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答申第124号

2024年3月22日

ページ番号:21359

1 件名 

 平成12年8月17日付け大建第2366号による部分公開決定に対する異議申立てについての答申

2 本件文書の概要

 此花臨海土地区画整理事務所が行った業務委託契約に関する、委託の実施及び経費の支出決裁、支出決議書、業務委託設計書、作業仕様書、契約通知書、主管課から契約担当課長にあてた随意契約依頼書

3 審査会の判断

(1) 結論

 法人の印影並びに清掃業務にかかる設計内訳金額及び設計単価の部分を除き、公開すべきである。

(2) 理由要旨

ア 事業者がその事業活動に使用する印影は、事業活動を行う上での内部管理に属する情報であり、その偽造等の危険性を考慮すると、印影を公開することにより、その正当な利益を害するおそれがあると認められる。
 なお、事業者が内部限りにおいて管理して開示すべき相手方を限定する利益を有する情報であっても、事業者がそのような管理をしていないと認められる場合には、これを公開しても当該事業者の正当な利益を害することにはならないと解されるが、印刷業者の見積書及び仕様書は不特定多数の者にこれを交付することはないと考えられ、その印影を不特定多数の者に広く知られる状態に置いているとは認められない。
 したがって、本件見積書及び仕様書に記録されている印刷会社の代表取締役の印影等は、条例第7条第2号に該当すると認められる。

イ 特名随意契約のうち清掃業務以外の業務に係るものについては、極めて個別性、専門性の強い特殊な契約であり、確実に遂行する能力を有する相手方が一社しかないというのであるから、競争入札に転換することは考え難い。
 また、特定の技術力等を有する一社と契約するのであるから、設計金額を事後公表しても、談合等の支障が生じる余地はあり得ず、将来契約金額が高止まりになる旨の実施機関の主張も妥当しない。
 むしろ、上記の各契約の相手方は本市が基本金の50%以上を支出している本市と密接な関係にある団体であり、条例第34条の趣旨を考慮すれば、出資等法人に係る情報を公開することにより得られる公益性と比較して、これを上回る事業遂行上の支障があるとは考えられない。
 以上の業務において予定金額は設計金額と一致しており、予定金額を公開すると予定金額算出のノウハウが推測される等特段の事情があるとは認められない。
 さらに、契約の相手方が限られているのであれば、他の者にその設計内訳金額及び設計単価その他の積算方法が知られ、設計金額がかなりの精度で推測されたとしても、当該特名随意契約の締結に何ら支障を及ぼすものでないし、本件の場合、設計内訳金額及び設計単価等を知られても、特に他に影響するとは思われない。
 以上により、清掃業務以外の特名随意契約に係る予定金額、設計金額、設計内訳金額、設計単価及び消費税額等については、条例第7条第5号に該当しない。

ウ 特名随意契約のうち清掃業務に係るものの設計金額については、対象物件となる事務所が所在している賃貸ビルの管理会社の指定する清掃会社との特名随意契約であることから、その設計金額が公開されたとしても、他の清掃会社が金額面で競争する余地はなく、今後の特名随意契約の締結に支障は生じないと考えられる。
 当該契約の予定金額は設計金額と一致しており、予定金額を公開すると予定金額算出のノウハウが推測される等特段の事情があるとは認められない。
 一方、当該契約の設計内訳金額や設計単価については、清掃業務は、一般的・普遍的性格を有することから、設計内訳金額や設計単価が公開されると、今後本市が競争入札により委託する他の物件の清掃業務の設計金額をかなりの精度をもって積算することが可能となり、本件以外の清掃業務における今後の入札業務において、公正又は円滑な事務事業の遂行に支障が生じると認められる。
 以上のことから、本件事案における特名随意契約による清掃業務の予定金額、設計金額及びこれらから算出できる消費税額等は、条例第7条第5号に該当しないが、設計内訳金額、設計単価は条例第7条第5号に該当する。

エ 競争入札契約による業務のうち、請求対象年度内に1回しか委託されなかった業務については、反復継続性が極めて低く、単独で完結するような単発性、個別性の高いものであり、公開することによって、今後の本市の競争入札業務において、事務の適正な遂行に支障を及ぼすとはいえず、予定金額、設計金額、設計内訳金額、設計単価及び消費税額等については、今後金額が類推される可能性が小さいといえるので、条例第7条第5号に該当しない。 

オ 競争入札契約による業務のうち、毎年委託されている清掃業務については、反復継続性があるものの、本件事案についてはその後の社会経済情勢の変化から、競争入札の設計金額そのものはもはや参考に値する金額であるとは言えず、設計金額及びこれと同一の予定金額を事後的に公開したとしても、本市の利益を不当に害するおそれがあるとはいえない。
 一方、設計内訳金額や設計単価が公開されると、業務の性質上、設計金額の積算方法自体は今後もほぼ同様の方式であることから、今後本市が発注する清掃業務の設計金額をかなりの精度をもって類推することが可能となり、公正又は円滑な入札事業の遂行に支障が生じると認められる。
 以上のことから、競争入札契約による清掃業務については、予定金額、設計金額及びこれらから算出できる消費税額等は、条例第7条第5号に該当しないが、設計内訳金額、設計単価は条例第7条第5号に該当する。

(3) 付記

 印影を非公開とした実施機関の判断は、条例第7条第2号に照らし妥当であるが、本件において、異議申立人は印影の存否さえ不明であり、実際は押印のない文書とも考えられると主張している。
 本件見積書等に印影が記録されていることは当審査会において確認しているところであるが、異議申立人がこうした疑念を抱くのは印影の全部が非公開とされていることによるものであると考えられる。
 法人等の印影を非公開とする趣旨は、主として、偽造等により法人の権利利益が損なわれることを防止する点にあることを考慮すれば、必ずしもその全部を非公開とする必要はないと考える。
 したがって、今後、実施機関において印影を非公開とする場合であっても、印影の一部を公開するなど、偽造防止に配慮しつつ印影が記録されていることがわかる措置をとることを要請する。

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