ページの先頭です

平成30年3月15日付け裁決(答申第19号)

2023年2月17日

ページ番号:433768

裁決書

審査請求人 ○○○○      
処分庁 大阪市長       

 審査請求人が平成29年8月8日付けでした、処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による平成29年5月8日付け換価の猶予処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(平成29年度財第19号。以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 処分庁は、平成29年5月8日、審査請求人が納付すべき平成22年度から平成24年度まで及び平成29年度の固定資産税及び都市計画税に係る徴収金について本件処分を行いました。
2 審査請求人は、平成29年8月8日、大阪市長に対し、本件処分を不服として審査請求を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 平成28年度は換価の猶予の期間7月間で納付計画が7月間、平成29年度は換価の猶予の期間12月間で納付計画が11月間となっており、書類がおかしい。
(2) 換価の猶予通知書の該当条項欄が「大阪市市税条例第6条の4第1項第1号」から「地方税法第15条の5第1項第1号」になっている。
2 処分庁の主張
(1) 本件処分においては、年度内に本税と延滞金を完納するべく、平成29年5月から平成30年3月までの11月間で本税及び確定延滞金を完納し、未確定延滞金については本税完納後に納付するという納付計画を承認している。
(2) 毎回の「納税猶予期限」を月末としていたところ、最終の「納税猶予期限」については平成30年3月31日が土曜日であることから、金融機関の直後の営業日である同年4月2日とし、猶予期間の終了日も同日としている。本来は猶予期間の終了日は同年3月31日であり、猶予期間も11月間になるところであるが、猶予期間の終了日は同年4月2日としたため、猶予期間を12月間と記載している。
(3) 大阪市市税条例の改正(平成29年4月1日施行)により、職権による換価の猶予の根拠条文である第6条の4第1項第1号は削除されたため、本件処分においては、地方税法(以下「法」という。)における職権による換価の猶予の根拠条文である第15条の5第1項第1号を根拠条文として記載したものである。
(4) よって、本件処分は適正な事務処理に基づく、適法な処分である。

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1) 職権による換価の猶予の要件について
 地方団体の長は、滞納者の財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合において、その者が当該地方団体に係る徴収金の納付について誠実な意思を有すると認められるときは、その納付すべき徴収金につき、1年を超えない期間に限り、滞納処分による財産の換価を猶予することができるものとされています(法第15条の5第1項第1号)。
(2) 職権による換価の猶予の期間の延長について
 地方団体の長は、職権による換価の猶予をした場合において、当該換価の猶予をした期間内に当該換価の猶予をした金額を納付することができないやむを得ない理由があると認めるときは、その期間を延長することができるとされています。ただし、その期間は、既にその者につき換価の猶予をした期間と合わせて2年を超えることができないとされています(法第15条の5第2項において準用する法第15条第4項)。
(3) 職権による換価の猶予に係る徴収金の納付方法について
ア 地方団体の長は、職権による換価の猶予をする場合には、当該換価の猶予に係る徴収金の納付について、当該地方団体の条例で定めるところにより、当該換価の猶予をする金額(その納付を困難とする金額として政令で定める額を限度とする。)を当該換価の猶予をする期間内において、当該換価の猶予を受ける者の財産の状況その他の事情からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付させることとされています(法第15条の5第2項において準用する法第15条第3項)。
イ 市長は、職権による換価の猶予に係る徴収金を分割して納付させる場合には、当該分割納付の各納付期限及び各納付期限ごとの納付金額を定めることとされています(大阪市市税条例を改正する条例(平成29年大阪市条例第11号。以下「新条例」という。)第6条において準用する新条例第4条)。
(4) 職権による換価の猶予をする場合に提出を求める書類について
ア 地方団体の長は、職権による換価の猶予をする場合において、必要があると認めるときは、滞納者に対し、財産目録、担保の提供に関する書類その他の当該地方団体の条例で定める書類の提出を求めることができるとされています(法第15条の5の2第1項)。
イ 市長は、職権による換価の猶予をする場合において、必要があると認めるときは、滞納者に対し、財産目録その他の資産及び負債の状況を明らかにする書類の提出並びに職権による換価の猶予を受けようとする日前1年間の収入及び支出の実績並びに同日以後の収入及び支出の見込みを明らかにする書類の提出を求めることができるとされています(新条例第7条第1項第1号及び第2号)。
2 本件処分の適法性及び妥当性について
(1) 審査請求人は、平成28年度は換価の猶予の期間が7月間で納付計画が7月間、平成29年度は換価の猶予の期間が12月間で納付計画が11月間と主張していることから、自身が署名押印した納付計画と決定された納付計画の内容が違うことに対して不服を申し立てていると解して以下検討します。
 職権による換価の猶予に係る徴収金の納付計画を定めるにあたっては、前記1(3)のとおり、当該換価の猶予をする期間内において、猶予を受ける者の財産の状況その他の事情からみて合理的かつ妥当なものに分割して納付させるものとされており、当該換価の猶予を受ける者の希望する納付計画に拘束されるものではありません。
 また、審査請求人が「財産目録及び財産収支状況書」に記載した納付計画(以下「当初希望納付計画」という。)は、11回で本税を完納し、12回目に延滞金を納付する内容となっています。これに対し、処分庁が決定した納付計画は、11回で本税及び確定延滞金の納付を完了し、その後、未確定延滞金を納付する内容となっており、当初希望納付計画の内容に則して定められ、その合理性又は妥当性に疑いを挟むべき特段の事情も見受けられません。
(2) 審査請求人は、換価の猶予通知書の該当条項欄が、「大阪市市税条例第6条の4第1項第1号」から「地方税法第15条の5第1項第1号」になっていると主張しています。
 しかしながら、前記1(1)のとおり、職権による換価の猶予の要件については、法第15条の5第1項に規定されていることから、処分庁が本件通知書の該当条項欄に「地方税法第15条の5第1項第1号」と記載したことにつき、違法又は不当な点は認められません。
(3) したがって、審査請求人の主張を考慮しても、本件処分に違法又は不当な点は認められません。
3 結論
 以上のとおり、本件処分に違法又は不当な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

平成30年3月15日
大阪市長 吉村 洋文

裁決書(平成29年度答申第19号)

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

SNSリンクは別ウィンドウで開きます

  • Facebookでシェア
  • Xでポストする
  • LINEで送る

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市総務局行政部行政課法務グループ
住所: 〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所4階)
電話: 06-6208-7443 ファックス: 06-6229-1260

メール送信フォーム

このページへの別ルート

表示