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平成29年12月14日付け裁決

2023年2月17日

ページ番号:424786

裁決書

審査請求人 ○○○○
処分庁 大阪市長

 審査請求人が平成29年6月15日付けでした、処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による平成29年4月3日付け平成29年度固定資産税及び都市計画税賦課決定処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(平成29年度財第12号。以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 処分庁は、平成○年○月○日の年末現況調査の際、別紙物件目録4及び9記載の土地上に物置(以下「本件物置」という。)が設置されていることを確認しました。
2 処分庁は、平成○年○月○日、審査請求人から本件物置が審査請求人の所有である旨を聴取した上で、審査請求人立会いのもと実地調査(以下「本件調査」という。)を行い、本件物置が固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)の課税客体であることを確認し、別紙物件目録11記載のとおり倉庫として家屋補充課税台帳に登録しました。
3 処分庁は、審査請求人に対して、別紙物件目録記載の土地及び家屋について、本件処分を行い、平成29年4月3日付けで審査請求人あて通知しました。
4 審査請求人は、平成29年6月15日、大阪市長に対し、本件処分のうち本件物置に係る固定資産税等の賦課決定の取消しを求めて審査請求をしました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 家屋の新築に伴い、○○○○の物置を設置したが、基礎を作っているという理由だけで課税するのは納得できない。
(2) 地震や台風に耐えるよう造っており、農業倉庫として使用。農業資材等を収納しており、人は住んでおらず、今後も住むつもりがない。畑にあるような倉庫である。
(3) 近辺の農地に建っている農業小屋と何ら変わりがなく、生産緑地指定に建っている小屋は非課税で、市街化区域の宅地に隣接しているだけで課税対象になるのは納得がいかない。はっきりした線引きを提示してほしい。
(4) 本件物置は、保存登記をしておらず単なる小屋程度のものであり登記簿上ない建物に課税するのは断じて受け入れられない。
2 処分庁の主張
(1) 家屋とは住家だけでなく、店舗、工場、倉庫等をいうものであり、用途が、農業資材等を収納する倉庫であっても固定資産税等の課税対象に当たる。
(2) 本件物置は、屋根及び周壁を有し風雨をしのぐことができる建物であり「外気分断性」が認められ、コンクリートブロックの基礎が施工されており「土地への定着性」が認められ、農業資材等の収納としての目的を有し、その用途に供しうる一定の利用空間が形成されていることから「用途性」が認められる。
(3) 固定資産税等の課税客体であるかを判断するにあたって、その家屋が都市計画上のいかなる地域にあるかは考慮しない。したがって、当該家屋が生産緑地地区の指定を受けた地域に建っているとか、市街化区域の宅地に隣接しているといった事由については、課税客体か否かの判断に何ら影響を及ぼすものではない。なお、固定資産税の非課税措置については、地方税法(以下「法」という。)に規定されている事由に限って適用されるものであり、法には生産緑地地区の指定を受けた地域に建築された家屋を非課税とする規定はない。
(4) 登記簿に登記されている家屋以外の家屋については、家屋補充課税台帳に登録し、課税することとされており、法における家屋に必要とされる要件を満たしていれば、登記簿に登記されている家屋であるか否かを問わず、等しく固定資産税等の課税客体であるとされている。したがって、建物の表題登記の有無は、課税客体であるか否かの判断に何ら影響を及ぼすものではない。
(5) 以上の点から、本件処分は適正である。

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1) 固定資産税等の課税客体について
ア 固定資産税は、固定資産に対し課するものであり(法第342条第1項)、固定資産とは土地、家屋及び償却資産を総称するとされています(法第341条第1号)。また、家屋とは、住家、店舗、工場(発電所及び変電所を含む。)、倉庫その他の建物をいうとされています(同条第3号)。
イ 都市計画税は、市街化区域内に所在する土地及び家屋に対し課するとされています(法第702条第1項及び大阪市市税条例(以下「条例」という。)第155条第1項)。 
(2) 不動産登記法における建物について
 建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならないとされています(不動産登記規則第111条)。
(3) 家屋補充課税台帳について
 家屋補充課税台帳は、登記簿に登記されている家屋以外の家屋で法の規定によって固定資産税を課することができるものについて法第381条第4項に規定する事項を登録した帳簿をいうとされています(法第341条第13号)。
(4) 固定資産税等の納税義務者について
ア 固定資産税は、固定資産の所有者に課し(法第343条第1項)、その所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいうとされています(同条第2項)。
イ 都市計画税は市街化区域内に所在する土地又は家屋の所有者に課するとされ(法第702条第1項及び条例第155条第1項)、当該所有者とは、当該土地又は家屋に係る固定資産税について法第343条及び条例第73条において所有者とされ、又は所有者とみなされる者をいうとされています(法第702条第2項及び条例第155条第2項)。
(5) 固定資産税等の賦課期日について
 固定資産税等の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とされています(法第359条及び第702条の6)。
2 本件処分の適法性及び妥当性について
(1) 本件物置は法第341条第3号の家屋に該当するかについて
ア 審査請求人は、○○○○の物置を設置したが、基礎を作っているという理由だけで課税するのは納得できない旨、また、農業倉庫として使用しており、人は住んでおらず、今後も住むつもりがない旨主張するとともに、生産緑地指定に建っている小屋は非課税で、市街化区域の宅地に隣接しているだけで課税対象になるのは納得がいかないと主張しています。
イ 固定資産税等の課税客体としての家屋とは、登記簿に登記されるべき建物をいうと解されているところ(地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)(平成22年4月1日総税市第16号総務大臣通知)第3章第1節第1、2)、ここでいう建物とは、前記1(2)のとおり、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものとされており、人が住んでいるか否か、及び当該家屋がいかなる地域に建っているかを問わないものです。
ウ 本件物置については、処分庁が、本件審査請求の審理手続を担当した審理員あて提出した本件物置に係る写真(以下「本件写真」という。)から、屋根及び周壁を有するものであることが認められます。また、本件調査の結果及び「基礎を作っている」という審査請求人の主張から、土地に定着した建造物であることが認められます。さらに、本件写真及び「農業倉庫として使用」という審査請求人の主張から、倉庫の用に供し得る状態の建造物であることも明らかです。
エ したがって、本件物置は、法第341条第3号の家屋に該当します。
(2) 未登記家屋に対する固定資産税等の賦課決定処分の可否について
 審査請求人は、本件物置は保存登記をしておらず単なる小屋程度のものであり、登記簿上ない建物に課税するのは断じて受け入れられないと主張しています。
 しかしながら、法は、登記簿に登記されている家屋以外の家屋についても、家屋補充課税台帳に登録し、課税することとしており(法第343条第1項及び第2項)、審査請求人の上記主張には、理由がありません。
 したがって、本件物置を課税客体として固定資産税等を課する本件処分は適正になされています。
3 結論
 以上のとおり、本件処分に違法又は不当な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

平成29年12月14日
大阪市長 吉村 洋文

別紙物件目録 省略

裁決書(平成29年度答申第11号)

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