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令和3年6月18日付け裁決(答申第2号)

2023年2月17日

ページ番号:541157

裁決書

審査請求人  〇〇〇〇
処分庁  大阪市長

 審査請求人が令和元年6月16日に提起した処分庁による障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「法」という。)第50条第1項に基づく法第29条第1項の指定障害福祉サービス事業者の指定取消処分(○○第○○号。以下「本件処分1」という。)、法第8条第2項に基づく訓練等給付費に係る返還金徴収決定処分(○○第○○号。以下「本件処分2」という。)及び法第8条第2項に基づく訓練等給付費返還に係る加算金徴収決定処分(○○第○○号。以下「本件処分3」という。)に係る審査請求(以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決する。

主文
1 本件審査請求のうち、後記「事案の概要」中「1 審査請求の趣旨」第2号及び第3号の請求に係る部分を却下する。
2 本件処分1、本件処分2及び本件処分3を取り消す。

事案の概要
1 審査請求の趣旨【概要】
(1) 平成〇年〇月〇日、審査請求人に対してなされた本件処分1、本件処分2及び本件処分3を取り消す。
(2) 市ホームページにて(1)の処分が審査請求手続において取り消されたことを周知し当該処分時になした手段と同様の手段において報道機関にその旨を周知せよ。
(3) (1)の処分が審査請求手続において取り消されたことを元利用者に対して周知し、謝罪せよ。
2 事案の要旨【概要】
(1)審査請求人は、処分庁から、法第29条第1項に基づく指定障害福祉サービス事業者の指定を受けた。
(2)処分庁は、審査請求人に対して、法第48条第1項に基づく監査を実施した。
(3)審査請求人の代表社員が処分庁に法第46条第2項に基づく指定障害福祉サービス事業の廃止届を持参した。
(4)処分庁から審査請求人に対し聴聞通知を発出した。
(5)審査請求人から処分庁に対して、不利益処分に係る資料閲覧請求がされた。
(6)処分庁から審査請求人に対し情報開示(不利益処分に係る資料閲覧)が実施された。
(7)大阪市福祉局職員による審査請求人の代表社員に対する聴聞(以下「本件聴聞」という。)が行われ、法50条第1項第8号に基づく法第29条第1項の指定障害福祉サービス事業者の指定取消処分の決定が相当である旨の報告書が処分庁に提出された。
(8)審査請求人から処分庁に対して、聴聞調書等閲覧請求がされ、同日閲覧が実施された。
(9)処分庁は、審査請求人に対して、本件処分1の通知書を交付した。その際、処分庁の職員は、審査請求人に対し、通知書を提示し、口頭にて事業所名及び事業種別、処分内容、その原因となる事実、処分日、教示の内容を説明した。
(10)同日、処分庁の職員は、審査請求人に対して、本件処分2及び本件処分3の通知書の交付をしようと、通知書を提示し、口頭にて返還金及び加算金の請求原因、根拠法令、返還金額、納付方法、納付期限、教示の内容を説明したが、審査請求人の代表社員が受け取りを拒否したため、後日本件処分2及び本件処分3の通知書を発出した。
(11)審査請求人は、大阪市長に対し、本件処分1、本件処分2及び本件処分3の取消し等を求める審査請求をした。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張【概要】
 審査請求人が本件処分1、本件処分2及び本件処分3の取消しを求める理由は、次のとおりである。
(1) 適正な手続きを欠いている
ア 処分に際して開催された聴聞手続きにおいて適正な時期に十分な証拠が開示されなかったこと
イ 本件聴聞での応答の不備
ウ 聴聞調書の不備
エ 処分通知書ではどのような事実認定がなされたのかが読み取れないこと
 本件聴聞において審査請求人主張に対する処分庁の判断が行政処分通知書から読み取れず当該処分は違法となるべきである。
オ すでに事業廃止している事業者に対してなされた処分であること
(2) 事実認定における誤認
(3) 事実だとしても過大な処分である
(4) 訓練等給付費の返還金及び加算金について
ア 基となる指定取消し処分が取り消される処分であり、不当に利得したものがないこと
 指定取消し処分自体が取り消されるべきものであるため、これを前提とした返還決定も事実の基礎を失い、無効となる。
イ 指定取消し処分が適法であったとしても、サービスの提供はしていたこと
 受領した報酬のすべてにおいて不当に利得したものではない。(京都地方裁判所平成18年9月29日判決参照)
2 処分庁の主張【概要】
「本件審査請求を棄却する。」との裁決を求める。

理由
1 本件に係る法令等の規定
 (1) 法第29条第1項
 市町村は、支給決定障害者等が、支給決定の有効期間内において、都道府県知事が指定する障害福祉サービス事業を行う者から当該指定に係る障害福祉サービスを受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該支給決定障害者等に対し、当該指定障害福祉サービスに要した費用について、訓練等給付費を支給する。
(2) 法第29条第2項
 指定障害福祉サービス等を受けようとする支給決定障害者等は、厚生労働省令で定めるところにより、指定障害福祉サービス事業者に受給者証を提示して当該指定障害福祉サービス等を受けるものとする。ただし、緊急の場合その他やむを得ない事由のある場合については、この限りでない。
(3) 法第8条第2項
 市町村は、第29条第2項に規定する指定障害福祉サービス事業者が、偽りその他不正の行為により訓練等給付費の支給を受けたときは、当該事業者に対し、その支払った額につき返還させるほか、その返還させる額に百分の四十を乗じて得た額を支払わせることができる。
(4) 法第46条第2項
 指定障害福祉サービス事業者は、当該指定障害福祉サービスの事業を廃止しようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、その廃止の日の一月前までに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(5) 法施行規則第34条の23第4項
 指定障害福祉サービス事業者は、指定障害福祉サービス事業の廃止の届出について、当該指定障害福祉サービスの事業を廃止しようとするときは、その廃止の日の一月前までに、次に掲げる事項を当該指定障害福祉サービス事業者の事業所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。
①廃止しようとする年月日
②廃止しようとする理由
③現に当該指定障害福祉サービスを受けている者に関する次に掲げる事項
ア 現に当該指定障害福祉サービスを受けている者に対する措置
イ 現に当該指定障害福祉サービスを受けている者の氏名、連絡先、受給者証番号及び引き続き当該指定障害福祉サービスに相当するサービスの提供を希望する旨の申出の有無
ウ 引き続き当該指定障害福祉サービスに相当するサービスの提供を希望する者に対し、必要な指定障害福祉サービスを継続的に提供する他の指定障害福祉サービス事業者の名称
(6) 法第50条第1項
 都道府県知事は、「指定障害福祉サービス事業者が、不正の手段により第29条第1項の指定を受けたとき」(同項第8号)に該当する場合においては、当該指定障害福祉サービス事業者に係る法第29条第1項の指定を取り消し、又は期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止することができる。
(7) 法第106条
 この法律中都道府県が処理することとされている事務に関する規定で政令で定めるものは、指定都市及び中核市においては、政令で定めるところにより指定都市若しくは中核市が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として指定都市等に適用があるものとする。
(8) 行政手続法第14条第1項
 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
(9) 行政手続法第37条
 届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。
2 争点
 本件審査請求における争点は以下の3点である。
(1) 審査請求人が法第29条第1項の指定を受けたことについて法第50条第1項第8号の「不正の手段により第29条第1項の指定を受けたとき」に該当するといえるか否か(以下「争点1」という。)
(2) 審査請求人が平成〇年〇月〇日に処分庁に持参した廃止届は法第46条第2項に基づく廃止の届出として有効といえるか否か(以下「争点2」という。)
(3) 本件処分2及び本件処分3が、行政手続法第14条に反し、違法又は不当となるか(以下「争点3」という。)
3 争点に係る判断
(1) 争点1について【概要】
  法第50条第1項第8号の「不正の手段」については指定の取消事由であることから、指定障害福祉サービス事業に係る指定制度に照らして申請者の申請に係る行為として許容されない行為態様が「不正の手段」に該当する場合といえる。
 本件事情のもとで、審査請求人による反証の機会が与えられていない証拠については本件審査請求の判断における認定の基礎にはできないものであるから、証拠として採用できない以上、処分庁の事実認定については客観的に判断できず、他にこの点を補充しうる証拠資料もないことから、処分庁の認定を是認することは困難である。
 したがって、審査請求人について指定障害福祉サービス事業者に係る法第29条第1項の指定を受けたことについて法第50条第1項第8号の「不正の手段により第29条第1項の指定を受けたとき」に該当するとして本件処分1を決定した処分庁の判断及びこの事実認定を基礎として法第8条第2項の「偽りその他不正の行為により訓練等給付費の支給を受けたとき」に該当するとして本件処分2及び本件処分3を決定した処分庁の判断は、いずれも妥当と評価することができないことから、いずれの処分も違法といわざるを得ない。
(2) 争点2について
ア 本件では、審査請求人が廃止届を処分庁に持参した平成〇年〇月〇日の1カ月後の同年〇月〇日より後の同年〇月〇日に本件処分1、本件処分2及び本件処分3がなされている。
イ 法第46条第2項は、廃止又は休止する旨を事業の廃止又は休止の日の1カ月前までに届け出なければならないと規定しているが、その趣旨は、事業者が不利益な処分を免れる(いわゆる「処分逃れ」)を防止するという点にある。とすれば、当該届出による廃止の効果は、届出提出の1カ月後に生じると解するのが合理的であり、当該期間を過ぎた後は、当然に指定された事業が存在していない以上、行政庁は指定取消処分を行うことはできないものと言わざるを得ない。
 そして、徴収金決定処分が指定取消処分を前提としてなされている以上、当該指定取消処分を行うことができない場合は、徴収金決定処分についても行うことはできないものというべきである。
ウ  そこで、審査請求人が平成〇年〇月〇日に処分庁に持参した廃止届が法第46条第2項に基づく廃止の届出として有効であるか否かが問題となる。
 法に基づく廃止の届出として有効といえるためには、いかなる要件を具備した届出であればよいかについては、行政手続法及び法に基づく届出である必要がある。
(ア) まず、行政手続法第37条は、「届出書の記載事項に不備がなく、届出書に必要な書類が添付されており、その他法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたもの」とする旨規定する。
 ここにいう、届出とは、一定の事柄を公の機関に知らせることであって、行政庁の諾否の応答が予定されている申請とは基本的に性格を異にするものであるところ、法令に定められた届出の形式上の要件に適合している届出がなされたときは、当該届出義務者がなすべき届出行為が完了することについて、行政庁の意思や判断が介在するような余地は本来ないものであるから、行政庁の側において、届出を受け付けない等、届出をなすべき義務の履行に関して行政庁の意思や判断が働くかのような不適切な取扱いは排除されるべきものである。
 行政手続法第37条が上記のように規定したのは、上記のような行政庁の側における不適切な運用を排除するために、届出が法令に定められた届出の形式上の要件に適合しているときは、届出義務者が法令上なすべき当該通知行為は行政庁の意思や判断に関わりなく、到達時に完了するという届出の本来の法的性格を明らかにすることにより、届出に関する行政庁の不適切な扱いを防止し、その公正な処理の確保を図るところに趣旨があるというべきである。
(イ) 次に、法においては、指定障害福祉サービス事業の廃止の届出について、当該指定障害福祉サービスの事業を廃止しようとするときは、その廃止の日の一月前までに、①廃止しようとする年月日、②廃止しようとする理由、③現に当該指定障害福祉サービスを受けている者に関する次に掲げる事項(当該事項とは、現に当該指定障害福祉サービスを受けている者に対する措置、現に当該指定障害福祉サービスを受けている者の氏名、連絡先、受給者証番号及び引き続き当該指定障害福祉サービスに相当するサービスの提供を希望する旨の申出の有無、引き続き当該指定障害福祉サービスに相当するサービスの提供を希望する者に対し、必要な指定障害福祉サービスを継続的に提供する他の指定障害福祉サービス事業者の名称の各事項)を当該指定障害福祉サービス事業者の事業所の所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければならないとされており(法第46条2項、同法施行規則第34条の23第4項)、以上の記載事項が、廃止の届出義務者に求められている法定の届出要件であるといえる。
(ウ) 以上からすると、指定障害福祉サービス事業の廃止の届出を受けた行政庁は、届出義務者において外形上届出の意思が明確であり、届出について形式的要件の不備がない限り、上記でいう法の届出要件を充足した届出については手続上の義務は履行されたとみるべきであり、届出による法的効果が認められるべきものである。
(エ) ⅰこれを本件についてみると、事件記録によれば、
・平成〇年〇月〇日に審査請求人が廃止届を持参したうえで処分庁に来庁し、処分庁の担当職員と面談し、当該廃止届及び審査請求人の事業所の利用者の引継ぎに関する資料(以下「引継ぎ関係資料」という。)を担当職員に提示していること
・審査請求人は、処分庁の庁舎に来庁の上、長時間やりとりを行い、廃止届の様式を持参した上で担当者に対しても事業を廃止したい旨の説明を続けていたこと
・本件審査請求の審理の中で、一貫して処分庁は、廃止する年月日、廃止する理由、現に指定障害福祉サービス等を受けている者に対する措置の各記載に関して審査請求人が持参した廃止届において当該記載がなかった又は不備があったとする主張はしていないこと
については争いがない。
ⅱ 以上の争いのない事実からすれば、まず、審査請求人において廃止の意思は明確であったといえる。この点、処分庁は「請求人は廃止届を持ち帰り」と説明するが、届け出の様式を持ち帰ったことについては、処分庁が持参した廃止届を受け取らなかったことから、やむを得ず審査請求人は持ち帰ったものであり、この一事をもって審査請求人において廃止の意思なしとはいえない。
ⅲ そして、少なくとも同日に審査請求人が処分庁に来庁し持参したうえで提出の意思表示を行った廃止届には、廃止する年月日、廃止する理由、現に指定障害福祉サービス等を受けている者に対する措置の各記載がなされており、同じく審査請求人が処分庁に持参したうえで提示した引継ぎ関係資料には現に指定障害福祉サービス等を受けている者に対する具体的な措置の記載がなされていたことから、廃止の届出における法定の各届出事項の記載はなされていたものと認めるのが自然であり、また、処分庁が後述の廃止届の宛名に関する点以外にはなんら廃止届の不備について具体的な主張をしていないことに鑑みると、形式的な不備はなかったといわざるを得ない。
 この点、処分庁は、廃止届をする事業者に対しては不正な請求がないかの確認をしたうえで廃止届を受理するために請求関係書類を提出するよう求めており、〇月〇日に来庁した際に請求に関する記録等を持参していなかった審査請求人に対しても、担当職員が請求関係書類とともに改めて廃止届を提出するよう求めたものであると主張するところ、処分庁のこの対応については、審査請求人が〇月〇日当日において請求関係書類を提出しなかったことで廃止の届出の要件を欠いているものであるとの理解に基づくものであるといえる。
 しかし、行政手続法その他の法令中に、当該請求関係書類を廃止の届出の要件とする規定は確認できない。従って、当該請求関係書類を廃止の届出における法定の要件であると解することはできない。
 このように、請求関係書類については法定された廃止の届出の要件ではないにもかかわらず、処分庁は請求関係書類がないことを理由に廃止届を受け取らないとしたものであり、これは廃止の届出に係る法の規定からみても妥当ではなく、行政手続法の届出の規定の趣旨から逸脱した届出の拒否であるといわざるを得ないことから、請求関係書類を持参していないことを理由に廃止の届出の要件を欠いているものということはできない。
ⅳ 以上から、法定の要件を充たしている本件の審査請求人が提出した事業廃止の届出は有効であったと認められるのであり、審査請求人が廃止届を処分庁に持参した〇月〇日の1カ月後の〇月〇日の時点で、審査請求人における指定障害福祉サービス事業については廃止の効果が生じていたものと考えるのが妥当である。
 なお、廃止届の宛名について大阪府知事であったか大阪市長であったかについては審査請求人と処分庁の間で争いがあるが、仮に宛名について大阪府知事であったとしても、審査請求人の代表社員は現に大阪市に当該届出書を持参しており、大阪市へ提出する意思も明確であったといえ、そのような記載は明白な誤記であって、付記又は修正によって直ちに補正できる軽微なものであり、上記の廃止届出が有効であるとする結論を左右するものではない。
エ よって、審査請求人からの廃止届については有効な届出とはしなかったこと、及びこの判断に基づいて指定取消処分及び徴収金決定を審査請求人に対して行えるとした処分庁の判断はいずれも妥当ではなく、本件処分1、本件処分2及び本件処分3のいずれの処分も違法である。
 (3) 争点3について
 返還金徴収決定及び加算金徴収決定については不利益処分であることから、行政手続法第14条の不利益処分の理由提示が必要であるところ、本件返還金及び加算金徴収決定(以下「徴収金決定処分」という。)に係る通知書には根拠法令、金額、期限の記載のみがある。
 この点、指定取消処分と徴収金決定処分においてその処分の原因となる事実関係について処分庁の側が審査請求人の指定申請に関する行為について問題としているという意味では処分原因は共通しているといえる。
 しかし、法には指定取消処分と徴収金決定処分の間に先後関係や相関関係を定める規定はなく、指定取消処分と徴収金決定処分はそれぞれ独立した処分であり、両処分を受ける被処分者において両処分を一連一体のものとして認識することが社会通念上妥当であるとまではいえず、被処分者に対して指定取消処分において指定取消処分の原因となる事実を具体的に提示していることをもって徴収金決定処分に係る理由提示があったとはいえない。
 よって、本件処分2及び本件処分3は、行政手続法第14条の定める理由提示の要件を欠いた違法な処分といえる。
4 その他
(1)審査請求人の処分の取消し以外の請求について
 審査請求人は、本件処分1、本件処分2及び本件処分3の取消しを求めるほか、市ホームページにて本件処分1、本件処分2及び本件処分3が審査請求手続において取り消されたことを周知し(以下「ホームページでの周知」という。)、当該処分時になした手段と同様の手段において報道機関にその旨の周知(以下「報道機関による周知」という。)をし、元利用者に対して通知し謝罪(以下「元利用者への通知及び謝罪」という。)することを本件審査請求において求めているが、これらは、いずれも審査請求の対象である「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政不服審査法第2条及び第3条)に該当せず、審査請求の対象とはなり得ない。
 よって、本件審査請求のうち、ホームページでの周知、報道機関による周知、元利用者への通知及び謝罪に係る請求については、審査請求の対象とすることができない事項について審査請求をするものであるから、審査請求として不適法である。5 結論
 よって、本件審査請求のうち、前記「事案の概要」中「1 審査請求の趣旨」第2号及び第3号の請求に係る部分については不適法なものであるため、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第1項の規定により、また、本件処分1、本件処分2及び本件処分3の取消しを求める部分については理由があると認められるので、同法第46条第1項の規定により、主文のとおり裁決する。

令和3年6月18日
審査庁 大阪市長  松井 一郎

裁決書(令和3年答申第2号)

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