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答申第137号

2019年9月9日

ページ番号:523151

概要

(1)開示請求の内容

資料10-2の別表の項番1及び項番2の(い)欄に記載の内容を求める旨の開示請求(以下、項番順に「本件請求1」及び「本件請求2」といい、あわせて「本件各請求」といいます。)がありました。

(2)実施機関(=大阪市長)の決定

実施機関は、本件請求1に係る保有個人情報を資料10-2の別表の項番1の(え)欄に記載の情報(以下「本件情報1」といいます。)と特定した上で非開示決定を行いました。
実施機関は、本件請求2に係る保有個人情報である別表項番2の(い)欄に記載の情報(以下、記載の順に「本件情報2」から「本件情報8」といいます。)については、存在しないことを理由に、不存在による非開示決定(以下、本件請求1に係る非開示決定とあわせて「本件各決定」といいます。)を行いました。

(3)審査請求の内容

本件各決定の取消しを求めて、審査請求がありました。

(4)答申の結論

実施機関が行った本件各決定は、妥当である。

(5)答申のポイント

審議会は次のとおり判断しています。

ア 本件各請求に係る保有個人情報及び人事考課制度について
本件各請求に係る保有個人情報は、平成29年度の人事評価に関する公文書に記載された情報である。
実施機関によれば、大阪市では、人事評価の結果明らかになった職員の仕事の成果、能力を双方で把握し、効果的な人材育成を行うことを目的として人事考課制度を実施しており、まず被評価者が自己評価を行い、その後被評価者の上司が第1次評価を行い、第1次評価者の上司が第2次評価を行い、所属長等の調整者による調整後の第2次評価者の点数が最終評価となり、評価点数が確定するとのことである。
また、評価を受ける職員が相談できる窓口を整備し、事案に応じて適切な対応を行うことにより、人事考課制度の公平・公正で円滑な運用を図るとともに、制度に対する納得性、信頼性を確保することを目的として「苦情相談制度」を設けており、苦情相談の受付窓口は、職員の所属する人事担当課としているとのことである。

イ 本件情報1の大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号。以下「条例」といいます。)第19条第6号該当性について
本件情報1は、審査請求人の第2次評価者が審査請求人を含む評価対象職員の人事考課において自身が評価を行う際の備忘録のメモとして作成し、その後組織共用されたことから公文書として保有していたものであるが、審議会で本件情報1を見分したところ、本件情報1には、第2次評価者が審査請求人の業務に関して、他職員から聴き取った内容や第2次評価者が実際に対応した記録等、第2次評価者の主観を含めて記載していることが認められる。
本件情報1は第2次評価者が評価対象職員の業務実績や人物、業務取組状況を詳細に把握し、適切に評価を行うために作成するためのものであると考えられるところ、これらの情報を開示すると、第2次評価者は被評価者との誤解や摩擦が生じることを懸念して率直な評価や意見が記載できなくなり、ひいては人事評価が形骸化し、公正かつ円滑な人事評価の確保に支障を及ぼす相当の蓋然性があると認められることから、条例第19条第6号に該当する。
なお、上記のとおり、本件情報1が条例第19条第6号に該当すると認められることから、本件情報1の条例第19条第2号該当性については判断しない。

ウ 本件情報2の存否について
本件情報2は、作業現場において審査請求人が別の作業員に対し口頭注意を行ったとする事情(以下「当該事情」といいます。)について、審査請求人の第1次評価者が報告を受けた際に作成した記録である。
実施機関に確認したところ、当初、第1次評価者は当該事情を詳細に把握していなかったが、第2次評価者に被評価者の人事考課シート等を提出し、第2次評価者からの聞き取りがあった際に、当該事情の詳細を第2次評価者から口頭で伝えられたとのことであり、本件請求に記載の「第1次評価者が、当該作業員ないし被評価者以外の業務主任から、当該事情の報告を受けた」という事実はないとのことである。また、当該伝達は、第2次評価者から口頭で行われたが、第1次評価者は伝達を受けた記録等を作成していないとのことである。
「人事考課制度運用手引き」によれば「評価者は日常的に…被評価者の業務取組状況の客観的な把握及び記録に努めてください。」と記載されているものの、公文書を必ず作成しなければならないという義務までは課されておらず、また第1次評価者の担当する被評価者は5人程度であることも踏まえると、特に記録を作成する必要がなかったことから第1次評価者は当該記録を作成しておらず存在しないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。

エ 本件情報3の存否について
本件情報3は、第1次評価者が被評価者との面談の前に作成する仮評価メモであるが、本件情報3に該当するメモは、最終的な評価を行う前の検討段階で記載する個人の一時的なメモであり、公文書には該当せず、第1次評価を行った後、適切に廃棄したと実施機関は主張している。
「人事考課制度運用の手引き」によれば、被評価者から人事考課シートの提出を受けた第1次評価者は、「スムーズな評価者面談の実施を可能」とするため、「被評価者の今期の仕事振りについて仮評価を」行うこととされ、その仮評価は「メモとして作成し、評価者面談に臨んで」もよいとされているが、本件情報3は個人的なメモとして記録したものであり、組織的に用いるものとして実施機関が保有しているものとは言えないことから、第1次評価を行った後に廃棄したかどうかを問うまでもなく、公文書に該当しない。

オ 本件情報4の存否について
本件情報4は、審査請求人に係る第1次評価における事実確認シートであるが、実施機関に確認したところ、環境局においては環境事業センターに限らず、事実確認シートは、評価期間中の異動により評価者が変更した場合や派遣先職員を派遣元職員が評価する場合など評価者が事実上業務取組状況を確認し難い場合に積極的に活用しており、本件のように同一職場で勤務する職員の評価にあたっては、通常作成していないとのことである。
また、本件においては、第1次評価者は審査請求人の評価にあたって、把握した業務取組状況を第2次評価者に確実に伝達しており、第2次評価者も第1次評価者の伝達内容に加えて、関係職員から審査請求人の業務取組状況について聞き取った内容を踏まえて評価を行っており、そういった状況であることから殊更に事実確認シートを作成しなくても第2次評価者として評価に支障はなく、事実確認シートを当初から作成しておらず、実際に存在しないと実施機関は主張している。
なお、実施機関によれば、上記伝達は一般的に評価者が任意の方法(メモや電子メールによる共有、口頭での伝達等)により行い、通常その際に事実確認シートを使用することはないうえ、特に環境事業センターにおいては、口頭での伝達が慣例となっており、本件においても口頭でのみ行われており、当該伝達に関する文書も存在しないとのことである。
「人事考課制度運用の手引き」によれば、第1次評価者は、「日常的に別添資料の『事実確認シート』等を活用するなど、被評価者の業務取組状況の客観的な把握及び記録に努めてください。」とあるものの、必ずしも公文書の作成義務はなく、本件のように第1次評価者の担当する被評価者は5人程度であることも踏まえると、本件において人事評価事務上事実確認シートを作成しておらず存在しないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。

カ 本件情報5の存否について
本件情報5は、審査請求人の第2次評価者が第1次評価者から人事考課シートの提出を受けて行った第1次評価者との意見交換等の記録であるが、第2次評価者は自身が評価を行ううえで特に必要な情報を本件情報1に記録していることから、本件情報1とは別に意見交換等の記録を公文書として作成していなかったものであり、存在しないと実施機関は主張している。また、実施機関に確認したところ、第1次評価者と第2次評価者との間で行われた面談・意見交換においてはメモを作成するまでもなく状況を把握できたことから、公文書のみならず特段メモ等も作成していないとのことである。
「人事考課制度運用の手引き」によれば、第2次評価者は第1次評価者から人事考課シートの提出を受け、「被評価者の日常や第1次評価者との面談等でのやりとりについて積極的に情報収集するなど、事実の把握に努め」、「第1次評価者が記入した『勤務状況』欄と『職務への適正』欄の内容に疑義がある場合については、第1次評価者と十分な意見交換等を行」うこととされているが、当該事実把握や意見交換等について、記録を作成することを求める記載はないことを踏まえると、第2次評価者が評価を行う上で特に必要な情報は本件情報1として記録しており、また面談・意見交換においてはメモすら作成するまでもなく状況を把握できたことから、その記録をそもそも作成しておらず、本件情報5は存在しないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。

キ 本件情報6及び本件情報7の存否について
本件情報6は、本件苦情相談を受け、当該相談内容について対応を検討した会議の議事録及び関係者間の電子メール等である。
実施機関に確認したところ、関係者間の電子メールは存在していたが、当該電子メールは苦情相談の日程調整のために、職員課担当職員から第2次評価者あてに送信されたものであり、日程調整を終えたことから保存しておく必要がなくなり削除したとのことである。
また、人事考課制度における苦情相談において、環境局では、事案に応じて適切な対応を行うために実際の評価に関して評価理由の事実確認及び評価基準の確認等を行うこととしており、本件苦情相談においては、苦情相談実施前に関係者(職員課担当者2名、第1次評価者及び第2次評価者)で打ち合わせを行っている。当該打ち合わせは、苦情相談申込書に記載されている審査請求人の主張に係る「事実関係の確認」、「評価者の認識確認」及び「評価基準の確認」を目的に行われたが、本件苦情相談には評価を行った第1次評価者及び第2次評価者も同席する予定であり、詳細に確認する必要がなく、また職員課担当者自身が苦情相談や苦情相談に至らない苦情対応を数多く処理し業務に熟知していることから、記録を作成するまでの必要がなかったとのことである。
本件情報7は、本件苦情相談を受け、環境局のE職員課長が第1次評価者及び第2次評価者に苦情相談の内容についての見解を確認した記録及び電子メール等であるが、実施機関に確認したところ、苦情相談に係る事務手続きは一義的には職員課担当者が実施していることから、第1次評価者及び第2次評価者への確認は職員課担当者が行い、E職員課長は当該担当者から伝達を受けた内容も含めてなんら記録を作成していないとのことである。
なお、「人事考課制度運用の手引き」によれば、苦情相談の受付窓口である各所属の人事担当において、苦情相談の事案の概要及び処理状況を記録することとされているが、その他の情報について記録を求める記載はなく、また、実施機関によれば、審査請求人の苦情相談に係る「事案の概要及び処理状況」の記録については、職員課担当者が作成し、本件請求2に係り審査請求人に開示済みとのことである。
以上を踏まえると、本件情報6及び本件情報7を作成しておらず存在しないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。

ク 本件情報8の存否について
本件情報8は、審査請求人の代理人弁護士から大阪市長あてに送付された文書 (以下「弁護士文書」という。)に対するE職員課長名の回答文書の作成について対応を検討した会議の議事録及び関係者間の電子メール等である。
実施機関に確認したところ、職員課担当者はいずれも口頭により弁護士文書の内容を第2次評価者と共有するとともに、弁護士文書における申出内容は本件苦情相談における審査請求人の申出内容と同様の趣旨であることから、本件苦情相談の文書回答と同じ内容により職員課において回答することを確認したとのことである。また、その手法については、職員課担当者から第2次評価者に対して電子メールで電話連絡が欲しい旨の連絡をし、当該電子メールを受けた第2次評価者が職員課担当者へ電話することにより行ったものであり、当該電子メールについては、第2次評価者が内容を確認したことにより、保存しておく必要がなくなり削除したとのことである。
当審議会で実際に弁護士文書への回答内容を見分したところ、本件苦情相談に対する回答文書と同じ内容であった。
以上を踏まえると、本件情報8を作成しておらず存在しないとする実施機関の主張に不自然、不合理な点は認められない。

答申第137号

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