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答申第178号

2024年3月22日

ページ番号:21264

【要旨】

  「大阪市立○○中学校教諭に対する○年○月○日付け処分に関して、同処分に関する文書及びその基礎となる資料の全て」の情報公開請求があった。
  大阪市教育委員会(以下「実施機関」という。)は、請求の対象となった各文書について、特定の個人が識別され又は識別され得ると認められる情報が記載され、また、人事等の事務事業に関する情報であって、公開することにより、当該事務事業若しくは将来の同種の事務事業の目的を損ない、又はこれらの事務事業の公正若しくは円滑な執行に支障が生じると認められる情報が記載されていると認められるため部分公開決定を行ったが、請求者は当該決定を不服とし、一部の個人情報を除いた部分の公開を求めて異議申立てを行ったので、審査会に対して諮問があった。
  審査会は審議の結果、実施機関会が行った決定は結果として妥当であるとの判断を示した。

【概要】

1 争点及びその決定の理由

(1)争点:

    1)処分等を受けた関係教職員等の印影、職員番号、号給、関係教職員等の所属する学校の他の教職員の氏名及び印影 2)処分等を受けた関係教職員等の所属の名称、最寄り駅名、主要駅との区間料金及び運賃、支給額、出張先の条例第7条第1号該当性

(2)理由:

    1)のうち教職員等の氏名、生年月日、年齢、性別、本籍、住所、補職名、学歴及び採用後の経歴、2)のうち、関係者の氏名、4)懲戒等審査事務嘱託の氏名及び印影については、個人の戸籍的事項、経歴等に関する情報であって「個人に関する情報」に該当し、特定の個人が識別され得る。また、1)のうち所属名、2)のうち関係者の所属名、関係者の名称、3)の情報については、これらを公開した場合、処分等の原因となった事実の概要及び処分等の内容を基に、当時の新聞記事や関係者への照会など他の関連情報と組み合わせることにより、容易に「特定の個人が識別され、又は識別され得る」ことは明らかである。
  次に、6)については、当該職員に係る不祥事の原因、経過、てん末等の事実関係が克明に記載されており、5)についても当該教職員の個人情報に該当する情報が大部分を占めている。したがって、これら5)及び6)の各文書のうち、ごく一部の情報や様式についてのみ条例第6条第2号該当性を否定したとしても、当該部分のみを分離すると残りの部分が意味のある情報として成り立たない文書であると認められるものであり、部分公開になじまないものである。
  さらに、1)から6)までの各情報については、いずれも条例第6条第2号ただし書に該当しないものであるため。(条例第7条第1号該当)
かつ、請求の対象となった文書は、実施機関が教職員等の処分等を行うにあたって作成されたものであり、本市の機関が行う事務事業に関する情報に該当することは明らかである。本件文書に記載されている懲戒等審査事務嘱託の意見については、当該嘱託の承諾なしにこれを公開すると、実施機関とその者との信頼関係を損ない、以後協力を得られなくなるおそれがあり、また、懲戒等審査事務嘱託が審査事務において率直な意見が述べられなくなることから、今後の事務事業の公正、円滑な執行に支障が生じる相当の蓋然性がある。
    さらに、教職員事故報告書等については、今後、公開が前提となると、関係校長は、処分等を受けた者からの不当な干渉をおそれ、正確かつ詳細な報告を行うことが困難となり、その結果、実施機関としての正確、詳細な事実確認が行い難くなるなど、今後の当該事務の公正若しくは円滑な執行に支障が生じる相当の蓋然性があると認められるため。(条例第7条第5号該当) 

2 大阪市情報公開審査会の判断

1結論

 実施機関が行った部分公開決定は、結果として、妥当である。 

2理由要旨 

(1) 本件請求は、処分等を受けた者の所属している学校名及び処分等の年月日を特定して行われており、当該処分等を受けた関係教職員の氏名までは記載されていないもののその他についてこの程度に特定されると、一般に入手し得る他の情報や、当該処分等を受けた関係教職員の所属している学校の教職員や保護者などの関係者が保有している情報若しくは入手可能であると通常考えられる情報と照合することにより、当該処分等を受けた関係教職員を識別することができるものと認められる。

(2) この点、現行条例では、条例第9条により、公開請求が上記のように処分等を受けた者の所属している学校名及び処分等の年月日を特定して探索的に行われるような請求について、例外的に、公開請求に係る公文書の存否を明らかにするだけで非公開情報の規定により保護される利益が害されることとなる場合においては、公開請求に係る公文書の存否を明らかにしないで、当該公開請求を拒否することができることとなっている。

(3) 本件文書は、特定の個人の処分等に係る文書であり、仮に非公開の決定を行ったとしても、その決定は上記内容に基づく公開請求の対象となる文書の存在を前提としていることから、当該文書が存在することが明らかになる。特定の教職員の処分等についての文書の存在情報は、特定の個人についての情報であり、非公開とされるべき情報である。このことからすれば、本件請求に対し、本件請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、結果として、条例第7条第1号に規定する非公開情報を公開することとなるため、現行の条例においては、上記のとおり条例第9条の規定により、文書の存否を明らかにしないで請求を拒否すべきものであると認められる。
  しかしながら、存否応答拒否の制度のなかった旧条例の下では、本件請求について、本件文書を特定した上で非公開とすべきであったと認められる。ところが、本件決定ではその一部を公開する決定を行っており、本件決定において非公開とされた各情報について改めて検討する必要はなく、本件決定は、結果として妥当であると判断せざるを得ない。

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