住所・電話番号」については、「個人に関する情報」であり、かつ当該情報そのもので「特定の個人を識別することができる」ものに該当すると認められるので、同号本文に該当することは明らかである。かつ、内容からみて、同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。
   なお、異議申立人は、本人の情報であるため、公開すべきであると主張するが、本市の情報公開制度においては、公開請求者のいかんにかかわらず、一律に非公開情報を適用することとしていることから、当該個人情報が、請求者本人の個人情報であっても、これを非公開とすることとしている。さらに本市においては、個人情報保護条例に基づいて自己情報の開示請求を行うことが可能であることを考慮すると、異議申立人の主張は採用することができない。   

 

イ 条例第7条第2号該当性について

(ア)「工場の名称、代表者の氏名、所在地、電話番号」(以下「本件各情報」という。)は、一般的には、特段の事情がない限り、公開されても当該法人等の正当な利益を害することにはならないと考えられるが、本件文書は、実施機関に騒音等の発生源である当該工場への苦情が寄せられたこと及び当該工場が実施機関の指導を受けた事実を記したものである。

(イ)工場等の騒音等の規制については、大阪府生活環境の保全等に関する条例第106条第1項において、工場等の騒音等の規制に違反している者があると認められるときは、必要に応じて、その旨を公表することと規定されているところであり、同項の規定が、規制に違反し、かつ違反の是正を求める行政の指導に従わない者の氏名等の公表を実質的な懲罰として活用し、規制基準の遵守を図る趣旨であることが認められる。
   加えて、騒音・振動による被害は、その性質上人間の感覚が一定程度規制の基準とされており、規制義務違反等について、発生源の周辺住民等は、感覚に基づき実施機関に通報することにより健康の保護又は生活環境に係る保全を図るための手段が確保されていること、また、大阪府条例における公表制度の趣旨から、当該法人等は、公表に至らなかった事案については、今後これらの事実について公表されないことを期待するものであることから、特段、本市の情報公開制度により違反の事実を公開し、社会的評価等が損なわれることについて当該法人等において受忍すべきものとは認められない。

(ウ)これらの点を踏まえると、本件各情報が公開されることによって、過去の一定期間に規制に違反していた事実が公表されることになり、当該法人等の社会的評価、名誉等が損なわれ、営業活動等に一定の支障が生じ、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められる。
   なお、異議申立人は、別途公開請求により公開された文書を参考資料として提出し、これらの情報が公開されている旨主張するが、当該文書は騒音規制法等に基づく、特定(届出)施設を設置する際に義務付けられている届出書であるのに対して、本件文書は市民からの苦情や要望を受付することに始まり、一方的に記録される文書であるため、両者はその性質が異なり、異議申立人の主張は採用することができない。

(エ)以上から、本件文書に記載された本件各情報は、第7条第2号本文に該当し、アで述べたようにその性質上同号ただし書に該当しない。したがって、本件各情報は条例第7条第2号に該当すると認められる。

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