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平成29年8月17日付け裁決

2023年2月17日

ページ番号:420967

裁決書

審査請求人 ○○○○
処分庁 大阪市長

 審査請求人が平成29年3月6日付けでした、処分庁による平成○年○月○日及び平成○年○月○日付け公売公告処分(以下「本件各処分」という。)に係る審査請求(平成28年度財第18号。以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 処分庁は、別紙物件目録記載の不動産(以下「本件不動産」という。)のうち、平成○年○月○日付けで項番1から24までの不動産について、同年○月○日付けで項番25から31までの不動産について、それぞれ公売公告処分を行いました。
 なお、本件不動産に係る差押え等の概要は、次のとおりです。
(1) 項番1から31まで(項番18及び23を除く。)の不動産については、審査請求人の平成12年度から平成15年度までの固定資産税(償却資産)、平成13年度から平成16年度までの固定資産税・都市計画税(土地・家屋)及び平成19年度市民税・府民税(特別徴収)に係る徴収金を徴収するため、平成21年4月27日付けで処分庁が差し押さえたものです。
(2) 項番18及び23の不動産については、審査請求人の平成18年度から平成23年度までの固定資産税・都市計画税に係る徴収金を徴収するため、平成24年6月18日付けで○○○○市長が差し押さえたものです。
(3)  ○○○○市長は、審査請求人の平成18年度から平成28年度までの固定資産税・都市計画税に係る徴収金について、平成29年1月17日付けで処分庁にその徴収を嘱託しました。
2 審査請求人は、平成29年3月6日付けで大阪市長あて審査請求をしました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 本件不動産のうち項番27から31までの不動産については、分譲マンション用地の残地であり、面積も小さく分譲後も処理に困っている物件である。今まで売りにかけたり色々動いてみたが売れず、最終隣接の方々に贈与するしかないと思っていた。
(2) 本件不動産のうち項番1から26までの不動産については、多数が公共的に使用している物件で公売物件ではなく、公売することによって今後問題の発生が見込まれるため、今回公売の取消しを依頼した。
(3) 見積価格と書いてあるが、見積もる場合、上も下も調査したうえで評価するものであり、上のみ下のみの見積りは考えられない。
(4) 本件不動産は、担保提供よりも差し押さえてもらう方がよいという判断で○○○○区役所と相談し提供したものであり、物件が物件だけに公売はしないという約束で進めてきた。
2 処分庁の主張
(1) 本件不動産については、いずれも、現に審査請求人が所有する不動産が登記・現況ともに存在し、見積価値が積算でき、また、共有物件については分割禁止特約の登記がないことから、公売することによって発生する具体的な問題が不明である。
(2) 入札者は、公売公告を確認し本件不動産の公法上の規制、接道状況、使用状況、特記事項等を了知しているところであり、今後発生が見込まれる問題については、入札者が関係者と協議していくことである。
(3) 処分庁は、公売の日である平成○年○月○日及びインターネット公売の入札の開始日である同年○月○日のそれぞれ10日前までに公売公告の際に掲げるべき事項を公告するとともに当該公売公告を大阪市役所本庁舎1階玄関前掲示板の見やすい場所に掲示して行っており、本件各処分は適法になされている。
(4) 処分庁は、本件不動産のうち、項番1から24までの不動産については平成○年○月○日に、項番25及び27から29までの不動産については同月○日に、それぞれ最高価申込者の決定等の公告をした。

理由
1  本件各処分に係る法令の規定
(1)  滞納処分について
ア 市民税及び府民税
 市町村民税に係る滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき、又は市町村民税に係る滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る徴収金につき、滞納者の財産を差し押さえなければならず、市町村民税に係る徴収金の滞納処分については、国税徴収法(以下「徴収法」という。)に規定する滞納処分の例によることとされています(地方税法(以下「法」という。)第331条第1項及び第6項)。
 また、市町村は、個人の市町村民税に係る地方団体の徴収金について督促状を発し、滞納処分をし、及び交付要求をする場合においては、法に特別の規定がある場合を除く外、当該個人の道府県民税に係る地方団体の徴収金についてあわせて督促状を発し、滞納処分をし、及び交付要求するものとされています(法第334条)。
イ 固定資産税及び都市計画税
 固定資産税に係る滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までにその督促に係る固定資産税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき、又は固定資産税に係る滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに固定資産税に係る地方団体の徴収金を完納しないときは、市町村の徴税吏員は、当該固定資産税に係る徴収金につき、滞納者の財産を差し押さえなければならず、固定資産税に係る徴収金の滞納処分については、徴収法に規定する滞納処分の例によることとされています(法第373条第1項及び第7項)。
 また、都市計画税の賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、特別の事情がある場合を除くほか、固定資産税の賦課徴収とあわせて行うものとされています(法第702条第1項)。
(2)  公売について
 差押財産は、換価しなければならない(徴収法第89条第1項)。また、差押財産を換価するときはこれを公売に付さなければならず、公売は入札又はせり売りの方法により行わなければならないとされています(徴収法第94条)。
(3)  公売公告について
 差押財産を公売に付するときは、原則として、公売の日の少なくとも10日前までに、公売財産の名称、公売の方法、公売の日時及び場所、その他公売に関し重要と認められる事項について公告しなければならず、また、公告は、公売を実施する執行機関の掲示場その他当該執行機関の庁舎内の公衆の見やすい場所に掲示して行うとされています(徴収法第95条)。
2 本件各処分の適法性及び妥当性について
(1)  審査請求人は、審査請求書の「審査請求に係る処分の内容」欄に「平成○年○月○日差押処分」と記載するとともに、「審査請求の趣旨及び理由」欄に「平成○年度差押処分の取消しを求める」と記載し、一方で審査請求書の別紙において「上記5物件の公売通知書の公売取り消しの依頼」と記載しています。
 大阪市行政不服審査会(以下「審査会」という。)の答申書において、「審査請求人に照会したところ、平成29年7月4日付け主張書面において、本件審査請求の趣旨について本件各処分の取消しを求めるものである旨の回答を得た。」とされています 
 この点については、審査会に依頼し、提供を受けた当該主張書面(以下「主張書面」という。)により確認することができました。
 したがって、本件審査請求は、本件各処分に対する審査請求であると解し、本件各処分が適法であるかどうかについて、以下判断することとします。
(2) 本件各処分については、徴収法の規定に従って適正に行われていることが認められます。
(3) 審査請求人は、本件不動産の多数が公共的に利用していることから、公売を実施することによって今後問題の発生が見込まれる旨主張しています。
 しかしながら、差押財産は、徴収法の定めるところにより換価しなければならず、また、差し押さえられた不動産について換価を制限する規定もないことから、本件不動産に審査請求人が主張する事情があったとしても、本件各処分を取り消す理由とはなりません。
(4) 審査請求人は、本件不動産の見積価格について、上も下も調査したうえで評価するものであり、上のみ下のみの見積りは考えられない旨主張しています。
 しかしながら、公売財産の見積価格は、公売公告事項とされておらず(徴収法第95条第1項参照)、そもそも本件各処分の内容を構成しないことから、見積価格の算定方法を不服として、本件各処分の取消しを求めることはできません。
(5) 審査請求人は、本件不動産について公売はしないという約束で進めてきた旨主張しています。
 審査会の答申書において「審査請求人の説明によれば、約束があったか否かという点において事実関係が不明であり、さらに、当審査会が審査請求人及び処分庁の主張及び提出資料を仔細に検討しても、処分庁が本件各処分をしない旨の公的見解を表示していたとも認められない。」とされています。
 この点については、主張書面、陳述記録(審査会に依頼し、提供を受けた行政不服審査法(以下「行審法」という。)第81条第3項において準用する行審法第75条の規定による意見の陳述の記録をいう。)及び行審法第41条第3項に規定する事件記録を確認しても、答申書に記載されているとおり、処分庁が本件各処分をしない旨の公的見解を表示していたとは認められません。
(6) 以上の点から、本件各処分は適法に行われたものと認められます。
3 結論
 以上のとおり、本件処分に違法又は不当な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行審法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

平成29年8月17日
大阪市長 吉村 洋文

別紙物件目録 省略

裁決書(平成29年度答申第5号)

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