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答申書(平成29年度答申第5号)

2023年2月17日

ページ番号:412812

諮問番号:平成29年度諮問第3号
答申番号:平成29年度答申第5号

答申書

第1  審査会の結論  
 本件審査請求は、いずれも棄却されるべきである。

第2  審査請求に至る経過
1 処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)は、別紙物件目録記載の不動産(以下「本件不動産」という。)のうち、平成○年○月○日付けで項番1から24までの不動産について、同年○月○日付けで項番25から31までの不動産について、それぞれ公売公告処分(以下「本件各処分」という。)を行った。
 なお、本件不動産に係る差押え等の概要は、次のとおりである。
(1) 項番1から31まで(項番18及び23を除く。)の不動産については、審査請求人の平成12年度から平成15年度までの固定資産税(償却資産)、平成13年度から平成16年度までの固定資産税・都市計画税(土地・家屋)及び平成19年度市民税・府民税(特別徴収)に係る滞納金額を徴収するため、平成21年4月27日付けで処分庁が差し押さえたものである。
(2) 項番18及び23の不動産については、審査請求人の平成18年度から平成23年度までの固定資産税・都市計画税に係る滞納金額を徴収するため、平成24年6月18日付けで○○市長が差し押さえたものである。
(3) ○○市長は、審査請求人の平成18年度から平成28年度までの固定資産税・都市計画税に係る滞納金額について、平成29年1月17日付けで処分庁にその徴収を嘱託した。
2 審査請求人は、平成29年3月6日に大阪市長あて審査請求をした。

第3 審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 本件不動産のうち項番27から31までの不動産については、分譲マンション用地の残地であり、面積も小さく分譲後も処理に困っている物件である。今まで売りにかけたり色々動いてみたが売れず、最終隣接の方々に贈与するしかないと思っていた。
(2) 本件不動産のうち項番1から26までの不動産については、多数が公共的に使用している物件で公売物件ではなく、公売することによって今後問題の発生が見込まれるため、今回公売の取消しを依頼した。
(3) 見積価格と書いてあるが、見積もる場合、上も下も調査した上で評価するものであり、上のみ下のみの見積りは考えられない。
(4) 本件不動産は、担保提供よりも差し押さえてもらう方がよいという判断で○○区役所と相談し提供したものであり、物件が物件だけに公売はしないという約束で進めてきた。
2 処分庁の主張
(1) 本件不動産については、いずれも、現に審査請求人が所有する不動産が登記・現況ともに存在し、見積価値が積算でき、また、共有物件については分割禁止特約の登記がないことから、公売することによって発生する具体的な問題が不明である。
(2) 入札者は、公売公告を確認し本件不動産の公法上の規制、接道状況、使用状況、特記事項等を了知しているところであり、今後発生が見込まれる問題については、入札者が関係者と協議していくことである。
(3) 処分庁は、公売の日である平成○年○月○日及びインターネット公売の入札の開始日である同年○月○日のそれぞれ10日前までに公売公告の際に掲げるべき事項を公告するとともに当該公売公告を大阪市役所本庁舎1階玄関前掲示板(以下「掲示板」という。)の見やすい場所に掲示して行っており、本件各処分は適法になされている。
(4) 処分庁は、本件不動産のうち、項番1から24までの不動産については平成○年○月○日に、項番25及び27から29までの不動産については同月○日に、それぞれ最高価申込者の決定等の公告をした。

第4 審理員意見書の要旨
1 結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断する。
2 理由
(1)  審査請求の対象となる処分について
 審査請求人は、審査請求書の「審査請求に係る処分の内容」欄に「平成○年○月○日差押処分」と記載し、同「審査請求の趣旨」欄に「平成○年度差押処分の取消しを求める」と記載していることから、当該欄を一見する限り、審査請求人は差押処分について不服があるものと認められる。
 しかしながら、平成○年○月○日付けで差押処分は行われておらず、審査請求人が言う差押処分は本件各処分に係る差押処分及び参加差押処分を意味すると考えられるが、当該差押処分は平成21年4月27日付け、当該参加差押処分は平成24年7月31日付けで行われており、いずれも行政不服審査法及び行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行前に行われた処分であるため、平成26年法律第69号による改正前の地方税法及び平成26年法律第68号による改正前の行政不服審査法(以下「旧行審法」という。)の規定が適用されることとなる。
 本件各処分に係る差押処分及び参加差押処分は、処分の日の翌日から起算して1年以上経過しており、審査請求人は処分の日の翌日から起算して1年を経過したことについての理由を述べていないため、平成21年4月27日付け差押処分及び平成24年7月31日付け参加差押処分に対する不服申立て(旧行審法に基づく異議申立て)は不適法なものとなる。
 一方で、審査請求人は、審査請求の理由として「公売通知書の公売取り消しの依頼」と記載している。この点、公売の通知は処分庁が公売公告した場合において、滞納者に対して最後の納付の機会を与えるため公告すべき事項等を通知するものにすぎず、それ自体として納税者の権利義務その他法律上の地位に影響を及ぼすものでなく、行政処分には当たらないため、公売通知書に対する審査請求は不適法なものとなるが、公売取消しを主張していることから、本件審査請求は公売公告処分に対する審査請求と解する。
(2)  本件各処分について
 国税徴収法(以下「徴収法」という。)において差押財産につき公売に付すことが禁止されているものに係る規定は存在せず、審査請求人の主張はいずれも本件各処分を取り消す理由とはならない。したがって、本件各処分が徴収法に規定する手続により適正に行われたかについて判断する。
 本件各処分においては、公売の日である平成○年○月○日及びインターネット公売の入札の開始日である同年○月○日のそれぞれ10日以上前である同年○月○日付け及び○月○日付けで公売公告を行っていること及び当該公告に掲げるべき事項である公売財産の名称、公売の方法、公売の日時及び場所に加えて、当該財産が兵庫県の土砂災害警戒区域に指定されていること等、公売に関し重要と認められる事項等についても公告を行っていることから徴収法第95条第1項に規定する要件を満たしている。また、当該公告を掲示板に掲示して行っていることから徴収法第95条第2項に規定する要件を満たしている。さらに、滞納者である審査請求人並びに公売財産につき交付要求をした者及び公売財産上に質権等の権利を有している者のうち知れている者に通知を行っていることから徴収法第96条第1項に規定する要件についても満たしている。
 以上のことから、本件各処分については徴収法の規定に基づき適正に行われている。

第5 調査審議の経過
当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
平成29年6月23日 諮問書の受理
平成29年6月27日 審議
平成29年7月11日 審議
平成29年7月26日 調査及び審議(処分庁の陳述)

第6 審査会の判断
1  関係法令の定め
(1) 個人の市・府民税の賦課徴収について
 個人の道府県民税の賦課徴収は、特別の定めがある場合を除くほか、当該道府県の区域内の市町村が、当該市町村の個人の市町村民税の賦課徴収の例により、当該市町村の個人の市町村民税の賦課徴収と併せて行う(法第41条第1項前段)。
 個人の道府県民税の納税義務者又は特別徴収義務者は、その道府県民税に係る地方団体の徴収金を、個人の市町村民税に係る地方団体の徴収金の納付又は納入の例により、これとあわせて納付し、又は納入しなければならない(法第42条第1項)。
(2)   固定資産税・都市計画税の賦課徴収について
 都市計画税の賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、特別の事情がある場合を除くほか、固定資産税の賦課徴収と併せて行う(法第702条の8第1項前段)。
(3)  市民税及び固定資産税の滞納処分について
 市民税及び固定資産税(以下「市民税等」という。)に係る滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までにその督促に係る市民税等に係る地方団体の徴収金を完納しないとき、又は市民税等に係る滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに市民税等に係る地方団体の徴収金を完納しないときは、市の徴税吏員は、当該市民税等に係る徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならず、市民税等に係る徴収金の滞納処分については、徴収法に規定する滞納処分の例による(法第331条第1項及び第6項並びに第373条第1項及び第7項)。
(4)  公売について
 差押財産は、換価しなければならない(徴収法第89条第1項)。また、差押財産を換価するときはこれを公売に付さなければならず、公売は入札又はせり売りの方法により行わければならない(徴収法第94条)。
(5)  公売公告について
 差押財産を公売するときは、原則として、公売の日の少なくとも10日前までに、公売財産の名称、公売の方法、公売の日時及び場所、その他公売に関し重要と認められる事項について公告しなければならず、また、公告は、公売を実施する執行機関の掲示場その他当該執行機関の庁舎内の公衆の見やすい場所に掲示して行う(徴収法第95条)。
2 争点
 本件各処分は適法か。
3 争点に対する判断
 (1)  審査請求人は、審査請求書の「審査請求に係る処分の内容」欄に「平成○年○月○日差押処分」と記載するとともに、「審査請求の趣旨及び理由」欄に「平成○年度差押処分の取消しを求める」と記載し、一方で別紙において「上記5物件の公売通知書の公売取り消しの依頼」と記載していた。
 そこで、当審査会が審査請求人に照会したところ、平成29年7月4日付け主張書面において、本件審査請求の趣旨について本件各処分の取消しを求めるものである旨の回答を得た。
 したがって、本件審査請求は、本件各処分に対する審査請求であると解し、本件各処分が適法であるかどうかについて、以下判断することとする。
 なお、本件不動産のうち、項番26、30及び31の不動産については、入札がなく、公売が成立しなかったことから、審査請求人において、公売公告の取消しによって回復すべき法律上の利益は存しない。したがって、これらの不動産に係る公売公告について、当審査会は審理の対象としない。
(2) 本件各処分については、当審査会が調査した結果、徴収法の規定に従って適正に行われていることが認められる。
(3) 審査請求人は、本件不動産の多数が公共的に利用していることから、公売を実施することによって今後問題の発生が見込まれる旨主張する。
 しかしながら、差押財産は、徴収法の定めるところにより換価しなければならず、また、差し押さえられた不動産について換価を制限する規定もないことから、本件不動産に審査請求人が主張する事情があったとしても、本件各処分を取り消す理由とはならない。
(4) 審査請求人は、本件不動産の見積価格について、上も下も調査した上で評価するものであり、上のみ下のみの見積りは考えられない旨主張する。
 しかしながら、公売財産の見積価格は、公売公告事項とされておらず(徴収法第95条第1項参照)、そもそも本件処分の内容を構成しないことから、見積価格の算定方法を不服として、本件各処分の取消しを求めることはできない。
(5) 審査請求人は、本件不動産について公売はしないという約束で進めてきた旨主張する。
 しかしながら、審査請求人の説明によれば、約束があったか否かという点において事実関係が不明であり、さらに、当審査会が審査請求人及び処分庁の主張及び提出資料を仔細に検討しても、処分庁が本件各処分をしない旨の公的見解を表示していたとも認められない。
(6) 以上の点から、本件各処分は適法である。
4 審査請求に係る審理手続について
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
5 結論
 よって、本件審査請求に理由がないものと認められるので、当審査会は、第1記載のとおり答申する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
大阪市行政不服審査会税務第1部会
 委員(部会長) 佐藤善恵、委員 津留真弓、委員 下尾裕

 別紙物件目録 省略

答申書(平成29年度答申第5号)

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