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答申第474号

2024年3月22日

ページ番号:503244

概要

(1)公開請求の内容

ア 東三国小学校昇降機設備工事(2016年8月24日開札)他5件の工事に係り(1) 予定価格設定の為に業者から入手した下見積もり(見積書)又は見積比較書及び(2) 予定価格書/予定価格調書の公開を求める旨の請求(以下「本件請求1」という。)がありました。
イ 弁天町抽水所ポンプ棟昇降装置設備工事(2016年10月20日開札)に係り(1) 予定価格設定の為に業者から入手した下見積もり(見積書)又は見積比較書及び(2) 予定価格書/予定価格調書の公開を求める旨の請求(以下「本件請求2」という。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

ア 実施機関(都市整備局)は、本件請求1に係る公文書を、別表2の(う)欄に記載の公文書(以下「本件見積比較表」及び「本件予定価格内訳」という。)と特定した上で、大阪市情報公開条例(以下「条例」という。)第10条第1項に基づき、公開しないこととした部分及び公開しない理由を別表2の(え)欄及び(お)欄のとおり付して、部分公開決定(以下「本件決定1」という。)を行いました。
イ 実施機関(建設局)は、本件請求2に係る公文書を、別表3の(う)欄に記載の公文書(以下「本件見積書」及び「本件工事設計書」という。)と特定した上で、条例第10条第1項に基づき、公開しないこととした部分及び公開しない理由を別表3の(え)欄及び(お)欄のとおり付して、部分公開決定(以下「本件決定2」という。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件決定1及び本件決定2で公開しないこととした情報のうち、本件見積比較表又は本件見積書の業者ごとの金額(総額)(以下「本件非公開情報1」及び「本件非公開情報2」という。)並びに、本件予定価格内訳の細目別内訳又は本件工事設計書の金額(以下「本件非公開情報3」及び「本件非公開情報4」という。)の公開を求めて、審査請求がありました。

(4)答申の結論

本件決定1において公開しないこととした部分のうち、別表1に掲げる部分を公開すべきである。本件決定1のその余の部分及び本件決定2は妥当である。

(5)答申のポイント

審査会は、次の理由により、上記(4)のとおり判断しています。


ア 本件非公開情報1の条例第7条第5号該当性について
本件非公開情報1は、実施機関(都市整備局)の本件見積比較表に記載された、直接工事費と共通費の合計金額部分である。
実施機関(都市整備局)によると、各事業者が提出した見積金額のうち最安値の事業者の見積金額を採用していることを公表しているため、本件非公開情報1を公開することにより、見積を採用した事業者が判明することになり、見積を採用された事業者は自身が提出した見積書と落札決定後に公開される予定価格内訳の金額を比較することにより、高い精度で査定率を類推することができるとのことである。
実際に、当審査会において本件見積比較表の中で見積を採用された事業者の直接工事費の合計金額と本件見積比較表に基づき算出した予定価格内訳を比較したところ、高い精度で査定率を類推することができた。
以上を踏まえると、本件非公開情報1を公開することにより見積を採用された事業者は査定率を高い精度で類推することが可能となるため,非公表とされている査定率を実質的に公表したのと同じ結果となる。
実施機関(都市整備局)では、年間に同種の建築等工事を多数発注しており、これらの建築等工事の予定価格の算出に当たって一定の期間は同一の査定率を用いているため、同じ査定率を使用する同種の工事案件が当該期間中に発注されることになる。また、予定価格に、公表されている一定の率を掛けることにより最低制限価格を算出することが可能であるから、同じ査定率を使用する同種の工事案件の予定価格を類推することができるということは同時に最低制限価格をも類推することができると認められる。
そして、最低制限価格を類推することができれば、事業者は、落札することを目的に最低制限価格であると類推した金額で応札価格を決定し、本来必要な費用と利益を見込んだ価格を適正に積算せず入札に参加しようとすることが予想される。
このように、最低制限価格付近の金額に入札が行われれば、適正な積算を行わない事業者であっても実施機関(都市整備局)は選定せざるを得ず、その場合、公共工事の品質確保のために実施機関が通常より多大な負担を負わなければ、契約内容が完全に履行されないという事態が生じるおそれがあることが認められる。
以上を踏まえると、本件非公開情報1を公開することにより実施機関(都市整備局)における契約事務の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性があるものと認められる。
したがって、本件非公開情報1は、条例第7条第5号に該当する。

イ 本件非公開情報2の条例第7条第5号該当性について
本件非公開情報2は、実施機関(建設局)の見積比較書に記載された、直接工事費と共通費の合計の金額部分である。
実施機関(建設局)によれば、弁天抽水所ポンプ棟昇降装置は、一般の人や荷物用の昇降機ではなく、積載荷重が12トンのし渣(流入汚水から捕捉したごみ等)を運搬する車両用の特殊な昇降装置であり、実施機関(建設局)の保有する設備で類似のものは存在しないとのことである。また、本件工事は本件決定2の時点で施工中であり、工事期間中に設計変更が発生する場合があるとのことであり、設計変更にあたっては、受注者のみならず施工能力を有すると考えられる複数の業者からあらためて、設計変更後の見積書の提出を受けることとなっているとのことである。
本件工事については定期刊行物等による公表価格等が存在しないため、適正な工事価格を算出する為には事業者からの見積書の提出を受けることが実施機関(建設局)の契約事務上不可欠であり、工事期間中に設計変更が行われる際においても同様に、適正な見積書の入手の必要性があることが認められる。
そして、本件非公開情報2を公開することにより、施工能力を有する事業者は自らが提出する見積書の合計額が公開されることを回避するため、実施機関(建設局)の見積提出依頼を拒否するおそれがあるとする実施機関(建設局)の説明には合理性があると認められる。
特に、本件工事は実施機関(建設局)が説明するとおり、非常に特殊な工事であり、本件非公開情報2を公開することによって、限られた施工能力を有する事業者の中から複数の見積を徴取することが困難になれば、本件工事の設計変更において適正な見積を徴取することが出来なくなることから、実施機関(建設局)の契約変更事務の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性があると認められる。
したがって、本件非公開情報2は条例第7条第5号に該当する。

ウ 本件非公開情報3の条例第7条第5号該当性について
(ア) 本件非公開情報3のうち「計」欄に記載の金額を除く金額の条例第7条第5号該当性について
本件非公開情報3は、入札に先立ち工事の予定価格を算出するために実施機関(都市整備局)が作成する文書である予定価格内訳のうち、直接工事費細目別内訳に記載された直接工事費の内訳及びその合計金額である。
実施機関(都市整備局)では、年間に同種の建築等工事を多数発注しており、これらの建築等工事の予定価格の算出に当たって使用する基本的な設備仕様に対応する一式による工事費用は、一定の期間は同一の金額を用いているため、同じ一式による工事費用を使用する同種の工事案件が当該期間中に多数発注されることになる。
当審査会で本件予定価格内訳を見分したところ、予定価格内訳は直接工事費種目別内訳、直接工事費科目別内訳、直接工事費細目別内訳で構成されており、直接工事費細目別内訳に記載された一式による工事費用から予定価格を算出する過程が記載されているものであった。そこで、直接工事費細目別内訳に記載の基本的な設備仕様に対応する一式による工事費用の金額が公開されると、それにより同じ一式による工事費用を使用する期間中における同種の工事案件の予定価格が相当程度の精度で類推することができると認められる。
また、予定価格に、公表されている一定の率を掛けることにより最低制限価格を算出することが可能であるから、予定価格を類推することができるということは同時に最低制限価格をも類推することができると認められる。
そして、最低制限価格を類推することができれば、多くの事業者は、落札することを目的に最低制限価格であると類推した金額で応札価格を決定し、本来必要な費用と利益を見込んだ価格を適正に積算せず入札に参加しようとすることが予想される。
このように、最低制限価格付近の金額に入札が集中すれば、適正な積算を行わない事業者であっても実施機関(都市整備局)は選定せざるを得ず、その場合、公共工事の品質確保のために実施機関が通常より多大な負担を負わなければ、契約内容が完全に履行されないという事態が生じるおそれがあることが認められる。
以上を踏まえると、本件非公開情報3を公開することにより実施機関(都市整備局)における契約事務の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性があるものと認められる。
したがって、本件非公開情報3のうち、「計」欄に記載の金額を除く金額は、条例第7条第5号に該当する。
(イ) 本件非公開情報3のうち「計」欄に記載の金額の条例第7条第5号該当性について
本件予定価格内訳は表紙、内訳書、直接工事費種目別内訳、直接工事費科目別内訳、直接工事費中科目別内訳、直接工事費細目別内訳により構成されている。
当審査会で確認したところ、直接工事費細目別内訳の「計」欄に記載の金額は直接工事費中科目別内訳に記載の金額に対応するものであった。また、直接工事費中科目別内訳は申出があれば公開しているものであることから、直接工事費細目別内訳の「計」欄に記載の金額は、条例第7条第5号に該当しない。

エ 本件非公開情報4の条例第5号該当性について
本件非公開情報4は、入札に先立ち工事の予定価格を算出するために実施機関(建設局)が作成した文書である工事価格設計書の直接工事費の内訳金額部分である。
実施機関(建設局)によれば、本件工事は本件決定2の時点で施工中であって、工事期間中に設計変更が発生する場合があるとのことであり、設計変更にあたっては、受注者のみならず受注能力を有すると考えられる複数の業者からあらためて、設計変更後の見積書の提出を受けることとなっているとのことである。
そして、工事期間中に工事価格設計書の直接工事費の内訳金額が公開されると、見積提出依頼を受けた受注者を含む事業者は、より高い金額の契約を得ることなどを目的に、本来の見積価格に加算を行い変更予定価格とほぼ同額の見積金額しか提示しないことが考えられ、設計変更における適正な見積算定を阻害するおそれがあることが認められる。
以上を踏まえると、本件工事が施工中である状況で本件非公開情報4を公開することにより、実施機関(建設局)の契約変更事務の適正な遂行に支障をきたすほか実施機関(建設局)の財産上の利益を失う相当の蓋然があると認められることから、本件非公開情報4は条例第7条第5号に該当する。

答申第474号

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