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答申第148号

2024年3月22日

ページ番号:21305

【要旨】

 「教育委員会事務局のタクシー乗車券交付簿(平成15年度分と平成16年4月から6月まで)ただし、教育長及び部長級9名並びに庶務課職員使用分」の情報公開請求があった。
  大阪市教育委員会は、請求対象公文書に記載されている帰宅に係る使用者の氏名、補職名及び請求印の印影は、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものに該当し、また、これらの情報は職務の遂行に係る情報ではなく職務終了後における情報であり公表が予定されているものではないことから部分公開決定を行ったが、請求者は当該決定を不服とし、全部公開を求めて異議申立てを行ったので、審査会に対して諮問があった。
  審査会は審議の結果、大阪市教育委員会が行った決定は結果として妥当であるとの判断を示した。

【概要】

1 争点及びその決定の理由 

(1)争点:

 タクシー乗車券の使用目的が帰宅に係る場合の使用者の氏名、補職名及び請求印の印影についての条例第7条第1号の該当性 

(2)理由:

 深夜帰宅のためにタクシー券を使用した職員の氏名等の情報は、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものであり、また、これらの情報は職務の遂行に係る情報ではなく職務終了後における情報で公表が予定されているものではないと認められるため。 

2 審査会の判断 

1結論 

 大阪市教育委員会(以下「実施機関」という。)が行った部分公開決定は、結果として妥当である。 

2理由要旨 

(1)上記対象文書における条例第7条第1号該当性について検討する。 

ア まず条例第7条第1号本文該当性を検討するに、同号本文に規定されている「個人に関する情報」とは、個人の人格や私生活に関する情報に限らず、個人との関連性を有するすべての情報を意味するものであるところ、争点となっている各情報のうち、使用者の氏名、補職名及び請求者の印影は個人に関する情報であるので、同号本文に規定する「個人に関する情報」に該当し、当該情報そのものにより、あるいは、他の情報と照合することにより特定の個人が識別され得ることから、条例第7条第1号本文に該当すると認められる。

イ 次に、上記アにおいて条例第7条第1号本文に該当すると考えられる本件各情報が、同号ただし書により例外的に公開すべきものとされている情報に該当するかどうかについて検討する。
  条例第7条第1号ただし書アは、「法令若しくは条例・・・の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」は例外的に公開しなければならない旨を規定している。
  争点となっている各情報について同号ただし書ア該当性を検討するに、過去本市において特定の職員1名のみの補職名又は氏名を示してタクシー乗車券交付申請・交付整理簿の公開請求が行われた際には、当該請求に対し、実施機関が当該公文書の存在を前提に決定を行った結果として、その内容が請求内容に示された特定の職員に関するものとなり、当該職員の氏名、補職名及び請求印の印影が公にされている事実があることから、タクシー乗車券交付申請・交付整理簿に記載されている職員の氏名、補職名及び請求印の印影については慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報と考えることができる。
  以上により、タクシー乗車券の使用目的が帰宅に係る場合の使用者の氏名、補職名及び請求印の印影は、条例第7条第1号本文に該当するが、同号ただし書アに該当するので非公開とする情報とは認められない。

ウ なお、上記イを前提として降車地及び経由地の条例第7条第1号該当性について検討した場合、降車地及び経由地の各情報については、一般的に、当該情報そのものにより特定の個人を識別することができる情報であるとは認められない。しかし上記イを前提とすれば、請求者は事後的に当該職員の補職名や氏名に関する情報を保有することが明らかであり、これらの情報と照合することにより、特定の個人の帰宅に係る降車地及び経由地が識別されることとなるので、当該情報は第7条第1号本文に該当する情報であると考えられる。
  また、降車地及び経由地については、同号ただし書ウに規定する公務員の職務の遂行に係る情報には該当せず、上記ウを前提とした場合には、本市において慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている事実があるとは認められないことから同号ただし書アにも該当せず、かつ、その性質上同号ただし書イにも該当しない。
  したがって、上記イを前提とした場合には、帰宅に係る降車地及び経由地の各情報は条例第7条第1号に該当し非公開とすべきである。
  しかしながら、本件決定においては降車地及び経由地が既に公開されているので、本件各情報と降車地及び経由地に関する情報を照合することにより、特定の個人の帰宅に係る降車地及び経由地が識別されることとなるため、本件請求に関しては本件各情報を公開することはできない。
  よって、本件各情報を非公開とした実施機関の判断は、結果におい
て妥当である

付記 

 当審査会として、今回は上記のとおりの判断を行ったが、一般に同一の公文書について公開する範囲、つまり非公開情報が請求方法により異なることは望ましいことではない。
  上記(2)ア及びイで述べたとおり、帰宅に係る使用者の氏名、補職名及び請求印の印影の各情報は、本来特定の個人を識別することができる情報であり条例第7条第1号本文に該当するが、上記(2)イのような請求に対する公開決定が行われている事実から窺えるように、これらの各情報は実施機関として公にすることを予定している情報と考えられ、同号ただし書アに該当すると認められる。
  したがって、今後のタクシー乗車券交付申請・交付整理簿に係る公開請求に対しては、請求方法の如何にかかわらず、上記(2)ウに示したように、原則として、帰宅に係る降車地及び経由地のみを非公開とする決定に統一すべきであると考える。

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