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答申第117号

2019年9月9日

ページ番号:472004

概要

(1)開示請求の内容

「東住吉区と旭区における自身のケース記録すべて」との開示請求(以下「本件請求」といいます。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

本件請求に係る保有個人情報を「東住吉区における生活保護に関するケース記録(平成24年9月5日~平成26年10月9日分)」(以下「本件情報」といいます。)と特定した上で、保護記録に記載されている請求者の援助方針等にかかる部分(以下「本件非開示部分1」といいます。)が大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「条例」といいます。)第19条第6号に、サービス事業者等からの任意の情報提供にかかる部分(以下「本件非開示部分2」といいます。)が同条第4号及び第6号に、開示請求者以外の特定の個人を識別することができる部分(以下「本件非開示部分3」といいます。)が同条第2号に、特定の法人等を識別することができる部分(以下「本件非開示部分4」といいます。)が同条第2号、第3号、第4号及び第6号に、それぞれ該当することを理由に部分開示決定を行いました。

(3)審査請求の内容

本件非開示部分1及び本件非開示部分2の開示並びに本件情報以外の期間のケース記録の開示を求めて、審査請求がありました。

(4)答申の結論

実施機関が、開示しないこととした部分のうち、別表に掲げる部分を開示すべきである。

(5)答申のポイント

審議会は次のとおり判断しています。

ア 本件非開示部分1の条例第19条第6号該当性について
当審議会において本件非開示部分1を実際に見分したところ、本件非開示部分1は、審査請求人に係る審査請求人以外の個人の発言及び行動に関する情報(以下「援助方針関係情報1」という。)及び審査請求人に対する評価及び所見並びに審査請求人に係る援助方針に関する情報(以下「援助方針関係情報2」という。)から構成されていた。

(ア) 援助方針関係情報1について、改めて実施機関へ確認したところ、援助方針関係情報1は、審査請求人以外の個人の発言及び行動に関する内容を記録したものであり、正しくは条例第19条第2号にも該当することを理由に非開示とすべきであったとのことであった。
当審議会において援助方針関係情報1を実際に見分したところ、援助方針関係情報1は、確かに、審査請求人以外の個人の発言及び行動に関する内容が記録されたものであって、審査請求人以外の特定の個人を識別できる情報であった。
したがって、援助方針関係情報1は、条例第19条第2号本文に該当し、また、その情報の性質上、同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しないと認められる。
なお、実施機関は、援助方針関係情報1の条例第19条第6号該当性を主張しているが、援助方針関係情報1の開示の可否に係る当審議会の判断は上記のとおりであるから、援助方針関係情報1の条例第19条第6号該当性については、判断しない。

(イ) 援助方針関係情報2について、実施機関に改めて確認したところ、生活保護制度においては、被保護者とケースワーカー等との良好な人間関係を構築した上で、被保護者の自立を支援していくことが重要であり、そのため、ケースワーカー等は、ケースワークの援助技術として受容的な態度で指導を行う一方で、被保護者(世帯)の実情を明らかにし処遇方針や保護決定の根拠を示す必要があり、したがって、ケースワーカー等は、被保護者に対する評価等をケース記録票等に率直に記録するものである以上、当該記録は被保護者自身の所感と異なる場合もあり得ることから、援助方針関係情報2を被保護者へ開示した場合、被保護者に無用の不信感や感情的な反発を生じさせることになり、事務の性質上、被保護者に対する支援のみならず、将来の生活保護事務全般の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとのことであった。
これに鑑みれば、援助方針関係情報2のうち別表に掲げる情報を除いて、確かに、ケースワーカーが審査請求人に対する生活保護の実施に関し適正な判断を行うために、審査請求人に対する評価及び所見を率直に記録しており、これを開示すると、審査請求人が実施機関に不信感を抱き、今後の生活保護事務の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性が認められることから、条例第19条第6号に該当する。
しかしながら、援助方針関係情報2のうち、別表の項番1、項番2及び項番3について、改めて実施機関へ確認したところ、審査請求人に対して説明又は伝達を行っている情報であるとのことであり、項番4について、改めて実施機関へ確認したところ、ケースワーカーが家庭訪問の際に直接感じた審査請求人の居宅内部の様子及び印象を記録した情報であるとのことであり、項番5及び項番10について、本件決定において既に審査請求人に開示されている情報から、審査請求人に対して既に実施又は指示していることが明らかな内容であり、項番6について、審査請求人の同意を得ている内容が記録されている情報であり、項番7について、改めて実施機関へ確認したところ、審査請求人本人に伝達しようと考えていたものの結果的にその機会がなかった情報であるとのことであって、審査請求人が知ることが予定されていた情報であり、項番8及び項番11について、本件決定において既に審査請求人に対して開示されている情報から、審査請求人にとって容易に推測し得る情報であると認められ、項番9について、関係機関あてに審査請求人の援助方針等に関する連絡を行った旨が記録されているものであり、審査請求人に対する評価及び所見並びに審査請求人に係る援助方針に関する情報であるとは認められない。
上記を踏まえると、援助方針関係情報2のうち別表に掲げる情報については、審査請求人へ開示したとしても、実施機関と審査請求人との間の信頼関係が損なわれ、生活保護事務の適正な遂行に支障が生じるおそれがあるとは認められないことから、条例第19条第6号に該当しない。

イ 本件非開示部分2の条例第19条第4号及び第6号該当性について
当審議会において本件非開示部分2を実際に見分したところ、本件非開示部分2は、審査請求人に係る審査請求人以外の個人の発言及び行動に関する情報(以下「情報収集関係情報1」という。)及び審査請求人に係る生活保護事務の適正な執行のために関係機関から収集した情報(以下「情報収集関係情報2」という。)から構成されていた。

(ア) 情報収集関係情報1の非開示妥当性について
情報収集関係情報1について、改めて実施機関へ確認したところ、情報収集関係情報1は、審査請求人以外の個人の発言及び行動に関する内容を記録したものであり、正しくは条例第19条第2号にも該当することを理由に非開示とすべきであったとのことであった。
当審議会において情報収集関係情報1を実際に見分したところ、情報収集関係情報1は、確かに、審査請求人以外の個人の発言及び行動に関する内容が記録されたものであって、審査請求人以外の特定の個人を識別できる情報であった。
したがって、情報収集関係情報1は、条例第19条第2号本文に該当し、また、その情報の性質上、同号ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しないと認められる。
なお、実施機関は、情報収集関係情報1の条例第19条第4号及び第6号該当性を主張しているが、情報収集関係情報1の開示の可否に係る当審議会の判断は、上記のとおりであるから、情報収集関係情報1の条例第19条第4号及び第6号該当性については、判断しない。

(イ) 情報収集関係情報2の条例第19条第4号及び第6号該当性について
情報収集関係情報2について、改めて実施機関へ確認したところ、実施機関が関係機関から収集した情報については、本人の意に反する内容が含まれることもあるところ、仮にこれが開示されることになれば、情報提供を行った関係機関が本人から抗議を受ける可能性があり、今後、関係機関が情報提供に非協力的ないし消極的となって、その結果、実施機関での正確な事実の把握が困難になるおそれがあること、また、本人の感情や反応を考慮するあまり、実施機関が提供を受けた情報を簡略化して記録することになりケース記録票等の内容が形骸化するおそれがあることから、生活保護事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとのことであった。
当審議会において情報収集関係情報2を実際に見分したところ、情報収集関係情報2は、確かに、審査請求人に係る生活保護事務の適正な遂行のために関係機関から収集した情報が記録されていることから、情報収集関係情報2が開示されることとなると、関係機関が実施機関への情報提供に消極的となって、その結果、実施機関での正確な事実の把握が困難になり、必要な情報が十分に得られなくなるおそれがあるとともに、本人の感情や反応を考慮してケース記録票等の記録内容を簡略化・定型化することが予想され、生活保護事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
したがって、情報収集関係情報2は、条例第19条第6号に該当する。
なお、実施機関は、情報収集関係情報2の条例第19条第4号該当性を主張しているが、情報収集関係情報2の開示の可否に係る当審議会の判断は上記のとおりであるから、情報収集関係情報2の条例第19条第4号該当性については、判断しない。

ウ 本件決定に係る期間以外の東住吉区における審査請求人の生活保護に関するケース記録の存否について

(ア) 審査請求人は、本件審査請求において、平成24年9月5日から平成26年10月9日までの期間以外のケース記録があるはずである旨を主張している。

(イ) 実施機関は、審査請求人について、生活保護申請日である平成24年8月28日付けで生活保護を開始し、平成26年10月1日付けで生活保護を廃止となっており、東住吉区における生活保護に関するケース記録は、担当ケースワーカーが平成24年9月5日に関係機関へ連絡を取った記録から作成され、平成26年10月9日に平成26年10月1日付けで生活保護を廃止する旨及び審査請求人との面談内容に関する記録で終了しており、上記期間以外の期間に東住吉区における審査請求人の生活保護に関するケース記録は存在しない旨を主張している。

(ウ) 当審議会において本件情報を実際に見分したところ、確かに、上記(イ)のとおりであることが認められた。

(エ) したがって、上記(イ)及び(ウ)を踏まえると、東住吉区における審査請求人の生活保護に関するケース記録が平成24年9月5日から平成26年10月9日までのみとする実施機関の主張に特段、不自然不合理な点は認められない。

答申第117号

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