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令和3年12月27日付け裁決(答申第11号)

2023年2月17日

ページ番号:555808

裁決書

審査請求人 ○○○○
処分庁 大阪市長

 審査請求人が令和3年6月3日付けで提起した処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による令和3年度固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)賦課決定処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(令和3年度財第4号。以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 処分庁は、令和元年10月16日に、○○○○(以下「本件土地」という。)の実地調査を行い、本件土地について、それぞれ住宅戸数が1戸である3棟の専用住宅(家屋番号○○、○○及び○○。以下「本件各家屋」という。)の敷地として使用されていることを確認しました。
2 審査請求人は、令和元年12月6日付けで、住宅用地に対する課税標準の特例(以下「住宅用地の特例」という。)が適用される面積の異動を申告する「住宅用地に関する異動申告書」(以下「本件異動申告書」という。)を提出しました。
3 処分庁は、上記1の実地調査により、住宅用地の特例の適用にあたり、本件各家屋の建床面積に応じて本件土地の地積を按分して、本件各家屋の敷地として認定し、令和2年度の固定資産税等賦課決定処分を行い、納税通知書を送付しました。また、処分庁は、本件土地及び本件各家屋の利用状況に異動等はなかったことから、令和3年4月1日付けで本件処分を行い、審査請求人あて納税通知書を送付しました。
4 審査請求人が、令和3年度納税通知書を受領後、再度の現地調査を審査請求人の代理人(以下「代理人」という。)を通じて要求したところ、令和3年5月20日に審査請求人及び代理人立会いのもと担当職員による実地調査が行われ、本件土地及び本件各家屋の利用状況に異動等はなく、住宅用地の認定内容を見直す必要がないことを処分庁は確認しました。
5 審査請求人は、令和3年6月3日、大阪市長に対し本件処分の取消しを求めて本件審査請求をしました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1) 住宅用地関係事務取扱要領(平成29年6月13日改正)(以下「事務取扱要領」という。)に、「住宅用地に関する申告書」又は「住宅用地に関する異動申告書」により申告された地積により敷地を認定する、となっているので、令和元年12月6日に処分庁が受理した、本件異動申告書に記載した庭等の専用部分は当然住宅の敷地に含まれるため、本件異動申告書の内容を反映すべきである。
(2) 事務取扱要領第1章第3、2(2)イただし書に該当し、申告された地積より共用部分を按分することになる。
2 処分庁の主張
 審査請求人は「令和元年12月6日に大阪市が受領した本件異動申告書が税額計算に反映されていない。」と主張している。これは住宅敷地の認定方法に係るもので、令和元年10月16日に行った実地調査において、本件土地は本件各家屋の敷地として使用していることを確認した。各棟は、道路、塀、垣根及び溝等によって明確には区分されておらず、本件土地内の敷地内通路を利用して往来が可能であることから、本件土地上に存する本件各家屋の建床面積に応じて按分して求めた土地の地積をそれぞれの家屋の敷地として認定した。 
 なお、令和3年5月20日に実地調査を行ったが、令和元年10月16日から本件土地及び本件各家屋に異動等はないことを再度確認している。
 以上のことから、本件土地の固定資産税の賦課決定については、適正に行っている。        

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1) 固定資産税等の賦課期日について
ア  固定資産税等の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする(法第359条及び法第702条の6)。
イ  都市計画税の賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、固定資産税の賦課徴収と併せて行う(法第702条の8)。
(2) 住宅用地の特例について
ア  住宅用地とは、専ら人の居住の用に供する家屋の敷地の用に供されている土地で政令に定めるものをいい、これに対して課する固定資産税の課税標準は、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1(法第349条の3の2第2項に該当する住宅用地(以下「小規模住宅用地」という。)にあっては6分の1)の額とする。(法第349条の3の2)
イ  法第349条の3の2第1項の規定の適用を受ける土地に係る都市計画税の課税標準は、当該住宅用地に係る都市計画税の課税標準となるべき価格の3分の2(小規模住宅用地にあっては3分の1)の額とする(法第702条の3)。
(3) 住宅用地の認定について
 住宅用地の特例が適用される土地の単位(大阪市固定資産評価実施要領の「画地」の単位と同一)の認定は、次のア又はイによるものとする。
ア  原則として、1棟の家屋若しくは1個の家屋を維持し、又は効用を果たすために使用されている1画地の土地とし、道路、堀、垣根及び溝等によって明確に区分されている場合における、そのそれぞれ区分された部分や複数の筆にわたって同一の用に供されている部分(一体的に利用されている場合)はそれぞれ1画地とする。(事務取扱要領第1章第3、2(1))。
イ  複数の家屋を維持し、又はその効用を果たすために使用されている1画地の土地においては、それぞれの家屋について次の方法により敷地を認定する。
(ア) 「住宅用地に関する申告書」又は「住宅用地に関する異動申告書」により申告された地積により認定する(同2(2)ア)。
(イ) 当該土地のうち住宅の敷地である部分を明確に区分することが困難な場合、住宅敷地の認定は、当該土地に存する家屋の建床面積に応じて求めた土地をそれぞれの家屋の敷地とする。ただし、建床面積に応じて按分することが不適当な場合、例えば高層の住宅棟と低層の店舗棟が存し、建床面積で按分するより延床面積で按分する方が住宅用地相当地積が大きくなるような場合は、延床面積で按分しても差し支えない(同2(2)イ)。
2 争点等について
(1) 審査請求人は、本件異動申告書を基礎に、本件異動申告書における「異動後」の「床面積」欄記載の面積で税額を計算すべきであると主張しています。
 この点について、住宅用地の特例が適用される土地の敷地の認定は、当該土地が複数の家屋を維持し、又はその効用を果たすために使用されている1画地の土地である場合は、事務取扱要領において、前記1(3)イのとおり、①住宅用地に関する異動申告書により申告された地積により敷地を認定する、又は、②住宅の敷地である部分を明確に区分することが困難な場合、当該土地に存する家屋の建床面積に応じて按分して求めた土地をそれぞれの家屋の敷地とする、のいずれかの方法により敷地を認定すると定められています。
 これを本件においてみると、本件土地が、本件各家屋を維持し、又はその効用を果たすために使用されている1画地の土地であることに争いは無いところ、審査請求人は、3棟の本件各家屋を維持して一体利用している本件土地について、本件異動申告書を提出し、「異動前」は本件各家屋別の建床面積を床面積としていたものを、「異動後」は本件各家屋別の建床面積に庭等の面積を加えたもの(具体的には、家屋番号○○については当該家屋南側の庭等の一部の敷地面積を含み、家屋番号○○については当該家屋東側の庭等の一部敷地面積を含んだもの)を床面積とすることで異動があった旨申告したことが認められます。   
 一方、処分庁は、令和元年10月16日、本件土地や本件各家屋の現地実況調査をし、本件土地上の本件各家屋は、道路、堀、垣根及び溝等によって明確には区分されておらず、本件土地内の敷地内道路を利用して往来が可能であることを確認し、更に令和3年5月20日の再度の現地実地調査で、令和元年10月16日から本件土地及び本件各家屋に異動がないことを確認していることが認められます。
 これらの事実によれば、審査請求人は、本件土地の所在・面積・その上に存する本件各家屋の構造・種類・床面積等について何ら異動がなかったにもかかわらず、庭等の一部の敷地面積を本件各家屋の床面積に加えることで当該床面積に変動があったとしているにすぎないのであって、その異動申告書には提出の理由となる住宅用地に関する異動がなかったというべきです。
 むしろ、審査請求人も、本件土地に係る住宅敷地の認定において、面積に応じて按分して求める方法を採用しているのであるから、前記②のとおり、本件土地は本件土地のうち本件各家屋の敷地の部分を明確に区分することが困難な場合に該当することについて自認しているといえます。
 したがって、前記①のように本件異動申告書により申告された「異動後」の床面積により敷地を認定することは適当ではなく、本件異動申告書の内容を基に税額を計算すべきであるとする審査請求人の主張は採用することができません。
(2) また、審査請求人は、本件は事務取扱要領第1章第3、2(2)イただし書に該当するため、本件異動申告書に記載された内容で共用部分を按分することになるとも主張しています。
 事務取扱要領第1章第3、2(2)イただし書においては、前記1(3)イ(イ)のとおり、土地上の複数家屋について敷地の部分を明確に区分することが困難な場合について、高層の住宅棟と低層の店舗棟が存する場合等、各家屋の建床面積に応じて按分することが不適当な場合の住宅用地に相当する地積の算定方法についても記載されています。
 しかしながら、本件各家屋は、前記(1)で認めたとおり、道路、堀、垣根及び溝等によって明確には区分されておらず、本件土地内の敷地内道路を利用して往来が可能であり、また、相互に平面で隣接ないし接続して一体利用されていることから、本件土地については、本件土地のうち本件各家屋の敷地の部分を明確に区分することが困難な場合に該当するとしても、本件各家屋はいずれも地上1階建で、建床面積と延床面積に相違が無いことから、本件各家屋の建床面積に応じて按分することが不適当な場合に当たるということはできず、また当該不適当な場合に当たることを示す事情や証拠は見当たりません。
(3) 以上のことから、本件土地を本件各家屋の建床面積に応じて按分して敷地を認定し、住宅用地の特例を適用し、本件土地に係る固定資産税額等を計算した本件処分に不合理な点はありません。
3 前記2以外の違法性又は不当性についての検討
 前記2の争点等以外について、本件処分全体として検討したところ、他に違法又は不当な点は認められません。
4 結論
 以上のとおり、本件処分に違法又は不当な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

令和3年12月27日
大阪市長 松井 一郎

裁決書(令和3年答申第11号)

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