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答申第462号

2024年3月22日

ページ番号:481740

概要

(1)公開請求の内容

生活保護グループ(西成区)7と13会議録(生活保護を受けている人の自主自立と健康増進に関する物)H29年3月分

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

実施機関は、本件請求に係る公文書を「ケース診断会議記録票(7グループ及び13グループの平成29年3月開催分)」(以下「本件文書」という。)と特定した上で、大阪市情報公開条例(以下「条例」という。)第10条第1項に基づき、被保護者個人の氏名、生活等の状況、その他個人に関する情報が条例第7条第1号に該当することを理由に、部分公開決定(以下「本件決定」という。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件決定の取り消しを求めて、審査請求がありました。

(4)答申の結論

実施機関が本件決定で公開しないこととした部分のうち、ケース診断会議記録票番号の非公開部分を公開すべきである。

(5)答申のポイント

審査会は、次のアからカまでの理由により、ケース診断会議記録票番号の非公開部分を公開すべきであるが、本件決定のその余の部分は妥当であると判断しています。

ア 本件文書について
本件文書はケース診断会議の記録であり、実施機関によれば、ケース診断会議は、不正受給に係る返還金の発生など、複雑困難な問題を有するケースについての援助方針、措置内容等について総合的に審議検討することにより、ケース取扱いの妥当性の確保、保護の適正実施を図ることを目的として開催されるとのことである。
特定の世帯がケース診断会議の対象となったという情報は、当該世帯が生活保護行政上何らかの課題を有する世帯であるという、通常他人にみだりに知られたくない特段の配慮を要する情報であると認められるところ、本件非公開情報が、他の情報と照合することによりケース診断会議の対象となった世帯の世帯主である特定の個人を識別することができることとなるか否かは慎重に検討する必要がある。

イ 世帯主名及びケース番号の条例第7条第1号該当性について
世帯主名は、世帯主の個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものと認められる。
また、ケース番号は、実施機関によれば、ケースの世帯ごとに付番される生活保護事務を行う際に基本となる番号で、実施機関が作成・使用する文書やシステムの情報はケース番号で管理されているとのことである。
したがって、世帯主名及びケース番号は、ケースの世帯主の個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、また情報の性質上、ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。

ウ 世帯類型、訪問基準及び保護開始年月日の条例第7条第1号該当性について
世帯類型は、ケースの年齢や障害の有無等の条件により、世帯を高齢者世帯、母子世帯、障がい者世帯、傷病者世帯又はその他世帯に分類したものである。
訪問基準は、実施機関がケースを訪問する頻度をケースごとに設定するものであり、その頻度は「1か月に1回以上」から「1年に1回以上」までの6種類に分けられている。
保護開始年月日は、生活保護を開始した日であり、実施機関によれば、当該行政区外から転入した日や近接日に生活保護の申請がなされた場合は、保護開始年月日からは、転入時期が類推される場合があるとのことである。
そして、本件文書においてはケースワーカー名が公開されており、実施機関によれば各ケースワーカーが当該行政区内のどこの地域を担当しているかは申し出に応じて公開しており、ケースワーカー名から当該世帯が当該行政区内のどの地域に住所を有するか絞られるとのことである。
ケースワーカー名により住所が類推できることに加えて、本件非公開情報のうち世帯類型、訪問基準及び保護開始年月日は、近隣住民や知り合いであれば知り得る転居時期・家族構成・住所・訪問頻度などの情報と照合することにより、ケース診断会議の対象となった世帯の世帯主である特定の個人を識別することができると認められる。
したがって、世帯類型、訪問基準及び保護開始年月日は条例第7条第1号本文に該当し、また情報の性質上、ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。

エ 収入認定額、最低生活費及び扶助額の条例第7条第1号該当性について
生活保護制度においてでは、厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入認定額を比較して、収入認定額が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入認定額を差し引いた差額が扶助額として支給される。最低生活費と収入認定額の差額が扶助額であるから、これらの情報は相互に関連する情報である。
(ア) 収入認定額について
収入認定額は、就労による収入、年金等社会保障給付及び親族による援助等を認定し決定する。
実施機関によれば、収入認定額が社会保障給付のみの場合、当該世帯の状況に応じて金額が定められているため、収入認定額の金額からどのような社会保障給付を受けているのかが類推でき、社会保障給付の種類から当該世帯の生活環境や世帯類型が類推できるとのことである。
本件文書を実際に見分したところ、収入認定額と社会保障給付額が合致する事例があることが認められ、収入認定額が当該世帯の全収入であることを踏まえると、収入認定額から社会保障給付の種類が判明し、当該世帯の生活環境や世帯類型が相当程度の確からしさをもって特定できる場合があるとの実施機関の説明には合理性がある。

(イ) 最低生活費について
実施機関によれば、最低生活費は世帯構成員の年齢や人数に応じて決まる金額に生活扶助加算、住宅扶助加算等を行って算出するが、加算の種類が少なければ少ないほど、最低生活費の金額から世帯構成員の年齢や人数が類推できるとのことである。
実施機関に本件文書に記載の最低生活費の算出方法を確認したところ、生活扶助加算、住宅扶助加算等がない事例があることが認められ、最低生活費から世帯構成員の年齢や人数が相当程度の確からしさをもって特定できる場合があるとの実施機関の説明には合理性がある。
(ウ) 条例第7条第1号該当性について
上記(ア)及び(イ)を踏まえると、収入認定額、最低生活費及び扶助額を公開することによりケース診断会議の対象となった世帯の状況が判明する可能性を否定できない。
上記アのとおり、本件非公開情報が、他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができるか否かは、慎重に判断する必要があるところ、本件文書に記載されたケースワーカー名により住所が類推できることに加えて本件非公開情報のうち収入認定額、最低生活費及び扶助額は、近隣住民や知り合いであれば知り得る情報と照合することにより、当該ケース診断会議の対象となった世帯の世帯主である特定の個人を識別することができると認められる。
したがって、収入認定額、最低生活費及び扶助額は条例第7条第1号本文に該当し、また情報の性質上、ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。

オ ケースの状況及び経過、検討事項・問題点並びに会議の要点・内容及び結論の条例第7条第1号該当性について
本件文書を見分したところ、ケースの状況及び経過、検討事項・問題点並びに会議の要点・内容及び結論の各欄は叙述形式になっており、個別のケースの状況や実施機関が行った指導についてケースワーカーの率直な表現も交えて具体的に記載されていることが認められる。このような内容は、被保護者個人の人格と密接に関わる情報であって、個人識別性のある部分を除いたとしても、みだりに他人に知られたくない情報であり、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあると認められる。
したがって、ケースの状況及び経過、検討事項・問題点並びに会議の要点・内容及び結論は、条例第7条第1号本文に該当し、また情報の性質上、ただし書ア、イ、ウのいずれにも該当しない。

カ ケース診断会議記録票番号の非公開部分の条例第7条第1号該当性について
ケース診断会議記録票番号とは、本件文書の右上に記載された2つの数字を組み合わせた番号で、2つの数字のうち年度を表す数字以外の数字を非公開としている。実施機関によれば、ケース診断会議記録票番号の非公開部分は、実施機関の整理のために記録票ごとに連番で付番している数字であるとのことである。ケース診断会議記録票番号の非公開部分は特定の世帯や個人に紐づかない単なる整理番号の一部であって、他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるとはいえない。
したがって、ケース診断会議記録票番号の非公開部分は、条例第7条第1号に該当しない。

答申第462号

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