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答申第175号

2024年3月22日

ページ番号:21268

【要旨】

  「1998年4月1日~1999年3月31日における以下の文書、及びその基礎となる資料の全て 1.大阪市教育委員会が教職員及び市教委事務局職員に対して行った処分(措置を含む)に関する文書 2.上記処分・措置に当たり教職員及び市教委事務局職員が行った出張に関する文書(出張命令簿)3.上記出張に関する支出関連文書」他1件の情報公開請求があった。
  大阪市教育委員会(以下「実施機関」という。)は、請求の対象となった文書について、特定の個人が識別され又は識別され得ると認められるため、処分等を受けた関係教職員等の印影、処分等を受けた関係教職員等の所属、出張先、駅名、運賃等を非公開とする部分公開決定を行ったが、請求者は当該各決定を不服とし、一部の個人情報を除いた部分の公開を求めて異議申立てを行ったので、審査会に対して諮問があった。
  審査会は審議の結果、大阪市教育委員会が行った各決定により非公開とされたもののうち、会社コード、区間料金等の情報については、公開すべきであるとの判断を示した。

【概要】

1 争点及びその決定の理由 

(1)争点:

 1)処分等を受けた関係教職員等の印影、職員番号、号給 2)処分等を受けた教職員等の所属、出張先、市費校園コード、精算報告書等中の支出科目のうち目及び決議番号、関係教職員等と同所属の他の教職員等の氏名及び印影、駅名、駅名コード、会社コード、区間料金及び区間距離、運賃、支給額、出張先、普通料金、旅費額 3)出張の月日の条例第7条第1号該当性 

(2)理由:

 1)の関係教職員等の氏名、印影及び職員番号については、「個人に関する情報」に該当し、号給についても当該教職員等の財産に関する情報にあたり、これらはいずれも特定の個人が識別され、または識別されうる情報である。通常、出張者の氏名及び印影については原則公開としているところであるが、当該情報については、これらを公開した場合、他の情報と組み合わせることにより、処分等を受けた教職員等本人が識別される可能性があるので非公開とした。また、2)については、これらの情報を公開した場合、処分等を受けた教職員等の所属の名称が特定され、それによって他の情報と組み合わせることにより、処分等を受けた教職員等本人が識別される可能性があり、同様に3)についても、処分等の原因となった事実の概要及び処分等の内容を基に、新聞記事や関係者への照会等他の情報と組み合わせることにより、処分等を受けた教職員等本人が識別される可能性があり、いずれもただし書に該当しないことは明らかであるため。 

2 大阪市情報公開審査会の判断 

1結論 

 実施機関が行った各部分公開決定において非公開とした部分のうち、次の情報については、公開すべきである。

・決議番号のうち、所属の略称を除いた部分

・駅名、駅名コード(当該駅を最寄り駅とする所属が複数存在し、関係教職員等の所属と同じ校種がある場合)

・会社コード

・区間料金及び区間距離(累計を含む)

・運賃、支給額、普通料金、旅費額 

2理由要旨 

(1) 本件各文書は、処分等に関わる出張に係る文書であるという性質上、被処分者等の人格や名誉等に密接に関わるものであると認められることも考慮すれば、個人識別性を検討するに当たり、照合の対象となる「他の情報」としては、公知の情報や、図書館等の公共施設で一般に入手できるものなど一般人が通常入手しうる情報のほか、何人も公開請求できることから、仮に当該個人の近親者、同僚、地域住民等であれば保有している情報又は入手可能であると通常考えられる情報も含まれると解される。

ア 処分等を受けた関係教職員等の「印影」は、それ自体により処分等を受けた関係教職員等を識別することができ、「職員番号」についても各職員に付与された個人を識別できる情報であり、「号給」についても、既に公開されている「級」及び関係者が保有している情報又は入手可能であると通常考えられる情報と照合することにより、処分等を受けた関係教職員等を識別することができる情報であると認められ、条例第7条第1号本文に該当する。
    次に、懲戒処分等を受けること自体は当該公務員が分任する職務遂行そのものではなく、不利益処分を受けたかどうかの処分歴に係る情報は公務員個人の私事に関する情報であることから、ただし書ウに該当しない。
  また、実施機関における処分等に関わる情報の取扱いについて、平成13年度以前は、前年度の処分件数のみを公表し、平成14年度以降、事案の概要として所属(局、校種のみ)、処分・措置内容等について公表してきている事実が認められるが、本件各請求時点では氏名については公表の対象とはなっておらず、現時点においても、当該情報が公にされている事実は認められないことからただし書アに該当しない。
また、その内容からただし書イに該当しないことは明らかである。
  よって、上記各情報は条例第7条第1号に該当し、非公開が妥当である。

イ 「処分等を受けた関係教職員等の所属」、「出張先」(校園名)、市立の各校園に付番された番号である「市費校園コード」及び「精算報告書等中の支出科目のうち目及び決議番号中の所属の略称」については、処分等を受けた関係教職員等の所属が特定できる情報であり、当該関係教職員等を識別することができることから、条例第7条第1号本文に該当すると認められる。
  次に、上記アと同様に、処分等を受けた関係教職員等の私事に関する情報であることから、ただし書ウ及びイには該当しない。また、処分等に関わる情報のうち「所属」は、本件請求時点はもちろん現時点においても本件文書で示されているような校園名や部署名までは公表の対象とされていないことから、ただし書アには該当しない。
ただし、「決議番号」のうち、所属の略称部分を除く情報は、当該所属が特定できる情報とは認められず、当該関係教職員等を識別することができないことから、条例第7条第1号に該当せず、公開すべきである。
  よって、上記各情報のうち、決議番号中の所属の略称を除く残り部分の情報以外は、条例第7条第1号に該当し、非公開が妥当である。

ウ 関係教職員等と同所属の他の教職員等の氏名及び印影は、それ自体は、当該関係教職員等を識別することができる情報であるとは認められないが、既に支出年度等に関する情報が公開されていることから、当該各情報を公開すると、関係者が保有している情報又は入手可能であると通常考えられる情報との照合により、当該所属が特定され、当該関係教職員等を識別することができる情報であると認められ、条例第7条第1号本文に該当し、上記と同様にただし書アからウまでのいずれにも該当せず、非公開が妥当である。

エ 非公開とされている「駅名」及び「駅名コード」は、処分等を受けた関係教職員等の所属する校園等の最寄り駅に関する情報であり、当該駅を最寄り駅として利用する他の所属の中に当該所属と同一校種の校園が存在しない場合など、これを公開することにより当該所属が特定される場合は、既に公開されている支出年度等に関する情報及び関係者が保有している情報又は入手可能であると通常考えられる情報との照合により、当該関係教職員等を識別することができる情報であると認められ、条例第7条第1号本文に該当する。また、上記イ同様ただし書アからウまでのいずれにも該当せず、非公開が妥当である。
 一方、「駅名」及び「駅名コード」のうち、当該駅を最寄り駅とする校園等の所属が複数存在し、関係教職員等の所属と同じ校種がある場合は、当該関係教職員等の所属を識別することができる情報であるとは認められず、条例第7条第1号に該当しないことから、当該情報は公開することが妥当である。

オ 「会社コード」は、処分等を受けた関係教職員等の所属する校園等の最寄り駅の属する路線の鉄道会社名に関する情報であり、処分等を受けた関係教職員等の所属や当然当該関係教職員等を識別することはできないことから、条例第7条第1号に該当しないと認められるため、公開が妥当である。
  同様に、「区間料金及び区間距離(累計を含む。)」、「運賃」(往復の交通費)、「支給額」(往復の交通費及び日当を加えた総額)、「普通料金」及び「旅費額」(支給額と同じ。)については、駅名を特定できないものであり、処分等を受けた関係教職員等の所属が特定できず、当該関係教職員等を識別できないことから、条例第7条第1号に該当しないため、公開が妥当である。

カ 「出張の月日」は、それ自体当該関係教職員等を識別することができる情報であるとは認められないが、非公開とされている当該情報は懲戒等の処分年月日と一致するものであることから、公開すると、関係者が保有している情報又は入手可能であると通常考えられる情報との照合により、当該関係教職員等を識別することができる情報であると認められ、条例第7条第1号本文に該当することが認められる。次に、上記アと同様に、処分等を受けた関係教職員等の私事に関する情報であることから、ただし書ウ、また、その内容からただし書イには該当しない。
    また、処分等に関わる情報のうち処分年月日は、平成14年度以降分から処分年月が公表されている事実が認められるが、本件各請求に係る平成10年度及び11年度分の処分年月日は公表の対象ではないことから、「出張の月日」は、ただし書アに該当しない。

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