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答申第108号

2019年9月9日

ページ番号:429164

概要

(1)開示請求の内容
 「開示請求者の生活保護にかかる文書等 1 ケース診断会議記録、面接記録票、保護台帳、保護決定調書、生活指導記録票、ケース記録票 2 受付簿、保護申請処理簿 3 保護申請書、資産申告書、収入申告書、同意書、保護変更申請書、求職活動状況報告書、就労状況明細報告書等保護受給者が作成し又は提出した一切の文書等 4 その他、保護受給者世帯の生活保護に関し作成・編綴された一切の記録」を求める開示請求(以下「本件請求」という。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定
 本件請求に係る保有個人情報を「平成25年1月1日から平成27年4月3日までの開示請求者の生活保護ケース記録等」と特定した上で、開示請求者以外の特定の個人を識別することができる部分(以下「本件非開示部分1」という。)、開示請求者以外の戸籍謄本及び附票並びに住民票(以下「本件非開示部分2」という。)が大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「条例」という。)第19条第2号に、生活保護法(昭和25年法律第144号)第29条照会に係る金融機関からの回答書(以下「本件非開示部分3」という。)が同条第4号に、関係機関との協議の内容(以下「本件非開示部分4」という。)が同条第5号に、生活保護記録に記載されている開示請求者の援助方針に係る部分(以下「本件非開示部分5」といい、本件非開示部分1から本件非開示部分5をあわせて「本件各非開示部分」という。)が同条第6号に、それぞれ該当することを理由に部分開示決定(以下「本件決定」という。)を行いました。

(3)異議申立ての内容
 本件各非開示部分の開示を求めて、異議申立てがありました。

(4)答申の結論
 実施機関が、開示しないこととした部分のうち、一部を開示すべきである。

(5)答申のポイント
 
審議会は次のとおり判断しています。
ア 審議会において本件非開示部分1を実際に見分したところ、本件非開示部分1は、そもそも異議申立人を本人とする保有個人情報に該当しないものであった。
  したがって、本件非開示部分1の条例第19条第2号該当性については、判断しない。
イ 本件非開示部分2は、実施機関が異議申立人の扶養義務者の存否を調査するために職権で取得した異議申立人以外の個人に係る戸籍の全部事項証明、改製原戸籍謄本、住民票の写し及び戸籍の附票の写しに関する情報であることから、条例第19条第2号本文に該当し、その性質上、同号ただし書イ及びウに該当しない。
  また、審議会において本件非開示部分2を実際に見分したところ、本件非開示部分2が条例第19条第2号ただし書アの法令等の規定により又は慣行として異議申立人が知ることができ、又は知ることが予定されている情報に該当するとまでは認められない。
ウ 本件非開示部分3のうち実施機関が異議申立人の保護の要件を確認するために行った個人市民税に係る調査に関する文書に記載された調査先の地方公共団体の名称やその部署、当該地方公共団体からの回答内容に係る情報(以下、「個人市民税関係情報」という。)は、明らかに条例第19条第4号に該当しない。
  また、個人市民税関係情報は、生活保護法第29条に基づく調査に対する回答であること、個人市民税の申告の有無等の単なる事実に係る情報に過ぎないことから、これを異議申立人に開示したとしても、実施機関と当該地方公共団体との間の信頼関係が損なわれるとは認められず、個人市民税関係情報は条例第19条第6号に該当しない。
エ 本件非開示部分3のうち実施機関が異議申立人の保護の要件を確認するために行った預貯金に係る調査に関する文書に記載された調査先の金融機関の名称や調査項目、当該金融機関からの回答内容に係る情報(「以下「金融機関関係情報」という。)のうち、申請者から徴した「資産申告書」により申告のあった金融機関以外の金融機関に対する調査に関する情報については、当該調査が通常どの申請者に対しても同様の流れで行う事務であり、実施機関が今後も同様の流れで申請者に係る資産調査を行うことを踏まえると、一旦、当該調査に関する情報が開示されると、それにより実施機関における調査の手法等をはじめとした資産調査の全貌が明らかになってしまうおそれがあり、申請者が財産の隠蔽や処分等を行うことが容易となる相当の蓋然性が認められることから条例第19条第6号に該当する。
 ただし、当該調査に関する情報のうち、実施機関が金融機関への照会を行った年月日及びその文書番号を記載したに過ぎない部分は、条例第19条第6号に該当しない。
 なお、当該調査に関する情報のうち、金融機関が異議申立人以外の申請者についてもあわせて回答したもののうち、異議申立人以外の申請者に係る部分は、そもそも異議申立人を本人とする保有個人情報に該当しないものであることから、当該部分の条例第19条第6号該当性については、判断しない。
オ 金融機関関係情報のうち、生活保護申請の際に異議申立人から徴した「資産申告書」により申告のあった金融機関に対する調査に係る情報については、単に異議申立人から申告のあった金融機関に対する調査及びその回答に係る情報に過ぎないことから、当該金融機関の印影を除いて、当該情報は条例第19条第6号には該当せず、また、当該情報の性質から、条例第19条第4号に該当しないことは明らかである。
 なお、当該金融機関の印影は、条例第19条第3号本文に該当し、その性質上同号ただし書に該当しない。
カ 本件非開示部分4の条例第19条第5号該当性について、実施機関へ改めて確認したところ、次のとおりであり、本件非開示部分4は条例第19条第5号に該当しない。
 (ァ) 本件非開示部分4を異議申立人に開示したとしても、実施機関の意思決定の中立性が損なわれるおそれはなかったものの、関係機関の意思決定の中立性が損なわれるおそれがあると判断し、本件非開示部分4を非開示とした。
 (ィ) 本件決定を行うに際して、本件非開示部分4を異議申立人に開示した場合に、実際に関係機関の意思決定の中立性が損なわれるおそれがあるか否かについて、関係機関に確認を行っていなかった。
 (ゥ) 異議申立てを受け、関係機関へ確認したところ、本件非開示部分4を異議申立人に開示したとしても、関係機関の意思決定の中立性が損なわれるおそれはないとの回答があった。
キ 本件非開示部分5のうち、ケース診断会議記録票、受付面接記録票、保護台帳、保護決定調書、新規申請調査ケース記録票、保護費算定書、ケース検討票、類型化フローチャート、ケース記録票のうち異議申立人の援助方針等、異議申立人の評価及び実施機関等の異議申立人に対しての所見に関する情報は、ケースワーカーが異議申立人に対する生活保護の実施に関し適正な判断を行うために、異議申立人に対する評価、判定及び所見を率直に記載しており、これを開示すると、異議申立人が実施機関に不信感を抱き、今後の生活保護事務の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性が認められることから、条例第19条第6号に該当する。
ク 実施機関によると、実施機関は異議申立人に対して生活保護費の返還を求める決定を既に行っているとのことであることから、本件非開示部分5のうち、異議申立人の生活保護費の返還について実施機関が検討した内容に関する情報を異議申立人へ開示したとしても、実施機関と異議申立人との間の信頼関係が損なわれ、生活保護事務の適正な遂行に支障が生じるおそれがあるとは認められない。
ケ 当審議会において、本件非開示部分5のうち、異議申立人について異議申立人以外の個人から聞き取った内容に関する情報を実際に見分したところ、当該情報は、確かに異議申立人以外の個人から聞き取った内容が記載されたものであることから、条例第19条第2号本文に該当し、また、その情報の性質上、同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しないと認められる。

答申第108号

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