ページの先頭です

平成30年5月14日付け裁決(答申第4号)

2023年2月17日

ページ番号:439578

裁決書

審査請求人
○○○○
処分庁
大阪市○○区保健福祉センター所長

 審査請求人が平成28年12月28日に提起した処分庁による生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)第78条の規定に基づく徴収金決定処分(○○第○○号。以下「本件処分」という。)に係る審査請求(以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決する。

主文
 本件審査請求を棄却する。

事案の概要
1 平成21年12月22日、処分庁が審査請求人に対し、法による保護を開始した。
2 平成28年10月17日、処分庁が審査請求人に対し、○○円について、法第78条に基づく徴収金決定処分(以下「前回処分」という。)をした。
3 平成28年12月1日、審査請求人が大阪市長に対し、前回処分の取消しを求める審査請求(以下「前回審査請求」という。)をした。
4 平成28年12月16日、処分庁が、徴収金の額に過誤があったとして、前回処分を取り消した。
5 同日、処分庁が徴収金の額を○○円に訂正の上、本件処分をした。
6 平成28年12月28日、審査請求人が大阪市長に対し、本件処分の取消しを求める審査請求をした。
7 平成29年2月2日、大阪市長が、前回審査請求を却下する裁決をした。

審理関係人の主張の要旨
1  審査請求人の主張
(1)前回提示された内容の金額と今回提示された内容の金額に過誤が有る為と生活保護を廃止されている現状では生活苦の為、払う事は分割でも不可能な状態です。
(2)一度定まった決定を覆し請求されても今まで返還した全ての金額が、本当に正しかったのか不明な現状では返還することはできず、また、現在の生活状態では返還する事は不可能であります。
(3)現状の生活の中で、たとえ分割にしていただいてもお支払いする事は不可能です。
(4)生活保護が開始された日から廃止される日までの6年間において全て返還金の再計算お願いします。全ての計算式を書面にて確認させてください。
2  処分庁の主張
 審査請求人について、法第29条に基づく調査により、4名の個人からの振り込みの報告を故意に怠ったこと、またAで就労を開始し、収入を得たにも関わらず、意図的に何ら報告せず保護費を搾取していること、さらにBからの給与明細を改ざんし給与を過少に申告したことが判明した。
 これらについては、手段が巧妙かつ非常に悪質であり、法第78条の適用及び徴収金決定手続きに違法又は不当な点はないことから、本件審査請求は棄却されるべきである。

理由
1 本件に係る法令等の規定について
(1)法第4条は、生活保護制度における基本原理の一つである「保護の補足性」について規定しており、その第1項において、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」と定めている。また、法第5条は、「この法律の解釈及び運用は、すべてこの原理に基いてされなければならない。」と定めている。
(2)法第8条第1項は、「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする。」と定めている。
 これは、生活保護制度により保障されるべき最低限度の生活は、生活保護法による保護の基準(昭和38年4月1日厚生省告示第158号。以下「保護の基準」という。)によって、要保護者各々について具体的に確定され、その保護の程度は、保護の基準によって測定された需要と要保護者の資力(収入)とを対比し、その資力で充足することのできない不足分について扶助されることを定めているものである。
(3)法第28条及び第29条で保護の実施機関には積極的な調査権限が付与されているが、併せて、法第61条では、「被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。」と規定し、被保護者に対し、届出の義務を課している。
(4)法第78条第1項は、「不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の額の全部又は一部を、その者から徴収するほか、その徴収する額に100分の40を乗じて得た額以下の金額を徴収することができる。」と規定している。
(5)生活保護費の費用返還及び費用徴収決定の取扱いについて(平成24年7月23日社援保発0723第1号厚生労働省社会・援護局保護課長通知。以下「課長通知」という。)の「2 法第78条に基づく費用徴収決定について」において、「法第63条は、本来、資力はあるが、これが直ちに最低生活のために活用できない事情にある要保護者に対して保護を行い、資力が換金されるなど最低生活に充当できるようになった段階で既に支給した保護金品との調整を図るために、当該被保護者に返還を求めるものであり、被保護者の作為又は不作為により保護の実施機関が錯誤に陥ったため扶助費の不当な支給が行われた場合に適用される条項ではない。被保護者に不当に受給しようとする意思がなかったことが立証される場合で、保護の実施機関への届出又は申告をすみやかに行わなかったことについてやむを得ない理由が認められるときや、保護の実施機関及び被保護者が予想しなかったような収入があったことが事後になって判明したとき等は法第63条の適用が妥当であるが、法第78条の条項を適用する際の基準は次に掲げるものとし、当該基準に該当すると判断される場合は、法第78条に基づく費用徴収決定をすみやかに行うこと。」と述べたうえで、法第78条の条項を適用する際の基準について、「①保護の実施機関が被保護者に対し、届出又は申告について口頭又は文書による指示をしたにもかかわらず被保護者がこれに応じなかったとき、②届出又は申告に当たり明らかに作為を加えたとき、③届出又は申告に当たり特段の作為を加えない場合でも、保護の実施機関又はその職員が届出又は申告の内容等の不審について説明等を求めたにもかかわらずこれに応じず、又は虚偽の説明を行ったようなとき、④課税調査等により、当該被保護者が提出した収入申告書が虚偽であることが判明したとき」と示されている。
(6)生活保護問答集について(平成21年3月31日付け厚生労働省社会・援護局保護課長事務連絡。以下「問答集」という。)の問13-22の答において、法第78条による「徴収額は、不正受給額を全額決定するものであり、法第63条のような実施機関の裁量の余地はないもの」とされており、また、問13-25の答において、「法第78条に基づく費用の徴収は、いわば損害追徴としての性格のものであり、法第63条や法第77条に基づく費用の返還や徴収の場合と異なり、その徴収額の決定に当たり相手方の資力(徴収に応ずる能力)が考慮されるというものではない」と示されている。
2 審査請求人の主張
 審査請求人の主張は、つまるところ、現在の生活状態では徴収金を払うことができず、また、処分庁の徴収金額の算定は信用できないというものである(なお、審査請求人は、すでに返還したものを含めて再計算を求めているが、本件処分に係る徴収金額以外は、本件審査の対象外である。)。
3 認定事実
(1)平成21年12月21日に、処分庁は、審査請求人に対し、「生活保護のしおり」をもとに、収入申告義務等について説明を行い、審査請求人は、説明を受けて「しおり」を受け取った旨、署名・押印を行った。
(2)平成21年12月22日に、審査請求人に対する生活保護が開始された。
(3)平成24年○月○日に、審査請求人は、叔父である「C」より、貸与金として、○○円の送金(以下「収入①」という。)を受けた。
(4)平成24年3月14日に、審査請求人は、「C」からの○○円の入金について記載せず、「私的収入」欄の「無」に〇をつけた上で、平成24年○月分の収入申告書を提出した。
(5)平成24年○月○日に、審査請求人は、「A」(後に審査請求人の就労先と判明)より○○円の振込を受けた。なお、○○円は税金等が控除された手取額であり、就労収入としては、○○円(以下「収入②」という。)であることが後に判明(下記(22)参照)。
(6)審査請求人は、「A」で働いて得た○○円の就労収入があるにも関わらず、当該収入を申告しなかった。
(7)平成25年○月○日、審査請求人は、「D」より○○円の送金(以下「収入③」という。)を受けた。
(8)平成25年9月19日、審査請求人は、「D」からの○○円の入金について記載せず、「私的収入」欄の「無」に〇をつけた上で、平成25年○月分の収入申告書を提出した。なお、審査請求人は、収入申告書に○月分と記載しているが、別添の支給明細書から「○月分」の誤記と思われる。
(9)平成26年○月○日に、審査請求人は、「E」より、ヤフオクでの売却代金として、○○円の送金(以下「収入④」という。)を受けた。
(10)平成26年1月22日、同年2月19日付けのそれぞれ、平成26年○月分、同年○月分の収入申告書に、審査請求人は、「E」からの○○円の入金について記載せず、「私的収入」欄の「無」に〇をつけた上で、提出した。
(11)平成27年2月18日、処分庁は、審査請求人に対し、「生活保護のしおり」をもとに、収入申告義務等について説明を行い、審査請求人は、説明を受けて「しおり」を受け取った旨、署名・押印を行った。あわせて、「生活保護法第61条に基づく収入の申告について(確認)」についても署名・押印の上、処分庁に提出し、同書の「生活保護法第61条に基づき、自分の世帯の収入について、保健福祉センター所長に申告する義務があること。」のチェック欄にチェックが行われている。
(12)平成27年4月21日付けで、審査請求人は、Bで勤務した○月分の総収入について、○○円と記載の上、処分庁に収入申告書を提出した。なお、あわせて処分庁に提出されたB発行の「給与支給明細書 平成27年○月分」では、支給額合計が○○円とされていたことから、処分庁は、審査請求人の○月分の収入について、○○円と認定した。
(13)平成27年6月19日付けで、審査請求人は、Bで勤務した○月分の総収入について、○○円と記載の上、処分庁に収入申告書を提出した。
(14)平成27年7月18日付けで、審査請求人は、Bで勤務した○月分の総収入について、○○円と記載の上、処分庁に収入申告書を提出した。
(15)平成27年9月29日付け審査請求人の所有口座として申告されていたF銀行よりの法第29条に基づく調査に対する回答により、(7)記載の送金事実が判明した。
(16)平成27年○月○日、審査請求人は、「G」より、ヤフオクでの売却代金として、○○円の送金(以下「収入⑤」という。)を受けた。
(17)平成27年10月16日付けで、審査請求人は、「G」からの○○円の入金について記載せず、「私的収入」欄の「無」に〇をつけた上で、平成27年○月分の収入申告書を提出した。
(18)平成28年1月25日、処分庁は、審査請求人に対し、D氏からの振込について説明するよう記載した手紙を郵送するも、収入申告はなかった。
(19)平成28年1月27日付けで、審査請求人は、処分庁に、「資産申告書(別紙)預貯金申告書」を提出した。同書には、「H銀行 I支店」、「F銀行」、「J銀行 K支店」、「H銀行 I支店(上記と口座番号は異なる)」の4口座の記載があった。
(20)平成28年4月12日付け、Lより収受した、「生活保護法第29条に基づく調査について(回答)」により、審査請求人が上記(19)で申告していない「H銀行 M支店」の口座の存在が判明した。
(21)平成28年5月25日付けH銀行M支店よりの法第29条に基づく調査に対する回答書により、上記(3)、(5)、(9)、(16)の事実が判明した。
(22)上記(21)で、Aからの振込が判明したことから、処分庁は、同社に対して法第29条に基づく調査を行い、平成28年6月29日付け「生活保護法第29条に基づく調査について(回答)」を収受した。同書に「平成24年○月○日就職」、「平成24年○月○日退職」の記載があることから、審査請求人が、その間Aで働いていたことが判明した。あわせて、同書に添付されていた給与証明書の○月分「給与・手当額」○○円、「控除額」○○円、「差引支給額」○○円との記載から、上記(5)の振込○○円は就労収入であり、審査請求人は○月分として○○円の就労収入を得ていたことが判明した。
(23)平成28年7月1日付け「個人市民税調査票(平成28年度)」に、平成28年の給与収入金額は○○円とあり、審査請求人が申告した給与収入金額○○円と齟齬があることが判明した。
(24)平成28年7月21日付け、Bよりの「生活保護法第29条に基づく調査について(回答)」により、平成27年○月分の給与等支給額が○○円、同年○月分の給与等支給額が○○円であったことが判明した。また、同年○月分については、本給○○円とは別に、賞与○○円が支給されていたことが判明した。
 平成27年○月分の給与等支給額が○○円であるのに対し、審査請求人が同年○月分の収入申告書とともに提出した給与支給明細書には、支給額合計○○円とのみ記載があり、差額○○円(以下「差額①」という。)について、○月分の給与支給明細書の現金支給部分を改ざんしたことが認められる(なお、同年○月分の収入申告書には、総収入○○円との記載があるが、給与支給明細書とは明らかに額が異なることから、審査請求人の誤記と思われる。また、処分庁もそれを前提に、同年○月分としては、○○円を認定額としている。
 また、平成27年○月分の給与等支給額が○○円であるのに対し、審査請求人が平成27年7月18日付けで提出した同年○月分(なお、収入申告書には、○月分との記載があるが、提出日等から○月分の誤記と思われる。)の収入申告書の総収入欄の記載は、○○円であり、差額○○円(以下「差額②」という。)について申告しなかったことが認められる。また、審査請求人は、あわせて提出した○月分の給与支給明細書の現金支給部分を改ざんしたことが認められる。
 さらに、平成27年○月には、本給とは別に、賞与○○円(以下「差額③」という。なお、所得税○○円、健康保険料○○円、厚生年金保険料○○円及び雇用保険料○○円の控除があり、手取額は○○円である。)が支給されていたにも関わらず、それについて記載せず、同年○月分(なお、平成27年6月19日付けの収入申告書には何月分かの記載はないが、提出日等から○月分の記載漏れと思われる。)の総収入を○○円として申告を行ったことが認められる。
(25)平成28年8月1日、処分庁は、審査請求人に対し、未申告収入について申告するよう求める文書及び未申告収入の詳細を記載した文書を送付した。
(26)平成28年8月9日、処分庁は、審査請求人宅を訪問するが、不在であったため、未申告収入の申告期日を8月31日と記した文書をドアポストに投函した。
(27)平成28年8月29日、処分庁は、審査請求人と電話にて会話を行い、改めて、未申告収入の申告指示を行った。あわせて、収入①、②、④、⑤について審査請求人に尋ねるも、回答はなかった。
(28)平成28年9月15日、審査請求人あてに未申告収入の申告期日を同月30日として、指導指示書を交付するも、審査請求人からは、平成28年9月28日に「9月30日は給与明細が届かないので行けない。」と処分庁あて連絡があったが、未申告収入について申告されることはなかった。
4 争点
 審査請求人及び処分庁の主張を踏まえると、本件審査請求における争点は次のとおりである。
(1)資力のないものに対して徴収金決定処分を行うことが違法又は不当となるか(争点1)
(2)本件処分の徴収金額について計算誤りがあるか否か(争点2)
5 争点1について
 審理員意見書記載のとおり、法第78条に基づく費用の徴収は、損害追徴としての性格のものであり、その徴収額の決定にあたり相手方の資力が考慮されるというものではないことから、審査請求人の生活状態如何に関わらず、本件処分を取り消す事由とはならない。
6 争点2について
 審査請求人は、徴収金額の適否について主張しているが、要するに、審査請求人の諸々の未申告収入に法第78条を適用して○○円の返還を求めたことの適否が問題となることから、この点について検討する。
(1)ここで、収入①は借金であり、収入④、⑤については、売却代金であることから、「収入認定すべき収入」に該当する。また、収入③については、その性質は不明であるが、通常入金があれば、「活用可能な資産が増加」し、「収入認定すべき収入」に該当するといえる。
 また、収入②及び差額①~③については、第5、3、(22)、同(24)のとおり、就労による収入であることが認められる。就労により得た金銭により、「活用可能な資産が増加」することは明らかであることから、収入②及び差額①~③は、「収入認定すべき収入」に該当する。
(2)次に、課長通知では、「被保護者に不当に受給しようとする意思がなかったことが立証される場合で、保護の実施機関への届出又は申告をすみやかに行わなかったことについてやむを得ない理由が認められるとき」等は、「法第63条の適用が妥当である」と示されていることから、法第78条の適用にあたっては保護費を不当に受給しようとする意思があることが求められるとともに、各適用基準はその客観的事情を示していると解され、かかる解釈に不合理な点はない。また、被保護者に保護費を不当に受給しようとする意思があることを前提として、被保護者が法第61条に基づく届出義務としての収入申告義務を理解していることが必要であると解される。
ア まず、3、(1)のとおり、平成21年12月21日に、処分庁は、審査請求人に対し、収入の届出を行うよう説明を行ったことが認められる。また、同(11)のとおり、平成27年2月18日にも、処分庁は、審査請求人に対し、保護費以外の収入があれば申告を行うよう説明を行ったことが認められる。さらに、収入申告書にも、「1 働いて得た収入」を記載する欄及び「3 仕送り、養育費、財産収入(生命保険料等の給付金・解約返戻金)、その他の私的収入」を記載する欄があり、それぞれ、その有無について記載することが求められている。よって、就労収入は当然として、なんらかの収入があれば処分庁に対し収入申告を行う必要があることについて、遅くともそれぞれの収入を申告すべき時点で、審査請求人は認識していたものと認められる。
イ 上記のとおり、審査請求人は収入申告義務について認識していたにもかかわらず、3、(4)、同(8)、同(10)、同(17)のとおり、それぞれの収入について、収入申告書に記載しなかった事実が認められる。そして、その事実は、同(15)のとおり審査請求人が申告していた銀行口座に対し処分庁が法第29条による調査を行ったこと、もしくは、同(21)のとおり審査請求人が資産申告において申告していなかった銀行口座に対し処分庁が法第29条による調査を行ったことを契機として判明したことが認められる。また、同(18)、同(25)~(28)のとおり、審査請求人は、処分庁がそれらについて説明を求めても、何ら回答を行わなかったことも認められる。
 よって、審査請求人は、課長通知2-④の「課税調査等により、当該被保護者が提出した収入申告書が虚偽であることが判明したとき」に該当し、収入申告義務を理解していながら、保護費を不正に受給しようとする意思をもって申告すべき収入を申告していなかったと認められる。
ウ また、審査請求人は収入申告義務について認識していたにもかかわらず、3、(6)、同(12)~(14)のとおり、それぞれの収入について、収入申告書に記載しなかった事実が認められる。そして、その事実は、それぞれ、同(21)、同(23)のとおり、審査請求人が資産申告において申告していなかった銀行口座について処分庁が法第29条による調査を行ったこと、処分庁が課税調査を行ったことを契機として判明したことが認められる。また、審査請求人は、これら以外の就労収入については、毎月申告を行っていたのであるから、これらの収入のみ申告を忘れていたとは考え難い。さらに、同(25)~(28)のとおり、審査請求人は、処分庁がそれらについて説明を求めても、何ら回答を行わなかったことが認められる。
 よって、審査請求人は、課長通知2-④の「課税調査等により、当該被保護者が提出した収入申告書が虚偽であることが判明したとき」に該当し、収入申告義務を理解していながら、保護費を不正に受給しようとする意思をもって申告すべき収入を申告していなかったと認められる。
エ さらに、3、(24)のとおり、審査請求人は、収入申告書とあわせて提出すべき「給与明細書」を改ざんした事実が認められる。かかる行為は、課長通知2-②の「届出又は申告に当たり明らかに作為を加えたとき」に該当し、改ざんしてまで収入を少なく認定させようとしたことから、審査請求人は保護費を不正に受給しようとする意思を有していたことが認められる。
(3)審査庁が認定した事実は上記3のとおりであるところ、徴収金は、審査請求人が申告を行わなかった収入である収入①~⑤、差額①~③の合計○○円から、収入②の税・社会保険料に係る控除額○○円、差額③の税・社会保険料に係る控除額○○円の合計○○円を差し引いた○○円となり、処分庁の計算に誤りは認められない。
7 結論
 以上のとおり、審査請求人の主張に理由はなく、本件処分を取り消すべき事由は認められないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決する。

平成30年5月14日
審査庁 大阪市長  吉村 洋文

裁決書(平成30年度答申第4号)

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

SNSリンクは別ウィンドウで開きます

  • Facebookでシェア
  • Xでポストする
  • LINEで送る

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市総務局行政部行政課法務グループ
住所: 〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所4階)
電話: 06-6208-7443 ファックス: 06-6229-1260

メール送信フォーム

このページへの別ルート

表示