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令和元年7月24日付け裁決(答申第4号)

2022年12月22日

ページ番号:481475

裁決書

審査請求人 ○○○○
処分庁 大阪市長          

 審査請求人が平成31年1月18日付け及び平成31年2月22日付けで提起した処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による平成30年12月19日付け事業所税更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び平成31年2月5日付け事業所税過少申告加算金決定処分(以下「本件加算金決定処分」という。)に係る審査請求(平成30年度財第29号及び財第35号 以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 審査請求人は、平成30年10月26日付けで平成29年9月1日から平成30年8月31日までの事業年度に係る事業所税について、納付すべき金額を○○○○円と記載した確定申告書(以下「本件申告書」という。)を処分庁に提出しました。
2 処分庁は、これに対し、平成30年12月19日付けで更正額を○○○○円とする本件更正処分を行いました。
3 処分庁は、平成31年2月5日付けで過少申告加算金の額を○○○○円とする本件加算金決定処分を行いました。
4 審査請求人は、平成31年1月18日付けで、大阪市長に対し、本件更正処分の取消しを求めて、審査請求を提起しました。
5 審査請求人は、平成31年2月22日付けで、大阪市長に対し、本件加算金決定処分の取消しを求めて、審査請求を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 審査請求書における主張
 ホテル業及び旅館業免許を取得した場合、事業所税の1/2減免の制度が存在する。
 現在当社が経営する簡易宿所もインバウンドを中心客とし、他のホテル業者と運営集客に関しほとんど変わりは無い。なぜ、簡易宿泊業には減免が無いのか。
 以前は住宅としての側面が強かったこともあり3/4減免の時代もあった。しかし、今の客層は他のホテル業を営む事業者と変わらず減免額が1/2に変更されるなら理解できる。
 なぜ、簡易宿泊業免許だけ減免が無いのか。この質問に関して明確な回答も今だにうけたことは無い。明らかに特定の業種だけに対しての不平等な税制では無いのか。
 法律で決まっているからの一言で全て棄却されているが、この考え方について市長の意見を是非お伺いしたい。
(2) 反論書における主張
 現在の簡易宿所における利用状況が、かつてのように、専ら日雇い労働者のための宿泊ではなく、ホテル営業と何ら変わらない利用がなされている。簡易宿所は、ホテルや旅館と違って、リーズナブルな価格で宿泊利用したいという人のニーズに答えるものとして、その利用価値があり、外国人観光者等の利用にも貢献している。大阪府における宿泊税においては、ホテル営業や旅館営業と同様に、簡易宿所営業もその対象となっている。現行の法律上、地方税法(以下「法」という。)第701条の41第1項の表第9号(ホテル・旅館用施設)に規定する課税標準の特例(以下「ホテル特例」という。)の対象から簡易宿所営業が除かれていることは知っているが、上記のことを鑑みると、なぜ、事業所税のホテル特例が簡易宿所にも適用されないのか。税制上何の違いがあるのか甚だ疑問を感じる。このような取扱いがされているのは、様々な税金の中でも事業所税のみであり、これは明らかに法律の不備であると思っている。
 上記のことから、ホテル特例が簡易宿所営業についても適用できるよう法律改正すべきと考えるが、法律の改正には時間がかかると思うので、せめて、それまでの間、大阪市独自で、簡易宿所に対する事業所税において、ホテル特例と同様の1/2を減免する制度を策定すべきである。減免申請しているのも、その観点で認めてもらえるはずだと考えているからである。
 法律というのは様々な解釈が可能であり、現行の法令上でも総合的に考えたら、適用が可能という拡大的な解釈ができるのではないかと思っている。よって、正しくない申告とは思っていない。例えば、担当者が変われば、解釈も変わり、適用してもらえることがあるのではと思っている。
 これは余談になるが、民泊に対して適正な課税ができていないのではないか。きちんと旅館業の許可を受けた事業者だけが厳しい課税を言われるのは不公平である。民泊に対しても、もっと厳格に課税を行っていくべきである。
2 処分庁の主張
(1) 事実の経緯
 審査請求人より提出された本件申告書において、審査請求人が事業を行っている「○○○○」と称する施設(以下「本件施設」という。)について、ホテル特例を適用し、算定期間を通じて使用された事業所床面積から、当該事業所床面積に2分の1を乗じて得た面積を控除して算出した事業所税資産割の課税標準が記載されていた。
 本件施設について、本市保健所における旅館営業許可を確認したところ、簡易宿所として営業許可がされていること、及び本市船場法人市税事務所課税担当(法人市民税・事業所税グループ)の担当職員による外観調査により、本件施設が現在も営業されていることの確認を行った。
 以上の状況を踏まえ、本件施設は簡易宿所であり、ホテル特例の適用がないことから、本件更正処分を行い、本件更正処分により増額した事業所税額に係る本件加算金決定処分を行った。
(2) 審査請求人の主張に対する弁明について
 本件更正処分についてみると、当該事業所税の課税標準の特例の対象となるのは、法第701条の41第1項の表第9号に規定されているとおり、旅館業法第2条第2項又は第3項に規定するホテル営業又は旅館営業の用に供する施設であり、旅館業法第2条第2項における「ホテル営業」とは、洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいうとされ、同法同条第3項における「旅館営業」とは、和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいうとされており、簡易宿所営業の用に供する施設は対象となっていない。
 審査請求人が事業を行っている本件施設は簡易宿所であり、本件申告書に係るホテル特例措置の適用はないことから、法第701条の58第1項の規定に基づき本件更正処分を行ったものであり、適法である。
 また、大阪市市税条例及び大阪市市税条例施行規則において、平成29年9月1日から平成30年8月31日までの事業年度に対する事業所税の減免措置の規定はない。したがって審査請求人の主張は認められない。
 さらに、本件加算金決定処分については、本件更正処分を行ったことにより、法第701条の61第1項の規定に基づき行ったものであり、適法である。

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1) 事業所税の課税標準について
 事業所税の課税標準は、資産割にあっては、課税標準の算定期間の末日現在における事業所床面積とされています(法第701条の40第1項)。
(2)事業所税の課税標準の特例について
ア 旅館業法第2条第2項に規定する旅館・ホテル営業用に供する施設で政令で定めるものに係る事務所又は事業所(以下「事業所等」という。)において行う事業に対して課する資産割の課税標準となるべき事業所床面積の算定については、当該施設に係る事業所等に係る事業所床面積(法第701条の34の規定の適用を受けるものを除く。)から当該施設に係る事業所床面積に2分の1を乗じて得た面積を控除するものとされています(法第701条の41第1項の表第9号)。
 上記の規定の適用を受ける事業であるかどうかの判定は課税標準の算定期間の末日の現況によるものとされています。(同条第3項)。
イ 旅館・ホテル営業とは、施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のものをいうこととされています(旅館業法第2条第2項)。
ウ 旅館業を営もうとするものは、保健所を設置する市にあっては、市長の許可を受けなければならないこととされています(同法第3条第1項)。
(3)事業所税の更正について
 法第701条の31第1項第1号に規定する指定都市等(以下「指定都市等」という。)の長は、法第701条の46の規定による申告書の提出があった場合において、当該申告書に係る課税標準額又は税額がその調査したところと異なるときは、これを更正することとされています(法第701条の58第1項)。
 指定都市等の長は、更正した場合には、遅滞なく、これを納税者に通知しなければならないこととされています(法第701条の58第4項)。
(4)事業所税の過少申告加算金について
 申告書の提出期限までにその提出があった場合において、第701条の58第1項の規定による更正があったときは、指定都市等の長は、当該更正前の申告に係る税額に誤りがあったことについて正当な理由があると認める場合を除き、当該更正による不足税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算金額を徴収しなければならないこととされています(法第701条の61第1項)。
2 本件処分の適法性及び妥当性について
(1) 本件更正処分及び本件加算金決定処分について
 審査請求人は、現在の簡易宿所の利用状況について、ホテル営業と何ら変わらない利用がなされており、現行の法令においても総合的に考えると、簡易宿所に法第701条の41第1項の表第9号に規定する課税標準の特例の適用が可能という拡大的な解釈ができる旨主張しています。
 しかしながら、審査請求人は、本件施設を営むにあたって旅館業法第3条第1項の規定に基づき、簡易宿所営業の許可を受け、旅館・ホテル営業の許可を受けていないことからすると、本件施設については旅館業法に規定する旅館・ホテル営業の用に供する施設であると認めることはできません。
 したがって、処分庁が法第701条の41第1項の表第9号に規定する課税標準の特例に該当しないとして、法第701条の58第1項の規定に基づき、本件施設の事業所床面積から非課税に係る事業所床面積を控除した床面積を資産割に係る課税標準とし、本件更正処分を行ったことに違法又は不当な点は認められません。
 また、本件加算金決定処分についても、本件更正処分に基づき、法第701条の61第1項の規定により行われたものであり、違法又は不当な点は認められません。
(2) その他の審査請求人の主張について
 審査請求人は、簡易宿所の利用状況やその利用価値からすると、ホテル営業や旅館営業と簡易宿所営業に税制上違いがあることは法律の不備であり、簡易宿所営業の用に供する施設に対しても、法令上、事業所税の課税標準の特例措置を設けるべきである旨及び法令が改正されるまでは大阪市において簡易宿所に係る事業所税を減免する制度を策定すべきである旨主張していますが、当該主張は立法論の範疇に属するものであり、採用することはできません。
3 結論
 以上のとおり、本件処分に違法又は不当な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

令和元年7月24日
大阪市長 松井 一郎

裁決書(令和元年答申第4号)

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