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令和2年12月7日付け裁決(答申第8号)

2023年2月17日

ページ番号:525849

裁決書

審査請求人  〇〇〇〇
処 分 庁  大阪市長           

 審査請求人が令和2年3月24日付けで提起した処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による令和2年3月9日付け令和元年度固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)減免不承認決定処分(以下「本件処分1」という。)に係る審査請求(令和元年度財第40号。以下「本件審査請求1」という。)、令和2年4月21日付けで提起した令和2年4月9日付け令和元年度固定資産税等減免不承認決定処分(以下「本件処分2」という。)に係る審査請求(令和2年度財第3号。以下「本件審査請求2」という。)及び令和2年5月20日付けで提起した令和2年5月15日付け令和2年度固定資産税等減免不承認決定処分(以下「本件処分3」といい、本件処分1及び2と併せて「本件各処分」という。)に係る審査請求(令和2年度財第7号。以下「本件審査請求3」といい、本件審査請求1及び2と併せて「本件各審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件各審査請求を棄却します。

事案の概要
1 処分庁は、平成31年4月1日、別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)及び家屋(以下「本件家屋」といい、本件土地と併せて「本件固定資産」という。)に係る令和元年度固定資産税等の税額を〇〇〇〇円(土地相当税額〇〇〇〇円、家屋相当税額〇〇〇〇円)とする賦課決定処分を行いました。
2  審査請求人は、令和2年〇月〇日に発生した火災により本件固定資産に損害を受けたとして処分庁あてに令和元年度及び令和2年度の固定資産税等減免申請書(以下「本件減免申請書」という。)を同年〇月〇日の通信日付にて郵送により提出し、当該申請書は同月〇日に処分庁に到達しました。
3 処分庁は、本件減免申請書について、大阪市市税条例(以下「市税条例」という。)第95条第1項第1号に規定する期限を過ぎて提出されたことを理由として、令和2年3月9日付けで本件家屋に係る本件処分1を行いました。
4 審査請求人は、令和2年3月24日、本件処分1を不服として、大阪市長に対して本件審査請求1を提起しました。
5 処分庁は、令和2年4月1日、本件固定資産に係る令和2年度固定資産税等の税額を〇〇〇〇円(土地相当税額〇〇〇〇円、家屋相当税額〇〇〇〇円)とする賦課決定処分を行いました。
6 処分庁は、前記3と同様の理由で令和2年4月9日付けで本件土地に係る本件処分2を行いました。
7 審査請求人は、令和2年4月21日、本件処分2を不服として、大阪市長に対して本件審査請求2を提起しました。
8 処分庁は、前記3及び6と同様の理由で令和2年5月15日付けで本件固定資産に係る本件処分3を行いました。
9 審査請求人は、令和2年5月20日、本件処分3を不服として、大阪市長に対して本件審査請求3を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1)  令和2年〇月〇日期限の書類が同月〇日の消印のため、受理できないとのことだが、他人が出した失火にて住む所もなく、民泊を転々とし、働きながら住む所、衣服、家電などを用意しなければならず、母や自分の病気もあり無理ができず、申請書の提出期限にポスト投函したのだが、同月〇日が祝日だったため、同月〇日の消印になったと思われる。同月〇日の消印がいるのであれば、〇〇〇〇郵便局は18時まで営業しているので、ポスト投函せずに窓口に持っていったのだが、消印が重要であるとは聞いていなかったのでポスト投函してしまった。
 期限厳守であるのは十分理解できるが、私としてもぎりぎり間に合うタイミングで投函したつもりでいた。まさかコロナの影響により郵便局が時短していて結局、翌日の集荷になるとは予想していなかった。
(2)  令和2年3月24日に不服の申し立てをしたが、令和元年度の土地に係る減免不承認決定通知書は送付するのを忘れていたとのことで同年4月9日付けでもらった。
 こちらからの書類は日付について厳守と言いながら、市税事務所は1か月もたってから電話で連絡してきて郵送してくるのでよいのか。
 令和2年度の納税書類は同年3月に送ってきていて、減免不承認決定通知書は同年5月15日とはどういうことか。普通、納税書類よりも前、若しくは一緒に送付してくるものではないのか。市税事務所は後から送ってきてもよくて、こちらからの書類は日付厳守とはどういうことか。
2 処分庁の主張
(1)  審査請求人は、減免申請書の提出期限を令和2年〇月〇日と把握していたが、住む所もなく民泊を転々としていたため提出期限がぎりぎりになったと主張しているが、減免申請書の提出期限については、市税条例第95条第1項第1号により、災害のやんだ日の翌日から起算して30日を経過する日であり、同月〇日となる。
 令和2年〇月〇日に行った実地調査時に、申請期限や添付書類の内容も含め減免申請の手続きについて説明を行い、減免申請書及び返信用封筒を交付している。
 また同年〇月〇日、審査請求人へ、本件減免申請書の提出期限が同月〇日であるため至急提出するよう再度連絡したが、提出期限までに減免申請がなされなかったことから、減免申請を承認することはできない。
 審査請求人は消印が重要であるとは聞いていないと主張しているが、減免申請書は地方税法(以下「法」という。)第20条の5の3に規定される書類ではないため、審査請求人に対して消印で判断するとの説明は行っていない。
(2) 本件処分2に係る通知書の送付が遅いとの審査請求人の主張について、本件土地は災害により土地本来の用に供し得なくなった場合ではないため、令和2年〇月〇日の実地調査及び同年〇月〇日と同月〇日の架電の際に減免対象外となる旨説明していたことから、先に家屋に関する減免の申請を承認しないことを決定し、その後、土地に関しても減免の申請を承認しないことを決定したものである。
 また、本件処分3については、令和2年度固定資産税等納税通知書を送達した後に改めて決定したものである。
 なお、減免不承認決定通知書の送付期限は、特に定められていない。

理由
1 本件各審査請求に係る法令等の規定
(1)  固定資産税等の減免について
ア  市町村長は、天災その他特別の事情がある場合において固定資産税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に限り、当該市町村の条例の定めるところにより、固定資産税を減免することができるとされています(法第367条)。
イ 都市計画税の賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、特別の事情がある場合を除くほか、固定資産税の賦課徴収とあわせて行うものとするとされ、市町村長が法第367条の規定によって固定資産税額を減免したときは、当該納税者に係る都市計画税についても、当該固定資産税に対する減免額の割合と同じ割合によって減免されたものとするとされています(法第702条の8第1項及び第7項)。
ウ 災害により損害を受けた土地及び家屋に対する固定資産税は、申請に基づき減免することとされています。(市税条例第91条第1項及び第2項)。
エ 上記ウによる減免は、1月2日から3月末日までの間に災害による損害を受けた場合は、災害による損害を受けた日の属する年度分の税額のうち同日以後に納期限が到来する部分の税額及び当該年度の翌年度分の税額について行うものとされています(市税条例第91条第4項第1号)。
オ  上記ウによる減免を受けようとする者は、納税者の氏名及び住所、固定資産の種類及び所在等を記載した申請書を災害のやんだ日の翌日から起算して30日を経過する日までに提出しなければならないものとされています(市税条例第95条第1項第1号及び第2項)。
(2)  災害等による期限の延長について
ア 地方団体の長は、災害その他やむを得ない理由により、法又はこれに基づく条例に定める申告、申請、請求その他書類の提出(審査請求に関するものを除く。)又は納付若しくは納入(以下「申告等」という。)に関する期限までに、これらの行為をすることができないと認めるときは、当該地方団体の条例の定めるところにより、当該期限を延長することができるものとされています(法第20条の5の2)。
イ 市長は、災害その他やむを得ない理由により、申告等に関する期限までに、申告等をすることができないと認めるときは、申告等をすべき者の申請により、その理由のやんだ日から2月以内に限り、期日を指定して当該期限を延長するものとされています(市税条例第13条第5項)。
ウ  期限の延長を受けようとする者は、前項に規定する理由がやんだ後速やかに、申請書にその証拠となる書類を添付して、市長に提出しなければならないものとされています(市税条例第13条第6項)。
(3)  郵送等に係る書類の提出時期について
 この法律又はこれに基づく条例の規定により一定の期限までになすべきものとされている申告、徴収の猶予若しくは申請による換価の猶予の申請又は更正の請求に関する書類その他総務省令で定める書類が郵便又は信書便により提出されたときは、その郵便物又は信書便物の通信日付印により表示された日にその提出がされたものとみなすとされています。(法第20条の5の3) 
2 本件各処分における争点等について
(1)  減免申請書の提出期限について
 災害による固定資産税等の減免申請書は、前記1(1)オのとおり、災害のやんだ日の翌日から起算して30日を経過する日までに提出しなければならないとされています。この点について、「「災害被害者に対する市税の減免措置について」の一部改正について」(令和元年9月30日付け税務総長通知)(以下「総長通知」という。)において、「個別の火災の場合の「災害のやんだ日」の判断例として、ほとんどの場合、鎮火日をもって、災害が引き続き発生するおそれがなくなり、同日から災害復旧に着手できると考えられ、この場合、同日が「災害のやんだ日」となる。」とされています。
 これを本件においてみると、令和2年〇月〇日に発生した本件土地上の本件家屋に対する火災は、午前〇時〇分頃に発生し、約1時間半後にほぼ鎮火したことが認められることから、同日をもって「災害のやんだ日」とし、「災害のやんだ日の翌日から起算して30日を経過する日」である同年〇月〇日が本件減免申請書の提出期限となります。
 なお、前記1(2)のとおり、災害等による申告等の期限延長の規定が定められていますが、審査請求人から期限延長の申請書の提出はなく、当該規定が上記認定を左右するものではありません。
 審査請求人は、本件減免申請書の提出期限について、令和2年〇月〇日と解したうえで、同日の消印がいるのであれば、ポスト投函せずに窓口に持っていったが、同日が祝日だったため、翌日の消印になったと思われることや家族や本人の病気により提出期限ぎりぎりになってしまったこと等を理由に、減免を認めてほしい旨主張しています。
 しかしながら、減免申請書は前記1(3)に規定される書類ではないため、通信日付印により表示された日に提出されたものとみなすものではなく、提出期限までに到達しなければならないものであることから、令和2年〇月〇日に処分庁へ到達した本件減免申請書は提出期限を徒過しており、審査請求人の主張は採用できません。
(2)  その他の審査請求人の主張について
 審査請求人は、本件処分2については、1か月もたってから電話で連絡してきたうえで郵送により通知するという処分庁の事務処理は適切ではなく、また、本件処分3については、当該年度の納税通知書類よりも前、若しくは一緒に送付してくるものではないのか、と主張しています。
 本件減免申請及び本件各処分の日付については、本件減免申請書が令和2年〇月〇日に処分庁に到達しているのに対し、処分庁は同年3月9日付け、同年4月9日付け及び同年5月15日付けで、本件各処分を行っています。
 本件減免申請の対象税額が、上記1(1)エのとおり令和元年度第4期及び令和2年度の税額となることや、対象となる資産が土地と家屋の複数にわたること等を踏まえたとしても、本件減免申請に対する不承認の通知は一括して行うことが望ましいが、当該不承認決定通知の送付期限等に関しては特段の規定もなく、また、申請から遅くとも3か月程度で応答していることから、本件各処分が別々になされたことをもって、直ちにそれぞれの処分の違法性又は不当性に影響を及ぼすとまではいえません。
3 結論
 以上のとおり、本件減免申請は、提出期限を徒過して行ったものであり、本件各処分に違法又は不当な点は認められず、本件各審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

令和2年12月7日
大阪市長 松井 一郎

別紙物件目録 省略

裁決書(令和2年答申第8号)

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