大阪市職員心の健康づくり計画(第3次)
2024年5月1日
ページ番号:505373
はじめに
近年、本市を取り巻く社会経済環境が急激に変化し、自然災害をはじめとした危機事象への対応等、行政に対する市民ニーズが複雑化・高度化しており、本市職員に求められる役割や果たすべき責任が大きくなっています。
こうした中、本市職員が、その能力を最大限に発揮し、質の高い市民サービスを提供するためには、職員一人ひとりが心身ともに健康であることが大切です。
しかし、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が半数を超え、また、精神障害等に係る労災補償の請求及び認定件数が増加傾向にあり、職場において、心の健康保持増進を図ることが重要な課題となっています。
国においても平成12年8月に「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を策定し、事業者は心の健康づくり計画に基づいたメンタルヘルスケアの積極的な推進に努めることとしました。また、平成27年11月には労働安全衛生法の一部改正に伴い、ストレスチェック制度を義務化する等メンタルヘルスケア対策を積極的に推進しています。
本市のメンタルヘルス対策においては、平成17年8月に「心の健康づくり指針」を策定し、教育研修、職員相談事業、復職支援事業等を実施してきました。しかし、5年経過した時点で、市職員の心の健康問題を抱える休職者は年々増加傾向にあり、病気休職者全体の約7割を占める状況にあったため指針を見直し、平成23年3月に「大阪市職員心の健康づくり計画」(以下「第1次計画」という。)を策定し、同年からストレス調査を開始しメンタルヘルス不調(以下「メンタル不調」という。)の発症予防に取り組んできました。
平成26年3月には、計画の中間評価を実施し、また、第1次計画策定から5年が経過した平成28年3月に「大阪市職員心の健康づくり計画(第2次)」(以下「第2次計画」という。)を策定し、教育研修の充実やパワーハラスメント対策等のメンタルヘルス対策を推進してきました。
第2次計画の計画期間終了時期となり、精神及び行動の障害による病気休職者数(以下「メンタル休職者数」という。)の内、新規休職者数の減少は見られるものの、総メンタル休職者数は依然として高止まりで推移し、再休職者数も増加傾向にあることから、令和3年3月に「大阪市職員心の健康づくり計画(第3次)」(以下「第3次計画」という。)を策定し、職員一人ひとりの健康保持・増進と快適な職場環境づくりに向けた取組みを引き続き推進していきます。
この計画は、本市の「職員安全衛生管理規則」、厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づき、「第1次計画」及び「第2次計画」による対策の結果及び課題を踏まえて、職員の心の健康づくり及び活気ある職場づくりのために、各所属・事業所(以下「各職場」という。)及び総務局人事部人事課厚生グループ(以下「人事課厚生G」という。)が、職場環境等の把握と改善、教育研修、早期発見と適切な対応、職場復帰支援等に取組むためのものです。
1 第3次計画の概要
1 計画期間
本計画期間は、令和3年度から令和7年度までの5年間とします。なお、計画期間中であっても必要に応じて見直しを行うことがあります。
参考:本市のメンタルヘルス対策
平成17年8月 心の健康づくり指針
平成23年3月 大阪市職員心の健康づくり計画(平成24年3月 一部改訂)
平成26年3月 中間評価
平成28年3月 大阪市職員心の健康づくり計画(第2次)
2 基本方針
職員は市政を進めていく貴重な担い手です。市民サービス向上のため、職員が健康でいきいきと働き、その能力を十分発揮し業務を効率的かつ的確に遂行することが重要です。
そのためには、職員の心の健康の保持・増進は不可欠であることから、本市においては職員の心の健康の保持・増進のため本計画を策定し、以下の基本方針に基づき目標に向かってメンタルヘルスケアに全市をあげて取組みます。
(1)職員が健康で明るく活力に満ちた働きやすい職場づくりを推進するためには、労働安全衛生法等の関係法令を遵守することはもとより、ストレスチェック等により職場のストレス要因の把握に努め円滑なコミュニケーションの推進と職場環境改善に組織的に取組みます。
(2)職員全員が心の健康について理解を深め、心の健康づくりにおけるそれぞれの役割を果たせるように職員の階層に応じてメンタルヘルスケアに関する教育・研修の充実を図ります。
(3)メンタル不調者の早期発見・早期対応に努めるとともに、病気休職者の円滑な職場復帰支援を図ります。
3 目標
(1)ストレスチェック等により職場のストレス要因を把握し、各職場において職場環境改善に取組み、総合健康リスクの改善を目指します。
(2)心の健康問題による病気休職者の減少を目指します。
4 メンタルヘルスケアの推進者
市長、所属長、心の健康づくり推進者、管理監督者、衛生管理者等、職員、産業保健スタッフ、安全衛生委員会等、人事担当部門、外部専門機関等が、それぞれの役割と責務を担いながら、連携してメンタルヘルスケアを進めます。
5 個人情報保護への配慮
メンタルヘルスケアを推進するにあたっては、健康情報を含む個人情報の保護への配慮が特に重要です。心の健康問題を抱える職員の対応において、情報を取り扱う関係者、情報の取得、保管、利用等について、「職員の健康情報等の取扱要綱」に基づき適正な取り扱いを徹底します。
6 具体的な取組み
メンタルヘルスケアにおいては、次の4つのケアが継続的かつ計画的に行われることが重要です。この4つのケアを効果的に推進しながら、一次予防、二次予防、三次予防のためのメンタルヘルスケアを進めていきます。
4つのケア
セルフケア(すべての職員)
(1)ストレスやメンタルヘルスに対する正しい理解
(2)ストレスへの気づきと自発的相談等の対処など
ラインによるケア(所属長、管理監督者、心の健康づくり推進者)
(1)職場環境等の把握と改善
(2)職員からの相談対応
(3)職場復帰における支援など
産業保健スタッフによるケア(産業医、衛生管理者等、産業保健スタッフ)
(1)セルフケア、ラインによるケアが効果的に行われるための支援(教育研修、情報提供、専門的助言、相談対応、関係機関連携)
関係機関の活用によるケア(医療機関、相談機関等)
(1)情報提供や助言、サービス活用など
一次予防(心の健康の保持増進、メンタル不調の未然防止)
(1)快適な職場環境づくりに向けた取組み
ア 職場ストレス状況の把握と職場環境改善
イ 安全衛生委員会の活性化
ウ 長時間勤務による健康障害の予防
エ 人事異動後の職員に対するケアの実施
(2)セルフケアの推進
ア ストレスチェックの活用
イ セルフケアの啓発・支援
ウ 健康相談窓口の周知
(3)各種教育研修・情報提供の充実
ア メンタルヘルスに関する研修の充実
イ 情報提供
二次予防(早期発見・早期対応・療養支援)
(1)早期発見・対応の仕組みの充実
ア ラインケア研修等の充実
イ 管理監督者への相談支援
ウ「心の健康問題への早期発見と職場復帰支援のてびき(管理監督者向け)」(以下「管理監督者向けてびき」という。)による啓発
エ メンタル不調の疑いのある職員に対する産業医等による健康相談
オ 職場環境改善に向けた配置替え
(2)適切な療養支援の取組み
ア 「管理監督者向けてびき」の活用
イ 「復職に向けてのてびき(本人向け)」(以下「本人向けてびき」という。)の活用
三次予防(職場復帰・再発予防)
(1)安全で円滑な職場復帰支援と再休職予防
ア 安全で円滑な職場復帰支援と再休職予防
イ 再休職予防
ウ 不調の連鎖防止の取組み
(2)心の健康問題を抱えている職員に係る人事異動
ア 適切な人事配置の取組み
その他の取組み
(1)自殺予防への取組み
(2)災害時及び惨事ストレスケア(PTSD)等に関する取組み
(3)アルコール使用障害の予防と対応
(4)ハラスメントの防止と相談体制の充実7 推進体制図(図1)
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2 現状分析と今後の課題
1 本市の現状
(1)病気休職者の推移
職員の病気休職者数(A)は、平成27年度の304人から令和1年度は291人と減少傾向にあります。一方で、職員数に占める病気休職者の割合(①)は、平成27年度の1.75%から、令和1年度には1.81%と増加しています。病気休職者の内訳をみると、メンタル休職者(B)は平成27年度の231人から令和1年度は220人と減少傾向にあり、職員全体に占めるメンタル休職者の割合(②)は、平成27年度の1.33%から横ばいで推移していましたが令和1年度には1.37%と増加し、10年間のメンタル休職者の推移(図1)においても、平成22年度から平成26年度にかけては1.3以下で推移していましたが、平成27年度以降は1.3を超え高止まりの状態となっています。また、病気休職者全体に占める精神及び行動の障害による病気休職者の割合(③)は、平成27年度の76.0%をピークに減少していましたが、令和1年度には75.6%となっています。
27年度 | 28年度 | 29年度 | 30年度 | R1年度 | ||
病気休職者数(延) A | 304 | 302 | 295 | 284 | 291 | |
内訳 | 精神及び行動の障害 B | 231 | 224 | 213 | 205 | 220 |
B以外の疾患 | 73 | 78 | 82 | 79 | 71 | |
職員数 C | 17,365 | 17,066 | 16,240 | 16,250 | 16,076 | |
①病気休職者数/ 職員数 A/ C(%) | 1.75 | 1.77 | 1.82 | 1.75 | 1.81 | |
②精神及び行動の障害/職員数 B/C(%) | 1.33 | 1.31 | 1.31 | 1.26 | 1.37 | |
③精神及び行動の障害/病気休職者数 B/A(%) | 76.0 | 74.2 | 72.2 | 72.2 | 75.6 |
(注)職員数は、各年度10月1日現在、派遣含む(交通局、水道局、消防局及び学校園の職員を除く)
病気休職率の過去10年間の推移(図1)
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(2)年代別精神及び行動の障害による病気休職者の割合
年代別割合では29歳以下において、平成27年度の1.24%から令和1年度は0.40%と減少し、30~39歳においては、平成27年度の1.12%から令和1年度は1.50%と増加しています。
平成30年度までは40~49歳の割合が最も高く、令和1年度には30~39歳が1.50%となり、次いで50歳以上の1.46%、40~49歳の1.42%となっています。このことから、職場の中核となる30~50代の心の健康増進を図っていくことが重要だと考えられます。
27年度 | 28年度 | 29年度 | 30年度 | R1年度 | ||
29歳以下 | 職 員 数 | 1,049 | 1,054 | 1,038 | 1,128 | 1,248 |
精神及び行動の障害 | 13 | 7 | 7 | 10 | 5 | |
割 合 (%) | 1.24 | 0.66 | 0.67 | 0.89 | 0.40 | |
30~39歳 | 職 員 数 | 4,654 | 4,206 | 3,776 | 3,463 | 3,076 |
精神及び行動の障害 | 52 | 55 | 49 | 45 | 46 | |
割 合 (%) | 1.12 | 1.31 | 1.30 | 1.30 | 1.50 | |
40~49歳 | 職 員 数 | 6,804 | 6,736 | 6,431 | 6,365 | 6,251 |
精神及び行動の障害 | 102 | 107 | 97 | 89 | 89 | |
割 合 (%) | 1.50 | 1.59 | 1.51 | 1.40 | 1.42 | |
50歳 以上 | 職 員 数 | 4,858 | 5,070 | 4,995 | 5,294 | 5,474 |
精神及び行動の障害 | 64 | 55 | 60 | 61 | 80 | |
割 合 (%) | 1.32 | 1.08 | 1.20 | 1.15 | 1.46 | |
精神及び行動の障害による病気休職者の合計 | 231 | 224 | 213 | 205 | 220 |
(3)月別病気休職者数の推移
メンタル休職者においては毎年、同様の月別変動がみられ、8月から10月にかけて休職数が多くなっています。これは、4月の人事異動、昇任等による環境の変化によるストレスの影響で、5~6月頃から体調を崩し、年度後半にかけて休職に至る傾向があるためだと考えられます。
月別病気休職者数の推移(図2)
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(4)精神及び行動の障害による病気休職者における新規及び再病気休職者の推移
職員数に占める新規病気休職者の割合(②)は平成27年度の0.50%から令和1年度は0.39%と減少しています。また、職員数に占める再病気休職者の割合(③)は平成27年度の0.42%から令和1年度は0.47%と横ばいで推移しています。再病気休職者数を減少させるためには、今後も引き続き、職場復帰支援に取組む必要があります。
27年度 | 28年度 | 29年度 | 30年度 | R1年度 | ||
精神及び行動の障害 B | 231 | 224 | 213 | 205 | 220 | |
新規病気休職者数 D | 87 | 56 | 64 | 65 | 63 | |
再病気休職者数 E | 73 | 82 | 80 | 72 | 76 | |
職 員 数 C | 17,365 | 17,066 | 16,240 | 16,250 | 16,076 | |
①新規病気休職者数/精神及び行動の障害 D/B(%) | 37.66 | 25.00 | 30.05 | 31.71 | 28.64 | |
②新規病気休職者/ 職員数 D/C(%) | 0.50 | 0.33 | 0.39 | 0.40 | 0.39 | |
③再病気休職者数/ 職員数 E/C(%) | 0.42 | 0.48 | 0.49 | 0.44 | 0.47 |
(注)新規病気休職者数(D)は、精神及び行動の障害により当該年度新規に休職した職員
(注)再病気休職者数(E)は、精神及び行動の障害により過去に休職歴がある職員
(5)職場復帰支援の状況
平成20年6月に「管理監督者向けてびき」や「本人向けてびき」を作成し、復職前後に総括産業医等による面談を実施するなどの職場復帰支援を実施しています。これに基づき、平成27年度から令和1年度に延べ453人に復職前面談を実施し、436人に復職後面談を実施しました。復職後の平均面談回数は平成27年度に1.38から令和1年度には1.21と減少しています。これは、職場復帰プログラム(自己訓練等)が一定定着したことにより、複数回実施していた面談が減少したものと考えられます。今後も就業上の措置計画実施状況等を確認しながら、本人、管理監督者への助言や必要な措置等を行い、就業上の措置解除後は各職場の産業医が面談するなど継続的な支援が必要です。
27年度 | 28年度 | 29年度 | 30年度 | R1年度 | ||
復職前面談 | 対象者数 | 88 | 99 | 86 | 81 | 99 |
面談回数(A) | 92 | 101 | 89 | 86 | 102 | |
平均面談回数 | 1.05 | 1.02 | 1.03 | 1.06 | 1. 03 | |
復職後面談 | 対象者数 | 88 | 98 | 80 | 80 | 90 |
面談回数(B) | 121 | 107 | 91 | 91 | 109 | |
平均面談回数 | 1.38 | 1.09 | 1.14 | 1.14 | 1. 21 | |
面談回数の合計(A)+(B) | 213 | 208 | 180 | 177 | 211 |
(6)職場復帰後の就労状況
職場復帰から2年後に就労している割合は、平成27年度は59.0%で、令和1年度には57.5%と減少しています。再休職の時期をみると、職場復帰後6か月未満が最も多く、平成27年度では16.9%でしたが、令和1年度は23.0%と多くなっています。職場復帰後6か月~1年未満も18.4%と高値であり、職場復帰後1年以内の職場環境の整備や対象者の体調管理に関する支援体制の充実が必要です。
2年前の復職者の就労状況(図3)
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(7)職場における心の健康問題に関する管理監督者相談件数
心の健康問題を抱えている部下への対応について管理監督者が一人で悩むことのないよう管理監督者相談を実施しています。平成27年度には98件でしたが、令和1年度に224件と利用者が増加し、平成27年度と比較すると2倍以上になっています。また、産業医等からの依頼による総括産業医と本人との面談についても平成27年度は47件でしたが、令和1年度は125件と3倍近く増加しています。職場において部下の対応に悩む管理監督者が増えていることが予測され、各種研修や情報提供等を通じて周知するとともに、ラインケア等の研修や相談事業の充実が必要です。
職場における心の健康問題に関する管理監督者相談件数(図4)
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(8)ストレスチェックの状況(個人結果)
平成23年度からメンタル不調者を未然に防止する一次予防を目的にストレスチェックを導入しました。個人結果の回答率は96.4%~97.3%と高い割合で推移しています。産業医による健康相談の対象者の割合は、平成27年度の3.6%から令和1年度には6.5%と増加しています。
| 27年度 | 28年度 | 29年度 | 30年度 | R1年度 | |
対象者数 | 19,283 | 19,154 | 19,080 | 19,224 | 19,184 | |
回答者数 | 18,675 | 18,517 | 18,572 | 18,638 | 18,487 | |
回収率 | 96.8 | 96.7 | 97.3 | 97.0 | 96.4 | |
産業医による健康相談 | 対象者数 | 665 | 552 | 1,256 | 1,305 | 1,205 |
対象率 | 3.6 | 3.0 | 6.8 | 7.0 | 6.5 |
(注)ストレスチェック対象者数は、消防局、交通局、水道局、学校園教職員は除く
平成27年度まではK6(うつ・不安障害に対するスクリーニングツール)の結果、平成28年度以降は労働安全衛生法に基づき、実施者である総括産業医が面接指導対象者を選定。平成28年度は合計得点法、平成29年度以降は素点換算法により面接指導対象者を抽出(ストレス反応6尺度が6~11点)
(9)ストレスチェックの状況(面接指導結果)
ストレスチェックの面接指導対象者は、平成28年度以降は総括産業医が選定しています。そのうち、面接申出者数は平成28年度の13.4%でしたが、毎年減少し、令和1年度は11.4%となっています。面接実施者のうち、メンタルヘルス専門医への新規受診勧奨は、令和1年度では、面接指導実施数の17.5%で、平成29年度以降、微増しています。今後も、必要な対象者に面接を行うことでメンタル休職者を増やさないための対策が重要だと考えられます。
| 面接指導 | 面接指導 | 面接指導実施結果(重複あり) | 就業上の | |||||||||
受診勧奨 | 生活習慣 | その他 | 保健指導 | ||||||||||
メンタル | メンタル | 就業制限 | 要休業 | ||||||||||
実 | 割合 | 延 | 新規 | 割合 | 継続 | ||||||||
28年度 | 552 | 74 | 13.4% | 95 | 25 | 33.8% | 22 | 34 | 23 | 3 | 2 | 9 | 1 |
29年度 | 1,256 | 161 | 12.8% | 182 | 21 | 13.0% | 55 | 53 | 59 | 50 | 69 | 18 | 1 |
30年度 | 1,305 | 164 | 12.6% | 172 | 26 | 15.9% | 54 | 57 | 66 | 25 | 77 | 24 | 1 |
R1年度 | 1,205 | 137 | 11.4% | 153 | 24 | 17.5% | 41 | 37 | 47 | 10 | 84 | 21 | 1 |
(10)ストレスチェックの状況(組織結果)
ストレスチェックの組織結果分析は、仕事の量、コントロール度、職場(上司・同僚)の支援により職場状況を把握・分析し、職場環境改善に努めることを目的に実施しています。全国平均を100とした総合健康リスク値では、平成30年度は、101と高値でしたが、それ以外の年度は100以下の数値で推移しています。性別では平成27年度以外は女性が高くなっています。
年代別では、平成27年度から令和1年度まで40代・50代が最も高くなっています。
総合健康リスク値が120以上の職場の割合は、平成30年度に職場単位を10名以上から各安全衛生委員会等で審議した単位(3名以上)に変更したため、平成30年度は18.6%と高値でしたが、令和1年度は12.8%に減少しました。今後もきめ細かい職場単位で職場実態を把握・分析し、各職場の実情に応じた職場環境改善の取組みを強化する必要があります。
| 27年度 | 28年度 | 29年度 | 30年度 | R1年度 | ||
組織結果対象職場数 | 524 | 546 | 584 | 790 | 814 | ||
<参考:職場単位> | <10名以上> | <10名以上> | <10名以上> | 〈3名以上〉 | 〈3名以上〉 | ||
総合健康リスク値(市全体) | 95 | 97 | 98 | 101 | 96 | ||
| 量・コントロール値 | 99 | 100 | 100 | 101 | 100 | |
職場の支援値 | 96 | 97 | 98 | 100 | 96 | ||
性別 | 男性 | 94 | 95 | 96 | 99 | 95 | |
女性 | 90 | 99 | 99 | 102 | 99 | ||
年代 | 10~20代 | 86 | 84 | 83 | 85 | 81 | |
30代 | 92 | 93 | 93 | 99 | 96 | ||
40代 | 98 | 99 | 101 | 105 | 99 | ||
50代 | 100 | 98 | 101 | 105 | 100 | ||
60代 | 88 | 88 | 89 | 90 | 88 | ||
総合健康リスク値120以上の職場数(所属) | 64 (25) | 63 (24) | 66 (26) | 147 (40) | 104 (34) | ||
〃 職場率 | 12.2 | 11.5 | 11.3 | 18.6 | 12.8 |
(11)メンタルヘルス関連研修実施状況
メンタルヘルスに関する研修は、平成27年度から令和1年度にかけて、延べ147回実施しました。管理監督者を対象としたラインケア研修は、できるだけ多くの管理監督者に受講していただけるよう研修体系を整備し、講師派遣型職場環境ミーティングにおいては、職場の実情に応じたきめ細かい職場環境改善策を考える機会としています。平成28年度からは部下にメンタル不調による休職者がいる管理監督者や復職支援に関わる人事担当者を対象とした復職支援研修を実施し、復職支援対策の強化を行っています。また、この他に職員人材開発センターが実施する階層別研修のカリキュラムにおいて、メンタルヘルスに関する内容を取り入れ、階層に応じたセルフケア、ラインケアの知識の習得や理解を深めています。
研修名 | 27年度 | 28年度 | 29年度 | 30年度 | R1年度 | |||||
回数 | 受講者 | 回数 | 受講者 | 回数 | 受講者 | 回数 | 受講者 | 回数 | 受講者 | |
主任安全衛生管理者等講習会 | 1 | 99 | 1 | 98 | 1 | 120 | 1 | 120 | 1 | 118 |
衛生管理者等講習会 | 2 | 247 | 2 | 222 | 2 | 199 | 2 | 195 | 2 | 191 |
安全衛生委員会委員等講習会 | 1 | 103 | 1 | 112 | 1 | 90 | 1 | 49 | 1 | 148 |
ラインケア研修 | 2 | 559 | 2 | 591 | 2 | 537 | 2 | 512 | 3 | 839 |
ストレス調査実施後講習会 | 2 | 75 | 1 | 66 | 1 | 71 | 1 | 79 | 1 | 86 |
講師派遣型職場環境ミーティング | 22 | 410 | 20 | 463 | 19 | 352 | 27 | 462 | 18 | 343 |
復職支援研修(平成28年度より実施) |
|
| 1 | 100 | 1 | 77 | 1 | 66 | 1 | 63 |
年度合計 | 30 | 1,493 | 28 | 1,652 | 27 | 1,446 | 35 | 1,483 | 27 | 1,788 |
---|
(12)復職支援に関するニーズ(復職支援にかかるアンケート調査)
平成30年6月から平成31年3月に復職した職員65名とその管理監督者及び所属人事担当者を対象に、復職支援にかかるアンケート調査を実施しました。
復職した職員のうち、主治医と相談したセルフケア内容は、睡眠が76.6%と最も高く、復職前の自己訓練では、「睡眠のコントロールが難しかった。」「就寝時間を一定にすることに時間を要した。」という意見がありました。また、復職前に睡眠が「満足・まあまあ満足。」と回答した職員は100%でしたが、復職後には91.9%、7か月後は79.2%と減少していました。さらに、復職前に病気の再発への不安が「ない・あまりない」と回答した職員は67.7%でしたが、復職後は59.7%、7か月後は39.6%と減少していました。
管理監督者が難しいと感じた復職支援の内容は、自己訓練開始のタイミングであり、「回復度合いがわからず、いつから開始すべきか悩んだ。」という意見がありました。また、復帰7か月後の時点で職員が本来業務を実施できていると回答した者は、61.4%でした。
所属人事担当者が難しいと感じた復職支援の内容は、管理監督者からの相談対応で、「年休取得が続いた際の病気休暇取得の判断」や「てびきに記載されていること以外の内容」についての回答でした。今後も、生活リズムや睡眠に関するセルフケアの推進及び復職支援における復職基準や役割分担についての明確化が必要です。
2 課題
(1)職場におけるストレス要因の把握と職場環境改善
ストレスチェックの結果の集団分析及び評価を行い、総合健康リスク値が高い職場にヒアリング等を行っているところですが、依然として総合健康リスク値の高い職場があります。安全衛生委員会等において積極的に職場におけるストレス要因を調査・審議し、管理監督者を中心に組織的に環境改善を推進していかなければなりません。
(2)セルフケア及び生活習慣改善の促進強化
メンタル休職者の数が高止まりであることから、新たなメンタル不調者や高ストレス者を増やさないために、「職員一人ひとりが自らの健康は自らで守る」という、セルフケアの意識をもつことが重要です。各自が心の健康について正しく理解し、ストレスに気づき、適切に対応することや、職場全体でセルフケアを促進するなど、メンタル不調の予防に努めなければなりません。
また、メンタル不調と生活習慣は密接な関係があり、生活習慣や身体面の健康もあわせて改善していく必要があります。特にメンタル休職者は生活リズムや睡眠リズムの乱れがあるという復職支援のアンケート調査結果からも、大阪市職員共済組合(以下、「共済組合」という。)と連携(コラボへルス)し睡眠対策を充実させるとともに、定期健康診断等の事後措置を徹底し早期に産業医の健康相談につなげる等、対策をより強化する必要があります。
加えて、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)も勧めていかなければなりません。
(3)各種教育研修・情報提供の充実
メンタルヘルスケアを推進するためには、教育研修は不可欠でありラインケア研修や職場環境改善に関する研修の実施など各種教育研修の充実を図る必要があります。
また、職員一人ひとりがストレスに気づき適切に対処できるよう、様々な機会を通じセルフケアに関する情報提供(心の健康相談窓口の案内やストレスに関するセルフチェック等)を行い、メンタルヘルスに対する理解を深めるために一層の普及啓発をしていく必要があります。
(4)メンタル不調者への早期対応の取組み
人事異動後や昇任、新規採用の職員はメンタル不調になるリスクが高いため、職員自身がセルフケアを心がけ、ストレスに適切に対処できることが重要です。また、管理監督者や産業医等によるケアを実施することにより、本人の技術活用度や満足度を引き出すとともにメンタル不調を予防する必要があります。
さらに、引き続き、ストレスチェックを実施することで、職員自身が早期に心身の不調に気づき、自発的に相談窓口や産業医による健康相談を活用できるよう努めていかなければなりません。
管理監督者は部下の日常の変化を的確に把握し、部下からの相談に応じることが必要です。しかし、病気休暇を繰り返す等対応に困る職員に関する相談が増加していることからも、産業保健スタッフとも連携を図るなどラインによるケアに努める必要があります。
(5)休職者の復職支援策の充実
休職した職員が円滑に職場復帰し、就労継続ができるように「管理監督者向けてびき」や「本人向けてびき」について定期的に見直していますが、復職後1年未満の再休職率が高い状況です。引き続きてびきの内容を充実し、周知及び活用の徹底を図ります。また、再休職を予防するために、休職中(回復期)に必要に応じて、リワーク事業(外部機関の復職支援プログラム)やこころの相談窓口の情報提供を行うとともに自己訓練票による日常生活の確認をすすめます。復職後(特に1年間)は、健康管理及び本来業務への職場環境調整について産業保健スタッフや管理監督者と連携し、就業上の配慮に留意する必要があります。
(6)自殺予防対策及び惨事ストレスケア(PTSD)等に関する取組み
毎年、職員の自殺が発生しており、メンタルヘルス対策を行う上で、自殺予防対策に取組むことは重要です。自殺の背景にはメンタル不調に関連することが多いため、産業医や産業保健スタッフと連携する必要があります。
また、一緒に働いてきた同僚の自殺が発生すると心理的ダメージを大きく受けるため、特に影響を受ける可能性の高い職員に対しては十分相談できる体制をとり、産業医等と連携を図ることが求められます。職員が業務等において暴力や予測困難な災害(感染症を含む)に遭遇した場合など、惨事ストレスケアが必要と判断される場合においても同様に対応する必要があります。
(7)ハラスメント防止対策の取組み
本市においては、平成27年9月に「パワーハラスメントの防止等に関する指針」等を策定し、この間、職員の安全衛生管理の観点からパワーハラスメント(以下「パワハラ」という。)の防止及び排除に向けて、職場における職員の安全及び健康の確保並びに快適な職場環境の形成を促進し、各職場においてパワハラの防止等の取組みを行っています。
また、セクシュアルハラスメント等(以下「セクハラ等」という。)についても、平成11年4月に「職場におけるセクシュアルハラスメントの防止等に関する指針」、平成29年4月に「妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの防止等に関する指針」を策定し、セクハラ等の防止に取り組んでいます。
国においては、令和2年6月に「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」の改正法(以下「改正労働施策総合推進法」という。)が施行され、パワハラ防止規定や相談体制の整備等が、事業主に義務付けられることとなり、防止対策の強化が図られるとともに「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の改正法が施行され、セクハラ等防止対策の強化も図られました。
本市のパワハラ及びセクハラ等の対策については、これまで個別に取組みを進めてきましたが、ハラスメントは複合的に生じることも想定されることから、改正労働施策総合推進法等の施行を契機として、パワハラやセクハラ等を含めたあらゆるハラスメント対策として取り組んでいく必要があります。
具体的な取組み
1 一次予防(心の健康の保持増進・メンタル不調の未然防止)
職場でのストレスを緩和し、職員のメンタル不調を防ぐために、日常的な仕事や生活上の悩みを気軽に相談できる職場環境づくりと職員自身によるセルフケアを推進します。
仕事に誇り・やりがいを感じ、熱心に取組み仕事から活力を得て、いきいきしている職員が多い元気な職場づくり(=ワークエンゲイジメントの推進)を目指します。
(1)快適な職場環境づくりに向けた取組み
ア 職場ストレス状況の把握と職場環境改善
人事課厚生Gは、ストレスチェックを実施し、職場ごとの集計・分析を行い、高ストレス職場にはヒアリングを実施する等、結果を活用できるよう情報提供を行い、各職場は、職場環境改善につなげ、働きやすい職場づくりの取組みを行います。また、管理監督者は、教育訓練を積極的に推進し、職員の能力開発や知識・専門性を高めるとともに、日常的に話し合いの機会を持ち、相談しやすい環境をつくるなど、職場におけるコミュニケーションを良好に保つように努めます。
人事課厚生Gは、主任安全衛生管理者や新任課長等を対象にストレスチェック実施後講習会を実施し、各職場が積極的に職場環境改善の取組みができるように、産業保健スタッフによ る支援をすすめます。また、職場環境改善良好事例集の発行などの情報発信や講師派遣型職場環境ミーティング等を実施します。
イ 安全衛生委員会の活性化
各職場は安全衛生委員会の意義や役割を認識し、調査・審議を活性化することにより、快適な職場環境の形成・健康の保持増進を図ります。産業医及び衛生管理者は職場巡視を行い、働きやすい職場環境づくりを総合的に推進します。
人事課厚生G及び各職場は、安全衛生委員会が積極的にメンタルヘルス対策に関する取組みができるよう情報発信や研修を実施します。
ウ 長時間勤務による健康障害の予防
管理監督者は、日頃から長時間勤務を削減し、仕事と生活の調和(=ワークライフバランスの確保)を図るとともに職員の健康管理に係る措置を徹底します。また、良好な職場環境(職場風土を含む)を形成の上、職員の心理的負荷を軽減することに努め、それぞれの職務の実態を踏まえて必要な業務調整を行います。
各職場は、長時間勤務職員の状況を把握し、健康障害の防止を図るための対策を安全・衛生委員会で審議します。また、長時間勤務職員に対し、産業医面接を適切に実施します。
人事課厚生Gは、「長時間勤務職員に対する健康障害防止に係る面接指導要綱」に基づく長時間勤務職員に対する健康障害防止対策について研修等を通じてその内容及びその趣旨の理解の促進や遵守のための啓発を行います。また、職場が長時間勤務職員に産業医等による面接や就業上の措置が適切に行えるよう支援します。
エ 人事異動後の職員に対するケアの実施
人事課厚生Gは、新規採用や人事異動、昇任後の職員に対して、職場環境の変化に伴うメンタル不調を予防するため、相談先やストレス対処方法等の情報を個別に提供します。また、管理監督者は、ラインによるケアを充実させセルフケアに関する意識の向上を図るとともに、必要に応じて管理監督者による面談を実施し、メンタル不調をきたしている職員への対応につなげます。
(2)セルフケアの推進
ア ストレスチェックの活用
人事課厚生G及び各職場は、職員のストレスの程度を把握し、職員自身のストレスへの気づきを促し、セルフケアが行えるように情報提供をします。また、各職場は、高ストレス者に対して産業医による健康相談を実施します。
イ セルフケアの啓発・支援
人事課厚生Gは、メンタルヘルスや生活習慣(睡眠・飲酒・運動等)のセルフケアに重点を置き、職員が心身の健康管理を行えるように庁内ポータルや各種研修等を活用し、セルフケアに効果の高い健康情報を発信します。また、特に睡眠については、メンタル休職者において睡眠リズムの乱れが多くみられることから、定期健康診断等事後措置の実施や共済組合との連携(コラボヘルス)をすすめ、セルフケアを促進します。
各職場は、これらの情報を職員へ周知し、職員自らのセルフケアの意識が高まるよう健康管理に役立てます。
ウ 健康相談窓口の周知
人事課厚生Gは、希望する職員やその家族が職員のメンタル不調について気軽に相談できるように、「こころの相談窓口」や「心の健康問題に関する相談」について庁内ポータルや各種研修等を活用し積極的に周知します。また、携帯用セルフケアカードを周知することで相談先がすぐにわかる工夫をします。
(3)各種教育研修・情報提供の充実
ア メンタルヘルスに関する研修の充実
人事課厚生Gは、「心の健康づくり推進者育成研修」「階層別研修」「ラインケア研修」「衛生管理者等産業保健スタッフ研修」「ストレスチェック実施後講習会」「講師派遣型職場環境ミーティング」等の内容を一層充実します。
イ 情報提供
人事課厚生Gは、「安全衛生最前線」(月一回発行)をはじめ庁内ポータル等を活用し、セルフケア、職場環境改善、パワハラやセクハラ等を含めたあらゆるハラスメント防止等、メンタルヘルスに関する情報提供を行い、普及及び啓発を行います。また、各職場で実施する教育研修等に活用できるように、DVD等の媒体の充実を図り、「管理監督者向けてびき」に、一次予防対策のポイントをまとめ、総合的なメンタルヘルスケアの推進を図ります。
2 二次予防(早期発見、早期対応、療養支援)
メンタル不調者を早期に発見し、相談、治療等への適時、適切な対応ができるような仕組みづくりと実践を行います。
(1)早期発見・対応の仕組みの充実
ア ラインケア研修等の充実・研修未受講者への対策
人事課厚生Gは、管理監督者全員が知識を得、組織的にメンタルヘルスケアについて取り組めるようにe-ラーニングの活用等研修を行います。また、管理監督者が部下の変化に気づき、早期対応できるよう事例紹介や職員への具体的な対応について学べるよう内容を充実します。さらに、職場復帰支援に特化した「復職支援研修」を企画し、総務局人事部人事課人事グループ(以下「人事課人事G」という。)及び共済組合と連携し実施します。
イ 管理監督者への相談支援
人事課厚生Gは、心の健康問題を抱えている部下への対応について管理監督者が一人で悩むことがないよう「心の健康問題に関する相談」を周知し、産業保健スタッフによる相談支援を充実します。
ウ 「管理監督者向けてびき」による啓発
人事課厚生Gは、「管理監督者向けてびき」を随時改正し、管理監督者がメンタル不調の職員に早期に気づき対応するための知識や療養支援について啓発します。
エ メンタル不調の疑いのある職員に対する産業医等による健康相談
各職場は、産業医等による健康相談を実施し、専門医療機関への受診勧奨や経過観察等により、メンタル不調者の早期発見・早期対応に努めます。
人事課厚生Gは、定期健康診断の問診票の項目を活用し睡眠に対する自覚症状がある職員が産業医の健康相談を受けられるよう仕組みを整えます。
オ 職場環境改善に向けた配置替え
心の健康問題を抱えている職員の中には、場合によっては職場環境を変えることにより、病状の回復につながることもあります。管理監督者及び所属人事担当者は、人事課人事Gと連携し、主治医・産業医等の医学的意見を踏まえ、必要に応じ所属内での配置転換等の対応を行いながら柔軟な人事異動に努めます。
(2)適切な療養支援の取組み
ア 「管理監督者向けてびき」の活用
職場における療養支援のキーパーソンは管理監督者であり、管理監督者が主体となって適切な支援をすることが求められます。管理監督者は、「管理監督者向けてびき」を活用し、人事課厚生Gと連携しながら、病気休暇や休職に至った職員が適切に療養できるよう支援します。
イ 「本人向けてびき」の活用
職員及び管理監督者は、「本人向けてびき」を活用し、療養中の手続きや復職の流れ等を把握し、人事課厚生Gと連携しながら、安心して療養や復職ができるよう支援します。
三次予防(職場復帰・再発予防)
安全で円滑な職場復帰システムを構築し、メンタル不調のため療養していた職員の円滑な職場復帰を図るとともに再発を予防します。
(1)安全で円滑な職場復帰支援と再休職予防
ア 安全で円滑な職場復帰支援
人事課厚生Gは、「管理監督者向けてびき」「本人向けてびき」を各職場に周知し、通常勤務への復帰まで、復職者・管理監督者・主治医・産業保健スタッフの役割を整理し十分連携できるように取組みます。必要に応じて、休職中(回復期)に復職支援サービス(リワーク)やこころの相談窓口に関する情報提供を行います。
管理監督者と主治医の連携に関して支援できるよう「管理監督者向けてびき」「本人向けてびき」を適宜、改正し復職基準を明確化します。また、「復職支援研修」の内容を充実し復職者を迎える職場に対しての支援を強化します。
イ 再休職予防
休職した本人が、総括産業医等や職場産業医との復職前後の面談やこころの相談窓口を通じて、休職に至った経過を振り返り、今後の体調管理など復職にかかる個々の課題を認識し、主体的に取り組むことで就労継続を図ります。管理監督者は、再発を予防することができるよう支援します。
また、復職後1年間は再休職の割合が高いことから、管理監督者は各職場産業医、人事課厚生Gと連携し、復職後の支援体制について一層強化します。
人事課厚生Gは復帰後の就労状況等を確認し、必要に応じて主治医及び産業医との連携を図り、再発の予防に努めます。
復職後、本人又は管理監督者が異動する際には、管理監督者間で配慮の必要性の引継ぎを行います。
ウ 不調の連鎖防止の取組み
職場及び管理監督者は、休職者が出た場合は不調の連鎖予防のため、業務分担の見直しや応援体制の整備、必要に応じて人員配置の配慮について検討します。
また、職場の職場環境や他の職員の健康状態を把握し、必要に応じて面談等を行います。
(2)心の健康問題を抱えている職員に係る人事異動
ア 適切な人事配置の取組み
職場復帰は、原則として休職前の職場に復帰することになりますが、心の健康問題を抱えている職員の中には、その後、場合によっては職場環境を変えることにより、再発を予防できることもあります。管理監督者及び所属人事担当者は、人事課人事Gと連携し、主治医・産業医等の医学的意見を踏まえ、必要に応じ所属内又は所属間での配置転換等の対応を行いながら柔軟な人事異動に努めます。
4 その他の取組み
(1)自殺予防への取組み
職員及び管理監督者は、快適な職場環境づくりに取組み、自殺予防について普及・啓発をすすめます。
人事課厚生Gは、「事前予防」「自殺発生の危機対応」「事後対応」の段階ごとに、職場と連携を図りながら、産業保健スタッフ等による支援体制を強化します。自殺予防対策に関する内容について「管理監督者向けてびき」に内容を追加し、適宜、改正します。
また、現職死亡の報告(月1回)について速やかに状況把握するよう努め、産業保健スタッフが検証を行い、今後の対策の充実に努めます。
(2)災害時及び惨事ストレスケア(PTSD)等に関する取組み
職員が、業務等において惨事や予測困難な災害(感染症含む)に遭遇したり、間接的に何らかの惨事に関わり、惨事ストレスケアが必要な場合は、メンタル不調になることを未然に防止する観点から、管理監督者や産業保健スタッフは、人事課厚生Gと連携を図り、積極的に対策を推進します。
人事課厚生Gは、惨事ストレスケア対策に関する内容について「災害時における職員の健康管理マニュアル」及び「管理監督者向けてびき」に内容を追加し、適宜、改正します。
(3)アルコール使用障害の予防と対応
各職場は、定期健康診断の問診項目や健診結果に基づき、飲酒習慣に関する質問票(AUDIT)を用いた産業医等による健康相談を実施し、必要に応じて適切な医療への受診勧奨を行います。
人事課厚生Gは、アルコール使用障害に関して、共済組合と連携(コラボヘルス)して情報提供及びセルフケアを推進します。
(4)ハラスメントの防止と相談体制の充実
総務局は、職員の服務規律の確保及び安全衛生管理の観点から、「職場におけるセクシュアルハラスメントの防止等に関する指針」「パワーハラスメントの防止等に関する指針」及び「妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの防止等に関する指針」に基づき、所属長・職員がその責務を認識し、快適な職場環境の形成を促進します。
人事課人事G、人事課厚生G及び職員人材開発センターが連携し、ハラスメントに関する研修及び情報提供を行うことで、職員の理解を深め、意識の啓発や相談体制の充実に努めます。
参考
1 基本的役割
メンタルヘルスケアの推進における基本的役割は次のとおりです。
(1)事業者(大阪市)
市長は、事業者として職員の安全配慮義務を果たすとともに、メンタルヘルスケアを推進するにあたっての基本方針を示し、それに基づく具体的取組みを計画的に実施することにより、メンタルヘルスケアを効果的に推進する責務を担います。また、各職場の推進状況を掌握し、必要な措置を講じます。
(2)所属長
所属長は、職員の安全配慮義務を果たすとともに各職場においてメンタルヘルスケアの推進を表明し、「計画」の実施、評価および検証を行う責務を担います。本計画の趣旨、目的について職員への周知徹底を図るとともに、さらに実効性を高めるため必要に応じ各職場の実情を踏まえた心の健康づくり計画の策定に努めます。
(3)心の健康づくり推進者
心の健康づくり推進者は、局・区役所の主任安全衛生管理者及び50人以上の事業所の長等が担います。産業保健スタッフとの連携を図り、局区役所、各事業所等においてメンタルヘルスケアを推進する責務を担います。
局・区役所、および50人以上の事業所等に心の健康づくり推進者を設置します。
(4)管理監督者
管理監督者は、職場のメンタルヘルスケアを推進する上でキーパーソンであるという自らの役割とその重要性を認識するとともに、職員の安全配慮義務を果たすため、部下の日常の変化を的確に把握し、部下への声かけを行ったり、部下からの相談に応じるとともに産業保健スタッフと連携を図り、職場のメンタル不調者に対応するなどラインによるケアに努める責務を担います。
また、日頃から職場内のコミュニケーションを促進するなど職場環境改善に努め、職員が相互に助け合い、風通しの良い働きやすい職場づくりをこころがけ職場のメンタルヘルスの向上に努めます。
(5)衛生管理者等
衛生管理者等は、心の健康づくり推進者や産業保健スタッフと協力しながら職場におけるメンタルヘルスケアの実務を進めます。
(6)職員
メンタルヘルスケアは、職員自身がメンタルヘルスに対する理解を深め、自らのストレスに気づき、これを予防、軽減するためのセルフケアを積極的に実施することが基本になります。職場には「安全配慮義務」、職員には自分の健康を自分で保持する「自己保健義務」が課せられています。職員は、このことを認識し、教育研修等によってメンタルヘルスケアの理解を深め、日常において実践することが重要で、ストレスチェックを活用し、相談窓口を自発的に活用するなど自らが心の健康を保持増進していく意識をもつことが大切です。また、職場の同僚と相互に協力して職場内のコミュニケーションに努めるなど、働きやすい職場環境づくりにそれぞれが取組むことが望まれます。
(7)産業保健スタッフ
産業保健スタッフは、効果的なセルフケアやラインによるケアが行われるために、相互に連携し、その専門的知識や関係機関とのネットワークを活用して、メンタルヘルスケアを推進することを支援します。具体的には、教育研修の企画立案実施、職場環境の改善に向けての助言指導、個別の相談対応、職場復帰支援等に各々がよく連携しながら取組みます。
また、人事課厚生Gは心の健康づくり計画に基づく具体的なメンタルヘルス対策の推進に関する企画立案等、計画の実施にあたり中心的な役割を果たします。
(8)安全衛生委員会等
「大阪市職員安全衛生管理規則」の定めるところにより「大阪市職員安全衛生委員会」(以下「市委員会」という。)を設置しています。市委員会は、職員の労働安全衛生に関する重要事項について調査審議し、市長に意見を述べることを目的とします。
各職場安全衛生委員会等は、各職場において計画推進がなされているか掌握しながら、継続的なメンタルヘルスケアを推進します。また、心の健康づくり推進者等を中心に、必要に応じて職場の実情に合わせた実効性のある職場における心の健康づくり計画の策定に取組みます。
(9)人事担当部門
各職場の人事担当部門は、メンタルヘルスについて十分理解し、職員がその能力を十分に発揮できるように産業保健スタッフと連携し管理監督者を支援するとともに、能力、適性等に応じた人事配置に取組みます。
また、人事管理上の問題が発生した場合には、管理監督者及び産業保健スタッフと連携して的確に対応します。
(10)外部専門機関
医療機関などの外部専門機関には、心の健康の保持増進のために多種多様なサービスを提供しているところがあります。職員、管理監督者及び産業保健スタッフは、各ケアの実施に際して、その役割や機能に応じて外部専門機関を積極的に活用します。管理監督者、産業保健スタッフは、職員が必要に応じて外部専門機関によるケアを適切に受けられるよう、連携を図るように努めます
2 用語の説明
・メンタルヘルスケア
心の健康の保持増進のための措置
・一次予防
疾病予防や健康増進を行い、原因の排除やリスクの低減を図ること
・二次予防
早期発見、早期治療を行い、疾病や障害の重症化を予防すること
・三次予防
すでに疾病が発病し、その後の再発を予防すること
・ストレスチェック制度
定期的に職員のストレスチェックを行い、本人にその結果を通知し、自らのストレスの状況について気づきを促し、個々の職員のストレスを軽減させるとともに、ストレスの高い者を早期発見し、医師による健康相談につなげる。また、結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場の環境改善につなげる。(平成27年12月から労働安全衛生法の一部改正により義務化)
・メンタルヘルス不調(略:メンタル不調)
精神及び行動の障害に分類される精神障害や自殺に限らず、ストレスや強い悩み、不安など労働者の心身の健康・社会的および生活の質に影響を・
与える可能性のある精神的および行動上の問題を幅広く含む
・精神及び行動の障害
厚生労働省がICD-10(世界保健機関)に準拠して作成した「疾病、障害及び死因の分類」における「精神及び行動の障害」のこと
・職場環境
作業環境等に加えて、労働時間、仕事の量と質、職場の人間関係、職場の組織、人事労務管理体制等のこと
・総合健康リスク
「職業性ストレス簡易調査」を用い、職場のストレス要因の特徴と健康への影響の大きさを判定し、評価したもの。一般には、このリスク値が120(標準集団では100 と設定)を超えると職場環境等に何らかの問題が生じていると考えられている。
・管理監督者
所属長をはじめとし職員と日常的に接し、管理監督する者
・安全衛生委員会等
安全衛生委員会、または衛生委員会やその分科会のこと
・産業保健スタッフ
産業医や衛生管理者および総括産業医・総務局保健師等のこと
・衛生管理者等
衛生管理者、衛生推進者および安全衛生推進者
・外部専門機関
組織外でメンタルヘルスケアへの専門的支援を行う機関及び専門家
・セルフケア
職員自身がストレスに気づき、これに対処するための知識・方法を身につけ、それを実行すること
・ラインによるケア
管理監督者によるメンタルヘルスケア
・アルコール使用障害
危険な飲酒や有害な飲酒のこと
・パワーハラスメント
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位、人間関係その他の職場内の優位性を背景として業務の適正な範囲を超えて、精神的若しくは身体的苦痛を与える行為又は職場環境を悪化させる行為
・セクシュアルハラスメント
職場において、相手の意に反し不快にさせる、性的な関心若しくは欲求に基づく言動又は性別により役割を分担すべきとする意識若しくは性的指向若しくは性自認に関する偏見に基づく言動
・ワークエンゲイジメント
職員の心の健康度を示す概念のひとつで、仕事に対して「熱意」(仕事に誇りややりがいを感じている)、「没頭」(仕事に夢中になり集中して取り組んでいる)、「活力」(仕事に積極的に取り組んでいる)の3つが揃って充実している心理状態を指す。
・コラボヘルス
事業主と健康保険組合の協力・連携によって、健康度向上に向けた取組みを効果的に行うこと
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