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令和元年9月17日付け裁決(答申第9号)

2023年2月17日

ページ番号:485074

裁決書

審査請求人 ○○○○
処分庁 大阪市長  

 審査請求人が平成31年2月25日付けで提起した処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による平成30年11月19日付け平成30年度市民税及び府民税税額変更処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(平成30年度財第34号。以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 処分庁は、納税義務者である○○○○(審査請求人の父、以下「納税義務者」という。)に対して、平成30年度の市民税及び府民税に係る普通徴収税額を○○○○円とする賦課決定処分を行い、平成30年6月5日、「平成30年度 市民税・府民税 納税通知書兼税額決定(充当)通知書」(以下「本件納税通知書」という。)を送付しました。
2 処分庁は、納税義務者及び審査請求人の平成30年度の市民税及び府民税について、納税義務者の配偶者である○○○○(以下「○○○○」という。)を二重に扶養親族としていたことが判明したことから、平成30年10月24日、納税義務者及び審査請求人の双方に対し、扶養親族に関する調査文書(以下「本件各調査書」という。)を送付しました。
3 納税義務者は、平成30年10月26日、死亡しました。
4 本件各調査書に対し、平成30年10月29日、納税義務者名で○○○○を扶養親族としない旨の回答があり、平成30年11月5日、審査請求人名で○○○○を扶養親族とする旨の回答がありました。
5 審査請求人は、平成30年11月19日、納税義務者の相続人の代表者として「相続人代表指定届出書」並びに特定株式等譲渡所得金額及び上場株式等に係る繰越損失の金額等を記載した納税義務者名義の「平成29年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書」の写しを添付した「平成30年度分 市民税・府民税 申告書」(以下「本件申告書」という。)を処分庁へ提出しました。
6 処分庁は、本件申告書に基づき、納税義務者の配偶者控除を否認することとし、普通徴収税額を○○○○円とする本件処分を行いました。
7 審査請求人は、平成31年2月25日、大阪市長に対し、本件処分の取消しを求めて審査請求を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 翌年以後に繰り越される上場株式等に係る譲渡損失○○○○円が認められていない。
(2) 地方税関係法令の規定とは別に、大阪市において、いつから期限後申告は適用しないということになったのかについて、周知がされていないため、本件処分は適正でない。
2 処分庁の主張
(1) 平成29年度分及び平成30年度分の市・府民税に係る納税通知書については、年金保険者より提出を受けた公的年金等支払報告書に基づき税額の決定を行い、平成29年度分は平成29年6月5日に、平成30年度分は平成30年6月5日に郵便にて発送している。それぞれの年度分の納税通知書は、返戻された記録もないため、通常到達すべき時に送達があったものと推定される。
(2) 本件各申告書には、所得控除に係る内容、特定配当等所得、特定株式等譲渡所得及び上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の記載があるが、特定配当等所得、特定株式等譲渡所得及び上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除については適用せず、平成29年度分については社会保険料控除額を増額するとともに、配偶者特別控除を否認し、平成30年度分については配偶者控除を否認し、それぞれの年度分に係る市・府民税額の増額処分を行ったものである。
(3) 本件申告書において申告された、特定配当等所得及び特定株式等譲渡所得並びに上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除については、いずれも納税通知書送達後の申告であることから、適用しないこととしたものである。
(4) 特定配当等所得及び特定株式等譲渡所得の規定は平成15年に新設され、平成29年に一部改正されており、上場株式等の譲渡損失の繰越控除についての規定も平成15年に新設され、以降数度にわたり改正されているが、これらの規定を適用するための申告書の提出期限については制度創設当初より変更されていない。
 本件処分については制度創設以来の規定どおりの取扱いによるものであり、本市独自の取扱いや制度改正によって取扱いが変更となったものではないため、ホームページ等で周知は行っていない。

理由
1 本件各審査請求に係る法令等の規定
(1) 株式等譲渡所得割について
ア 株式等譲渡所得割とは、特定株式等譲渡所得金額により課する道府県民税をいうとされています(地方税法(以下「法」という。)第23条第1項第3号の4)。
イ 特定株式等譲渡所得金額とは、租税特別措置法第37条の11の4第2項に規定する源泉徴収選択口座内調整所得金額をいうとされています(法第23条第1項第17号)。
ウ 株式等譲渡所得割の課税標準は、特定株式等譲渡所得金額とするとされています(法第71条の48)。
エ 株式等譲渡所得割の徴収については、特別徴収の方法によらなければならないとされています(法第71条の50)。
(2) 特定株式等譲渡所得金額に係る所得について
ア 特定株式等譲渡所得金額に係る所得を有する者に係る総所得金額は、当該特定株式等譲渡所得に係る所得の金額を除外して算定するものとされています(法第32条第14項及び第313条第14項)。
イ 特定株式等譲渡所得金額に係る所得が生じた年の翌年の4月1日の属する年度分の特定株式等譲渡所得金額申告書(市民税及び府民税の納税通知書が送達される時までに提出された次に掲げる申告書をいう。)に特定株式等譲渡所得金額に係る所得の明細に関する事項等の記載があるときは、上記アの規定は適用せず、当該特定株式等譲渡所得金額に係る所得の金額を除外せず総所得金額を算定するとされています(法第32条第15項及び第313条第15項)。
(ア) 法第45条の2第1項の規定による申告書及び法第317条の2第1項の規定による申告書
(イ) 法第45条の3第1項に規定する確定申告書(同項の規定により法第45条の2第1項の規定による申告書が提出されたとみなされる場合における当該確定申告書に限る。)及び法第317条の3第1項に規定する確定申告書(同項の規定により法第317条の2第1項の規定による申告書が提出されたとみなされる場合における当該確定申告書に限る。)
(3) 上場株式等に係る譲渡所得等に係る課税の特例
 市民税及び府民税の所得割の納税義務者が前年中に租税特別措置法第37条の11第1項に規定する上場株式等に係る譲渡所得等を有する場合には、当該上場株式等に係る譲渡所得等については、法第32条第1項及び第2項並びに第35条の規定並びに法第313条第1項及び第2項並びに第314条の3の規定にかかわらず、他の所得と区分し、前年中の当該上場株式等に係る譲渡所得等の金額として政令で定めるところにより計算した金額に対し、当該金額の100分の1に相当する金額に相当する府民税の所得割及び100分の4に相当する金額に相当する市民税の所得割を課するとされています(法附則第35条の2の2第1項及び第5項)。
(4) 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
ア 市民税及び府民税の所得割の納税義務者の前年前3年内の各年に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額は、当該上場株式等に係る譲渡損失の金額の生じた年の末日の属する年度の翌年度の市民税及び府民税について上場株式等に係る譲渡損失の金額の控除に関する事項を記載した法第45条の2第1項又は第3項及び法第317条の2第1項又は第3項の規定による申告書を提出した場合(市長においてやむを得ない事情があると認める場合には、これらの申告書をその提出期限後において市民税及び府民税の納税通知書が送達される時までに提出した場合を含む。)において、その後の年度分の市民税及び府民税について連続してこれらの申告書(その提出期限後において市民税及び府民税の納税通知書が送達される時までに提出されたものを含む。)を提出しているときに限り、当該納税義務者の法附則第35条の2の2第1項及び第5項に規定する上場株式等に係る譲渡所得等の金額等を限度として、当該上場株式等に係る譲渡所得等の金額等の計算上控除するとされています(法附則第35条の2の6第5項及び第15項)。
イ 上場株式等に係る譲渡損失の金額とは、市民税及び府民税の所得割の納税義務者が、租税特別措置法第37条の12の2第2項第1号から第10号までに掲げる上場株式等の譲渡(同法第32条第2項の規定に該当するものを除く。)をしたことにより生じた損失の金額として政令で定めるところにより計算した金額のうち、当該納税義務者の当該譲渡をした年の末日の属する年度の翌年度の市民税及び府民税に係る法附則第35条の2の2第1項及び第5項に規定する上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除してもなお控除することができない部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額をいうとされています(法附則第35条の2の6第6項及び第16項)。
(5) 相続による納税義務の承継
ア 相続があった場合には、その相続人は被相続人に課されるべき、又は被相続人が納付し、若しくは納入すべき地方団体の徴収金を納付し又は納入しなければならないとされています(法第9条第1項)。
イ 上記アの規定によって承継する義務は、当該義務に係る申告又は報告の義務を含むものとされています(同条第4項)。
2 本件処分の適法性及び妥当性について
(1) 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の適用の可否について
 審査請求人は、本件処分において、翌年以後に繰り越される上場株式等に係る譲渡損失が認められていない旨主張しています。
 特定株式等譲渡所得金額に係る所得の金額について、総所得金額から除外せずに算定するためには、上記1⑵イのとおり、納税通知書が送達される時までに特定株式等譲渡所得金額に係る所得の明細に関する事項等を記載した法第317条の2第1項の規定による申告書等を提出する必要があります。また、前年前3年内の各年に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額の繰越控除を適用するためには、上記1⑷アのとおり、上場株式等に係る譲渡損失の金額の控除に関する事項を記載した法第317条の2第1項の規定による申告書等を提出した場合(市町村長がやむを得ない事情があると認める場合においては、申告書の提出期限後において納税通知書が送達される時までに提出した場合を含む。)において、その後の年度分について連続してこれらの申告書を提出する必要があります。
 しかしながら、処分庁は平成30年6月5日に本件納税通知書を送付していること、審査請求人が本件申告書を提出したのは平成30年11月19日であることからすると、本件申告書は本件納税通知書が送達される時までに提出されたものでないことが明らかです。
 したがって、納税義務者に係る特定株式等譲渡所得金額に係る所得の金額については総所得金額から除外するとともに、上場株式等に係る譲渡損失の金額については上場株式等に係る譲渡所得等の金額等の計算上控除せず、平成30年度の市民税及び府民税の税額を算定し、決定した本件処分に違法又は不当な点は認められません。
(2) 申告期限の周知について
 審査請求人は、いつから期限後申告が適用されなくなったかについてホームページ等により周知がなされていないため、本件処分は適正でない旨を主張しています。
 しかしながら、上記1⑵イ及び⑷アのとおり、特定株式等譲渡所得金額申告書等の提出期限については法定事項であり、制度の創設当初から変更もなく、当該期限について納税義務者は知り得る状態にあったといえるため、特定株式等譲渡所得金額申告書等に係る申告期限を処分庁がホームページ等で周知していないことをもって本件処分が適正ではないという旨の審査請求人の主張は採用することができません。
3 結論
 以上のとおり、本件各処分に違法又は不当な点は認められず、本件各審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

令和元年9月17日
大阪市長 松井 一郎

裁決書(令和元年答申第9号)

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