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答申書(平成29年度答申第11号)

2023年2月17日

ページ番号:421095

諮問番号:平成29年度諮問第13号
答申番号:平成29年度答申第11号

答申書

第1 審査会の結論
 本件審査請求は棄却されるべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)は、平成28年12月20日の年末現況調査の際、別紙物件目録4及び9記載の土地上に物置(以下「本件物置」という。)が設置されていることを確認した。
2 処分庁は、平成28年12月22日、審査請求人から本件物置が審査請求人の所有である旨を聴取した上で、審査請求人立会いのもと実地調査(以下「本件調査」という。)を行い、本件物置が固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の課税客体であることを確認し、同日付けで別紙物件目録11記載のとおり倉庫として家屋補充課税台帳に登録した。
3 処分庁は、審査請求人に対して、別紙物件目録記載の土地及び家屋について、平成29年度固定資産税等賦課決定処分(以下「本件処分」という。)を行い、平成29年4月3日付けで審査請求人あて通知した。
4 審査請求人は、平成29年6月15日、大阪市長に対し、本件処分のうち本件物置に係る固定資産税等の賦課決定の取消しを求めて審査請求をした。

第3 審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 家屋の新築に伴い、○○○の物置を設置したが、基礎を作っているという理由だけで課税するのは納得できない。
(2) 地震や台風に耐えるよう造っており、農業倉庫として使用。農業資材等を収納しており、人は住んでおらず、今後も住むつもりがない。畑にあるような倉庫である。
(3) 近辺の農地に建っている農業小屋と何ら変わりがなく、生産緑地指定に建っている小屋は非課税で、市街化区域の宅地に隣接しているだけで課税対象になるのは納得がいかない。はっきりした線引きを提示してほしい。
(4) 本件物置は、保存登記をしておらず単なる小屋程度のものであり登記簿上にない建物に課税するのは断じて受け入れられない。
2 処分庁の主張
(1) 家屋とは住家だけでなく、店舗、工場、倉庫等をいうものであり、用途が、農業資材等を収納する倉庫であっても固定資産税等の課税対象に当たる。
(2) 本件物置は、屋根及び周壁を有し風雨をしのぐことができる建物であり「外気分断性」が認められ、コンクリートブロックの基礎が施工されており「土地への定着性」が認められ、農業資材等の収納としての目的を有し、その用途に供しうる一定の利用空間が形成されていることから「用途性」が認められる。
(3) 固定資産税等の課税客体であるかを判断するにあたって、その家屋が都市計画上のいかなる地域にあるかは考慮しない。したがって、当該家屋が生産緑地地区の指定を受けた地域に建っているとか、市街化区域の宅地に隣接しているといった事由については、課税客体か否かの判断に何ら影響を及ぼすものではない。
(4) 固定資産税の非課税措置については、地方税法(以下「法」という。)に規定されている事由に限って適用されるものであり、法には生産緑地地区の指定を受けた地域に建築された家屋を非課税とする規定はない。
(5) 登記簿に登記されている家屋以外の家屋については、家屋補充課税台帳に登録し、課税することとされており、法における家屋に必要とされる要件を満たしていれば、登記簿に登記されている家屋であるか否かを問わず、等しく固定資産税等の課税客体であるとされている。したがって、建物の表題登記の有無は、課税客体であるか否かの判断に何ら影響を及ぼすものではない。
 (6)  以上の点から、本件処分は適正である。

第4 審理員意見書の要旨
1 結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断する。
2 理由
(1)  本件処分の適法性について
ア 固定資産税等の課税客体としての家屋とは、登記簿に登記されるべき建物をいうと解されるところ、ここでいう建物の意義は、「屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるもの」とされている。
イ 「屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し」という要件については、処分庁から提出のあった本件物置の写真(以下「本件写真」という。)から要件に該当することが認められる。
ウ 「土地に定着した建造物であって」という要件については、本件写真や、「基礎を作っているという理由だけで」という審査請求人の主張からも、本件物置に基礎が施工されていることが認められ、要件に該当する。
エ 「その目的とする用途に供し得る状態にあるもの」という要件については、「農業倉庫として使用」という審査請求人の主張からも、その目的とする用途(倉庫)に供されていることが認められ、要件に該当する。
オ したがって、処分庁が本件物置を固定資産税等の課税客体として認定したことは適正で、「基礎を作っているという理由だけで課税するのは納得出来ない」という審査請求人の主張は採用することができない。
カ 「人が住んでいる」か否か、「生産緑地(指定)に建っている」か否か、あるいは「市街化区域の宅地に隣接している」か否かは、課税客体としての家屋の認定に影響を及ぼすものではない。
キ 固定資産税逐条解説によると、課税客体としての家屋の認定については、不動産登記簿に登記が行われていなければ固定資産の課税客体たる家屋ではないということではなく、たとえ保存登記がまだ行われていない場合であっても、家屋と認定し得る状態に達しているものについては、当然に固定資産税の課税客体と認定して差し支えない、と解されている。
ク 以上により、本件物置を課税客体として固定資産税等を課する本件処分は適正になされている。
3 上記以外の違法性又は不当性についての検討
 他に本件処分に違法又は不当な点は認められない。

第5 調査審議の経過
 当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
平成29年10月30日 諮問書の受理
平成29年11月10日 審議
平成29年11月30日 審議

第6 審査会の判断
1 関係法令の定め
(1)  固定資産税等の課税客体について
ア 固定資産税は、固定資産に対し課するものであり(法第342条第1項)、固定資産とは土地、家屋及び償却資産を総称する(法第341条第1号)。また、家屋とは、住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む。)、倉庫その他の建物をいう(同条第3号)。
イ 都市計画税は、市街化区域内に所在する土地及び家屋に対し課する(法第702条第1項)。 
(2)  不動産登記法における建物について
 建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない(不動産登記規則第111条)。
(3)  家屋補充課税台帳について
 家屋補充課税台帳は、登記簿に登記されている家屋以外の家屋で法の規定によって固定資産税を課することができるものについて法第381条第4項に規定する事項を登録した帳簿をいう(法第341条第13号)。
(4)  固定資産税等の納税義務者について
ア 固定資産税は、固定資産の所有者に課し(法第343条第1項)、その所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいう(同条第2項)。
イ 都市計画税を課することができる所有者とは、土地又は家屋に係る固定資産税について法第343条において所有者とされ、又は所有者とみなされる者をいう(法第702条第2項)。
(5) 固定資産税等の賦課期日について
 固定資産税等の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とされ(法第359条及び第702条の6)、固定資産税等は、賦課期日に所在する土地又は家屋に対して課する(法第349条及び第702条)。
2 争点
(1)  本件物置は、法第341条第3号の家屋に該当するか(争点1)
(2) 未登記家屋に対する固定資産税等の賦課決定処分の可否(争点2)
3 争点1について
(1) 審査請求人は、○○○の物置を設置したが、基礎を作っているという理由だけで課税するのは納得できない旨、また、農業倉庫として使用しており、人は住んでおらず、今後も住むつもりがない旨主張するとともに、生産緑地指定に建っている小屋は非課税で、市街化区域の宅地に隣接しているだけで課税対象になるのは納得がいかないと主張する。
(2) 固定資産税等の課税客体としての家屋とは、登記簿に登記されるべき建物をいうと解されているところ(地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)(平成22年4月1日総税市第16号総務大臣通知)第3章第1節第1、2参照)、ここでいう建物とは、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものとされており(不動産登記規則第111条)、人が住んでいるか否か、及び当該家屋がいかなる地域に建っているかを問わない。
(3) 本件物置については、本件写真から、屋根及び周壁を有するものであることが認められる。また、本件調査の結果及び「基礎を作っている」という審査請求人の主張から、土地に定着した建造物であることが認められる。さらに、本件写真及び「農業倉庫として使用」という審査請求人の主張から、倉庫の用に供し得る状態の建造物であることも明らかである。
(4) したがって、本件物置は、法第341条第3号の家屋に該当する。
4 争点2について
 審査請求人は、本件物置は保存登記をしておらず単なる小屋程度のものであり、登記簿上にない建物に課税するのは断じて受け入れられないと主張する。
 しかしながら、法は、登記簿に登記されている家屋以外の家屋についても、家屋補充課税台帳に登録し、課税することとしているから(法第343条第1項及び第2項)、審査請求人の上記主張には、理由がない。
5 審査請求に係る審理手続について
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
6 結論
 よって、本件審査請求に理由がないものと認められるので、当審査会は、第1記載のとおり答申する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会税務第2部会
 委員(部会長)岸本佳浩、委員 鹿田良美、委員 瀬川昇

別紙物件目録 省略

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