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答申第126号

2024年3月22日

ページ番号:21356

1 件名

 平成13年7月5日付け大住宅第698号による部分公開決定に対する異議申立てについての答申

2 本件文書の概要

 浪速区日本橋5丁目○―○ほか10筆の土地について、住宅地区改良事業に伴う用地買収交渉において締結した物件除却契約書、損失補償契約書、土地売買契約書、借地権放棄契約書及び占有者立退契約書

3 審査会の判断

(1) 結論

 契約相手方の法人の住所、名称及び代表者の氏名並びに物件(建物)所有者の名称の部分については、公開すべきである。

(2) 理由要旨

ア 地方公共団体等が取得する土地の売買に関しては、適正な評価に基づいて行われるべきであることは当然である。しかし、土地の価格は種々の価格形成要因の相互作用によって決定されるものであるため、土地の所在、地積、形状等の画地条件、価格時点等の個別要因によって差異が生じることは避けられず、合理的な範囲内で土地所有者との交渉の余地があるものである。

イ このように土地の価格は非常に個別性の強いものであり、公共事業に伴う用地買収が継続中に既買収地の売買価格が明らかにされると、未買収地の土地所有者が、既買収地の売買価格を前提として自己に有利な価格を算定し、その価格に固執することにより、買収交渉が難航し、未買収地の適正な価格による円滑な買収に支障が生じ、本市の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれが生じ得るものである。

ウ もっとも、当該事業に必要な用地買収が完了し、かつ、周辺地域において現在又は近い将来公共事業に必要な用地取得の予定がない場合には、このような支障が生じるおそれは認めにくい。

エ 本件で公開の対象となっている土地は、住宅地区改良事業用地に利用する目的で、本市が取得した土地であり、同一町内には、他の住宅地区改良事業による用地買収が現在継続中の状況にある。
 このような状況の下、本件各土地の契約金額及び単価等を公開すると、現在交渉を行っている未買収地の所有者は、既買収地の売買価格を前提として自己に有利な価格を算定し、用地買収に応じない者が現れるなど、「本市の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ」が生じる相当の蓋然性があると認められる。

オ また、異議申立人は、仮に売買交渉が難航しても住宅地区改良事業においては収用が認められており、事業の遂行が不可能または困難になるものではないと主張するが、本来、用地の取得は、双方の合意の下に円満に契約を締結することをもって行われることが望ましいものであるため、収用という手段があるということを理由に、契約金額等を公開しても用地買収に係る事務事業の遂行に特段の支障がないとは言えず、条例第7条第5号に該当すると認められる。

カ 借地権放棄契約書、損失補償契約書、物件除却契約書及び占有者立退契約書に記載されている契約金額及び契約単価は、当該土地に係る建物の構造、面積、築年数及び用途等、種々の価格形成要因の相互作用によって決定されるものであり、土地の売買価格以上に個別性の強いものである。
 このことからすれば、これらの金額を公開すると、適正な価格による円滑な交渉に支障が生じ、本市の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれは、土地の売買価格以上に生じ得るものであるため、土地の売買契約に係る契約金額等が条例第7条第5号に該当すると認められることに鑑みれば、土地以外の契約金額等についても条例第7条第5号に該当すると認められる。

キ 本件文書に記載されている内金は、契約金額に定率の割合(50%)を乗じて算出した金額であり、当該金額を公開すると契約金額が判明することになるので、条例第7条第5号に該当すると認められる。

ク 契約相手方である個人の住所、氏名及び印影等は、個人の戸籍的事項に関する情報として、また、個人が所有していた土地の地番、面積及び物件の所在地番・家屋番号・種類等は、個人の財産に関する情報として、いずれも、本号本文に規定する「個人に関する情報」に該当し、かつ、当該情報そのものにより、又は他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができると認められる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当する。
 また、法人等の所有する物件であっても個人の所有する土地に存する場合、その所在地、所在地番、家屋番号は、これを公開すると、登記簿等に記載されている情報と照合することにより、土地の所有者であった個人を特定することは可能であるため、条例第7条第1号本文に該当する。
 なお、上記の各情報は、いずれも公にされている情報であるとはいえず、公益上公開する必要性も認められないし、かつ、公務員の職務遂行情報でないことも明らかであるから、本号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。

ケ しかしながら、契約相手方である法人の名称及び代表者の氏名並びに物件所有者の名称については、これらの情報から土地の所有者であった個人を特定することは困難であるし、また、当該契約書に記載されている契約相手方である法人の住所が当該物件の所在地及び所在地番と必ずしも一致するとはいいがたいので、条例第7条第1号に該当するということはできない。

コ 本件文書に記録された法人の印影は、土地の売買契約書等に押印された法務局に登録された印影であり、当該印影を公開すると偽造されるおそれがあるとともに、こうした情報は、契約関係にない者にまで広く公開することを予定しているとはいえないので、条例第7条第2号に該当すると認められる。

(3) 付記

 法人等の印影を非公開とする趣旨は、主として、偽造等により法人の権利利益が損なわれることを防止する点にあることを考慮すれば、必ずしもその全部を非公開とする必要はないと考える。
 したがって、今後、実施機関において印影を非公開とする場合であっても、印影の一部を公開するなど、偽造防止に配慮しつつ印影が記録されていることがわかる措置をとることを要請する。

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