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答申書(平成30年度答申第8号)

2023年2月17日

ページ番号:442735

諮問番号:平成29年度諮問第23号
答申番号:平成30年度答申第8号

答申書

第1  審査会の結論
 本件審査請求は棄却されるべきである。

第2 審査請求に至る経過
1 平成28年10月14日、審査請求人は、審査請求人のこどもの「子どものための教育・保育給付保育認定(変更)申請書兼保育施設・事業利用調整申込書」を○○区保健福祉センター所長(以下「処分庁」という。)へ提出し、処分庁は面接を行った。
2 その後、利用申込者全てについて利用調整を行い、審査請求人のこどもについて入所保留決定(以下「本件処分」という。)を行った。
3 平成29年2月3日、処分庁は審査請求人宛に「保育施設・事業利用調整結果通知書兼保育所入所保留通知書」を発送した。
4 平成29年5月1日、審査請求人は本件処分について不服であるとし、処分庁へ審査請求書を提出した。

第3  審理員意見書の要旨
 本件審査請求についての審理員意見書の要旨は次のとおりである。
1  審査請求人の主張
 父母ともに就労しており、祖父母についても遠方であるため、家庭で保育をおこなうことができない。認可保育園に入所できない場合は、父母のどちらかが無職の状態にならなければならず、入所ができないという処分は不服である。
 また、保育が必要な理由を証明する書類である「就労・就学等証明書」に不正等がないか、証明発行元の企業等へ電話や面談等での確認を行っていない現状で、処分に至った過程で正しく審査が行われていたのか不明瞭である。
2  処分庁の主張
 処分庁は、審査請求人の入所希望保育施設は、いずれも募集数を上回る申込みであったため、大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱第4条の規定により、同要綱に定める保育利用調整基準に従い入所選考を行っており、本件処分は適正になされたものであると主張している。
 また、「就労・就学等証明書」の確認については、法令上特に定めはないが、提出された書類に疑義がある場合は、関係者への問合せを行うことがあるほか、根拠資料として採用しない場合がある。審査請求人については、提出された書類に疑義が無かったため、証明発行元の勤務先等へ特段の問合せは行っていない。
3  審理員意見書の結論
 本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、棄却されるべきである。
4  審理員意見書の理由
(1) 本件に係る法令等の規定について
ア 児童福祉法第24条第3項において、「市町村は、保育の需要に応ずるに足りる保育所、認定こども園(子ども・子育て支援法第27条第1項の確認を受けたものに限る。以下この項及び第26条の2第2項において同じ。)又は家庭的保育事業等が不足し、又は不足するおそれがある場合その他必要と認められる場合には、保育所、認定こども園(保育所であるものを含む。)又は家庭的保育事業等の利用について調整を行うとともに、認定こども園の設置者又は家庭的保育事業等を行う者に対し、前項に規定する児童の利用の要請を行うものとする。」と規定されている。
イ 児童福祉法施行規則第24条において、「市町村は、法第24条第3項の規定に基づき、保育所、認定こども園(子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第27条第1項の規定による確認を受けたものに限る。)又は家庭的保育事業等の利用について調整を行う場合(法第73条第1項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)には、保育の必要の程度及び家族等の状況を勘案し、保育を受ける必要性が高いと認められる児童が優先的に利用できるよう、調整するものとする。」と規定されている。
ウ 大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱第4条において、「保健福祉センター所長は、利用調整を行うにあたっては、利用調整会議を開催し、別表『保育利用調整基準』に基づき保育の必要性の高い児童から順に利用調整を行うものとする。」と規定されている。
(2) 本件処分が取り消されるべきか否かについて
 処分庁は、審査請求人が保育の必要性があると認定したものの、審査請求人の希望していた保育施設は、利用可能人数を上回る申込みがあったため、大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱に基づき利用調整を行っており、違法又は不当な点は認められない。
 また、処分庁は、提出された「就労・就学等証明書」等に疑義がある場合は、実務上、関係者への問合せを行うほか、根拠資料として採用しない等の対応をすることとしており、本件の審査の過程に違法又は不当な点は認められない。

第4  調査審議の経過
 当審査会は、本件審査請求について、次のとおり調査審議を行った。
  平成30年2月2日 諮問書の受理
  平成30年2月26日 調査審議(審査庁の口頭説明、処分庁の陳述)
  平成30年3月16日 審査庁からの主張書面の収受

第5  審査会の判断
1 本件に係る法令等の規定について
 前記第3、4、(1)のとおりであると認められる。
2 争点
 審査請求人及び処分庁の主張を踏まえると、本件審査請求における争点は次のとおりである。
(1) 保育の必要性が認められるにも関わらず入所保留とすることに違法又は不当な点があるか(争点1)
(2) 利用調整の過程に違法又は不当な点があるか(争点2)
3 争点に対する判断
(1) 争点1について
 審査請求人は、父母ともに就労しており、祖父母についても遠方であるため、家庭で保育をおこなうことができない旨主張するが、その点については、処分庁も否定するものではなく、審査請求人の保育の必要性は認められる。
 しかし、事件記録によれば、審査請求人が希望していた保育施設は、利用可能人数を上回る申込みがあったことが認められる。
 そして、利用可能人数を上回る申込みがあった場合には、児童福祉法第24条第3項、同施行規則第24条に基づき利用調整を行うことが法定されており、大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱第3条第1項に基づき利用調整が行われることになる。
 ここで、上記要綱に基づく選考方法は、申込者の中で、保育の必要性が高いものを優先するというものである。
 よって、利用調整を行うことは適法であり、また、その方法に不合理な点もないことから、違法又は不当な点はない。
(2) 争点2について
 事件記録によれば、審査請求人の世帯は、第1希望の保育所について、大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱第4条第1項、別表「保育利用調整基準」に従い、合計点数○○点とされている。そして、審査会で確認したところ、上記点数の算定に誤りはない。また、第1希望の保育所を希望した世帯で、○○点を上回った世帯、及び、審査請求人の世帯と同点ではあるが別表「保育利用調整基準 (3)順位表」で審査請求人世帯より優先順位が高い世帯で本保育所の入所枠が埋まったことが認められる。
 また、事件記録によれば、審査請求人は、申込書に第2希望まで希望保育所を記載しているが、第2希望の保育所については、合計点数○○点であり、この点数を上回る点数の世帯で入所枠が埋まったことが認められる。
 よって、処分庁が行った利用調整手続きについて、不合理な点は見受けられないことから、本件申請に対し入所保留処分を行ったことに違法又は不当な点はない。
 なお、審査請求人は、審査請求書等において、保育所申込者が処分庁に提出している「就労・就学等証明書」の勤務時間等に虚偽がないかを処分庁が適切に確認していない疑いがある旨主張する。しかし、事件記録によれば、「就労・就学等証明書」については、申込者の勤務先が押印の上で、申込者の勤務状況について証明し、その内容に疑義がある場合は、処分庁が勤務先に問い合わせを行うことがある他、根拠資料として採用しないことがあるとのことである。また、審査請求人は、納税状況が適切に確認されているかについても疑いがある旨主張するが、事件記録によれば、処分庁は合計所得金額について市民税台帳により確認していることが認められる。
 また、上記審査請求人の主張を踏まえ、本件について、審査請求人以外の申込者に上記のような疑いがあったか否か、疑いがあった場合にどのような確認を行ったかについて、審査庁に確認したところ、「就労・就学等証明書」に記載不備等が認められる事例はあったが、いずれも、勤務先への事実確認や再提出により疑義が解消されているとのことである。
 よって、審査請求人の主張は認められない。
4 小括
 以上のとおり、本件処分を取り消すべき事由は認められない。
5 審査請求に係る審理手続について
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
6 結論
 よって、本件審査請求に理由はないと認められるので、当審査会は、第1記載のとおり判断する。

(答申を行った部会名称及び委員の氏名)
 大阪市行政不服審査会総務第2部会
 委員(部会長) 長部研太郎、委員 藤田整治、委員 曽我部真裕

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