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令和3年11月19日付け裁決(答申第7号)

2023年2月17日

ページ番号:555805

裁決書

審査請求人 ○○ ○○
処分庁 大阪市長

 審査請求人が令和2年5月16日に提起した処分庁による生活困窮者自立支援法第6条第1項の規定に基づく生活困窮者住居確保給付金不支給決定処分に係る審査請求について、次のとおり裁決する。

主文
 本件審査請求を棄却する。

事案の概要
1 令和○年○月○日、審査請求人は、平成○年○月○日付けでA社を離職したこと、新型コロナウイルスの影響により仕事が見つからず、家賃が支払えないことを理由として、令和○年○月○日を離職年月日とする雇用保険受給資格者証の写しを添付した上で、生活困窮者住居確保給付金(以下「給付金」という。)の申請(以下「本件申請」という。)を行った。
2 大阪市○○区保健福祉センター内に設置している生活困窮者自立相談支援機関の担当職員は、審査請求人が平成○年○月分から平成○年○月分までの家賃につき、給付金を既に受給していたことから、再受給することができる要件として、解雇その他事業主の都合による離職により経済的に困窮した場合に限られることの説明を行うとともに、平成○年○月○日付けの解雇を証明する資料の追加提出を求めた。
3 令和○年○月○日、審査請求人は、平成○年○月○日付けの解雇を証明する資料の提出は困難であるとして、「離職状況等に関する申立書」を提出した。
4 令和○年○月○日、大阪市長(以下「処分庁」という。)は、本件申請につき、再受給の要件に該当しないものとして、給付金不支給決定(以下「本件処分」という。)を行った。
5 令和○年○月○日、審査請求人は、大阪市長(以下「審査庁」という。)に対し、本件処分の取消しを求める審査請求をした。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
 審査請求の趣旨は、「本件処分を取り消す。」との裁決を求めるものであり、その理由は次のとおりである。
 A社に平成○年○月○日から勤務し、試用期間の終了である平成○年○月○日をもって解雇されたこと、当該会社にアルバイトでも残りたい旨を申し出て会社が了承するも、その後、シフトが減少し週20時間を下回ったことから、令和○年○月○日付けで離職に至ったというものである。そのため、平成○年○月○日付けでの解雇の事実は存在し、給付金の再受給要件に該当する。
2 処分庁の主張
 弁明の趣旨は、「審査請求人の審査請求を棄却する。」との裁決を求めるものであり、その理由は次のとおりである。
 審査請求人がA社に勤務していたとする平成○年○月○日から令和○年○月○日までの期間内において雇用保険の資格が継続しており、解雇、離職の事実が客観的に確認できないこと、審査請求人から平成○年○月○日付けの解雇を証する資料の提出がなされなかったこと、更に令和○年○月○日付けの離職についても自己都合によるものとされていることから、本件処分に対する審査請求には理由がなく、棄却されるべきである。

理由
1 本件に係る法令等の規定について
⑴ 生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号。以下「支援法」という。)第3条第3項において、給付金は、生活困窮者のうち離職又はこれに準ずる事由により経済的に困窮し、現に賃借して居住する住宅の家賃を支払うことが困難となったもの等であって、就職を容易にするため住居を確保する必要があると認められるものに対して支給すると規定されている。
⑵ 生活困窮者自立支援法施行規則(平成27年厚生労働省令第16号。以下「施行規則」という。)第16条において、給付金の受給者には、支給終了後に、解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)その他事業主の都合による離職により経済的に困窮した場合等を除き、給付金を支給しないとして、再支給の制限が規定されている。
⑶ 支援法第6条において、都道府県知事等は、その設置する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する生活困窮者のうち第3条第3項に規定するものに対し、給付金を支給するものとして規定されている。
⑷ 大阪市住居確保給付金事務取扱い要領(令和2年4月20日改正。以下「取扱い要領」という。)の「12 再支給」において、受給者が給付金の受給期間中又は受給期間の終了後に常用就職した後に、新たに解雇(受給者の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)された場合、取扱い要領2(1)に規定する支給要件に該当する者については、再支給することができるものとしている。
 そして、再支給に係る支給申請の際には、申請者は、従前の支給が中止となっていないこと及び従前の支給決定後に常用就職した後に新たに解雇(本人の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)されたことについて確認書により誓約をすることとしている。
 ここでいう、「従前の支給決定後」とは、過去に複数回の支給決定を受けている場合は、直前の支給決定後をいい、「常用就職した後に新たに解雇」とは、過去に複数回離職している場合は、「直前の離職」をいう、としている。
2 本件処分について
⑴ 本件申請が、再支給の要件を充足するか否かについては、審査請求人の主張する平成○年○月○日をもって解雇されたとする点が、施行規則第16条の「解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)その他事業主の都合による離職」に該当するかを確認することとなる。
 審査請求人が令和○年○月○日付けで本件申請を行った際に提出した「雇用保険受給資格者証」では、離職年月日が令和○年○月○日とあるため、処分庁は審査請求人が主張する平成○年○月○日付けの解雇の事実を確認するために、当該事実を証明できる書類を提出するよう指示をした。これを受けて審査請求人は、離職関係資料の提出が困難であるとして離職状況等に関する申立書を提出したのみであり、当該申立書以外に証拠書類がないことから、再支給の要件に該当するという事実の証明としては不十分であるため、「解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)その他事業主の都合による離職」に該当する事実が審査請求人に認められるとはいえない。
⑵ また、審査請求人が提出した離職状況等に関する申立書のほか、客観的に審査請求人の解雇、離職の事実のわかる資料について、改めて本件審査請求に係る審理においても審査請求人に対し資料の提出を求めたが、審査請求人からの応答はなく、審査請求人が主張する平成○年○月○日時点での解雇を認定するために必要な証拠を確認することはできなかった。
⑶ 以上から、本件において「解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)その他事業主の都合による離職」に該当する事実が審査請求人に認められるとはいえない。
⑷ よって、施行規則第16条に従い、審査請求人の申請に対して「解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)その他事業主の都合による離職」に該当する事実が審査請求人において認めることができないとした処分庁の判断は妥当であり、本件処分に違法又は不当な点があるとは認められない。
3 上記以外の違法性又は不当性についての検討
 他に本件処分に違法又は不当な点は認められない。
4 結論
 以上のとおり、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決する。

令和3年11月19日
審査庁 大阪市長  松井 一郎

裁決書(令和3年答申第7号)

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