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答申第144号

2024年3月22日

ページ番号:21310

【要旨】

 「2003年7月18日に市民団体が市教委に提出した「『教職員の評価・育成システム』導入についての質問状」に対して、9月16日に市教委を代表して担当の教職員課主査が同市民団体の4人と面会し、市教委としての回答の内容全文の資料として手渡した文書」についての情報公開請求があった。
 大阪市教育委員会は、当該文書の不存在を理由に非公開決定を行ったが、請求者は当該決定を不服として、全部公開を求めて異議申立てを行ったので、審査会に対して諮問があった。
 審査会は審議の結果、大阪市教育委員会が行った決定は妥当であるとの判断を示した。

【概要】

1 争点及びその決定の理由 

(1)争点:

 「2003年7月18日に市民団体が市教委に提出した「『教職員の評価・育成システム』導入についての質問状」に対して、9月16日に市教委を代表して担当の教職員課主査が同市民団体の4人と面会し、市教委としての回答の内容全文の資料として手渡した文書」について、条例第2条第2項の規定により本件文書が公文書に該当しないため不存在とした非公開決定の妥当性。 

(2)理由:

 本件文書は口頭による回答を行った職員本人が作成したメモであり、組織的な検討に付されたものではなく、また、組織において業務上必要なものとして利用・保存されているものではないことから、条例第2条第2項に規定する「公文書」に該当しないため。 

2 審査会の判断 

(1)結論 

 大阪市教育委員会(以下「実施機関」という。)が行った不存在による非公開決定は、妥当である。 

(2)理由要旨 

ア 条例第2条第2項では、「公文書」とは、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。」と規定している。
 ここで、「実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」とは、作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において業務上必要なものとして利用・保存されている状態のものを意味する。したがって、職員が自己の執務の便宜のために保有する覚え書や資料等は、これに該当しない。

イ 上記アをふまえ、本件文書における条例第2条第2項該当性について検討する。

(ア) 実施機関の説明によると、本件文書は当該市民団体の文書による回答要求に対し、実施機関において回答は口頭で行うこと及び回答内容における方向性を確認したうえで、担当者自身が口頭で回答するために、担当者単独で作成した回答の手控えとしての個人的なメモにすぎず、組織的な検討に付されたものではなく、組織における共用を予定していたものではないとのことであり、調査の結果そのことが認められる。
 さらに、本件文書については、担当者が回答にあたり上司が口頭のみの回答を指示したにもかかわらず、上記メモを独断で異議申立人に手渡したものと認められる。

(イ) したがって、本件文書の作成及び手渡しについては、直接的にも間接的にも管理監督者による指示等の関与はなく、その作成及び手渡しの必要性について組織的な判断がなされていたとは考えられない。
 ゆえに、本件文書は担当者が個人的な参考資料として用いたメモに過ぎないと認められる。

ウ 本件文書の使用等の状況からすると、上記 イの(ア)及び(イ)の事由により、当該文書は担当者が個人の判断で作成したメモにすぎず、組織としての共用文書の実質を備えた状態にあったとは認められないので、条例第2条第2項に規定する公文書には該当しないと判断される。

エ なお、作成時には担当者の個人的なメモにすぎなかった文書でも、実施機関が当該市民団体に対し継続的に説明を行っていく過程で組織共用化され、新たに公文書としての性質を帯びていく可能性はないとはいえない。
 しかし、実施機関の説明によると、担当者は、本件文書は口頭での回答に当たりその内容を発言の手控えとして便宜上まとめた個人的なメモであったことから、当該市民団体との面談が終了した時点でその必要性がなくなったと考え、組織的な共用を前提に当該市民団体に交付した文書ではないと判断のうえ、保存の必要性も感じなかったことから破棄し、口頭回答を指示した上司の命令に反していたことにより、自ら電磁的記録も削除したとのことであった。
 したがって、本件文書が存在していれば、時間が経過していくなかで場合によっては組織的に用いるものとして公文書の性質を帯びていく可能性も否定できないが、本件文書が存在していない以上、公文書としての組織共用の実質を備えた文書としては存在しないと判断せざるを得ないと考えられる。

オ 以上により、本件文書につき公文書に該当しないため不存在を理由に非公開とした実施機関の決定は、妥当であると認められる。

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