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答申第112号

2019年9月9日

ページ番号:466104

概要

(1)開示請求の内容

「生活保護での医療診療内容(医療機関より)などとケース記録全て H27年9月から」の開示請求(以下「本件請求」といいます。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

本件請求に係る保有個人情報を「平成27年9月以降の医療診療内容(医療機関より)と生活保護記録」(以下「本件情報」といいます。)と特定した上で、病状調査票等に記載された傷病名及び病状に関する記録が大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「条例」といいます。)第19条第1号に、開示請求者以外の個人の氏名、住所及び電話番号が同条第2号に、法人等の印影が同条第3号に、ケース記録票に記載された援助方針の病状に関する記録が同条第6号に、それぞれ該当することを理由に部分開示決定を行いました。

(3)異議申立ての内容

上記(2)で非開示とした部分の開示を求めて、異議申立てがありました。

(4)答申の結論

ア 実施機関が開示しないこととした部分のうち、一部を開示すべきである。

イ 特定日作成のケース記録票において、開示請求者を本人とする保有個人情報に該当しないとして開示請求の対象外とした部分について、開示請求の対象情報とした上で、改めて開示決定等を行うべきである。

(5)答申のポイント

審議会は次のとおり判断しています。

ア 病状調査票及び診療報酬明細書のうち、傷病名及び病状に関する情報(以下「本件非開示部分1」という。)の条例第19条第1号該当性について

(ア) 実施機関へ改めて確認したところ、本件非開示部分1のうち、病状調査票の「主な傷病名」欄に記録された情報は、既に医療機関から異議申立人に対し開示されているとのことであり、開示することに特段の支障が認められないことから、異議申立人へ開示したとしても、異議申立人の生命、身体、健康、生活及び財産を害するおそれは認められず、条例第19条第1号に該当しない。

(イ) 実施機関へ改めて確認したところ、病状調査票の「病状等の参考事項」及び「今後の見込みについて」欄に記録されている異議申立人の病状に関する情報について、開示の程度や同情報を開示する時期を医療機関と調整することなく異議申立人に開示すると、医療機関と実施機関との信頼関係が損なわれ、今後、医療機関から協力が得られなくなり、生活保護の適正な実施に必要な情報の収集ができないとのことであり、当該実施機関の説明は十分に首肯でき、今後の生活保護事務の適正な執行に著しい支障が生じる相当の蓋然性があると認められる。
したがって、本件非開示部分1のうち、病状調査票の「病状等の参考事項」及び「今後の見込みについて」欄に記録された情報は、条例第19条第6号に該当する。
なお、実施機関は上記の情報の条例第19条第1号該当性も主張しているが、当該情報の開示の可否に係る当審議会の判断は上記のとおりであるから、当該情報の条例第19条第1号該当性については、判断しない。

(ウ) 診療報酬明細書は、患者が医療機関へ請求すれば、通常、患者に対して開示されるものである。
また、「傷病名(部位)」欄に記録された情報は、その病気の性質上、開示することにより、異議申立人の病状の悪化をもたらし、生命、身体、健康、生活及び財産を害することが予見されるようなものであるとは認められず、当該情報は、条例第19条第1号に該当しない。

イ ケース記録票のうち、異議申立人以外の個人に関する情報(以下「本件非開示部分2」という。)の条例第19条第2号該当性について

(ア) 本件非開示部分2のうち、医療機関の職員の姓及び職名(以下「本件非開示部分2-1」という。)の条例第19条第2号該当性について
本件非開示部分2-1は、医療機関の職員の姓及び職名であり、他の情報と照合することにより、異議申立人以外の特定の個人を識別することができるものであることから、条例第19条第2号本文に該当し、かつ、その性質上、同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。

(イ) 本件非開示部分2のうち、異議申立人が受診していた医療機関の名称(「以下「本件非開示部分2-2」という。)の条例第19条第2号該当性について
実施機関へ改めて確認したころ、本件非開示部分2-2を異議申立人に開示すると、医療機関と実施機関との信頼関係が損なわれ、今後、医療機関から協力が得られなくなり、生活保護の適正な実施に必要な情報の収集ができず、今後の生活保護事務の適正な執行に著しい支障が生じるおそれがあるため、条例第19条第6号にも該当するとのことであった。
加えて、当審議会において本件非開示部分4に記録されている情報を見分したところ、医療機関から寄せられた異議申立人に関する率直な評価及び所見と、異議申立人の自身に対する認識に相違があることが認められる。
これを踏まえると、異議申立人に本件非開示部分2-2を開示すると、医療機関と実施機関との信頼関係が損なわれ、今後、医療機関から協力が得られなくなり、生活保護の適正な実施に必要な情報の収集ができないとする実施機関の説明は十分に首肯でき、今後の生活保護事務の適正な執行に著しい支障が生じる相当の蓋然性があると認められる。
したがって、本件非開示部分2-2は、条例第19条第6号に該当する。
なお、実施機関は上記の情報の条例第19条第2号該当性も主張しているが、当該情報の開示の可否に係る当審議会の判断は上記のとおりであるから、当該情報の条例第19条第2号該当性については、判断しない。

ウ 病状調査票のうち、法人等の印影に関する情報(以下「本件非開示部分3」という。)の条例第19条第3号該当性について
当審議会において本件非開示部分3を見分したところ、本件非開示部分3は医療機関の医師の印影及び署名であった。
当該医師は、医療機関の勤務医であるところ、事業を営む個人とは認められないことから、本件非開示部分3は条例第19条第3号には該当しない。
なお、本件非開示部分3は、当該情報そのものにより、異議申立人以外の特定の個人を識別することができるものであることから、条例第19条第2号本文に該当すると認められる。
しかし、医療法第14条の2第1項は、病院又は診療所の管理者は、厚生労働省令の定めるところにより、診療に従事する医師の氏名等を当該病院又は診療所内に見やすいよう掲示しなければならないことを規定している。
したがって、本件非開示部分3の氏名そのものは、法令等の規定により異議申立人が知ることができる情報であると認められ、条例第19条第2号ただし書アに該当する。

エ ケース記録票、稼働年齢層検討票のうち、「異議申立人の援助方針等」、「異議申立人の評価」、「実施機関等の異議申立人に対しての所見」等に関する情報(以下「本件非開示部分4」という。)の条例第19条第6号該当性について

(ア) 稼働年齢層検討票及び特定日作成のケース記録票のうち、異議申立人の傷病名に関する情報(以下「本件非開示部分4-1」という。)の条例第19条第6号該当性について
実施機関に改めて確認したところ、稼働年齢層検討票の「主傷病名」欄に記録された情報は、医療機関から異議申立人に対し、既に開示されているため、条例第19条第6号に該当せず、開示すべきであったとのことであった。
また、特定日作成のケース記録票の4行目に記録された傷病名は、実施機関が異議申立人から聞き取った内容であるため、条例第19条第6号に該当せず、開示すべきであったとのことであった。
これに鑑みれば、本件非開示部分4-1を異議申立人へ開示したとしても、生活保護事務の適正な遂行に支障が生じる相当の蓋然性は認められず、条例第19条第6号に該当しない。

(イ) 異議申立人の援助方針等、異議申立人の評価及び実施機関等の異議申立人に対しての所見に関する情報(以下「本件非開示部分4-2」という。)の条例第19条第6号該当性について
本件非開示部分4-2は、ケースワーカーが異議申立人に対する生活保護の実施に関し適正な判断を行うために、異議申立人に対する評価、判定及び所見を率直に記載しており、これを開示すると、異議申立人が実施機関に不信感を抱き、今後の生活保護事務の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性が認められることから、本件非開示部分4-2は、条例第19条第6号に該当する。

オ 本件情報のうち、本件請求の対象外とした部分について
特定日作成のケース記録票において、異議申立人を本人とする保有個人情報に該当しないとして、本件請求の対象外であることを示す空白部分(以下「本件白抜き部分」という。)が認められる。
当審議会において本件白抜き部分を見分したところ、実施機関が、異議申立人に関する評価や所見を第三者から聞き取った内容が記録されていることが認められた。
したがって、本件白抜き部分は、異議申立人を本人とする保有個人情報に該当すると認められることから、本件白抜き部分を本件請求の対象情報とした上で、改めて開示決定等を行うべきである。  

答申第112号

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