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答申第131号

2019年9月9日

ページ番号:523018

概要

(1)開示請求の内容

「平成28年8月1日に人事室A産業医と当時の上司による『心の健康問題等に関する相談事業』における面談内容を記した記録」を求める旨の開示請求(以下「本件請求1」といいます。)及び「就業上の措置計画書及び実施記録票、就業上の措置に係る意見書兼措置実施結果記録(審査請求人が大阪市に入職してから現在までの全て)、平成28年8月1日に行われた心の健康問題等に関する相談事業の相談票、平成28年8月1日に行われた心の健康問題等に関する相談事業実施後の相談員(A産業医等)からの意見書と記録等」を求める旨の開示請求(以下「本件請求2」といい、本件請求1とあわせて以下「本件各請求」といいます。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

実施機関は、本件請求1に係る保有個人情報を「健康相談・面接記録(平成28年8月1日)」と特定した上で、そのうち「相談・指導内容、および経過」の部分については、大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「条例」といいます。)第19条第6号に該当することを理由に非開示とする部分開示決定(以下「本件決定1」といいます。)を行いました。
実施機関は、本件請求2に係る保有個人情報の一部を「相談票」、「健康相談・面接記録(平成28年8月1日)」、「管理監督者健康相談記録(平成28年11月22日)」、「健康相談・面接記録(平成28年11月22日)」と特定した上で、そのうち「記入者」、「相談日来庁予定者」、「相談目的」、「相談内容」、「既往歴等」、「経過(勤怠状況等)」、「相談・指導内容、および経過」及び「相談・指導内容」の部分については、条例第19条第6号に該当することを理由に非開示とする部分開示決定(以下「本件決定2」といいます。)を行い、その他の「就業上の措置計画書及び実施記録票」「就業上の措置計画書及び実施記録票」、「平成28年8月1日に行われた心の健康問題等に関する相談事業実施後の相談員(A産業医等)からの意見書」、「平成28年8月1日に行われた心の健康問題等に関する相談事業実施後の相談者(当時の上司であるB課長、C係長)の報告書と記録」及び「平成28年8月10日、平成28年9月26日、平成28年10月24日のA産業医から業務命令としてDクリニックに受診同行した際のB課長、C係長の報告書と記録」に係る情報(以下「本件各情報」という。)については、本件各情報が存在しないことを理由に、不存在による非開示決定(以下「本件決定3」といい、本件決定1及び本件決定2とあわせて「本件各決定」といいます。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件各決定の取消しを求めて、審査請求がありました。

(4)答申の結論

実施機関が行った本件決定1及び本件決定2で開示しないこととした部分のうち、別表1及び別表2に掲げる部分を開示すべきである。
実施機関が行った本件決定3は、妥当である。

(5)答申のポイント

審議会は次のとおり判断しています。

ア 本件各請求に係る保有個人情報について
(ア) 本件決定1及び本件決定2において特定された情報
実施機関が本件決定1及び本件決定2において特定した情報は、「心の健康問題等に関する相談事業」(以下「相談事業」といいます。)の利用のために相談者である福島区役所職員が事前に作成した「相談票」及び当該相談の際に相談員として総括産業医等が作成した「健康相談・面接記録(平成28年8月1日)」並びに平成28年11月22日に実施された「ストレスチェック実施後の管理監督者の健康相談」(以下「管理監督者健康相談」といい、相談事業とあわせて「相談事業等」といいます。)の際に総括産業医等が作成した「管理監督者健康相談記録(平成28年11月22日)」及び「健康相談・面接記録(平成28年11月22日)」に記載された情報である。
審議会が見分したところ、当該情報は、相談事業の利用のために審査請求人の当時の上司が相談内容等を相談票に記入した情報(以下「本件相談情報1」といいます。)と総括産業医等が自らの言葉で相談内容や相談者等に対する助言を相談・面接記録等に記載した情報(以下「本件相談情報2」といいます。)に分類できる。

(イ) 本件決定3において不存在を理由に非開示とされた情報
実施機関が本件決定3により保有していないとした情報は、平成28年8月1日に実施された相談(以下「本件相談」といいます。)において審査請求人の受診同行を指示したとする総括産業医等による意見書(以下「本件意見書」といいます。)及び当該受診同行において同行した職員が作成したとする報告書及び記録(以下「本件報告書等」といいます。)である。

イ 本件決定1及び本件決定2において非開示とした情報の条例第19条第6号該当性について
(ア) 実施機関は、「心の健康問題」については、対象者職員が自覚していない場合が多く、健康相談・面接記録を開示することにより、その内容が対象者職員の認識と異なっている場合に、相談者に対する心理的反発や抵抗が生じ相談員や相談者への不信感を与えることとなるほか、対象者職員の認識を考慮するあまり、相談者が率直な意見や具体的な状況を発言しづらくなり、ひいては相談者に相談事業の利用を躊躇させたり、相談員が相談者に対する適切な指導助言等が行いにくくなるなど、相談事業等の円滑な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性があると主張している。  

(イ) 本件相談情報1について
A 相談事業は、相談者が心の健康問題を抱える職員に対して適切に対応をするために、相談員に具体的な事案について相談し助言等を受けるものであることから、相談者は自らの主観に基づく観察、分析、判断、対応等を相談票に率直に記載する必要があると考えられる。そうすると、相談票には対象者職員の意に沿わない所見、評価等が記載されている場合も想定され、相談者の所見、評価等が開示されることにより、対象者職員が相談者に不信感を抱き、対象者職員と相談者の関係が悪化することになり、心の健康問題を抱える対象者職員への適切な対応を行うことが困難になるなど、相談事業の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性があると認められる。

B 上記Aを踏まえて、審議会で本件相談情報1における非開示部分(以下「本件非開示部分1」といいます。)を見分したところ、「相談内容」、「経過(勤怠状況等)」欄に記載された情報については、相談者が審査請求人に対する所見や評価を率直に記載していることが認められる。また、「既往歴等」欄には、相談者が審査請求人への対応方法の相談をするうえで参考となりうると考えた審査請求人の傷病名を過去の既往歴も含めて記載していることが認められるが、実施機関によると、相談者の推測も含めて審査請求人とこれまで関わった中で得ていた情報を取捨選択して記載したとのことである。
また、「記入者」欄には、相談事業を利用した所属、担当者氏名及び担当部署の電話番号、「相談日来庁予定者」欄には、実際に本件相談において人事室厚生グループ職員と面談した職員の所属、補職及び氏名、「相談目的」欄には相談事業を利用する目的が記載されていることが認められる。

C 本件非開示部分1のうち別表1の情報を除いた部分については、相談者が審査請求人に対する所見や評価を率直に記載したもの等であり上記(ア)に該当し、開示することにより、相談事業の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性が認められることから、条例第19条第6号に該当する。

D 一方、本件非開示部分1のうち別表1の情報については、相談事業を利用した福島区役所に確認したところ、本件相談後に審査請求人に対して、相談事業を利用したことを伝えているとのことである。そうすると、別表1の情報は審査請求人が了知している事実のため、審査請求人に開示したとしても、審査請求人が相談者に対する不信感を抱くとは言えず、相談事業の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性があるとは認められないことから、条例第19条第6号に該当しない。

(ウ) 本件相談情報2について
A 実施機関によると、相談事業は当該相談の相談者である対象職員の管理監督者等と相談員である総括産業医等の間で行われ、管理監督者健康相談は、ストレスチェックにおいて面接対象者とされた職員の管理監督者と総括産業医等の間で行われ、いずれも対象者職員は同席しておらず、総括産業医等が管理監督者等に対して対象者職員への対応方法について助言等を行っているとのことである。
相談事業等では、相談者は自らの主観に基づく観察、分析、判断、対応等を率直に当該相談等の場で相談員へ伝えており、相談員はその説明を踏まえて対応方法等を助言していると考えられる。そうすると、上記(イ)Aと同様に、面接・相談記録等には対象者職員の意に沿わない所見、評価等が記載されている場合も想定され、相談者の所見、評価等が開示されることにより、対象者職員が相談者に不信感を抱き、対象者職員と相談者の関係が悪化することにより、心の健康問題を抱える対象者職員への適切な対応を行うことが困難になるなど、相談事業等の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。

B 上記Aを踏まえて、当審議会で本件相談情報2における非開示部分(以下 「本件非開示部分2」といいます。)を見分したところ、「相談・指導内容、および経過」欄及び「相談・指導内容」欄には、相談者名並びに相談者の相談内容及び相談員の助言内容が記載されており、それぞれ相談員及び相談者の所見、評価が記載されていることが認められる。また、「相談・指導内容、および経過」欄には相談者名が、「氏名」欄には二重線で消された相談者名が記載されていることが認められる。

C 本件非開示部分2のうち別表2の情報を除いた部分については、相談員及び相談者の所見、評価等であり上記(ア)に該当し、開示することにより、相談事業等の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性が認められることから、条例第19条第6号に該当する。

D  他方、本件非開示部分2のうち別表2の情報については、相談事業を利用した福島区役所に確認したところ、本件相談後に審査請求人に対して、本件相談において総括産業医等から審査請求人の受診に同行するよう助言があったことを伝えており、事実審査請求人とB課長及びC係長が同行したとのことであった。そうすると、これらの情報は審査請求人にとって了知している事実のため、審査請求人に開示したとしても、審査請求人が相談者に対する不信感を抱くとは言えず、相談事業等の適正な遂行に支障を及ぼす相当の蓋然性があるとは認められないことから、当該情報は条例第19条第6号に該当しない。

ウ 本件決定3の妥当性について
(ア) 本件意見書の存否について
本件相談は、審査請求人の当時の上司が、管理監督者として審査請求人に関して職場における配慮の方針や方法等を検討するために、相談員である総括産業医等に対して助言を求めて行ったものであることが認められる。
実施機関に確認したところ、通常、総括産業医による意見書が作成される事例は、健康診断、長時間勤務、ストレスチェック、復職支援等に関して、対象者職員と総括産業医が面接を行ったうえで、作成するものであるとのことである。一方、相談事業等は、前記イの(ウ)Aのとおり対象者職員の管理監督者等と総括産業医等の間で行われるものであり、本件相談及び平成28年11月22日に行われた管理監督者健康相談において、審査請求人と総括産業医等は面談を行っていないことが認められる。
上記を踏まえると、本件意見書について存在しないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。

(イ) 本件報告書等の存否について
A 通常、実施機関が心の健康問題を抱える職員の対応方法等について関係機関に相談した場合は、今後の対応を検討するために相談記録等を作成することが想定され、聞き取りを行った主治医の診断内容については、記録のうえ今後の方針等に取り組むことが想定される。
しかしながら、実施機関は、職場における配慮の方針を決定するB課長と実務的な支援等を行うC係長が受診同行し、審査請求人の主治医からの助言内容を共有していることから、報告書や記録を改めて作成する必要がないため作成しておらず、また、上司への報告も口頭で行ったとのことである。なお、出張の際の復命については、大阪市職員就業規則(平成4年規則第16号)第21条第3項により文書又は口頭により復命することが規定されている。

B また、C係長の作成したメモ(以下「本件メモ」といいます。)について、実施機関に確認したところ、本件メモは、審査請求人の病院受診にC係長が受診同行した際にその内容を個人のノートに記録したものであるが、当該ノートはあくまで個人の備忘録として作成したものであり、組織として利用を予定しておらず、現に組織として利用していないとのことであった。
実施機関の当該主張を踏まえると、本件メモはC係長の個人的なメモであって、上記アのとおり上司への報告等にも使用されていないことから、実施機関における組織的な共用を予定したものではなく、組織共用の実態もないものとして、本件請求2に係る保有個人情報とは認められない。

C 上記A及びBを踏まえると、本件報告書等を作成又は取得していないとする実施機関の主張を覆すに足る事実は認められない。

(ウ) 以上より、本件意見書及び本件報告書等を作成又は取得していないとしてなされた本件決定3は妥当である。

答申第131号

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