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答申第473号

2024年3月22日

ページ番号:503044

概要

(1)公開請求の内容

ア 「2017年度小学校道徳教科書採択に関する資料」を求める公開請求(以下「本件請求1」という。)がありました。
イ 「教育委員協議会の会議録(議論の概要)と配付資料(2015年5月12日、5月26日、7月14日、7月21日、7月28日開催分)」を求める公開請求(以下「本件請求2」という。)がありました。。

(2)実施機関(=大阪市教育委員会)の決定

ア 実施機関は、本件請求1に係る公文書を、「平成29年4月11日教科書採択に関する教育委員協議会配付資料」及び「平成29年4月25日教科書採択に関する教育委員協議会配付資料」(以下、あわせて「本件文書1」という。)と特定した上で、大阪市情報公開条例(以下「条例」という。)第10条第1項に基づき、教科書採択に関する教育委員協議会の配付資料の審議、検討又は協議に関する情報(以下「本件非公開情報1」という。)が条例第7条第4号及び第5号に該当することを理由に、部分公開決定(以下「本件決定1」という。)を行いました。
イ 実施機関は、本件請求2に係る公文書を、「教育委員協議会の会議録(議論の概要)と配付資料(2015年5月12日、5月26日、7月14日、7月21日、7月28日開催分)」(詳細は別表4の項番2から項番6の(い)欄に記載のとおり。)と特定した上で、条例第10条第1項に基づき、教科書採択に関する教育委員協議会の配付資料の審議、検討又は協議に関する情報(詳細は別表4の項番2から項番6の(う)欄に記載のとおりで、以下別表4の項番順に「本件非公開情報2」から「本件非公開情報6」という。)が条例第7条第5号に該当することを理由に、部分公開決定(以下「本件決定2」という。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件決定1及び本件決定2において公開しないこととした情報の全部の公開を求めて、審査請求がありました。

(4)答申の結論

実施機関が本件決定1で公開しないこととした部分のうち別表1に掲げる部分並びに本件決定2で公開しないこととした部分のうち別表2及び別表3に掲げる部分を公開すべきである。

(5)答申のポイント

審査会は、次の理由により、上記(4)のとおり判断しています。

ア 本件非公開情報1の条例第7条第4号該当性について
(ア) 当審査会において本件文書1を見分したところ、本件非公開情報1のうち別表1に掲げる部分には、各図書の採択に係る根拠法令に基づく一般的な方針を記載したに過ぎない情報が記載されており、それ以外の部分には平成29年度の教科書採択に関する日程や方法が記載されていることが認められる。
(イ) 各図書の採択に係る根拠法令に基づく一般的な方針は未成熟な情報であるとは言えないことから、本件非公開情報1のうち別表1に掲げる部分は、これを公開しても、誤解や憶測に基づき不当に市民等の間に混乱を生じさせるおそれがあるとは言えず、条例第7条第4号に該当しない。
(ウ) また、同部分は、これを公開することにより今後、教育委員へ働きかけが行われ、教育委員が率直な意見が述べにくくなるなど、静ひつな審議環境の確保が困難となるとは言えず、教科書採択に係る実施機関の事務事業の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性は認められないことから、条例第7条第5号にも該当しない。
(エ) 本件非公開情報1のうち平成29年度の教科書採択に関する日程や方法が記載されている部分については、公開決定の時点において、平成29年度教科書は採択されておらず、また教育委員会会議が未開催のため当該年度の教科書採択の日程や方法について公開されていなかったことを踏まえると、同部分を公開することにより、これら未成熟な情報が公開され、誤解や憶測に基づき不当に市民等の間に混乱を生じさせるおそれがあると認められることから、平成29年度の教科書採択に関する日程や方法は、条例第7条第4号に該当する。
(オ) 小括
以上により、本件非公開情報1のうち別表1に掲げる部分は、条例第7条第4号及び第5号に該当せず、本件非公開情報1のうち平成29年度の教科書採択に関する日程や方法が記載された部分は、条例第7条第4号に該当する。

イ 本件非公開情報2の条例第7条第1号該当性について
本件非公開情報2は団体より提出された質問書に回答先として記載された個人の氏名、住所、携帯電話番号であり、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができることから、条例第7条第1号本文に該当し、また情報の性質上、ただし書ア、イ、ウにも該当しない。
したがって、本件非公開情報2は条例第7条第1号に該当する。

ウ 本件非公開情報3の条例第7条第5号該当性について
本件非公開情報3は、非公開で開催される教育委員協議会における調査研究や教育委員会会議の準備を目的に、教育委員長が作成した別表4項番3の(い)欄に記載の公文書(以下「本件文書3」という。)に記載された情報であり、これらの資料を参考に教科書の評価観点等に係るさまざまな議論や意見交換が行われることから、最終的に公開で行われる教育委員会会議の議事とは異なる内容が含まれている。教育委員が闊達な調査研究を行うことを目的に開催される教育委員協議会において、委員が作成し、提出した本件文書3に記載された本件非公開情報3を公開することになれば、今後委員が、世論等への配慮から自己の知見や忌憚のない意見が記載された資料の提出を控えることにより、教育委員協議会において十分な調査研究等ができなくなり、実施機関の教科書採択事務に支障をきたす相当の蓋然性が認められる。
したがって、本件非公開情報3は条例第7条第5号に該当する。

エ 本件非公開情報4の条例第7条第5号該当性について
(ア) 本件非公開情報4は、平成27年7月21日の教育委員協議会で配付された別表4項番4の(い)欄に記載の公文書(以下「本件文書4」という。)に記載された情報であり、本件文書4は、これまでの教育委員協議会における教育委員の協議内容をもとに教育委員会会議において想定される大まかな流れとして、各委員の意見、まとめ、採決の内容が記載されている。
当該協議会の開催後の平成27年8月5日に開催された教育委員会会議は、報道機関や一般傍聴者に公開されており、開催後に議事録(以下「当該議事録」という。)が公表されている。当審査会において、当該議事録と本件文書4を比較したところ、本件非公開情報4のうち別表2に掲げる部分の発言内容は、当該議事録に同様の内容が記録されていることが認められる。
よって、平成27年8月5日の教育委員会会議で現に発言され議事録としてすでに公表されている内容を公開することにより、委員個人への抗議などの影響が生じるとは言えない。
したがって、本件非公開情報4のうち別表2に掲げる部分の発言内容は条例第7条第5号に該当しない。
(イ) 一方、本件非公開情報4のうち別表2に掲げる部分以外の発言内容については、発言例として作成されながら、最終的に教育委員会会議において各委員が何らかの意図をもって発言しなかった場合もあると考えられ、発言しなかった内容を公開することにより、発言しないことについて説明を求められることをおそれ、発言例どおりにしか発言を行わなくなるなど教育委員会会議で委員が闊達な意見を述べることを控えることになれば、教育委員会会議において十分な議論ができなくなることにより、実施機関の今後の適正な教科書採択事務の遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性が認められることから、条例第7条第5号に該当する。
(ウ) 本件文書4においては、発言者名をすべて非公開としているが、後記オの本件文書5においては、教育委員会会議における想定発言例の発言者名が公開されており、本件文書5と同様の性質を有する本件文書4において新たに発言者名を公開しても委員個人への抗議などの影響が生じるおそれはないと認められる。
したがって、本件非公開情報4のうち発言者名は条例第7条第5号に該当しない。
(エ) 小括
したがって、本件非公開情報4のうち、別表2に掲げる発言内容及び発言者名を除いた部分は条例第7条第5号に該当するが、別表2に掲げる発言内容及び発言者名は条例第7条第5号に該当しない。

オ 本件非公開情報5の条例第7条第5号該当性について
(ア) 本件非公開情報5は、平成27年7月28日の教育委員協議会で配付された別表4項番5の(い)欄に記載の公文書(以下「本件文書5」という。)に記載された情報であり、本件文書5は、これまでに調査研究等を目的に開催された教育委員協議会での教育委員の協議内容を踏まえ、あくまでも教育委員会会議における想定発言例として作成された資料である。
当審査会において、上記エ(ア)に記載の議事録と本件文書5を比較したところ、本件非公開情報5のうち別表3に掲げる部分について、当該議事録に同様の内容が記録されていることが認められる。
平成27年8月5日の教育委員会会議で現に発言され議事録としてすでに公表されている内容を公開することにより、委員個人への抗議などの影響が生じるとは言えない。
したがって、本件非公開情報5のうち別表3に掲げる部分は条例第7条第5号に該当しない。
(イ) 一方、本件非公開情報5のうち別表3に掲げる部分以外の発言内容については、発言例として作成されながら、最終的に教育委員会会議において各委員が何らかの意図をもって発言しなかった場合もあると考えられ、発言しなかった内容を公開することにより、発言しないことについて説明を求められることをおそれ、発言例どおりにしか発言を行わなくなるなど教育委員会会議で委員が闊達な意見を述べることを控えることになれば、教育委員会会議において十分な議論ができなくなることにより、実施機関の今後の適正な教科書採択事務の遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性が認められることから、条例第7条第5号に該当する。
(ウ) 小括
したがって、本件非公開情報5のうち、別表3に掲げる発言内容を除いた部分は条例第7条第5号に該当するが、別表3に掲げる発言内容は条例第7条第5号に該当しない。

カ 本件非公開情報6の条例第7条第5号該当性について
本件非公開情報6は、平成27年7月14日、同月21日、同月28日に開催された教育委員協議会における発言内容のメモ(以下「本件メモ」という。)に記載された情報であり、実施機関によれば、本件メモは、担当者が他の資料を作成する際の参考とするため、教育委員協議会での各委員の発言内容の要点をメモしたもので、発言者に事前に了解を得て作成した資料ではなく、また本件メモの記載内容について発言者に確認をとっているものでもないとのことである。
以上の本件メモの性質を踏まえると、各委員の発言内容のメモである本件非公開情報6は、正確性が担保されていない情報であることから、これを公開することにより誤解を生じさせ、また、今後委員が、世論等への配慮から自己の知見や忌憚のない意見を控えることにより十分な調査研究ができなくなり、実施機関の今後の適正な教科書採択事務の遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性が認められる。
したがって、本件非公開情報6は条例第7条第5号に該当する。

答申第473号

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