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令和2年3月27日付け裁決(答申第17号)

2022年12月22日

ページ番号:505380

裁決書

審査請求人 ○○○○
処分庁 大阪市長

 審査請求人が令和元年10月17日付けで提起した処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による令和元年9月20日付け、平成29年度、平成30年度及び令和元年度固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)賦課決定処分(以下「本件各処分」という。)に係る審査請求(令和元年度財第28号。以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 審査請求人は、平成29年〇月〇日に確定した離婚等請求事件に係る判決(以下「本件判決」という。)により元夫である〇〇〇〇(以下「代表者」という。)と離婚し、代表者と共有していた別紙物件目録記載の土地及び家屋(以下「本件不動産」という。)の審査請求人の持分(2分の1)を代表者に対して財産分与しました。
 また、代表者は上記財産分与を原因とする単独名義の所有権移転登記を経由していません。
2 処分庁は、本件不動産に係る平成29年度分、平成30年度分及び令和元年度分の固定資産税等(以下、各年度分の固定資産税等を併せて「本件各固定資産税等」という。)について、それぞれ当該年度の当初に代表者に対して、納税通知書を交付することにより、各賦課決定処分をしました。
3 本件各固定資産税等について、各納期限までに納付がなかったため、処分庁は、令和元年9月20日付けで、本件不動産の共有者である審査請求人に対して、納税通知書を交付することにより、本件各処分をしました。
4 審査請求人は、令和元年10月17日、大阪市長に対し、本件各処分を不服として、審査請求を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 本件判決により、本件不動産の共有持分権は本件判決確定日に代表者に移転している。
 実質的に考えても、不動産の権利や価値を把握している者が税等、物件から発生する費用を負担すべきところ、審査請求人は本件不動産の権利や価値を本件判決により喪失している。
 本件不動産に係る所有権移転登記は、登記義務者である審査請求人一人では実現できないところ、一方、登記権利者である代表者は本件判決をもって単独で登記できる。また、所有権移転登記には、登記費用がかかるところ、登記義務者である審査請求人にそれを負担させ、また、負担しなければ本件各固定資産税等の支払をしなければならないとするのは不当、不合理である。
 以上より、本件各固定資産税等の支払義務を負うのは代表者であり、審査請求人への請求は法解釈に誤りがある。
(2)  審査請求人は現在失業しており、失業保険ももらっておらず、代表者から〇年〇か月養育費ももらえていない。貯金を切り崩しながら生活し、就職するため面接へ行っている。何十万も払えない。
 平成29年度なら代表者は会社に行っていたし、なぜ法律上、差押えに係る手続は10日後と書いてあるのにされなかったのか。代表者は実家のある〇〇〇〇にいるのに、なぜ請求せず、たとえ〇〇〇〇にいたとしても預金等の口座を差し押さえることができるのではないか。
 無職で〇人の子を育てている審査請求人にどうして請求するのか。お金を持っている、代表者にまず請求すべきではないか。
(3)  市区町村は、納付期限が過ぎても固定資産税が納付されない場合、20日以内に督促状を発送しなければならず、督促状を発送し、10日を経過しても納付されない場合、納税義務者の財産を差し押さえなければならないと定められている。市税事務所は、職務をしなかった。代表者には退職後、退職金が銀行に振り込まれていたのにもかかわらず、放置された。なぜ、差し押さえ、税金を支払わせなかったのか。
(4)  法によれば、権利がないのに義務など存在しない。市税事務所の言うとおりならば、審査請求人に権利があることになり、市税事務所は裁判所の判決に従わないことになる。現に審査請求人は、本件不動産の権利を放棄したから、代表者から強制執行により財産の分与分を支払ってもらっている。
2 処分庁の主張
(1)  処分庁においては、共有物に係る固定資産税等の納税通知書を代表者にのみ送付しているが、滞納となった場合には代表者以外の共有者に対して、納税の告知を行う必要があることから、審査請求人に対し、令和元年9月20日付けで本件各処分を行った。
(2)  固定資産税は固定資産の所有者に課するとされ(地方税法(以下「法」という。)第343条第1項)、その所有者とは、土地又は家屋については登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいう。また、都市計画税を課することができる所有者とは、当該土地又は家屋に係る固定資産税について法第343条において所有者又は所有者とみなされる者をいうとされている(法第702条第2項)。
 したがって、土地及び家屋の所有権を有する者であるか否かにかかわらず、所有権を喪失していたとしても、賦課期日現在において、登記簿上所有者となっている場合は、当該登記簿上の所有者が納税義務者となる。
 また、賦課期日現在、登記簿に所有者として登記されていた者が、後になって真実の所有者でなくなったとしてもその者に対してなされた固定資産税の賦課処分は適法であり、したがって、既になされた賦課処分の取消しをすることはできないと示されている(昭和32年7月18日自丁市発第122号及び昭和38年7月2日自治丁固発第72号)。
 よって、本件判決により本件不動産の財産分与が確定されているものの、確定内容に応じた登記簿上の所有権移転登記がされていないことから、平成29年度、平成30年度及び令和元年度の納税義務者は、各年度の賦課期日時点の登記簿上所有者である代表者と審査請求人になる。
(3)  審査請求人からの、「所有権移転登記を審査請求人単独では行うことができず、登記費用を審査請求人が負担し、所有権移転登記を行わなければ、納税の義務を負うというのは不当、不合理である」旨の主張については、本件各処分の違法性に直接関係するものではない。
(4)  共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負うとされている(法第10条の2第1項)。また、地方団体の徴収金の連帯納付義務については、民法第432条から第434条まで、第437条及び第439条から第444条までの規定を準用することとされている(法第10条)。
 したがって、審査請求人は徴収金を連帯して納付する義務を負っており、審査請求人が主張するように、他の登記簿上所有者である代表者のみを納税義務者として認定することはできない。

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1) 固定資産税等の賦課期日について
 固定資産税等の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とされています(法第359条及び第702条の6)。
(2)  固定資産税等の納税義務者について
ア 固定資産税は、固定資産の所有者に課し(法第343条第1項)、その所有者とは、土地又は家屋については、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいうとされています(同条第2項)。
イ 都市計画税を課することができる所有者とは、当該土地又は家屋に係る固定資産税について法第343条において所有者とされ、又は所有者とみなされる者をいうとされています(法第702条第2項)。
(3)  連帯納税義務について
ア 地方団体の徴収金の連帯納付義務又は連帯納入義務については、民法第432条から第434条まで、第437条及び第439条から第444条までの規定を準用するとされています(法第10条)。
イ 共有物、共同使用物、共同事業、共同事業により生じた物件又は共同行為に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負うとされています(法第10条の2第1項)。
ウ 数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができるとされています(民法第432条)。
(4)  固定資産税等の徴収の方法等
ア 固定資産税の徴収については、普通徴収の方法によらなければならないとされています(法第364条第1項)。
イ 普通徴収とは、徴税吏員が納税通知書を当該納税者に交付することによって地方税を徴収することをいうとされています(法第1条第1項第7号)。
ウ 都市計画税の賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、特別の事情がある場合を除くほか、固定資産税の賦課徴収とあわせて行うものとされています(法第702条の8第1項)。
2  争点等について
(1) 審査請求人が本件各固定資産税等の支払義務を負うか
 審査請求人は、本件判決により、本件不動産の共有持分権は本件判決確定日に代表者に移転しているため、本件各固定資産税等の支払義務を負うのは代表者であり、審査請求人に対して本件各固定資産税等を請求するのは法解釈に誤りがある旨主張しています。
 しかしながら、上記1(1)及び(2)のとおり、地方税法は固定資産税の納税義務者を決定するのに課税の便宜のため形式的な標準を採用しており、固定資産税等の賦課期日であるその年の1月1日現在において、登記簿に登記されていれば、それだけで固定資産税等の納税義務者として法律上確定されるというべきです(最高裁昭和30年大法廷判決)。
 また、上記1(2)及び(3)イのとおり、共有物に対する固定資産税等は納税者が連帯して納付する義務を負うところ、上記1(3)ウのとおり、債権者である地方団体は、順次にすべての連帯債務者に対し、連帯債務の全部の履行を請求することができるから、当該固定資産税等を請求された納税者は、その全部を納付する義務を負うものとされています。
 これを本件についてみると、前記事案の概要1のとおり、本件各固定資産税等の賦課期日において、代表者及び審査請求人が本件不動産に係る所有者として登記されており、本件各固定資産税等の納税義務者は代表者及び審査請求人であると認められることから、審査請求人は本件不動産に係る本件各固定資産税等の支払義務を負います。この理は、賦課期日において登記簿の記載とは異なり、審査請求人が本件不動産に係る共有持分権を現に有していなかったとしても変わるところはありません。
 したがって、審査請求人の上記主張は認めることができません。
(2)  連帯納税義務者への納税通知書の交付について
 審査請求人は、本件各固定資産税等については、審査請求人に請求するのではなく、代表者へまず請求すべきである旨主張しています。
 しかしながら、上記1(3)のとおり、共有物に対する地方団体の徴収金は、納税者が連帯して納付する義務を負い、数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができるとされ、また、上記1(4)のとおり、固定資産税等の徴収については、普通徴収の方法によらなければならず、普通徴収とは、徴税吏員が納税通知書を当該納税者に交付することによって地方税を徴収することをいうとされています。
 これを本件についてみると、共有物である本件不動産に対する固定資産税等については、代表者及び審査請求人が連帯して納付する義務を負うこととなり、この場合、処分庁は代表者若しくは審査請求人の一人に対し、又は同時に若しくは順次に代表者及び審査請求人に対し、全部又は一部の履行の請求をすることができることから、処分庁が本件各固定資産税等の連帯納税義務者である審査請求人に納税通知書を交付し、本件各処分を行ったことに違法又は不当な点は認められません。
(3)  その他の審査請求人の主張について
 審査請求人は、審査請求人自身が現在失業しており、生活に困窮している旨や代表者に対して督促を行い、預金の差押えといった滞納処分を行うべきである旨等主張していますが、それらの主張は本件各処分の違法性又は不当性に関する主張とは認められないため、採用することはできません。
3  結論
 以上のとおり、本件各処分に違法又は不当な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

令和2年3月27日
大阪市長 松井 一郎

別紙物件目録 省略

裁決書(令和元年答申第17号)

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