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答申第445号

2024年3月22日

ページ番号:431709

概要

(1) 公開請求の内容
「平成27年度に発注された建築工事・電気設備工事・給排水衛生冷暖房設備工事の中で現在、施工中の工事を除くすべての工事の単価等の金額が記載された細目別内訳書」を求める公開請求(以下「本件請求」という。)がありました。

(2) 実施機関(=大阪市長)の決定
実施機関は、本件請求に係る公文書(以下「本件文書」という。)が条例第7条第5号に該当することを理由に非公開決定(以下「本件決定」という。)を行いました。

(3) 審査請求の内容
本件決定の取り消しを求めて、審査請求がありました。

(4) 答申の内容
実施機関が行った本件決定は、妥当である。

(5) 答申のポイント
審査会は、次のア及びイの理由により、本件決定は妥当であると判断しています。

ア 実施機関では、年間に同種の建築等工事を多数発注しており、これらの建築等工事の予定価格の算出に当たっては一定の期間は同一の単価を用いているため、同じ単価を使用する同種の工事案件が当該期間中に発注されることになる。
また、数量について実施機関では入札を行うに当たって、あらかじめ当該工事の細目別内訳書の金額部分を除いた数量内訳書を入札参考情報として提供している。
当審査会で工事費内訳書を見分したところ、工事費内訳書は種目別内訳、科目別内訳、細目別内訳で構成されており、単価から予定価格を算出する過程が記載されているものであった。そこで、細目別内訳書の単価が判明すれば、前述のとおり数量については入札前に公表されていることから、明らかになったそれぞれの単価により予定価格が相当程度の精度で類推することができると認められる。
また、予定価格に、公表されている一定の率を掛けることにより最低制限価格を算出することが可能であるから、予定価格を類推することができるということは同時に最低制限価格をも類推することができると認められる。
そして、最低制限価格を類推することができれば、多くの事業者は、落札することを目的に最低制限価格であると類推した金額で応札価格を決定し、本来必要な費用と利益を見込んだ価格を適正に積算せず入札に参加しようとすることが予想される。
このように、最低制限価格付近の金額に入札が集中すれば、適正な積算を行わない事業者であっても実施機関は選定せざるを得ず、その場合、公共工事の品質確保のために実施機関が通常より多大な負担を負わなければ、契約内容が完全に履行されないという事態が生じるおそれがあることが認められる。
以上を踏まえると、同一単価を用いる期間中に本件文書を公開することにより実施機関における契約事務の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性があるものと認められる。

イ 実施機関では、同一単価を用いる期間を経過した後においても契約変更を行う場合には、契約変更に伴う作業に係る金額を算出する際、契約当時の単価を用いているとのことである。したがって、同時期に契約した同種の工事の単価が公になることにより、契約変更に係る予定価格が類推されるといえる。
そして、予定価格が類推されると、請負事業者はより高い金額の契約を得ようとして予定価格とほぼ同額の見積金額しか提示しないことになり、実施機関は予定価格よりさらに有利な価格での契約の機会を失う上、積算や見積り努力を行わず、積算根拠のない一式による価格提示を行う請負事業者に対しては、その根拠について何度も協議を繰り返すこととなり、契約変更のために多大な労力を費やすことになると認められる。さらに、協議が長期化することにより、工事の中断やそれに伴い実施機関が追加の費用を負担しなければならないなど、実施機関の財産上の利益が損なわれることも考えられる。
以上を踏まえると、同一単価を用いる期間を経過した後においても、本件文書を公開することにより、実施機関の財産上の利益が損なわれ契約事務の適正な遂行に支障を及ぼす蓋然性があるものと認められる。

答申第445号

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