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答申第162号

2024年3月22日

ページ番号:21287

【要旨】

 「大阪市営繕部が、中央市場(鹿島建設JV施工)、浪速消防署、松崎住宅、関谷住宅第4期、浪速第6住宅2号館(2区)、南津守第3住宅、阿倍野B2地区第2期市街地再開発事業D4-2棟、出城通第2住宅1号館、西栄住宅2号館、西成住宅7号館(1区)の建設工事で、使った生コンクリートの配合報告書に記載された骨材が、実際に使用した骨材と違う物が使われている事を営繕部が元請から受け取った調査関係の書類、(鹿島からの物は有るように面談で聞く)及びその他生コンに関わる書類全て」の情報公開請求があった。
 大阪市長は、請求の対象となった各文書について一部を非公開とする決定を行ったが、当該決定において非公開とした情報のうち、配合報告書に記録されている法人の印影、セメントの生産者名及び所在地等、骨材の生産者名及び所在地等並びに産地又は品名並びに混和材料等の製品名の情報については、生コンクリート会社が培った経営上のノウハウに関する内部情報であり、公開することによって、当該生コンクリート会社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるため非公開としたものである。
 請求者は、当該決定を不服とし当該部分の公開を求めて異議申立てを行ったので、審査会に対して諮問があった。
 審査会は審議の結果、大阪市長が行った決定は妥当であるとの判断を示した。

【概要】

1 争点及びその決定の理由 

(1)争点:

 配合報告書等に記録されている法人の印影、セメントの生産者名及び所在地等、骨材の生産者名及び所在地等並びに産地又は品名並びに混和材料等の製品名の情報についての条例第7条第2号該当性 

(2)理由:

 配合報告書等に記録されている法人の印影は、法人が事業活動を行ううえでの内部管理に属する事項に関する情報であり、その偽造等の危険性を考慮すると、公開することにより法人等の事業者の事業運営を損ない、その正当な利益を害するおそれがあるため。また、セメントの生産者名及び所在地等、骨材の生産者名及び所在地等並びに産地又は品名並びに混和材料等の製品名の情報は、生コンクリート会社が培った経営上のノウハウに関する内部情報であり、これらを公開すると、当該生コンクリート会社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるため。 

2 審査会の判断 

1結論 

 大阪市長(以下「実施機関」という。)が行った部分公開決定は、妥当である。 

2理由要旨 

(1) 配合報告書等に記録された法人の印影について 

 当該印影は、生コンクリート会社が元請のJVに対して提出した配合報告書等に押印された印影であると認められ、一般に、法人等の事業者がその事業活動に使用する印影は、事業活動を行う上での内部管理に属する事項に関する情報に該当し、また、その偽造等の危険性を考慮すると、その印影を公開することにより、法人等の事業者の事業運営を損ない、その正当な利益を害するおそれがあると認められ、このことは、本件文書に記録されている法人等の印影についても妥当する。
 したがって、これを公開すると、条例第7条第2号に規定する「当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害する」相当の蓋然性があると認められ、かつ印影については、その性質から、本号ただし書に該当しないことは明らかである。

(2) セメントの生産者名及び所在地等、骨材の生産者名及び所在地等並びに産地又は品名並びに混和材料等の製品名の情報(以下「本件セメントの生産者名及び所在地等の情報」という。)について 

ア 本件セメントの生産者名及び所在地等の情報の第7条第2号本文該当性について 

 実施機関の説明によると、コンクリートは、セメント、骨材、水、混和材料等により成り立っており、天然資源である骨材にどの産地のどの生産者のものを仕入れ、これを使用するのか、また、これらの材料をどのような割合で配合するのかは、構造物の種類や規模、建設する場所と時期、工事全体の施工方法等により異なり、原材料、仕入先及び配合比率は長年の研究成果を蓄積した生産技術上の情報であるとのことである。
 そのうえ、骨材の生産者名及び所在地等並びに産地又は品名については、コンクリートの原材料のうち、天然資源である細骨材(砂)及び粗骨材(砕石)は、その産地により、当該骨材そのものが有する粒度、粘度、形状、不純物の含有割合等が必ずしも一定ではなく、どこの産地の骨材を使用するかは、生コンクリート会社が培った経営上のノウハウに当たる情報であり、かつ仕入先に関する情報自体もノウハウにかかわる情報であると認められる。
 このような観点から検討すると、これらの情報は、コンクリートの原材料に関する情報であり、その配合比率や配合計算、骨材試験結果等が公開されている以上、本件セメントの生産者名及び所在地等の情報を公開すると、他社が同一の品質を有するコンクリートを製造することが可能となると考えられる。
 したがって、本件セメントの生産者名及び所在地等の情報は、公開することによって、当該生コンクリート会社の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められる。 

イ 本件セメントの生産者名及び所在地等の情報の条例第7条第2号ただし書該当性について 

 本件部分公開決定によりコンクリートの配合比率や配合計算、骨材試験結果等がすでに公開されているため、公共建築物等の安全性が十分確保されているかどうかを判断できる情報は公にされていると認められる。
 したがって、本件セメントの生産者名及び所在地等の情報の公開が、生命、身体、健康、生活又は財産上の保護等、当該情報の保護に優越する公益上の必要性があるとは認められず、同号ただし書には該当しないと認められる。

(3) 以上により、本件セメントの生産者名及び所在地等の情報は、条例第7条第2号に該当すると認められる。 

 なお、異議申立人は、国において同種の文書が個人情報を除いて公開されていることを理由の一つとして本件異議申立てを行っているが、答申第149号の審査に当たって、本件文書のうち7社に係る配合報告書と同一の文書について、当審査会が条例第23条第4項に基づき、当該生コンクリート会社7社に対して、本件セメントの生産者名及び所在地等の情報について公開の当否につき意見を聴取したところ、本件セメントの生産者名及び所在地等の情報を公開すると、骨材の産地の公開によって良質な原材料の安定確保に支障が生じるおそれがあるなど、当該生コンクリート会社が培った経営上のノウハウが流出する可能性があるため、強く非公開を希望する旨、回答を得ている。

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