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答申書(平成29年度答申第18号)

2023年2月17日

ページ番号:431257

諮問番号:平成29年度諮問第15号
答申番号:平成29年度答申第18号

答申書

第1  審査会の結論
 本件審査請求は棄却されるべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 平成28年10月13日、審査請求人の夫は、同人と審査請求人の子ども(2名。以下同じ。)の「子どものための教育・保育給付保育認定(変更)申請書兼保育施設・事業利用調整申込書」(以下「申込書」という。)を〇〇区保健福祉センターへ提出した(以下「本件申請」という。)。その後、〇〇区保健福祉センターから〇〇区保健福祉センターへ申込書が送達された。
2 平成28年10月27日、〇〇区保健福祉センター所長(以下「処分庁」という。)は、審査請求人に対し、電話にて必要事項の聞き取りを行った。
3 平成29年度一斉利用申込の締切後、利用申込者全てについて利用調整を行い、審査請求人の子どもについて入所保留決定(以下「本件処分」という。)を行った。
4 平成29年2月3日、処分庁は審査請求人の夫宛に利用調整結果通知書兼保育所入所保留通知書(以下「通知書」という。)を発送した。
5 平成29年2月7日、審査請求人は、本件処分に至った理由について処分庁へ電話問い合わせを行った。
6 平成29年2月17日、審査請求人は〇〇区保健福祉センター所長に対し、本件申請に係る保育施設利用申込みの取下げについて保育施設利用申込変更等届出書を提出した。
7 平成29年5月1日、審査請求人は本件処分について不服であるとし、処分庁へ審査請求書を提出した(以下「本件審査請求」という。)。

第3  審理員意見書の要旨
 本件審査請求についての審理員意見書の要旨は次のとおりである。
1  審査請求人の主張
 保育が必要とされる基準を十分に満たしているにもかかわらず、本件処分に至ったこと、また、処分庁が審査請求人に対し事前に面接の実施方法について十分な案内をせず、電話によるヒアリングのみ実施し、審査請求人の実情を確認することなく本件処分を行ったことについて不服であるとし、本件処分の取消しを求める、というものである。
 また、審査請求人宛の通知書の到着が、処分庁所管区に居住している申込者よりも2日遅れたことについて、事前に遅延の可能性について案内もなかったため、その後の保育の代替手段の確保が遅れ、不利益を被ったと主張している。
2  処分庁の主張
 処分庁は、審査請求人の入所希望保育施設は、いずれも募集数を上回る申込みであったため、大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱第4条の規定により、同要綱に定める保育利用調整基準に従い入所選考を行い、大阪市の指示に従い通知書を発送したため、本件処分は適正になされたものであると主張している。
 また、面接については、他区や他都市からの申込者について、来庁の不便を考慮し、こどもに疾病や障がい等の保育時に特別な配慮が必要な場合等を除き、必要事項について電話により聞き取りを行っている。審査請求人に対しては、電話により必要事項を聞き取り、「面接を含めた受付はこれで終了です。今後は再度の来庁をお願いしたり、電話でお話を聞かせていただくこともありますのでよろしくお願いします。」と説明し、審査請求人が了承されたため、適正に手続きを行ったとしている。
3  審理員意見書の結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきである。
4  審理員意見書の理由
(1) 本件に係る法令等の規定について
ア 児童福祉法第24条第3項において、「市町村は、保育の需要に応ずるに足りる保育所、認定こども園(子ども・子育て支援法第27条第1項の確認を受けたものに限る。以下この項及び第26条の2第2項において同じ。)又は家庭的保育事業等が不足し、又は不足するおそれがある場合その他必要と認められる場合には、保育所、認定こども園(保育所であるものを含む。)又は家庭的保育事業等の利用について調整を行うとともに、認定こども園の設置者又は家庭的保育事業等を行う者に対し、前項に規定する児童の利用の要請を行うものとする。」と規定されている。
イ 児童福祉法施行規則第24条において、「市町村は、法第24条第3項の規定に基づき、保育所、認定こども園(子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第27条第1項の規定による確認を受けたものに限る。)又は家庭的保育事業等の利用について調整を行う場合(法第73条第1項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)には、保育の必要の程度及び家族等の状況を勘案し、保育を受ける必要性が高いと認められる児童が優先的に利用できるよう、調整するものとする。」と規定されている。
ウ 大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱第3条第2項において「保健福祉センター所長は、利用調整に必要な書類について、保護者から提出を求め、必要があるときは、面接及び実地調査等を行うことができる。」と規定されている。
エ 大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱第4条において、「保健福祉センター所長は、利用調整を行うにあたっては、利用調整会議を開催し、別表『保育利用調整基準』に基づき保育の必要性の高い児童から順に利用調整を行うものとする。」と規定されている。
(2) 本件処分が取り消されるべきか否かについて
ア 処分庁は、審査請求人が保育の必要性があると認定したものの、審査請求人が希望していた保育施設は、利用可能人数を上回る申込みがあったため、大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱に基づき利用調整を行っており、違法又は不当な点は認められない。また、通知書については、大阪市が発送日を全区で統一しており、処分庁は大阪市の定めた発送日に発送したとしており、適正に事務は行われている。
イ 面接の実施については、大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱第3条第2項において、「保健福祉センター所長は、利用調整に必要な書類について、保護者から提出を求め、必要があるときは、面接及び実地調査等を行うことができる。」とされている。処分庁は審査請求人に対し、電話で必要事項を聞き取った上で利用調整を行っており、対面による面接を実施せず本件処分に至ったことについては、不当な点があるとは言えない。

第4  調査審議の経過
 当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  平成29年11月17日 諮問書の受理
  平成29年12月22日 調査審議(審査庁の口頭説明、処分庁の陳述)
  平成30年1月16日 調査審議
  平成30年1月30日 調査審議

第5  審査会の判断
1 本件に係る法令等の規定について
 前記第3、4、(1)のとおりであると認められる。
2 争点
 前記第2、1、同7のとおり、本件審査請求は、本件申請を行った夫ではなく、その妻により行われている事実(この点について審理員意見書記載の事実では不明確であるため、裁決においては明確にされたい。)、同6のとおり、本件申請に係る保育施設利用申込みの取下げが行われている事実が認められるため、不服申立適格及び不服申立ての利益について問題となり得るが、審査会としては、審査請求人及び処分庁の主張を踏まえ、実体審査を行うこととし、次の3点について判断することとする。
(1) 審査請求人の夫について入所保留とした処分庁の判断に違法又は不当な点があるか(争点1)
(2) 審査請求人に対し区役所来庁による面接の機会が与えられなかった点が手続的違法となり本件処分の取消事由となるか(争点2)
(3) 入所保留通知書の到着時期について、居住区内の保育所を申し込んだ者と、居住区外の保育所を申し込んだ者との間で差があることが、本件処分の取消事由となるか(争点3)
3 争点に対する判断
(1) 争点1について
 事件記録の平成29年1月16日付け支給認定通知書のとおり、審査請求人の子どもについて、子ども・子育て支援法第20条第1項に基づき、支給認定が行われている。
 よって、保育の必要性については、認められている。
 しかし、審査請求人の夫が希望していた保育施設は、利用可能人数を上回る申込みがあったため、児童福祉法第24条第3項、同施行規則第24条、大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱に基づき利用調整が行われているのであり、その点について違法又は不当な点は認められない。
 また、弁明書記載の処分庁が行った利用調整手続きについて、不合理な点も見受けられないことから、本件申請に対し入所保留処分を行ったことに違法又は不当な点はない。
(2) 争点2について
 法令上、利用調整にあたって、行政庁に申請者ないしその児童と面接を行うことを義務付けた規定はなく、本市では、第3、4、(1)、ウに記載のとおり、申請書では確知できない事項がある場合等、必要があるときには、面接及び実地調査等を行うことができる旨要綱に定めて、処分庁が必要と考えた場合に面接を行うこととしている。
 この点、審査請求人は、反論書において、「保育施設・事業利用案内」の(4)面接の項中に、「保護者の状況やこどもの様子を確認するため、区保健福祉センター職員による面接を行います」との記載があることを主張しているが、本件では、第2、2のとおり、処分庁は審査請求人に対し、平成28年10月28日に電話で必要事項の聞き取りを行っており、この際に「保護者の状況やこどもの様子」を確認したものと考えられる。また、事件記録によれば、当該聞き取りの内容の記録表において、処分庁の担当者が、当該聞き取りをもって受付は終了した旨を審査請求人に「説明済み」との項目にチェックを入れていることが認められる。
 以上によれば、当該聞き取りにより審査請求人に対する必要事項の確認が行われた上で受付が終了していることは明らかであり、来庁による面接が行われていないからといって、本件処分を取り消さなければならない手続的な瑕疵があるとは認められない。
 なお、仮に審査請求人主張の来庁による面接が行われていたとしても、処分保留という結論を覆すような事実関係の提示が行われたわけでないことは、審査請求人も事件記録中の口頭意見陳述聴取結果記録書において認めているところである。
(3) 争点3について
 入所保留処分の通知方法については法令に規定はなく、行政庁の裁量に委ねられており、その方法が著しく不合理といった事情がない限り違法とはならない。
 本件では、処分の通知方法について、郵便による一斉通知という方法が採用されているが、結果的に、近隣に住んでいるため処分が早く到達する者とその者に比べて到達が遅れる者がいても、その差が数日に過ぎないのであれば、居住地によるやむを得ない差であると言え、不合理性は認められない。
 よって、審査請求人の主張する到着日が事実だとしても、行政庁の合理的な裁量の範囲内であり、本件処分を取り消す事由とはならない。
4 小括
 以上のとおり、本件処分を取り消すべき事由は認められない。
5 審査請求に係る審理手続について
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
6 結論
 よって、本件審査請求に理由はないと認められるので、当審査会は、第1記載のとおり判断する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会総務第2部会
 委員(部会長) 長部研太郎、委員 藤田整治、委員 曽我部真裕

答申書(平成29年度答申第18号)

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