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令和3年2月16日付け裁決(答申第11号)

2023年2月17日

ページ番号:531708

裁決書

審査請求人 〇〇〇〇
処分庁 大阪市長

 審査請求人が令和2年8月3日付けで提起した処分庁による令和2年5月13日付け延滞金減免不許可処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(令和2年度財第13号。以下「本件審査請求」という。) について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 審査請求人は、処分庁に対し令和2年4月20日付けで、平成21年度市民税及び府民税に係る延滞金の「減免申請書」を提出しました。
2 処分庁は、前記減免申請書に対して、「延滞金減免手続に係る要綱」(平成30年5月29日付け通知。以下「要綱」という。)各項の要件に該当するとは認められないとして、本件処分を行い、審査請求人あて通知した。
3 審査請求人は、本件処分を不服として、令和2年8月3日付けで大阪市長に対して、本件審査請求を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1)〇〇〇〇株式会社は、創業者である審査請求人が株の過半数を有し、名義上、審査請求人の家族が株主で、他人の資本が入っていない法人なので、審査請求人は個人事業主と同じ立場である。また当該法人が、〇〇〇〇を隠蔽するために意図的に故意に潰された状況を鑑みれば、要綱第1項第3号及び第4号に該当する。
 なお、審査請求人の存在に危機感をいだいた〇〇〇〇が事件を作りあげ、審査請求人を犯罪者に仕立てあげたのである。これにより、大阪地検特捜部に身柄拘束され、そのまま公判が終わるまで1年以上接見禁止(命令)がつき、家族との面会も認められず保釈も認められないまま今日に至っている。
(2)別法人の代表取締役であった元夫は、審査請求人と共謀したとされ執行猶予付き有罪判決を受けているが、自分で交渉して減額されたと聞いた。元夫が減額されているのに、不利な生活を強いられる審査請求人に対し、減額が認められないのは理不尽である。過去の納税実績や年齢、健康状態、未納になっている根本的原因等を鑑みながら減免措置をするべきではないのか。
2 処分庁の主張
(1)審査請求人は、自身が要綱第1項第3号及び第4号に該当する旨申し立てているが、どちらの場合も「納税者又は特別徴収義務者」がその事業を廃止し、又は休止したとき、もしくはその事業につき著しい損失を受けたとき、との規定である。
 しかしながら、審査請求人の不服申立書に記載されている状況を確認しても、事業を行っていたのは審査請求人が代表を務める法人であり、審査請求人自身が事業を行っていたわけではないため、どちらの規定にも該当しない。
 なお、他者の責により身柄を拘束されている旨の申し立てがあるため、要綱第3項に該当する可能性があるが、現時点では公的に無罪となっていないため、該当しない。
(2)審査請求人は、元夫のことに言及し、その状況と比較し、自身の延滞金減免が認められないのは理不尽である旨申し立てている。
 しかしながら、延滞金の減免可否については、その案件ごとに各々判断が必要なことは明白なため、他者との比較をもって可否を決めることはできない。

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1)市町村長は、納税者又は特別徴収義務者が納期限までに納付しなかったこと、又は納入金を納入しなかったことについてやむを得ない理由があると認める場合には、延滞金額を減免することができるとされています(法第326条第4項)。
(2)市町村長が個人の市町村民税の延滞金額を減免した場合においては、当該納税者又は特別徴収義務者に係る個人の道府県民税の延滞金額についても当該市町村民税の延滞金額に対する減免額の割合と同じ割合によって減免されたものとするとされています(法第45条)。
(3)市長は、納税者又は特別徴収義務者が納期限までに税金を納付しなかったこと又は納入金を納入しなかったことについてやむを得ない理由があると認める場合には、申請に基づき、延滞金額を減免することができるとされています(条例第14条第8項)。
(4)次の事実があった場合において、市税徴収金を一時に納付し、又は納入することができなかったものと市長が認めるときは、当該事実の存した期間に対応する部分の延滞金額の全部を限度として減免することができるとされています。
ア 納税者又は特別徴収義務者がその事業を廃止し、又は休止したとき(要綱第1項第3号)。
イ 納税者又は特別徴収義務者がその事業につき著しい損失を受けたとき(要綱第1項第4号)。
(5)法令の規定により自己の責に基づかない事由で身体の拘束を受け、市税徴収金を納付又は納入することができない相当の理由があったと市長が認める場合には、拘束を受けた期間に対応する部分の延滞金額を限度として免除することができるとされています(要綱第3項)。
2 争点等について
(1)審査請求人は、〇〇〇〇株式会社は、審査請求人とその家族によって株式を保有され他人の資本が入っていない法人であるから、審査請求人と同視でき、当該法人は、〇〇〇〇が不正を隠蔽するために意図的に故意に潰されたのであるから、要綱第1項第3号及び第4号に該当すると主張しています。
 この点、要綱第1項第3号及び第4号は前記1(4)のとおり、処分庁が納税者個人の延滞金を減免することができる場面をそれぞれ「納税者」が「その事業を廃止又は休止したとき」(第3号)、及び「その事業につき著しい損失を受けたとき」(第4号)と規定しているところ、当該規定は、納税者自身が事業を行っている場合を前提としており、納税者以外の納税主体による事業を含むものとして解することはできません。
 したがって、審査請求人自身と審査請求人らが株式を保有したという法人とが別々の納税主体である以上、当該法人に生じた理由をもって要綱第1項第3号及び第4号を適用することはできず、審査請求人の前記主張を採用することはできません。
(2)また、審査請求人は、元夫が減額されているのに審査請求人には減額が認められないのは理不尽であること、その他過去の納税実績や年齢、健康状態、未納になっている根本的原因等を鑑みて減免措置をするべきなどと主張しています。
 しかしながら、延滞金の減免については、他者との比較や過去の実績や年齢などで判断するものではなく、事案ごとに要綱各項に該当するかどうかを判断するものです。
 したがって、処分庁が要綱各項に該当しないとして本件処分を行ったことは妥当であり、審査請求人の前記主張を採用することはできません。
 なお、審査請求人が、〇〇〇〇が事件を作りあげ、審査請求人を犯罪者に仕立てあげたことから他者の責により身柄を拘束されている旨述べる点につき、要綱第3項に照らして検討するも、有罪判決(実刑判決)を受けていることから、法令の規定により自己の責に基づかない事由で身体の拘束を受けているとはいえず要綱に該当するとはいえません。
 以上のとおり、本件各処分に違法又は不当な点は認められず、本件各審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

令和3年2月16日
大阪市長 松井 一郎

裁決書(令和2年答申第11号)

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