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平成30年1月10日付け裁決

2023年2月17日

ページ番号:428294

裁決書

審査請求人 ○○○○
処分庁 大阪市長

 審査請求人が平成29年4月20日付けでした、処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による平成29年度固定資産税及び都市計画税賦課決定処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(平成29年度財第5号。以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 処分庁は、審査請求人に対して、別紙物件目録記載の土地及び家屋について本件処分を行い、平成29年4月3日付けで、審査請求人あて通知しました。
2 審査請求人は、平成29年4月20日、大阪市長に対し、本件処分に係る税額(以下「本件税額」という。)の減額を求めて、審査請求をしました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 評価に対して申立てができないことに不服がある。
(2) 本件税額が高すぎる。
(3) 審査請求人所有の○○○○区○○○○所在の家屋(以下「○○○○所在の家屋」という。)と比較して、別紙物件目録記載の家屋(以下「本件家屋」という。)の評価が高い。
(4) 家屋の評価を再建築価格方式としているのであれば、それにのっとり、比較的容易に、審査請求人が納得できるよう説明していただきたい。減価については、家屋の建築年、用途、構造が似通っている○○○○所在の家屋と比較した説明を納得できるようにしていただきたい。
2 処分庁の主張
(1) 評価に対して申立てができないことについて
 固定資産課税台帳に登録された価格(以下「台帳登録価格」という。)に対する不服の申立てについては、地方税法(以下「法」という。)第432条第1項において、納税通知書の交付を受けた日の翌日から起算して3月以内にのみ審査の申出をすることができるとされている。
 ただし、第二年度又は第三年度においては、法第349条第2項、第3項又は第5項の規定によって基準年度又は第二年度の価格が据え置かれた価格については、審査の申出をすることができないと規定されている。
 また、固定資産税の賦課についての審査請求に関しては、法第432条第3項において、同条第1項の規定により審査を申し出ることができる事項(台帳登録価格)についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができないと規定されている。
(2) 本件税額が高すぎることについて
 別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)又は本件家屋に係る平成29年度の価格については、第三年度(据置年度)に当たり、地目の変換等又は家屋の増改築等がなかったため、平成27年度(基準年度)の価格を据え置いている。
 本件土地については、平成29年度における税負担の調整措置の適用に当たっては、事務所ビルの敷地であるため、住宅用地以外の宅地、すなわち「商業地等」として認定しており、固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)について、前年度課税標準額○○○○円、当年度価格○○○○円であることから、負担水準(前年度課税標準額を当該年度分の固定資産税又は都市計画税の課税標準となるべき価格で除して得た数値をいう(法附則第17条第8号)。以下同じ。)が○○. ○○パーセントであるため、平成28年度の課税標準額を据え置いている。
 本件家屋については、平成27年度の価格を据え置いた平成29年度の価格を課税標準としている。
 以上のことから、本件土地及び本件家屋の固定資産税等の税額の算定については、平成29年度の価格から課税標準額を求め、法に基づき適正に行っている。
(3) 家屋の評価の基準について
 固定資産の価格は、法第388条第1項に基づき総務大臣が告示する固定資産評価基準(以下「評価基準」という。)によって決定しなければならないこととされている(法第403条第1項)。
 さらに、大阪市においては、評価基準に基づき評価を適正に実施するため、その具体的な細部の取扱方法を、固定資産評価実施要領(以下「実施要領」という。)として定めている。
 したがって、大阪市における固定資産の価格は、評価基準及び実施要領(以下「評価基準等」という。)によって決定されている。
(4) 本件家屋の評価が○○○○所在の家屋と比較して倍近く高い根拠について
 評価基準等において、家屋の評価は、再建築費(価格)を基準として評価する方法、いわゆる再建築価格方式が採用されている。再建築価格方式においては、使用資材、建築設備等及びそれらの使用量等により家屋の建築費を個別に算出することとなる。また、時の経過によって生ずる損耗の状況による減価は、家屋の建築年、用途、構造により異なるため、床面積や構造等が類似する家屋であっても、一概に比較することは適当ではない。

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1) 固定資産税等の課税標準について
ア 土地又は家屋に対して課する固定資産税の課税標準は、土地課税台帳若しくは土地補充課税台帳(以下「土地課税台帳等」という。)又は家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳(以下「家屋課税台帳等」という。)に登録された価格とされています(法第349条)。
イ 都市計画税の課税標準は、当該土地又は家屋に係る固定資産税の課税標準となるべき価格をいうとされています(法第702条)。
(2) 区分所有に係る家屋に対して課する固定資産税について
 区分所有に係る家屋(以下「区分所有家屋」という。)に対して課する固定資産税については、当該区分所有家屋の専有部分に係る区分所有者は、法第10条の2第1項の規定にかかわらず、原則として、当該区分所有家屋に係る固定資産税額を専有部分の床面積の割合により按分した額を、当該各区分所有者の当該区分所有家屋に係る固定資産税として納付する義務を負うとされています(法第352条第1項)。
(3) 区分所有家屋の敷地の用に供されている土地に対して課する固定資産税について
 区分所有家屋の敷地の用に供されている土地(以下「共用土地」という。)で、当該共用土地に係る区分所有家屋の区分所有者全員により共有されているものであり、かつ、当該共用土地に係る各共用土地納税義務者の当該共用土地に係る持分の割合が、その者の当該共用土地に係る区分所有家屋の区分所有者全員の共有に属する共用部分に係る建物の区分所有等に関する法律第14条第1項から第3項までの規定による割合と一致するものであるものに対して課する固定資産税については、当該共用土地納税義務者は、法第10条の2第1項の規定にかかわらず、当該共用土地に係る固定資産税額を当該共用土地に係る各共用土地納税義務者の当該共用土地に係る持分の割合により按分した額を、当該各共用土地納税義務者の当該共用土地に係る固定資産税として納付する義務を負うとされています(法第352条の2第1項)。
(4) 土地の固定資産税等に係る税負担の調整措置について
 土地に係る平成27年度から平成29年度までの各年度分の固定資産税等については、負担水準に応じた税負担の調整措置が設けられており、商業地等のうち当該年度の負担水準が0.6以上0.7以下のものに係る平成27年度から平成29年度までの各年度分の固定資産税等の額は、前年度分の課税標準額を当該年度分の課税標準となるべき額とした場合における固定資産税等の額とするとされています(法附則第18条及び第25条)。
(5) 価格に対する不服の申立てについて
ア 台帳登録価格について不服がある場合は、納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの間において、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができます。ただし、法第411条第3項の規定によって土地課税台帳等又は家屋課税台帳等に登録されたものとみなされる土地又は家屋の価格については、当該土地又は家屋について法第349条第2項第1号に掲げる事情があるため同条同項ただし書、第3項ただし書又は第5項ただし書の規定の適用を受けるべきものであることを申し立てる場合を除いては、審査の申出をすることができないとされています(法第432条第1項)。
イ 固定資産税の賦課についての審査請求においては、法第432条第1項の規定により審査を申し出ることができる事項についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができないとされています(同条第3項)。
2 本件処分の適法性及び妥当性について
(1) 本件税額の算定について
 審査請求人は、本件税額が高すぎると主張しています。
 しかしながら、その理由とするところは、専ら本件家屋の評価額に端を発するものであることから、法第432条第3項により、本件審査請求における審理の対象とすることはできません。
 なお、本件税額の算定については、特段違法な点は見当たりません。
(2) ○○○○所在の家屋との評価の比較について
 審査請求人は、○○○○所在の家屋と比較して、本件家屋の評価が倍近く高いと主張しています。
 しかしながら、前記1(5)イのとおり、固定資産税の賦課についての審査請求においては、台帳登録価格についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができないことから、審査請求人の上記主張は、本件審査請求における審理の対象とすることはできません。
3 評価に対する不服の申立てができないことについての不服及び処分庁に対して説明を求める旨の主張について
 審査請求人は、評価に対して不服の申立てができないことについての不服や、処分庁に対して家屋に係る評価の基準及び根拠等についての説明を求める旨の主張をしています。
 しかしながら、審査請求人の上記主張は、本件処分への違法性又は不当性に対する主張ではないため、審理の対象とすることはできません。
4 結論
 以上のとおり、本件処分に違法又は不当な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

平成30年1月10日
大阪市長 吉村 洋文

別紙物件目録 省略

裁決書(平成29年度答申第13号)

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