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答申書(平成29年度答申第19号)

2023年2月17日

ページ番号:433756

諮問番号:平成29年度諮問第22号
答申番号:平成29年度答申第19号

答申書

第1 審査会の結論  
 本件審査請求は、棄却されるべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)は、平成29年5月8日、審査請求人が納付すべき平成22年度から平成24年度まで及び平成29年度の固定資産税及び都市計画税に係る徴収金について平成29年5月8日から平成30年4月2日までを猶予の期間とする職権による換価の猶予(以下「本件処分」という。)をした。
2 審査請求人は、平成29年8月8日、大阪市長に対し、本件処分を不服として審査請求をした。

第3 審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 平成28年度は換価の猶予の期間7月間で納付計画が7月間、平成29年度は換価の猶予の期間12月間で納付計画が11月間となっており、書類がおかしい。
(2) 換価の猶予通知書の該当条項欄が「大阪市市税条例第6条の4第1項第1号」から「地方税法第15条の5第1項第1号」になっている。
2 処分庁の主張
(1) 本件処分においては、年度内に本税と延滞金を完納するべく、平成29年5月から平成30年3月までの11月間で本税及び確定延滞金を完納し、未確定延滞金については本税完納後に納付するという納付計画を承認している。
(2)  毎回の「納税猶予期限」を月末としていたところ、最終の「納税猶予期限」については平成30年3月31日が土曜日であることから、金融機関の直後の営業日である同年4月2日とし、猶予期間の終了日も同日としている。本来は猶予期間の終了日は同年3月31日であり、猶予期間も11月間になるところであるが、猶予期間の終了日は同年4月2日としたため、猶予期間を12月間と記載している。
(3)  大阪市市税条例の改正(平成29年4月1日施行)により、職権による換価の猶予の根拠条文である第6条の4第1項第1号は削除されたため、本件処分においては、地方税法(以下「法」という。)における職権による換価の猶予の根拠条文である第15条の5第1項第1号を根拠条文として記載したものである。
(4) よって、本件処分は適正な事務処理に基づく、適法な処分である。

第4 審理員意見書の要旨
1 結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきものと判断する。
2 理由
(1) 納付計画について
ア 審査請求人の主張は、納付計画についての不服であると解し、本件処分の適法性について以下検討する。
イ 処分庁は、審査請求人から提出された財産目録及び財産収支状況書の記載内容を基に、職権による換価の猶予を適用することとし、平成29年5月8日から平成30年4月2日までを猶予の期間とする本件処分を決定している。職権による換価の猶予の適用にあたっては、市長は、猶予をする期間内において、猶予を受ける者の財産の状況その他の事情からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付させることができるとされているのみで、本人の承認は要件とされていない。
ウ 処分庁が決定した納付計画は、11回で本税及び確定延滞金を完納し、本税完納後に未確定延滞金を納付する内容となっており、実質的な納付計画は12回と認められる。これに対し、審査請求人から提出された財産目録及び財産収支状況書に記載された納付計画は、11回で本税を完納し、12回目に再相談の後に延滞金について納付する内容となっており、処分庁が決定した納付計画は、審査請求人から提出された納付計画の内容に一定即したものと認められることから、合理的かつ妥当なものといえる。
エ したがって、これらの点に関する審査請求人の主張には、いずれも理由がない。
(2) 該当条項について
ア 平成28年10月20日付け換価の猶予通知書については、該当条項欄に条例の規定を記載していたが、平成29年4月1日に大阪市市税条例を改正する条例(平成29年大阪市条例第11号。以下「新条例」という。)を施行するにあたり、法と重複する規定の見直しを行い、新条例による改正前の大阪市市税条例第6条の4第1項第1号を削除した。これにより、法の規定が直接適用されることとなったため、本件処分に係る通知書については、法の規定を該当条項欄へ記載している。
イ したがって、この点に関する審査請求人の主張には理由がない。
(3) 以上により、本件処分は適正になされている。
3 上記以外の違法性又は不当性について
 他に本件処分に違法又は不当な点は認められない。

第5 調査審議の経過
 当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  平成30年2月2日 諮問書の受理
  平成30年2月7日 審議
  平成30年2月22日 調査及び審議(審査請求人の口頭意見陳述)
  平成30年3月8日  審議

第6 審査会の判断
1  関係法令の定め
(1) 職権による換価の猶予の要件について
 地方団体の長は、滞納者の財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合において、その者が当該地方団体に係る徴収金の納付について誠実な意思を有すると認められるときは、その納付すべき徴収金につき、1年を超えない期間に限り、滞納処分による財産の換価を猶予することができる(法第15条の5第1項第1号)。
(2) 職権による換価の猶予の期間の延長について
 地方団体の長は、職権による換価の猶予をした場合において、当該換価の猶予をした期間内に当該換価の猶予をした金額を納付することができないやむを得ない理由があると認めるときは、その期間を延長することができる。ただし、その期間は、既にその者につき換価の猶予をした期間と合わせて2年を超えることができない(法第15条の5第2項において準用する法第15条第4項)。
(3)  職権による換価の猶予に係る徴収金の納付方法について
ア 地方団体の長は、職権による換価の猶予をする場合には、当該換価の猶予に係る徴収金の納付について、当該地方団体の条例で定めるところにより、当該換価の猶予をする金額(その納付を困難とする金額として政令で定める額を限度とする。)を当該換価の猶予をする期間内において、当該換価の猶予を受ける者の財産の状況その他の事情からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付させるものとする(法第15条の5第2項において準用する法第15条第3項)。
イ 市長は、職権による換価の猶予に係る徴収金を分割して納付させる場合には、当該分割納付の各納付期限及び各納付期限ごとの納付金額を定める(新条例第6条において準用する新条例第4条)。
(4) 職権による換価の猶予をする場合に提出を求める書類について
ア 地方団体の長は、職権による換価の猶予をする場合において、必要があると認めるときは、滞納者に対し、財産目録、担保の提供に関する書類その他の当該地方団体の条例で定める書類の提出を求めることができる(法第15条の5の2第1項)。
イ 市長は、職権による換価の猶予をする場合において、必要があると認めるときは、滞納者に対し、財産目録その他の資産及び負債の状況を明らかにする書類の提出並びに職権による換価の猶予を受けようとする日前1年間の収入及び支出の実績並びに同日以後の収入及び支出の見込みを明らかにする書類の提出を求めることができる(新条例第7条第1項第1号及び第2号)。
2 審査請求人の主張について
(1)ア 審査請求人は、平成28年度は換価の猶予の期間が7月間で納付計画が7月間、平成29年度は換価の猶予の期間が12月間で納付計画が11月間と主張していることから、自身が署名押印した納付計画と決定された納付計画の内容が違うことに対して不服を申し立てていると解される。
 この点、職権による換価の猶予に係る徴収金の納付計画を定めるにあたっては、前記1(3)のとおり、当該換価の猶予をする期間内において、猶予を受ける者の財産の状況その他の事情からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付させるものとされており、当該換価の猶予を受ける者の希望する納付計画に拘束されるものではない。
 また、審査請求人が「財産目録及び財産収支状況書」に記載した納付計画(以下「当初希望納付計画」という。)は、11回で本税を完納し、12回目に延滞金を納付する内容となっている。これに対し、処分庁が決定した納付計画は、11回で本税及び確定延滞金の納付を完了し、その後、未確定延滞金を納付する内容となっており、当初希望納付計画の内容に則して定められ、その合理性又は妥当性に疑いを挟むべき特段の事情も見受けられない。
イ 審査請求人は、換価の猶予通知書の該当条項欄が、「大阪市市税条例第6条の4第1項第1号」から「地方税法第15条の5第1項第1号」になっていると主張する。
  しかしながら、前記1(1)のとおり、職権による換価の猶予の要件については、法第15条の5第1項に規定されていることから、処分庁が本件通知書の該当条項欄に「地方税法第15条の5第1項第1号」と記載したことにつき、違法又は不当な点は認められない。
(2) したがって、審査請求人の主張を考慮しても、本件処分に違法又は不当な点は認められない。
3 審査請求に係る審理手続について
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
4 結論
 よって、本件審査請求に理由がないものと認められるので、当審査会は、第1記載のとおり答申する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会税務第1部会
 委員(部会長) 佐藤善恵、委員 津留真弓、委員 下尾裕

答申書(平成29年度答申第19号)

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