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平成30年7月4日付け裁決(答申第5号)

2023年2月17日

ページ番号:445033

裁決書

審査請求人  住所 ○○○○○
氏名 ○○○○○
処分庁  大阪市○○区保健福祉センター所長

 審査請求人が平成29年8月28日付けで提起し、平成29年9月8日に補正書の提出のあった特定教育・保育施設等利用者負担額決定(変更)通知書に係る審査請求について、次のとおり裁決する。

主文
 本件審査請求を棄却する。

事案の概要
1 平成28年10月3日、審査請求人は、審査請求人の児童2名に係る子どものための教育・保育給付保育認定(変更)申請書兼保育施設・事業利用調整申込書及び添付資料を提出(以下「保育申請」という。)し、大阪市○○区役所保健福祉課地域福祉担当(以下「地域福祉担当」という。)は、これを受理した。
2 審査請求人は保育申請に際し、地域福祉担当職員に審査請求人の夫(以下、単に「夫」という。)に係る添付資料が提出できない旨相談を行い、詳細は、児童手当の申請時に提出した、夫と離婚に向けて協議中であることが分かる担当弁護士からの上申書を参考にして欲しい旨の申し出があった。地域福祉担当職員は、大阪市こども青少年局保育施策部保育企画課より担当職員向けに出された、利用調整基準に係るFAQを参考に、申込に必要な保護者の添付資料は請求人のみに関すること、及び、保育利用調整基準の点数算定方法をひとり親世帯として扱う旨を説明した。
3 平成29年2月3日、地域福祉担当職員は、審査請求人の児童2名について○○保育園(私立保育所)への入所を内定する旨の保育施設・事業利用調整結果通知書を審査請求人に送付した。
4 平成29年4月1日、審査請求人の児童2名が上記3記載の保育所に入所した。
5 平成29年4月10日、地域福祉担当職員は平成29年度4月以降の保育所保育料を算定した。保育申請時に提出された審査請求人の平成28年度所得(課税)証明書を基に負担額を算定し、長男(○歳児)に係る保育所保育料を月額○○円、二男(○歳児)に係る保育所保育料を月額○○円とそれぞれ決定した。この際地域福祉担当職員は、審査請求人がこの時点では離婚していないこと等を理由に、大阪市子ども・子育て支援法施行細則(平成27年大阪市規則第15号。以下「市規則」という。)に定める要保護者等には該当しないと判断した。
6 平成29年4月24日、地域福祉担当職員は○○保育園に保育料利用者負担額等決定(変更)通知書、及び平成29年度保育料のお知らせ(私立保育所)を引き渡し、保育園を通じて審査請求人に渡した。
7 平成29年○月○日、○月○日、○月○日、○月○日に長男(○歳児)に係る保育所保育料○○円が、審査請求人の指定する銀行口座より口座振替により大阪市に支払われた。
8 平成29年7月28日、地域福祉担当職員は平成29年度9月以降の保育所保育料を算定した。審査請求人の平成29年度市民税額情報に基づき、平成29年度大阪市保育料金額表2・3号認定(保育認定)にある○階層世帯とし、長男(○歳児)に係る保育所保育料を月額○○円、二男(○歳児)に係る保育所保育料を月額○○円とそれぞれ決定(以下、「本件処分」という。)した。地域福祉担当職員は、引き続き審査請求人がこの時点では離婚していないこと等を理由に、市規則に定める要保護者等には該当しないと判断した。
9 平成29年8月18日、地域福祉担当職員は○○保育園に保育料利用者負担額等決定(変更)通知書を引き渡し、保育園を通じて審査請求人に渡した。
10 平成29年8月22日、審査請求人より地域福祉担当職員に、9月からの保育所保育料の通知書をもらったが、母子扱い(要保護者等としての扱い)となっていない、と架電があった。
11 平成29年8月23日、審査請求人に地域福祉担当職員から架電し、保育料の算定方法や入所申込みにおける当時の取り扱い内容を説明した。
 同日、審査請求人が地域福祉担当に来庁した。審査請求人は、保育申請時に「全て母子扱いでさせて頂く」と職員より説明を受け、申請書類以外の保育所保育料を含め母子扱いになる認識であるため、負担額を軽減するよう要求した。
 地域福祉担当職員は、保育利用調整基準の点数算定方法をひとり親世帯として扱った旨を説明した。ひとり親世帯として保育料を負担軽減するかは、児童扶養手当等の認定資格で確認することとなっており、審査請求人は離婚が成立していない等の理由から児童扶養手当の要件等を満たしていないため、負担軽減の対象にはならず「保育料を母子扱いにする」等とは言及していないと説明した。
12 平成29年8月28日、審査請求人は、保育所保育料の決定について不服であるとし、審査請求書を提出した。

審理関係人の主張の要旨
1  審査請求人の主張
 審査請求人は地域福祉担当職員から「全て母子扱いとなる」と説明を受け、保育料についても要保護者等としての扱いになるという認識であったと主張しており、平成29年度分の保育所保育料の決定に関しては、「母子扱い」として算出しなおすことを求めている。
2 処分庁の主張
 処分庁は、審査請求人に「保育料を母子扱いする」や「保育料をひとり親世帯等として負担軽減する」旨を述べた事実はなく、処分庁職員が負担軽減すると述べたとする証拠書類、又は証拠物の提出を求めると主張している。
 平成29年4月24日に、保育園を通じて保育所保育料に関する利用者負担額等決定(変更)通知書、及び平成29年度保育料のお知らせ(私立保育所)を審査請求人に渡しており、ひとり親世帯として負担軽減が適用されていないと知りえる状況にありながら、この決定内容については異議を唱えず、納付意思を示し指定期日に保育料の口座振替を行っていることを確認していると主張している。
 保育所保育料の決定について、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号。以下、「法」という。)第27条第3項第2号、子ども・子育て支援法施行令(平成26年政令第213号。以下、「法施行令」という。)第4条第2項及び第3項並びに市規則第8条第2項に基づき、保育料を決定しており、また、ひとり親世帯としての負担軽減については、法施行令第4条第4項、子ども・子育て支援法施行規則(平成26年内閣府令第44号)第22条1項に規定され、母子及び父子並びに寡婦福祉法第6条各項に配偶者のない者で現に児童を扶養している者の定義がされていると主張している。また、すでに審査請求人に交付済みの「平成29年保育料のお知らせ(私立保育所)」に「ひとり親世帯とは、母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和39年法律第129号)第6条第6項に規定する配偶者のない者で児童を扶養しているものの世帯をいいます。」と記載されており、大阪市として保護者に周知を行っていると主張している。

理由
1 本件処分に係る法令等の規定について
ア 法附則第6条第1項では、保育認定子ども(法第20条第4項に規定する支給認定子どものうち、法第19条第1項第1号に掲げる小学校就学前子どもに該当する者を除いたものをいう。以下同じ。)が法附則第6条第1項に規定する特定保育所から法第27条第1項に規定する特定教育・保育(保育に限る。以下同じ。)を受けた場合については、保育費用(法附則第6条第1項に規定する保育費用をいう。以下同じ。)を当該特定保育所に委託費として支払うこととされている。
イ 法附則第6条第4項では、保育費用の支払をした市町村の長は、保育認定子どもの法第20条第4項に規定する支給認定保護者又は扶養義務者から、保育費用をこれらの者から徴収した場合における家計に与える影響を考慮して特定保育所における保育に係る保育認定子どもの年齢等に応じて定める額(以下、「保育所保育料」という。)を徴収するものとされている。
ウ 市規則第8条第2項では、保護者が保育認定を受けて私立保育所を利用する場合は、保健福祉センター所長は市規則別表第2に基づき保育所保育料を決定するとされている。
エ 市規則別表第2では、支給認定保護者及び同一の世帯の者の状況に応じて保育所保育料が決定されることが定められている。
オ 同表において「要保護者等」とは、法施行令第4条第4項に規定する要保護者等をいうと規定されている。
カ 法施行令第4条第4項では、要保護者等とは要保護者(生活保護法(昭和25年法律第144号)第6条第2項に規定する要保護者をいう。)その他内閣府令で定めるものをいうとされている。
キ 子ども・子育て支援法施行規則第22条各号では、法施行令第4条第4項で定める要保護者等に該当するものを定めており、ひとり親に関するものとして、母子及び父子並びに寡婦福祉法による配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの(施行令第4条第4項に掲げる支給認定保護者と同一の世帯に属する者である場合を除く。)を規定している。
ク 母子及び父子並びに寡婦福祉法及び母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令(昭和39年政令第224号)によれば、「配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの」は、女子の場合、同法第6条第1項各号(同項第6号に該当する場合は同施行令第1条各号)に該当するものとされている。
2 本件処分に係る被処分者たる審査請求人が、要保護者等に該当しているか否かについて
ア 市規則では、保育所保育料は父母の市町村民税額を基に算定するとされているところ、処分庁は審査請求人の市町村民税額のみを基に保育所保育料の決定を行っている。また支給認定保護者が母子及び父子並びに寡婦福祉法による配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの(法施行令第4条第4項に掲げる支給認定保護者と同一の世帯に属する者である場合を除く。)に該当する場合は、支給認定保護者が要保護者等に該当するものとして、保育所保育料がさらに軽減される場合がある。
イ したがって審査請求人の主張は、保育料の決定において、審査請求人の世帯がひとり親世帯であるにもかかわらず、審査請求人が要保護者等に該当していないものとして本件処分がなされたことを不服とするというものと解される。
ウ 「配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの」とは、配偶者のない女子であって民法(明治29年法律第89号)第877条の規定により現に児童を扶養しているもの又は配偶者のない男子であって同条の規定により現に児童を扶養しているものをいうとされている。そこで審査請求人が母子及び父子並びに寡婦福祉法第6条第1項に定める「配偶者のない女子」に該当するか否かについて検討する。
(ア)母子及び父子並びに寡婦福祉法第6条第1項柱書、第1号、第2号
 審査請求人からの提出資料によれば、審査請求人は夫と離婚訴訟中であるためこれらに該当するとは認められない。
(イ)第6条第1項第3号
 審査請求人からの提出資料によれば、審査請求人は本人の意思で審査請求人の夫との同居状態を解消しており、遺棄されたとは言い難い。
 また夫からのDVがあったとの審査請求人からの主張についても、例えば裁判所からの保護命令等、客観的にDVがなされたことを証する書類の提出もないことから、この項目に該当すると判断することも困難である。
(ウ)第6条第1項第4号、第5号及び第6号
 審査請求人からは、審査請求人が当該各号に該当するという旨の主張はされておらず、これらに該当するとは認められない。
エ 以上より、審査請求人が本件処分申請時において「配偶者のない女子」に該当していたとは認められず、したがって要保護者等に該当していたとは認められない。
3 担当職員による要保護者等に関する説明の有無及び説明が本件処分に及ぼす効果について
ア 審査請求人の子に係る保育所保育料の決定において、地域福祉担当職員が要保護者等として取り扱うと説明したため、平成29年度の保育所保育料は要保護者等として取り扱うよう審査請求人は主張している。
イ これに対してアのような説明はしていないと処分庁は主張している。
ウ 双方の主張には隔たりがあり、それぞれの主張には明確な証拠もないことから、審査請求人の児童に係る保育所保育料決定において要保護者等として取り扱う旨の説明を担当職員が行ったかどうかについては、判断することができない。
エ ただし、仮に審査請求人が主張するような説明を担当職員が行っていたとしても、そもそも審査請求人は夫と離婚をしていないため要保護者等に該当しておらず、当初の審査請求人の児童に係る保育所保育料決定において要保護者等として決定されたと誤信したことにより、本件処分時において離婚が成立していなかったとも認められないことから、要保護者等として取り扱うべきであるとの主張は認められない。
オ 以上より、審査請求人の主張するような担当職員の説明の有無にかかわらず、審査請求人を要保護者等として保育所保育料の決定を行うべきであったとは認められない。
4 結論
 よって、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決する。

平成30年7月4日
審査庁   大阪市長  吉村 洋文

裁決書(平成30年度答申第5号)

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