ページの先頭です

平成28年9月27日付け裁決

2023年2月17日

ページ番号:420184

裁決書

審査請求人  〇〇〇〇
処分庁  大阪市長      

 審査請求人が平成28年4月19日付けで提起した処分庁による平成28年度固定資産税及び都市計画税賦課決定処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(平成28年度財第1号)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 審査請求人は、大阪市〇区(略)所在の土地(以下「本件土地」という。)を相続により取得し、平成27年2月〇日付けで所有権移転登記を行いました。
2 処分庁は、平成28年度分の固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の賦課期日である平成28年1月1日において、登記簿に所有者として登記されている審査請求人に対して、平成28年4月1日、本件処分を行い、同日付で審査請求人あて通知しました。
3 審査請求人は、平成28年4月19日、大阪市長に対し、平成28年度分の固定資産税等の税額を不服として審査請求を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
 審査請求人は、次のとおり平成28年度分の固定資産税等の税額の減額を求める旨主張しています。
(1) 本件土地について正面路線価が高いうえ、画地調整あるも規模補正の適用がないため評価額が高すぎる。
(2) 家が建てられないし、駐車場としても活用できず、利用法が皆無である土地にもかかわらず高額であるため再検討を求める。
2 処分庁の主張
(1) 土地の評価額が高すぎる旨の主張については、地方税法(以下「法」という。)第432条第3項の規定により、本件審査請求に係る弁明事項ではない。
(2) 税額が高すぎる旨の主張について、次のとおり処分は適正である。
ア 審査請求人が主張するような道路用地として売却した残地であって、家が建てられず、駐車場としても活用できない土地であっても固定資産税の課税客体となる。
イ 平成28年度における税負担の調整措置の適用にあたっては、本件土地は未利用の土地であるため、住宅用地以外の宅地、すなわち「商業地等」として認定している。
ウ 審査請求人が主張する家が建てられず駐車場としても活用できないといったことに関する課税標準の特例措置は、法の定めにはない。
エ 本件土地の固定資産税等の税額の算定については、平成28年度の価格から課税標準額を求め、法に基づき適正に行っている。

理由
1 本件に係る法令等の規定について
(1) 固定資産税等の賦課期日について
 固定資産税等の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とされています(法第359条及び第702条の6)。
(2) 固定資産税等の課税客体について
 固定資産税は、固定資産に対し課するものであり(法第342条第1項)、固定資産とは土地、家屋及び償却資産を総称するとされています(法第341条第1号)。また、土地とは、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地をいうとされています(同条第2号)。
 また、都市計画税は、都市計画法第7条第1項に規定する市街化区域内に所在する土地及び家屋に対し課することができるものとされており(法第702条第1項)、大阪市市税条例(以下「条例」という。)第135条第1項において、市街化区域内に所在する土地及び家屋について、その所有者に対し都市計画税を課することとしています。
(3) 固定資産税等の納税義務者について
 固定資産税は、固定資産の所有者に課するとされ(法第343条第1項)、その所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいうとされています(同条第2項)。
 また、都市計画税を課することができる所有者とは、当該土地又は家屋に係る固定資産税について法第343条において所有者とされる者をいうとされています(法第702条第2項)。
(4) 固定資産税等の非課税について
 市町村は、一定の所有者に対しては固定資産税を課することができず(法第348条第1項)、また、一定の固定資産に対しては固定資産税を課することができないこととされています(同条第2項から第9項及び附則第14条)。
 また、都市計画税についても、一定の所有者に対して課することができない(法第702条の2第1項)ほか、一定の固定資産に対しては課することができないこととされています(法第702条の2第2項及び附則第14条)。
(5) 固定資産税等の課税標準の特例について
 一定の固定資産(土地又は家屋)に対して課する固定資産税等の課税標準については、特例措置が設けられています(法第349条の3、第702条第2項及び附則第15条)。
 なお、専ら人の居住の用に供する家屋等の敷地の用に供されている土地のうち一定のもの(以下「住宅用地」という。)に対して課する固定資産税等の課税標準についても特例措置が設けられています(法第349条の3の2及び第702条の3)。
(6) 固定資産税等の減額について
 一定の固定資産(土地又は家屋)に対して課する固定資産税等については、その税額を減額すべき措置が設けられています(法附則第15条の6から第15条の10及び第29条の2)。
(7) 固定資産税等の減免について
 市町村長は、一定の場合において条例の定めるところにより、固定資産税を減免することができることとされており(法第367条)、大阪市においては、条例第71条及び大阪市市税条例施行規則(以下「規則」という。)第4条の3の規定により、申請に基づいて固定資産税を減免することとしています。
 また、法第702条の8第1項前段の規定により都市計画税を固定資産税とあわせて賦課徴収する場合において、市町村長が法第367条の規定によって固定資産税を減免したときは、都市計画税についても減免されたものとすることとされており(法第702条の8第7項)、大阪市においては、条例第141条の規定により、都市計画税を固定資産税とあわせて賦課徴収することとしています。
(8) 固定資産税等に係る税負担の調整措置について
 宅地等(農地以外の土地をいう(法附則第17条第2号)。)に対して課する平成27年度から平成29年度までの各年度分の固定資産税等については、当該宅地等に係る当該年度分の固定資産税等に係る前年度分の固定資産税等の課税標準額を当該宅地等に係る当該年度分の固定資産税等の課税標準となるべき価格(住宅用地に対する課税標準の特例措置が適用される場合には、当該特例率を乗じて得た額。)で除して得た数値(法附則第17条第8号。以下「負担水準」という。)に応じて当該宅地等に係る当該年度分の固定資産税等の課税標準額が決定される措置(以下「負担調整措置」という。)が設けられています(法附則第18条及び第25条)。
2 評価額が高すぎる旨の主張について
 法第432条第3項は、固定資産税の賦課についての審査請求においては、同条第1項の規定により審査を申し出ることができる事項、すなわち、固定資産課税台帳に登録された価格についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができないと規定しています。
 本件土地の評価額が高すぎるとの審査請求人の主張は、固定資産課税台帳に登録された価格についての不服であると解されますので、このことを理由に審査請求を行うことはできません。
3 本件土地に対して課する固定資産税等の適法性について
(1) 法第341条第1号及び第2号並びに第342条第1項の規定により、本件土地は「土地」すなわち「固定資産」に該当するため、固定資産税の課税客体となります。
 また、本件土地は市街化区域内に存しているため、都市計画税の課税客体ともなります。
(2) 平成28年度の賦課期日において、審査請求人は本件土地に係る登記簿に所有者として登記されている者であるため、平成28年度分の固定資産税等の納税義務者となります。
(3) 平成28年度の賦課期日の利用状況等からは、本件土地について非課税とすべき理由はなく、また、本件土地に対して適用すべき課税標準の特例措置及び固定資産税等の減額措置はありません。また、条例及び規則においては、審査請求人が主張する、家が建てられず駐車場としても活用できないことを理由として固定資産税を減免することができる旨の規定は存しません。
(4) 未利用の土地(住宅用地以外の土地)である本件土地は、法附則第17条第4号に規定する「商業地等」に該当するため、法附則第18条及び第25条に規定する負担調整措置のうち「商業地等」に関する規定が適用されます。
 本件土地に係る負担水準は固定資産税、都市計画税ともに70%(〇〇〇〇円(平成27年度課税標準額)÷〇〇〇〇円(平成28年度価格)×100(%))となるため、法附則第18条第4項及び第25条第4項の規定に基づき、前年度課税標準額である〇〇〇〇円が据え置かれることとなり、本件土地に係る固定資産税等の課税標準額は適正に算定が行われています。
(5) 以上より、本件土地に対して課する固定資産税等について違法性は見当たらず、減額する理由もないことから、税額が高額であるため再検討を求める審査請求人の主張は、採用することはできません。
4 結論
 以上のとおり、本件処分に違法な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

平成28年9月27日
大阪市長 吉村 洋文

裁決書(平成28年度答申第1号)

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

SNSリンクは別ウィンドウで開きます

  • Facebookでシェア
  • Xでポストする
  • LINEで送る

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

総務局 行政部 行政課 法務グループ
電話: 06-6208-7443 ファックス: 06-6229-1260
住所: 〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所4階)

メール送信フォーム

このページへの別ルート

表示