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令和元年11月15日付け裁決(答申第11号)

2022年12月22日

ページ番号:492559

裁決書

審査請求人 ○○○○
処分庁 大阪市長 

 審査請求人が令和元年6月3日付けで提起した処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による令和元年5月28日付け差押処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(令和元年度財第10号。以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 審査請求人は、平成23年度市民税及び府民税(普通徴収)第2期分から第4期分、平成29年度市民税及び府民税(普通徴収)第1期分から第4期分並びに平成30年度市民税及び府民税(普通徴収)第1期分から第4期分について、別紙徴収金明細の「納期限」欄記載の日までに納付しませんでした。
2 処分庁は、審査請求人に対し、別紙徴収金明細の「督促状発付日」欄記載の日(以下「督促状発付日」という。)に上記1の各徴収金に係る督促状を発付しました。
3 審査請求人が督促状発付日から起算して10日を経過した日までに別紙徴収金明細記載の各徴収金(以下「本件各徴収金」という。)を完納しなかったため、処分庁は、本件各徴収金を徴収するため、令和元年5月28日付けで、審査請求人が○○○○から支払いを受けるべき令和元年6月支給分以降の毎月の給料等(給料、賃金、俸給、歳費、退職年金及びこれらの性質を有する給与に係る債権をいう。以下同じ。)のうち、国税徴収法(以下「徴収法」という。)第76条第1項各号に掲げる金額を控除した金額の支払請求権に対する差押処分(以下「本件処分」という。)を行いました。
4 審査請求人は、令和元年6月3日、大阪市長に対し、本件処分の取消しを求めて審査請求を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
 経済面で非常に逼迫しており、支払う余裕が全く無い為、本件処分の取り消しを求める。
2 処分庁の主張
(1)本件処分について
 本件処分は、審査請求人が本件徴収金を各納期限までに完納しておらず、本件各徴収金に係る督促状が送達された後にも完納していないことから、滞納となっている本件各徴収金を徴収するため、本件処分を行ったものである。なお、本件各徴収金については、納期別に督促状を送付した。したがって、本件処分は地方税法(以下「法」という。)第331条第1項に定める要件を満たしている。
 さらに、給与等については、差し押さえることができない金額(以下「差押禁止額」という。)が定められているが(徴収法第76条第1項)、本件処分に係る給与債権については差押禁止額が控除されており、本件処分は適正かつ適法になされている。
(2)審査請求人の主張について
 審査請求人は、経済面で非常に逼迫しており支払う余裕が全くない為、審査請求をしたと主張している。しかしながら、前記(1)のとおり、本件処分に係る給与債権については差押禁止額が控除されており、差押禁止額には生活費に相当する金額が含まれていることから(徴収法第76条第1項第4号)、本件処分に係る給与債権については、生活費に相当する金額が控除されていることになる。
 したがって、審査請求人の主張する事情により、本件処分を取り消しすることはできない。

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1)  市民税及び府民税の滞納処分について
ア 市町村民税に係る滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までにその督促に係る地方団体の徴収金を完納しないときは、市町村の徴税吏員は、当該地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押さえなければならないとされています(法第331条第1項第1号)。
 また、地方団体の徴収金の滞納処分については、徴収法に規定する滞納処分の例によるとされています(同条第6項)。
イ 個人の道府県民税の徴収は、法第2章第1節第2款に特別の定めがある場合を除くほか、当該道府県の区域内の市町村が、当該市町村の個人の市町村民税の徴収の例により、当該市町村の個人の市町村民税の徴収と併せて行うものとされています(法第41条第1項)。
ウ 市町村は、個人の市町村民税に係る地方団体の徴収金について督促状を発し、及び滞納処分をする場合においては、法に特別の規定がある場合を除くほか、当該個人の道府県民税に係る地方団体の徴収金についてあわせて行うものとされています(法第334条)。
(2) 給料等の差押禁止額について
ア 給料等については、次に掲げる金額の合計額に達するまでの部分の金額は、差し押さえることができないとされています(徴収法第76条第1項前段)。
(ア) 所得税法の規定によりその給料等につき徴収される所得税に相当する金額(同項第1号)
(イ) 法の規定によりその給料等につき特別徴収の方法によって徴収される道府県民税及び市町村民税に相当する金額(同項第2号)
(ウ) 健康保険法その他の法令の規定によりその給料等から控除される社会保険料に相当する金額(同項第3号)
(エ) 滞納者(その者と生計を一にする親族を含む。)に対し、これらの者が所得を有しないものとして、生活保護法に規定する生活扶助の給付を行うこととした場合におけるその扶助の基準となる金額で給料等の支給の基礎となった期間に応ずるものを勘案して政令で定める金額(同項第4号)
(オ) その給料等の金額から上記(ア)から(エ)までに掲げる金額の合計額を控除した金額の100分の20に相当する金額(その金額が(エ)に掲げる金額の2倍に相当する金額を超えるときは、当該金額)(同項第5号)
イ 徴収法第76条第1項第4号に規定する政令で定める金額は、滞納者の給料等の支給の基礎となった期間1月ごとに100,000円(滞納者と生計を一にする配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)その他の親族があるときは、これらの者一人につき45,000円を加算した金額)とする(国税徴収法施行令第34条)。
2 本件処分の適法性及び妥当性について
(1) 差押要件の該当性について
 上記1(1)アのとおり、滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までにその督促に係る地方団体の徴収金を完納しないときは、市町村の徴税吏員は、当該地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押さえなければならないとされています。
 これを本件についてみると、本件処分においては、審査請求人に対して別紙徴収金明細の「督促状発付日」欄記載のとおり督促状が発付され、督促状発付日から10日を経過した日までに本件各徴収金が完納されていないことが認められます。したがって、本件処分については、法令に規定する差押えの要件を充足しています。
 また、令和元年10月21日付けで処分庁から大阪市行政不服審査会に提出のあった資料によると、本件処分が行われるまでの間、処分庁は審査請求人に対して、平成30年7月27日に納税注意書、平成30年8月24日に予告納付書、平成31年4月26日に差押予告書を発付等していたところ、審査請求人が納付に応じなかったため、本件処分に至ったものであり、その手続について、違法又は不当な点は認められません。
(2) 審査請求人の主張について
 審査請求人は、経済面で非常に逼迫しており、支払う余裕が全くない旨主張しています。
 しかしながら、徴収法第76条では、給与収入が一般の給与生活者の生計に占める重要性を考慮し、給与生活者の最低生活の維持等に充てられるべき金額に相当する給与の差押えが禁止されているところ、本件処分において、処分庁は当該規定に則り、審査請求人が○○○○から支払いを受けるべき令和元年6月支給分以降の毎月の給料等のうち、徴収法第76条第1項第1号から第5号に掲げる金額を控除した金額の支払請求権を差し押さえたことが認められます。
 したがって、処分庁が差押禁止の範囲を超えて違法に差し押さえた事実は認められず、また、本件処分が不当となる事情はなく、審査請求人の主張は採用することができません。
3 結論
 以上のとおり、本件各処分に違法又は不当な点は認められず、本件各審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

令和元年11月15日
大阪市長 松井 一郎

別紙徴収金明細 省略

裁決書(令和元年答申第11号)

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