ページの先頭です

答申書(平成29年度答申第10号)

2023年2月17日

ページ番号:417988

諮問番号:平成29年度諮問第6号
答申番号:平成29年度答申第10号

答申書

第1  審査会の結論
 本件審査請求は却下されるべきである。

第2  審査請求に至る経過
1 平成28年10月18日、審査請求人は、審査請求人の子どもの「子どものための教育・保育給付保育認定(変更)申請書兼保育施設・事業所利用調整申込書」(以下「申込書」という。)を〇〇区保健福祉センター所長(以下「処分庁」という。)へ提出した。処分庁は同所で審査請求人の子どもの面接を行い、申込書を受理した。
2 処分庁は、大阪市子どものための教育・保育給付認定に関する事務取扱要綱に基づき支給認定の決定を行った後、審査請求人の保育希望施設の所在地が神戸市〇〇区であることから、利用調整の実施機関である〇〇区に対して平成28年10月20日〇〇第〇〇号により、児童福祉法第24条第1項による保育実施の委託依頼を行った。
3 平成29年2月1日、委託先である〇〇区より〇〇第〇〇号の入所保留とする調整結果通知を受理し、その調整結果に基づき、処分庁として平成29年2月1日に審査請求人の児童について保育所入所保留処分とする決定を行った。
4 平成29年2月8日、審査請求人宅へ「保育施設・事業利用調整結果通知書兼保育所入所保留通知書」を送付した。
5 平成29年2月24日、審査請求人は、入所保留決定(以下「本件処分」という。)について不服であるとし、審査請求書を提出した。

第3  審理員意見書の要旨
 本件審査請求についての審理員意見書の要旨は次のとおりである。
1  審査請求人の主張
(1) いかなる審査基準によって入所決定・保留の審査をしているのか明らかでない(行政手続法第5条違反)。
(2) 審査請求人の子どもについていかなる具体的理由で入所保留となったのか明らかでない(行政手続法第8条違反)。入所保留に係る通知書には、抽象的な理由の記載しかない。
(3) 審査請求人の子どもは保育を必要とする事由に該当しているにもかかわらず、入所保留とすることは、大阪市が児童福祉法第24条第1項の責任を果たしておらず、同項に違反する。違反でないというのであれば、保育の必要な子どもについて、保育所において保育をしなければならないという実施義務を果たさなくてもよい理由を、法令上の根拠や判例等を示して具体的に説明すべきである。
(4) 神戸市〇〇区が行った利用調整により、審査請求人の子どもは保育を受ける権利を侵害され、入所決定された子どもとの間で差別的扱いを受けており、不平等が生じている。また審査請求人らも保育所を利用する権利を侵害され、就労が困難になるなどして困窮する(憲法第14条第1項、第25条及び児童福祉法第24条第1項違反)。仮に、憲法第14条第1項違反でないというのであれば、審査請求人の子どもと入所決定された子どもとの間で、差別的扱いをすることが許される理由を具体的に説明すべきである。
2 処分庁の主張
 審査請求人の希望保育施設の利用調整については、保育施設の所在地市町村である〇〇区において神戸市の利用調整基準に基づき調整が行われているうえ、神戸市〇〇区より送付を受けた〇〇第〇〇号の入所保留とする調整結果通知の内容は明記されておらず、調整の内容等について処分庁は回答できないと主張している。また、審査請求人は大阪市所在の保育施設等を希望していないため、希望保育施設の所在区である神戸市〇〇区に対して児童福祉法第24条第1項による保育実施の委託依頼により、適正な事務手続きを行ったと主張している。
3  審理員意見書の結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきである。
4  審理員意見書の理由
(1) 本件処分に係る法令等の規定について
ア 保育認定を受けた子どもが居住する市町村と異なる市町村に所在する保育施設又は事業所の利用を希望する場合については、府政共生第98号「児童福祉法に基づく保育所等の利用調整の取扱いについて(通知)」第3項(4)において「所在地市町村において、他市町村に居住する住民の利用に関する優先度の取扱いに基づき、調整を行った上で、居住地市町村が利用のあっせんを行うこととなる。その際に、所在地市町村においては、当該保護者の保育の必要度を踏まえつつ、各市町村間における住民の広域利用の実態、地域における待機児童の発生状況や保育所等の利用定員の状況等を勘案し、調整を行うこと」と規定されている。
イ 審査請求人の希望保育施設の所在地市町村である神戸市においては「子どものための教育・保育給付に係る支給認定等事務要綱」第17条1項において「福祉事務所長は、第13条の保育利用の申込及び所管する区域に所在する保育所等への利用について他の市町村長から受けた調整の依頼に対して、第15条及び第16条の審査及び調査に基づき、利用調整を行う」と規定している。
(2) 本件処分が法令等に違反している否かについて
ア 審査請求人は、大阪市所在の保育施設を希望していないため、処分庁は府政共生第98号「児童福祉法に基づく保育所等の利用調整の取扱いについて(通知)」第3項(4)に基づき神戸市〇〇区へ委託依頼をしており、処分庁が児童福祉法第24条第1項に違反している点は認められない。
イ 審査請求人の希望保育施設の利用調整については、所在市町村である神戸市〇〇区が行っており、調整の内容について処分庁は回答することができないため、違法または不当な点は存在しない。
ウ 上記以外についても、本件処分に違法又は不当な点は認められない。

第4  調査審議の経過
当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
平成29年7月31日 諮問書の受理
平成29年9月5日 調査審議(審査庁の口頭説明)
平成29年10月4日 調査審議
平成29年10月24日 調査審議(審査庁の口頭説明、処分庁の陳述)

第5 審査会の判断
 事件記録によると、審査請求人が市外転出により平成29年3月22日付けで処分庁に対して本件処分に係る申請の取下げを行っていることが確認できるため、既に本件処分の効果は消滅していることが認められる。
 また、この点を踏まえ、当審査会が、平成29年9月8日付けで審査請求人に本件審査請求の継続意思を確認したことに対して、審査請求人より回答はなく、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益が審査請求人に存すると認められる特段の事情を審理員意見書、事件記録及びその他の諮問書の添付書類から見出すこともできない。
 よって、審査請求人は本件処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有しないと認められることから、本件審査請求は不適法であるため、当審査会は、第1記載のとおり判断する。
 なお、本件のように大阪市以外の市町村に存在する保育所の利用を希望する者に係る入所保留処分については、大阪市に存在する保育所の利用を希望する者の場合と同様の手続的な保障を図る観点から、審理手続等において、利用調整を行った当該市町村にその判断の理由を問い合わせて確認し、その結果を弁明書に反映するなどの改善を検討されたい。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会総務第1部会
 委員(部会長) 田中宏、委員 内山由紀、委員 片桐直人

答申書(平成29年度答申第10号)

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

SNSリンクは別ウィンドウで開きます

  • Facebookでシェア
  • Xでポストする
  • LINEで送る

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市総務局行政部行政課法務グループ
住所: 〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所4階)
電話: 06-6208-7443 ファックス: 06-6229-1260

メール送信フォーム

このページへの別ルート

表示