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平成29年11月27日付け裁決

2023年2月17日

ページ番号:421034

裁決書

審査請求人 ○○○○
処分庁 大阪市長

 審査請求人が平成29年4月28日付けでした、処分庁による平成29年度固定資産税及び都市計画税賦課決定処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(平成29年度財第7号。以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 処分庁は、別紙物件目録記載の土地及び家屋について、平成29年4月3日付けで、本件処分を行い、審査請求人あてに納税通知書を送付しました。
2 審査請求人は、平成29年4月28日、本件処分のうち別紙物件目録記載の土地(以下「本件各土地」という。)に係る部分に対する固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の賦課決定処分が重複した課税であるとして、大阪市長に対し、審査請求をしました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1)  重複課税について
ア 平成27年、筆界確認の際に、別紙物件目録に記載の1の土地(以下「本件土地C」という。)と大阪市○区(略)の土地は、その境界において、約○○○○平方メートル面積が重複していることが判明した。話合いの結果、重複面積を半分ずつすることによって重複を解消することにした。
イ 別紙物件目録に記載の2の土地(以下「本件土地A」という。)及び別紙物件目録に記載の3の土地(以下「本件土地B」という。)はその半分に該当するもので、もと本件土地Cに含まれていたもので、真正な登記名義の回復に基づき、本件土地Cの所有者である審査請求人が所有権を回復したものである。
ウ よって、元から所有する本件土地Cの課税と、本件土地A及び本件土地Bに新たに課税を受けることは重複した課税と考えられる。
(2) 登記原因と固定資産税等の賦課決定処分との関係について
 本件土地A及び本件土地Bについて、○○○○府税事務所に登記の原因・理由を説明することによって、真正なる所有名義の回復であることと新たな所有権の取得ではないことが認められ、不動産取得税は賦課されていない事情にある。
 このように登記原因に特別な理由が存在する場合、税を賦課することの是非を検討する際に、照合すべき条項が固定資産税法にあるか。仮にそのような条項がないものとすれば、税法として未成熟と考えられる。
2 処分庁の主張
(1) 本件各土地に係る登記手続の経緯について
ア 平成28年3月4日付けで大阪市○区(略)の土地は、○○○○平方メートルから○○○○平方メートルに地積更正がされ、同日付けで本件土地Aと同○○○○の土地に分筆され、それぞれの地積は○○○○平方メートルと○○○○平方メートルとされている。また、同○○○○の土地についても、同日付けで本件土地Bと同○○○○の土地に分筆され、それぞれの地積は○○○○平方メートルと○○○○平方メートルとされている。
イ 平成28年4月27日付けで、本件土地A及び本件土地Bについて、真正な登記名義の回復を原因として審査請求人を所有者とする所有権移転登記がされた。
(2)  重複課税について
 本件土地A及び本件土地Bについては、上記(1)のとおり分筆により新たに登記された土地であり、平成28年4月27日付け所有権移転登記によって、審査請求人が登記簿上の所有者として登記されており、本件土地Cについては、平成22年8月24日付け所有権移転登記によって、審査請求人が登記簿上の所有者として登記されており、地積に異動はない。
 以上のことから、重複課税である事実はなく、審査請求人に対して行った本件処分は適正である。
(3)  登記原因と固定資産税等の賦課決定処分との関係について
 固定資産税は、固定資産の所有者に課することとされ(地方税法(以下「法」という。)第343条第1項)、その所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいうとされている(同条第2項)。
 また、現在、法において、固定資産の所有権移転登記の原因を固定資産税の賦課決定処分の可否についての決定要因とする条項はない。

理由
1 本件処分に係る法令の規定
(1) 固定資産税等の賦課期日について
 固定資産税等の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とされています(法第359条及び第702条の6)。
(2) 固定資産税等の課税客体について
ア 固定資産税は、固定資産に対し課するものであり(法第342条第1項)、固定資産とは土地、家屋及び償却資産を総称するとされています(法第341条第1号)。また、土地とは、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地をいうとされています(同条第2号)。
イ 都市計画税は、市街化区域内に所在する土地及び家屋に対し課するとされています(法第702条第1項及び大阪市市税条例第155条第1項)。
(3)  固定資産税等の納税義務者について
ア 固定資産税は、固定資産の所有者に課するとされ(法第343条第1項)、その所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいうとされています(同条第2項)。
イ 前記(2)イのとおり、都市計画税は市街化区域内に所在する土地又は家屋の所有者に課するとされ、当該所有者とは、当該土地又は家屋に係る固定資産税について法第343条において所有者とされ、又は所有者とみなされる者をいうとされています(法第702条第2項及び大阪市市税条例第155条第2項)。
(4)  土地課税台帳の登録事項について
 土地課税台帳には、登記簿に登記されている土地について不動産登記法第34条第1項各号に掲げる登記事項等を登録しなければならないとされています(法第381条第1項)。
(5)  地積の認定について
 土地の評価額を求める場合に用いる地積は、原則として、登記簿に登記されている土地については、登記簿に登記されている地積によるものとされています(固定資産評価基準第1章第1節二)。
2 本件処分の適法性及び妥当性について
(1)  本件各土地の重複課税について
ア 審査請求人は、本件土地A及び本件土地Bは、もと本件土地Cに含まれており、真正な登記名義の回復に基づき、本件土地Cの所有者である審査請求人が所有権を回復したものであることから、元から所有する本件土地Cの課税と、本件土地A及び本件土地Bの新たな課税は重複した課税であると主張しています。
イ 前記1(3)のとおり、土地に係る固定資産税等は、当該土地の所有者に課し、その所有者とは登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいうとされています。
 この点、本件土地A及び本件土地Bについては、平成28年4月27日付け所有権移転登記によって、審査請求人が登記簿上の所有者として登記されていることが認められます。また、本件土地Cについても、平成22年8月24日付け所有権移転登記によって、審査請求人が登記簿上の所有者として登記されていることが認められます。
 したがって、審査請求人は、賦課期日(平成29年1月1日)現在における、本件各土地の所有者であることが認められます。
ウ また、登記簿上、本件土地A及び本件土地Bが、本件土地Cから分筆された事実はなく、本件土地Cが本件土地A及び本件土地Bのそれぞれ一部であった事実を認めることはできません。
エ そして、土地の評価額を求める場合に用いる地積は、前記1(5)のとおり、原則として、登記簿に登記されている土地については、登記簿に登記されている地積によるものとされています。
 この点、本件各土地については、それぞれ登記簿に登記されている地積をもって課税地積とされていることが認められます。
オ したがって、本件各土地に対する賦課決定処分は、登記簿上重複していない土地を課税客体として、それぞれ適正に行われていると認められるため、重複課税であるとの審査請求人の主張には、理由がありません。
(2) 登記原因と固定資産税等の賦課決定処分との関係について
 審査請求人は、本件土地A及び本件土地Bについて、真正な登記名義の回復であることと新たな所有権の取得ではないことが○○○○府税事務所に認められ、不動産取得税は賦課されていない事情にあることから、固定資産税等の課税に当たり、このように登記原因に特別な理由が存在することを考慮すべきである旨主張しています。
 しかしながら、法において、登記原因が固定資産税等の賦課決定処分の可否に影響を及ぼすことを規定する条項はなく、また、登記原因を考慮しないことが不当であるということもできません。
 したがって、固定資産税等の課税に当たり登記原因を考慮すべきとする審査請求人の主張には、理由がありません。
(3) 以上の点から、本件処分は適法に行われたものと認められます。
3 結論
 以上のとおり、本件処分に違法又は不当な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

平成29年11月27日
大阪市長 吉村 洋文

別紙物件目録 省略

裁決書(平成29年度答申第9号)

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