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令和3年11月19日付け裁決(答申第6号)

2023年2月17日

ページ番号:550296

裁決書

審査請求人 氏名 ○○○○
処分庁 大阪市○○区保健福祉センター所長

 審査請求人が令和元年11月20日に提起した処分庁による保育施設・事業利用調整結果通知書兼保育所入所保留通知書に関する処分に係る審査請求について、次のとおり裁決する。

主文
 本件審査請求を棄却する。

事案の概要
1 令和元年9月25日、審査請求人は、審査請求人の児童(0歳児)の「子どものための教育・保育給付保育認定(変更)申請書兼保育施設・事業利用調整申込書」(以下「本件申請」という。)を処分庁に提出した。
 本件申請における保育施設・事業利用調整にかかる申込内容は、第1希望を○○○○、第2希望を○○○○とし、令和元年11月入所希望とするものであった。なお、第3希望以下の記載はなかった。
2 令和元年10月3日、審査請求人は、「保育施設・事業利用希望変更等届出書」を処分庁に提出した。
 同届出書では、利用希望の順位を入れ替え、第1希望を○○○○、第2希望を○○○○と変更するものであった。
3 処分庁は、11月入所申込の締切日の令和元年10月7日以降に、利用調整を行ったうえで、令和元年10月18日に審査請求人に「保育施設・事業利用調整結果通知書兼保育所入所保留通知書」を送付した(以下「本件処分」という。)。
4 令和元年11月5日、審査請求人は、再度、「保育施設・事業利用希望変更等届出書」を処分庁に提出した。
 同届出書では、利用希望の順位を再び入れ替え、第1希望を○○○○、第2希望を○○○○、第3希望を○○○○、第4希望を○○○○と変更するものであった。
5 令和元年11月20日、審査請求人は本件処分について不服であるとし、処分庁を経由して審査庁に審査請求書を提出した。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
 審査請求の主張は以下のとおりである。
 本件処分の処分理由として、利用申込みをした保育施設・事業(以下「保育施設等」という。)について利用可能数を上回る申し込みがあったためとされているが、実際に保育の重要性が高いことに対し慎重な審査がなされていない。
 具体的には、審査請求人は、育児休業が取得できず産休明け(産後8週後)すぐに仕事に復帰しなければならないこと、審査請求人の父母(児童の祖父母)及び審査請求人の夫の父母は就労や疾病等のため保育を依頼できないこと、生後2か月の児童を預かってもらえる認可外保育施設に空き枠がないこと等を処分庁に説明していたにもかかわらず、保育利用調整基準に基づく点数のみで利用調整を行い、生後2か月の児童であり認可外施設等を利用できない事情があることなど点数以外の要素を慎重に考慮していないためである。
 また、審査請求人は、保育の必要性が高いにもかかわらず保育施設を利用できない状況となっているにもかかわらず、他の解決策についての相談に対して処分庁からは案内がなかった。
2 処分庁の主張
 処分庁の主張は、以下のとおりである。
 第1希望の○○○○については生後3か月以上の児童を受入対象としているところ、審査請求人の児童は令和元年11月1日時点では生後2か月であり、受入れ対象の月齢ではなかったため、また、第2希望の○○○○については令和元年11月1日時点における0歳児の受入可能数が0であったため、処分庁はやむを得ずに利用保留とする本件処分を行った。
 処分庁は、本件処分の通知を発送後に、審査請求人の自宅から2km圏内にある保育所の中で、利用可能な空き枠があり、かつ生後3か月以上を受入対象としている○○○○及び○○○○を案内するとともに、審査請求人の夫の勤務先のある○○区の保育所や○○区の認可外保育施設も案内している。
 処分庁としては、大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱に基づき適正に利用調整を行っており、本件処分は適法妥当なものと考えており、本件審査請求は、棄却されるべきであるものと思料する。

理由
1 本件処分に係る法令等の規定について
(1)児童福祉法(昭和22年法律第164号)第24条第3項において、「市町村は、保育の需要に応ずるに足りる保育所、認定こども園(子ども・子育て支援法第27条第1項の確認を受けたものに限る。以下この項及び第26条の2第2項において同じ。)又は家庭的保育事業等が不足し、又は不足するおそれがある場合その他必要と認められる場合には、保育所、認定こども園(保育所であるものを含む。)又は家庭的保育事業等の利用について調整を行うとともに、認定こども園の設置者又は家庭的保育事業等を行う者に対し、前項に規定する児童の利用の要請を行うものとする。」と規定されている。
(2)児童福祉法施行規則第24条において、「市町村は、法第24条第3項の規定に基づき、保育所、認定こども園(子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第27条第1項の規定による確認を受けたものに限る。)又は家庭的保育事業等の利用について調整を行う場合(法第73条第1項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)には、保育の必要の程度及び家族等の状況を勘案し、保育を受ける必要性が高いと認められる児童が優先的に利用できるよう、調整するものとする。」と規定されている。
(3)大阪市保育施設等の利用調整に関する事務取扱要綱第4条において、「保健福祉センター所長は、利用調整を行うにあたっては、利用調整会議を開催し、別表『保育利用調整基準』に基づき保育の必要性の高い児童から順に利用調整を行うものとする。」と規定されている。
2 本件処分が取り消されるべきか否かについて
(1) 審査請求人の児童の出生前に処分庁が申込みを受け付けなかったことが違法又は不当となるか否かについて、審査請求人は、審査請求書において、「児童の出生前から○○区役所の保育担当課に出向き相談をし、生後2か月から入園可能な保育園の見学等も行い予定もたてていたが、申込自体は受け付けてもらえなかった」旨主張していることから、本件処分庁の対応に違法又は不当な点があったか否か検討する。
 この点、処分庁が弁明書で主張するところによれば、「申込の際は入所する児童の面接を実施しているにもかかわらず出生前では面接が行えないから」とのことであり、審査会における審査庁の口頭説明によれば、面接を行う理由は対象児童の状態が保育に耐えうる状況なのかを確認する必要があるためとのことである。
 出生前に申込みを受け付けないことに関しては、審査庁自ら、出生前に保育の申込みができない旨の規程がないと述べているところであり、法的な根拠は認められない。
 しかし、審査庁が申込時に入所児童の面接を実施する理由として挙げる「対象児童の状態が保育に耐えうる状況なのかを確認する必要」があるためという点に不合理なところはなく、一方、審査請求人からは、出生前に申込みが受け付けられなかったことによって法的な不利益を被ったとの具体的な主張はなされていない。
 なお、仮にこの時点で申し込みを受け付けていたとしても、審査請求人は、令和元年11月1日からの入所を希望していたのであるから、審査開始は10月1日時点の空き状況をもって開始されざるを得ず、結論として審査結果は変わらなかったといえる。
 よって、審査請求人の児童の出生前に申込みを受け付けなかった処分庁の対応に不合理なところはなく、違法又は不当な点があるとは認められない。
(2) 審査請求人の児童を入所保留としたことに違法又は不当な点があるか否かについて、審査請求人は、審査請求書において、「保育の必要性の認定をうけているのにかかわらず、(中略)点数以外にも慎重に考慮し選考されていないことによる本件処分は、保育を利用する権利を侵害されている」旨主張していることから、本件処分に違法又は不当な点があったか否か検討する。
 処分庁は、審査請求人の児童は令和元年11月1日時点では生後2か月であるところ、第1希望の○○○○については生後3か月以上の児童を受入対象としており、受入対象の月齢ではなかったこと、また、第2希望の○○○○については令和元年11月1日時点における0歳児の受入可能数が0であったことから、その時点では利用を希望する保育施設等について利用することができないため、利用保留とする処分を行ったものである。
 そのうえ、処分庁は、本件処分の通知を発送した後に、審査請求人の自宅から2km圏内にある保育所の中で、利用可能な空き枠がありかつ生後3か月以上を受入対象としている○○○○及び○○○○を案内するなどして、12月1日以降速やかな利用ができるように情報提供するとともに、保育利用調整基準に基づき適正な利用調整を続け、令和2年1月には令和元年11月1日利用申込に係る第1希望の施設ではないものの保育施設等を利用するに至っており、本件処分について、違法な点は見受けられない。
 なお、具体的にいかなる基準に基づいて利用調整を行うかについては、当該地域の保育事務に通暁する行政庁に広い裁量が認められ、当該基準が明らかに不合理な場合に限って違法又は不当となると解する。本件は、当該基準が適用された事案ではないが、念のために検討すると、審査請求人が主張する加点等が明らかに不合理とまでは認められず、保育利用調整基準のその他の部分についても明らかに不合理な点は見当たらない。
(3) 以上のとおり、児童福祉法第24条第3項に従い利用調整を行い、その結果審査請求人児童を入所保留とした本件処分に違法又は不当な点は認められない。
3 結論
 よって、本件審査請求には理由がないため、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決する。

令和3年11月19日
審査庁 大阪市長  松井 一郎

裁決書(令和3年答申第6号)

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