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令和4年1月14日付け裁決(答申第13号)

2023年2月17日

ページ番号:559864

裁決書

審査請求人 ○○○○
         ○○○○
処分庁 大阪市長

 審査請求人が令和3年6月14日付けで提起した処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による令和3年度固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)賦課決定処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(令和3年度財第6号。以下「本件審査請求」という。) について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 審査請求人は、令和2年11月30日付けで、○○○○丁目○○番○○の土地(以下「本件分筆前土地」という。)を、○○○○丁目○○番○○と○○○○丁目○○番○○の各土地の2筆(以下「本件各土地」という。)に分筆登記しました。
2 処分庁が、航空写真の確認及び令和3年2月3日に実地調査を行ったところ、本件各土地を含めた6筆はコインパーキングとして使用されていたことから、令和3年度より本件各土地の西側の筋を正面路線として一体評価し、令和3年4月1日付けで本件各土地について本件処分を行い、納税通知書を送付しました。
3 審査請求人は、令和3年6月14日付けで、大阪市長に対し本件処分の取消しを求めて本件審査請求を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
(1)  本件各土地の令和3年度課税明細書に記載された「前年度分の固定資産税課税標準額」及び「前年度分の都市計画税課税標準額」(以下「前年度課税標準額等」という。)について、本件分筆前土地の令和2年度課税標準額を本件各土地の地積に応じて配分した金額とすべきであり、また「令和2年度の課税標準額に据え置く措置」に従って、令和3年度課税明細書に記載された「当該年度固定資産税課税標準額」と「当該年度都市計画税課税標準額」(以下「当該年度課税標準額等」という。)をその配分した金額に訂正すべきである。
(2)  令和3年度課税明細書のうち、前年度課税標準額等の欄に当該年度課税標準額等と同額の記載があり、これは令和3年度の当該年度課税標準額等を記載したもの、すなわち評価替え後の当該年度課税標準額等を前年度課税標準額等に記載し、それに基づき課税したものであるから、法の不遡及の原則に反して誤りである。
2 処分庁の主張
(1) 令和2年中に分筆登記がなされた本件各土地は、令和3年度の当該年度課税標準額等を算定するに当たり、「地目の変換その他これに類する特別の事情がある土地」(以下「地目の変換等があった土地」という。)に該当し、分筆前の前年度課税標準額等を用いることは、不適当であるため、地方税法(以下「法」という。)の規定により類似土地を選定し、比準課税標準額を算定した。
(2) 地目の変換等があった土地の固定資産税等の課税標準については、前年度課税標準額等をそのまま用いて、宅地等(農地以外の土地をいう。以下同じ。)の固定資産税等に係る税負担の調整措置(以下「負担調整措置」という。)等を講ずることができないため、前記(1)で算定した比準課税標準額を用いて、令和3年度の負担調整措置を講じることとなる。そして、当該年度課税標準額等はその比準課税標準額を据え置いた額となる。
 よって、前年度課税標準額等は、今年度の評価見直し後の額を遡及して前年度課税標準額等としているのではなく、前記(1)で算定した比準課税標準額であり、当該年度課税標準額等はその比準課税標準額を据え置いた額となる。
(3) 「固定資産(土地)に係る第二年度及び第三年度の評価等の取扱いについて」(平成24年9月26日付け通知)には、第二年度及び第三年度に評価替えをする事由が列挙されており、本件各土地は当該通知第1、2イ(ウ)に規定する分筆又は合筆及び(キ)に規定する画地の認定の変更を必要とする利用状況の変化に該当するため、類似土地を選定し比準課税標準額を算定することになる。
 本件各土地の類似土地は、同一路線価上の同用途の土地で、令和3年に評価の見直しがない土地のうち、本件各土地に最も近い○○○○丁目○○番○○を選定した。
(4)  平成22年4月9日の実地調査では、本件各土地は更地であり、令和3年度の賦課期日までのいずれかの時期に、6筆がコインパーキングとして使用され始めたと推察できるが、平成29年度以降の航空写真の比較によっても事実発生年月日を遡って明確に確認することはできない。
 ただし、少なくとも令和3年の賦課期日時点では、利用状況に変化があった事実に変わりはなく、よって、令和3年度から画地認定を変更した。
(5) 以上のことから、本件各土地の固定資産税等の賦課決定処分については、法に基づき適正に行っている。

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1) 固定資産税等の賦課期日等について
ア 固定資産税等の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とします(法第359条及び法第702条の6)。
イ 都市計画税の賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、固定資産税の賦課徴収と併せて行います(法第702条の8)。
(2) 比準課税標準額について
 当該土地に係る当該年度分の固定資産税等の課税標準となるべき価格に、当該土地に類似する土地で当該年度の前年度に係る賦課期日に所在するもの(以下「類似土地」という。)の前年度課税標準額を当該類似土地の当該年度分の固定資産税等の課税標準となるべき価格で除して得た数値を乗じて得た価格とされています(法附則第17条第1項第7号)。
(3) 負担調整措置について
 宅地等に係る当該年度分の固定資産税等額が、当該宅地等の当該年度分の固定資産税等に係る前年度分の固定資産税等の課税標準額に、当該宅地等に係る当該年度分の固定資産税等の課税標準となるべき価格に100分の5を乗じて得た額を加算した額(令和3年度分の固定資産税等にあっては、前年度分の固定資産税等の課税標準額)を当該宅地等に係る当該年度分の固定資産税等の課税標準となるべき額とした場合における固定資産税等額(以下「宅地等調整固定資産税等額」という。)を超える場合には、当該宅地等調整固定資産税等額とします(法附則第18条第1項及び第25条第1項)。
(4) 地目の変換等があった宅地等について
 令和3年度に係る賦課期日において地目の変換等があった宅地等に係る令和3年度の「前年度分の固定資産税等の課税標準額」とは、当該宅地等の令和3年度の比準課税標準額とされています(法附則第18条第6項第2号及び第25条第6項)。
2 争点等について
(1)  審査請求人は、本件各土地の令和3年度課税明細書に記載された前年度課税標準額等について、本件分筆前土地の令和2年度課税標準額を本件各土地の地積に応じて配分した金額とすべきであり、また「令和2年度の課税標準額に据え置く措置」に従って、令和3年度課税明細書に記載された当該年度課税標準額等をその配分した金額に訂正すべきと主張しています。
 これに対して処分庁は、本件各土地は令和2年中に分筆登記がなされており、本件分筆前土地の前年度課税標準額等をそのまま用いて負担調整措置を講ずることはできないと反論しています。
 この点、前記1(3)の通り、新型コロナウイルス感染症により社会経済活動や国民生活全般を取り巻く状況が大きく変化したことを踏まえ、令和3年度に限り、宅地等(商業地等は負担水準が60%未満の土地、商業地等以外の宅地等は負担水準が100%未満の土地に限る。)については、令和3年度の課税標準額を令和2年度の課税標準額と同額とすることとされています。
 もっとも、令和3年度に係る賦課期日において地目の変換等があった場合には、前記1(4)のとおり比準課税標準額を用いて負担調整措置を行うこととなっています。そして、ここにいう「地目の変換等があった場合」とは、具体的には、地目の変換、土地の分合筆等土地の区画形質に著しい変化があった場合をいいます。
 これを本件各土地についてみると、本件各土地は令和2年11月30日付けで分筆の登記がなされていることから、「地目の変換等があった場合」に該当し、比準課税標準額を用いて負担調整措置を行うこととなります。
 したがって、本件各土地の当該年度課税標準額等について、本件分筆前土地の令和2年度課税標準額を本件各土地の地積に応じて按分計算して求めた額を、前年度課税標準額等とした上で据え置くべきとする審査請求人の主張は認められません。
(2)  審査請求人は、令和3年度課税明細書のうち、前年度課税標準額等の欄に当該年度課税標準額等と同額の記載があり、これは令和3年度の当該年度課税標準額等を記載したもの、すなわち評価替え後の当該年度課税標準額等を前年度課税標準額等に記載し、それに基づき課税したものであるから、法の不遡及の原則に反して誤りであると主張しています。
 この点、本件各土地については、(1)で述べたように、それぞれの土地について比準課税標準額を用いて令和3年度の負担調整措置を講じることとなります。
 そして、令和3年度課税明細書の前年度課税標準額等の欄には、令和2年11月30日付けの分筆登記を反映して算定した比準課税標準額が記載されており、当該年度課税標準額等の欄に記載された金額は、当該比準課税標準額を前記1(3)の負担調整措置により据え置いた額を記載したものであることから、審査請求人が主張するように評価替え後の当該年度課税標準額等を前年度課税標準額等に記載したわけではありません。
 したがって、前年度課税標準額等は今年度の評価見直し額を遡及して適用しているとする審査請求人の主張は認められません。
3 前記2以外の違法性又は不当性についての検討
 前記2の争点等以外について、本件処分全体として検討したところ、他に違法又は不当な点は認められません。
4 結論
 以上のとおり、本件処分に違法又は不当な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

令和4年1月14日
大阪市長 松井 一郎

裁決書(令和3年答申第13号)

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