ページの先頭です

答申第147号

2024年3月22日

ページ番号:21307

【要旨】

 「2002年度に実施した『教職員評価育成システム』の試験的実施について、東淀川区内の市立小・中学校全校の学校長に対して大阪市教育長の責任で作成した『評価育成シート』の全員分」及び「その『評価育成シート』の作成過程で、教職員課主査等の『校長への面談者』が作成した、各校長への評価のための全資料。及び、教職員課が行った全校長の5段階(S、A、B、C、D)評価の原案作成に関する全資料(東淀川区内の小・中学校について)」の情報公開請求があった。
  大阪市教育委員会は、請求の対象となった文書には、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより特定の個人を識別しうるもの、あるいは公開することにより当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報が記載されており、その部分を除くと有意の情報が記録されていないと認められるため、本件文書につき非公開決定を行ったが、請求者は当該決定を不服とし、全部公開を求めて異議申立てを行ったので、審査会に対して諮問があった。
  審査会は審議の結果、大阪市教育委員会が行った決定は妥当であるとの判断を示した。

【概要】

1 争点及びその決定の理由 

(1)  争点:

 平成14年度「教職員の評価・育成システム」の試験的実施にかかる東淀川区内の市立小・中学校についての校園長の自己申告票〈試験的実施〉、教職員の評価育成システム面談個票(校園長)及び「評価育成シート」〈試験的実施〉における条例第7条第1号及び第5号の該当性 

(2)  理由:

 本件公文書には、当該情報そのものにより又は他の情報と照合することにより特定の個人を識別しうるもの、あるいは当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものが記載されており、その部分を除くと有意の情報が記録されていないと認められるため。 

2 審査会の判断 

1  結論 

 大阪市教育委員会(以下「実施機関」という。)が行った非公開決定は、妥当である。 

2  理由要旨 

(1)  下記文書アからウまでに記載された情報における条例第7条第5号該当性について検討する。 

ア  校園長の自己申告票<試験的実施> 

 本件文書について検討すると、教職員の評価・育成システムに関しては、年度の途中から実施された試験的実施によるものであり、こういった作成時期や4つの目標設定区分から1つを選ばせるという目標設定等に関する指示内容から見ても、各校園長の学校運営の目標等を実際の重要度に応じ網羅的に記入して作成することを目指したものではないことは明らかであり、とりあえず、校園長等の関係者が自己申告票の作成やこれを用いて行う面談といった事務について習熟することが大きな目的になっていたと認められる。このため、本件文書を作成するに当たって、記入者である校園長が行う目標の選択については、便宜的に行うことも容認されていたと考えられるし、本件文書が、上司との面談や上司による評価・育成シート作成の基礎資料として作成されたことからすると、多くの校園長は、本件文書の公開について全く予期していないと考えられる。また、当審査会において本件文書を見分したところ、各項目に記載された情報については、その詳しさや内容の熟度、校園長個人の思いや考えの記載内容などに、相当大きな個人差があり、記入者である各校園長の習熟や様式等の検討が不十分と認められる点が多数認められた。
  このような状況のもとで、本件文書に記載されている目標やその実施計画、目標の達成状況、今後の課題や構想、教育委員会に対する意見等に記載された情報について公開すると、今後新たに人事制度の大きな改変が行われる場合の当該制度の試験的実施など同種の事務の遂行に際して、必要な情報の把握が困難となり、また、問題点や改善すべき点の抽出など当該同種の事務の目的が達成できなくなるおそれがあることから、これらの情報は、条例第7条第5号に該当すると認められる。

イ  教職員の評価育成システム面談個票(校園長) 

 まず、(ア)目標の設定理由、(イ)達成状況の判断理由、(ウ)目標達成に向けた取り組み、 (エ)自己の課題・次年度の構想、(オ)特記事項等について検討する。
  上記(ア)から(オ)までの項目に記載された情報については、教育委員会事務局職員が校園長と面談のうえ記載するものであり、教育長が評価・育成シートを作成する際の資料となるものである。          
  また、当該「教職員の評価・育成システム」の手引きには、面談時におけるプライバシーの確保や、率直な意見交換を図ることが明記されている。これらの条件のもとで行われた発言内容を公開した場合、校園長との信頼関係が崩れ、次年度以降の面接が形骸化するなど、人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあることから、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるため、これらの情報は条例第7条第5号に該当すると考えられる。

ウ  「評価・育成シート」<試験的実施> 

 まず、(ア)目標設定区分、(イ)業績の評価に関する部分、(ウ)能力の評価に関する部分、 (エ)「次年度に向けた課題・今後の方針」に関する部分、(オ)「総合評価」に関する部分について検討する。
  上記(ア)から(オ)までの項目に記載された情報は、教育長が作成する校園長の業績及び能力等への評価に関する事項であり、これを公開すると、人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあることから、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められ、これらの情報は、条例第7条第5号に該当すると考えられる。

エ  上記アからウまでにおいて、第7条第5号該当性について判断を行ったが、もし自己の思想や信条に関する情報が記録されていると認められる場合には、もとより条例第7条第1号に該当すると判断されることは疑いのないものである。

(2) 下記文書アからウまでに記載された情報において、前記(1)で条例第7条第5号に該当するとされた項目以外の項目について、条例第7条第1号該当性について検討する。

ア  校園長の自己申告票<試験的実施> 

 本人に関する部分等について検討すると、「記入月日」、「補職名」については個人を識別できる情報ではないことから条例第7条第1号には該当せず、また「氏名」、「学校(園)名」については個人に関する情報であるが、大阪市職員録等により公になっていることから、第7条第1号ただし書アに該当すると認められる。さらに「平成15年3月31日現在の年齢」、「校園長在職年数」及び「現任校園在職年数」については、個人に関する情報であり、かつただし書に該当しないことから、条例第7条第1号本文に該当すると認められる。

イ  教職員の評価育成システム面談個票(校園長) 

 校園長に関する部分等について検討すると、面談を行った校園長の「学校(園)コード」、「区名」は、条例第7条第1号に規定する個人情報に該当せず、「氏名」、「学校(園)名」については、本件文書アと同様、条例第7条第1号ただし書アに該当することは明らかである。また、面談者名については、本市の教職員課職員であることから、条例第7条第1号本文に該当し、かつただし書アに該当することは明らかである。

ウ  「評価・育成シート」<試験的実施> 

 本人に関する部分について検討すると、「氏名」、「学校(園)名」については本件文書アと同様条例第7条第1号本文に該当し、かつただし書アに該当することは明らかである。また、「平成15年3月31日現在の校園長在職年数」、「現任校園在職年数」についても前記アと同様に条例第7条第1号本文に該当すると認められる。さらに、評価者に関する部分についても、「記入月日」については条例第7条第1号に該当しないことは明らかであり、「評価者氏名」は、本市教育長であることから、条例第7条第1号本文に該当し、かつただし書アに該当することは明らかである。

(3)  部分公開の可否について 

ア  条例第8条第1項本文は、非公開情報が記録されている部分を「容易に区分して除くことができるときは、公開請求者に対し、当該部分を除いた部分につき公開しなければならない」と規定しているが、同項ただし書により、「当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りでない」としてただし書に該当する場合は、部分公開の義務を免除している。

イ  上記をふまえ、本件各文書に記載されている情報について、条例第7条第5号及び第1号に該当する非公開情報を区分して除いた場合、当該部分を除いた部分は「記入月日」、「職名(学校名)」、「氏名」、「校(園)コード」、「区名」、「面接者名」、「評価者」の情報のみとなる。これらの情報は、本市の職員録等で公になっている情報又は本件文書の作成にかかる外形的な情報であることから、有意な情報が記録されているとは認められないため、本件各文書について条例第8条第1項本文の趣旨に照らし、これら部分のみの部分公開を行う必要はないと認められる。

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市 総務局行政部行政課情報公開グループ

住所:〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所1階)

電話:06-6208-9825

ファックス:06-6227-4033

メール送信フォーム