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答申第479号

2024年3月22日

ページ番号:516861

概要

(1)公開請求の内容

新大阪駅エスカレーター設備工事ほか4件の工事に係り(1)予定価格設定の為に業者から入手した下見積もり(見積書)又は見積比較書及び(2)予定価格書/予定価格調書の公開を求める旨の請求(以下「本件請求」という。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市交通局長(当時))の決定

実施機関は、本件請求に係る公文書を、別表2の(う)欄に記載の公文書(以下「本件見積比較書」及び「本件予定価格内訳」という。)と特定した上で、大阪市情報公開条例(以下「条例」という。)第10条第1項に基づき、公開しないこととした部分及び公開しない理由を別表2の(え)欄及び(お)欄のとおり付して、部分公開決定(以下「本件決定」という。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件決定で公開しないこととした部分のうち、本件見積書の業者ごとの総額(以下「本件非公開情報1」という。)及び本件予定価格内訳の直接工事費の内訳の金額(以下「本件非公開情報2」という。)の公開を求めて、審査請求がありました。

(4)答申の結論

本件決定において公開しないこととした部分のうち、別表1に掲げる部分を公開すべきである。

(5)答申のポイント

審査会は、次の理由により、上記(4)のとおり判断しています。

ア 本件非公開情報1の条例第7条第5号該当性について
本件非公開情報1は、本件見積比較書に記載された、直接工事費と共通費の合計金額部分である。
実施機関によると、各事業者が提出した見積金額のうち最安値の事業者の見積金額を採用しているとのことである。本件非公開情報1を公開することにより、見積を採用された事業者が判明することになり、見積を採用された事業者は自身が提出した見積書と落札決定後に公開される予定価格内訳の金額を比較することにより、高い精度で査定率を類推することができることが認められる。
したがって、本件非公開情報1を公開することにより見積を採用された事業者は査定率を高い精度で類推することが可能となるため,非公表とされている査定率を実質的に公表したのと同じ結果となる。
実施機関では、年間に同種の建築等工事を複数発注しており、これらの建築等工事の予定価格の算出に当たって、実施機関はその都度事業者から見積りを徴取しているが、特別な社会情勢の変化等が無い限り、数か月程度の一定期間に発注する同種の工事案件の見積価格は変動しないとのことであり、同じ査定率を使用する同種の工事案件が当該期間中に発注されることになる。また、予定価格に、公表されている一定の率を掛けることにより最低制限価格を算出することが可能であるから、同じ査定率を使用する同種の工事案件の予定価格を類推することができるということは同時に最低制限価格をも類推することができると認められる。
そして、最低制限価格を類推することができれば、事業者は、落札することを目的に最低制限価格であると類推した金額で応札価格を決定し、本来必要な費用と利益を見込んだ価格を適正に積算せず入札に参加しようとすることが予想される。
このように、最低制限価格付近の金額に入札が行われれば、適正な積算を行わない事業者であっても実施機関は選定せざるを得ず、その場合、公共工事の品質確保のために実施機関が通常より多大な負担を負わなければ、契約内容が完全に履行されないという事態が生じるおそれがあることが認められる。
以上を踏まえると、本件非公開情報1を公開することにより実施機関における契約事務の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性があるものと認められる。
したがって、本件非公開情報1は、条例第7条第5号に該当する。

イ 審査請求人の主張について
審査請求人は「予定価格設定に際しては常に同じ査定率を使っている」こと自体が予定価格設定に関する法令の要請に反した運用であり、実務的にもなんら合理性も妥当性も持ちえないと主張するが、実施機関によると、一定期間同じ査定率を使用しているが、同じ査定率を用いることが出来ないとする規定等は存在しないとのことであり、また、審査請求人の当該主張は当審査会の判断すべき事項ではないため、現に実施機関において同じ査定率を使用している以上、同じ査定率を使用していることを前提に本件非公開情報1の公開の可否を判断するべきものである。
また、審査請求人は、見積比較書の業者名及び業者ごとの総額は殆どの官公庁等で公開されており、非公開としている官公庁等は大阪市を含め極めて限られている旨主張するが、公開すべきと判断された官公庁等に係る答申を当審査会で確認したところ、これらの官公庁等と実施機関との間では入札契約手続が異なっていたため、見積比較書の公開の可否も一律に判断されるものではなく、これらを単純に比較することはできない。
したがって、審査請求人のこれらの主張は、上記アの当審査会の判断を左右するものではない。  

ウ 本件非公開情報2の条例第7条第5号該当性について
(ア) 本件非公開情報2のうち「小計(直接工事費)」欄に記載の金額を除く金額の条例第7条第5号該当性について
本件非公開情報2は、入札に先立ち工事の予定価格を算出するために実施機関が作成する文書である予定価格内訳のうち、直接工事費の内訳及びその合計金額である。
実施機関によれば、工事期間中に変更が生じた場合の契約変更予定金額は、入札時の工事価格算出のために事業者から徴取した見積金額に基づく本件非公開情報2を用いて算出しているため、本件非公開情報2が公になることにより、契約変更に係る予定価格が類推されるとのことである。
契約変更に係る予定価格が類推されると、請負事業者はより高い金額の契約を得ようとして予定価格とほぼ同額の見積金額しか提示しないことになり、実施機関は予定価格よりさらに有利な価格での契約の機会を失う上、積算や見積り努力を行わず、積算根拠のない一式による価格提示を行う請負事業者に対しては、その根拠について何度も協議を繰り返すこととなり、契約変更のために多大な労力を費やすことになる。さらに、協議が長期化することにより、工事の中断やそれに伴い実施機関が追加の費用を負担しなければならないなど、実施機関の財産上の利益が損なわれるおそれがあると認められる。
したがって、本件非公開情報2のうち、「小計(直接工事費)」欄に記載の金額を除く金額は、条例第7条第5号に該当する。
(イ) 本件非公開情報2のうち「小計(直接工事費)」欄に記載の金額の条例第7条第5号該当性について
当審査会で確認したところ、本件予定価格内訳の「直接工事費」欄に記載の金額は「小計(直接工事費)」欄に記載の金額と同じであり、「直接工事費」欄は公開されていることから、別表1のとおり「小計(直接工事費)」欄に記載の金額は、条例第7条第5号に該当しない。

答申第479号

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