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令和4年2月1日付け裁決(答申第15号)

2023年2月17日

ページ番号:561727

裁決書

審査請求人 ○○○○
処分庁 大阪市長

 審査請求人が令和3年6月28日付けで提起した処分庁大阪市長(以下「処分庁」という。)による令和3年度固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)賦課決定処分(以下「本件処分」という。)に係る審査請求(令和3年度財第10号。以下「本件審査請求」という。) について、次のとおり裁決します。

主文
 本件審査請求を棄却します。

事案の概要
1 処分庁は、○○区○○丁目○○番○○の土地(以下「本件土地」という。)について、令和3年4月1日付けで本件処分を行い、審査請求人あてに納税通知書を送付しました。
2 審査請求人は、令和3年6月28日付けで大阪市長に対し、本件処分の取消しを求めて、審査請求を提起しました。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
 本件処分(本件土地が更地であると評価して行った処分)の取消しを求める。
 本件土地上に存在していた家屋(以下「本件家屋」という。)の取壊し完了は令和3年1月15日であり、本件土地は、令和3年1月1日現在は更地でないので、令和3年度の固定資産税等は本件土地上に建物が有る状態で評価してほしい。
2 処分庁の主張
 令和2年12月11日に行った実地調査により、本件家屋のうち、東側の1棟分の土地は更地であり、西側の1棟は取壊し工事に着手しており、作業者に建物すべて取壊し予定であることを確認している。
 取壊し工事が着手されることによって、固定資産税における家屋としての要件を満たさなくなることから、取壊しに着手したときを家屋の滅失時期としている。
 本件処分に係る令和3年度の固定資産税等の賦課期日(以下「本件賦課期日」という。)である令和3年1月1日現在、本件土地上に固定資産税における家屋が存在せず、住宅用地に対する固定資産税等の課税標準額の特例(以下「住宅用地の特例」という。)を適用する理由がないため、本件処分は適正である。

理由
1 本件審査請求に係る法令等の規定
(1) 固定資産税等の賦課期日等について
ア 固定資産税等の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とされています(地方税法(以下「法」という。)第359条及び法第702条の6)。
イ 都市計画税の賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、固定資産税の賦課徴収と併せて行うこととされています(法第702条の8)。
(2)  住宅用地の特例について
ア 住宅用地とは、専ら人の居住の用に供する家屋の敷地の用に供されている土地をいい、これに対して課する固定資産税の課税標準は、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1(法第349条の3の2第2項に該当する住宅用地(以下「小規模住宅用地」という。)にあっては6分の1)の額とされています(法第349条の3の2)。
イ 法第349条の3の2第1項の規定の適用を受ける土地に係る都市計画税の課税標準は、当該住宅用地に係る都市計画税の課税標準となるべき価格の3分の2(小規模住宅用地にあっては3分の1)の額とされています(法第702条の3)。
(3)  住宅の認定について
 当該家屋が住宅であるかどうかの判定については、次のとおり取り扱うものとされています。
 なお、家屋とは、不動産登記法の建物とその意義を同じくするものであること。したがって、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならず、現況がこうした状態にないものは家屋には該当しないことに留意する必要があるとされています(「地方税法第349条の3の2の規定における住宅用地の認定について」平成9年4月1日付け自治固第13号 平成27年5月26日一部改正)(以下「総務省通知」という。)。
ア 住宅に該当するかどうかは、一個の家屋ごとに判断するものとし、この場合原則として一棟の家屋をもって一個の家屋とされています。なお、複数棟から構成される家屋で外観等からみて別個の家屋と判断できる場合には、例外として別個の家屋として取り扱って差し支えないとされています。
イ 付属的な家屋(物置、納屋、土蔵等)については、本体の家屋と効用上一体として利用される状態にある場合には、一個の家屋に含めるものとされています。
ウ 人の居住の用に供するとは、特定の者が継続して居住の用に供することとされています。
エ  賦課期日において現に人が居住していない家屋については、当該家屋が構造上住宅と認められ、かつ、当該家屋(併用住宅にあっては、当該家屋のうち居住部分とする。)が居住以外の用に供されるものでないと認められる場合には、住宅とするとされています。ただし、賦課期日における当該家屋の使用若しくは管理の状況又は所有者等の状況等から客観的にみて、当該家屋について、構造上住宅と認められない状況にある場合、使用の見込みはなく取壊しを予定している場合又は居住の用に供するために必要な管理を怠っている場合等で今後人の居住の用に供される見込みがないと認められる場合には、住宅には該当しないものであるので、賦課期日における当該家屋の客観的状況等に留意する必要があるとされています。
オ 併用住宅の共用部分については、専用部分の床面積の割合によってあん分し、それぞれの専用部分に含めるものとされています。
2 争点等について
 審査請求人は、本件家屋の取壊し完了は令和3年1月15日であり、本件土地は、令和3年1月1日現在は更地でないので、令和3年度の固定資産税等は本件土地上に建物が有る状態で評価してほしいと述べ、本件賦課期日には本件土地上に住宅が存在したため、住宅用地の特例を適用すべきだと主張しています。
 ここで、住宅用地の特例については、前記1(2)アのとおり、専ら人の居住の用に供する家屋の敷地の用に供されている土地に適用されるものです。また、当該家屋が住宅であるかどうかに関して、総務省通知においては、前記1(3)エのとおり、賦課期日において現に人が居住していない家屋については、賦課期日における当該家屋の使用若しくは管理の状況又は所有者等の状況等から客観的にみて、構造上住宅と認められない状況にある場合、使用の見込みはなく取壊しを予定している場合又は居住の用に供するために必要な管理を怠っている場合等で今後人の居住の用に供される見込みがないと認められる場合には、住宅には該当しないものであるとされています。
 これを本件においてみると、本件賦課期日現在、本件家屋は現に人が居住していない家屋であることについて、双方に争いはありません。また、審査請求人は令和2年12月14日に本件家屋を取り壊す予定であると本件家屋の所有者より連絡を受けており、令和3年1月15日に本件家屋の解体が完了したと解体業者から書面を受領しています。一方、処分庁は令和2年12月11日に行った実地調査により本件土地に取壊しのための資材や機械が搬入されていること及び作業業者に本件家屋はすべてが取壊し予定であることを確認したことが認められます。
 以上のことからすると、本件賦課期日現在、本件家屋は、使用の見込みはなく取壊しを予定されていて、今後人の居住の用に供される見込みがない家屋であると認められ、住宅用地の特例の適用の対象となる住宅には該当しないとするのが相当です。
 したがって、本件土地については、本件賦課期日現在、当該土地が更地であるかどうかにかかわらず、専ら人の居住の用に供する家屋の敷地の用に供されている土地であるとは言えず、住宅用地の特例を適用することはできないとする本件処分に違法な点はありません。
3 前記2以外の違法性又は不当性についての検討
 前記2の争点等以外について、本件処分全体として検討したところ、他に違法又は不当な点は認められません。
4 結論
 以上のとおり、本件処分に違法又は不当な点は認められず、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決します。

令和4年2月1日
大阪市長 松井 一郎

裁決書(令和3年答申第15号)

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