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令和4年3月1日付け裁決(答申第16号)

2023年2月17日

ページ番号:566154

裁決書

住所 ○○○○
審査請求人 氏名 ○○ ○○
処分庁 大阪市長

 審査請求人が令和2年9月28日に提起した処分庁による生活困窮者自立支援法第6条第1項の規定に基づく生活困窮者住居確保給付金不支給決定処分に係る審査請求について、次のとおり裁決する。

主文
 本件審査請求を棄却する。

事案の概要
1 令和○年○月○日、審査請求人は、新型コロナウイルスの影響によって、就業している個人の給与その他の業務上の収入を得る機会が当該個人の責めに帰すべき理由又は当該個人の都合によらないで減少し、当該個人の就労の状況が離職又は廃業の場合と同等程度の状況にあるとして、生活困窮者住居確保給付金(以下「給付金」という。)の申請を行い、大阪市長(以下「処分庁」という。)は、同年○月○日付けで住居確保給付金支給決定を行った。
2 令和○年○月○日、審査請求人は、減収状況が続いているとのことから「住居確保給付金支給申請書(期間(再)延長)」(以下「本件申請」という。)を処分庁に提出した。処分庁は、審査請求人に係る資産及び収入状況の把握・確認を要するとして、審査請求人に対し減収状態にあることが確認できる挙証資料の提出を求めた。
3 令和○年○月○日、審査請求人は、処分庁からの電話連絡に対して、同月○日午前11時に通帳及び給与明細書(3か月分)を持って来庁の上、提出すると応答した。
4 令和○年○月○日、審査請求人は来庁せず、また、以降は処分庁からの電話連絡(同月○日、○日、○日)にも応じること無く、資産及び収入状況の挙証資料の提出がなされなかった。
5 令和○年○月○日付けで処分庁は、本件申請につき、支給要件の確認ができないことから、住居確保給付金不支給決定(以下「本件処分」という。)を行った。
6 令和○年○月○日、審査請求人は、大阪市長(以下「審査庁」という。)に対し、本件処分の取消しを求める審査請求(以下「本件審査請求」という。)をした。

審理関係人の主張の要旨
1 審査請求人の主張
 審査請求人は、勤務先の都合により減収状態が続いていることから、給付金の受給要件に該当することを理由として、本件処分の取消しを求めている。
2 処分庁の主張
 処分庁は、審査請求人から減収状態にあることが確認できる挙証資料の提出がなされなかったこと、処分庁からの数回の電話連絡にも応答せず、状況の確認ができなかったこと、また、本市の事務取扱いにより申請書の提出後30日を経過したものについては、処分庁は、不支給決定を行うものとされていることから、本件審査請求には理由がなく、棄却されるべきと主張している。

理由
1 本件に係る法令等の規定について
⑴ 生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号。以下「支援法」という。)第3条第3項において、給付金は、離職又はこれに準ずる事由により経済的に困窮し、現に賃借して居住する住宅の家賃を支払うことが困難となったもの等であって、就職を容易にするため住居を確保する必要があると認められるものに対して支給する旨が規定されている。
⑵ 支援法第6条第1項において、都道府県知事等は、その設置する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する生活困窮者のうち、第3条第3項に規定するもの(当該生活困窮者及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の資産及び収入の状況その他の事情を勘案して厚生労働省令で定めるものに限る。)に対し、給付金を支給するものと規定されている。
⑶ 生活困窮者自立支援法施行規則(平成27年厚生労働省令第16号。以下「施行規則」という。)第3条第2号において、給付金の受給者となる生活困窮者とは、就業している個人の給与その他の業務上の収入を得る機会が当該個人の責めに帰すべき理由又は当該個人の都合によらないで減少し、当該個人の就労の状況が離職又は前号の場合と同等程度の状況にある場合と規定されている。
⑷ 施行規則第10条において、支援法第6条第1項に規定する厚生労働省令で定める生活困窮者について、次の各号のいずれにも該当する者とすると規定されている。
一 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める者であること。
イ 離職の場合又は第3条第1号に規定する場合 生活困窮者住居確保給付金の支給の支給を申請した日(以下この条、次条、第12条第1項において「申請日」という。)において、離職した日又は事業を廃止した日(以下「離職等の日」という。)から起算して2年を経過していない者
ロ 第3条第2号に規定する場合 申請日の属する月において、第3条第2号に規定する状況にある者
二 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める者であること。
イ 離職の場合又は第3条第1号に規定する場合 離職等の日においてその属する世帯の生計を主として維持していた者
ロ 第3条第2号に規定する場合 申請日の属する月においてその属する世帯の生計を主として維持している者
三 申請日の属する月における当該生活困窮者及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の収入の額を合算した額が、基準額及び当該生活困窮者が賃借する住宅の一月当たりの家賃の額(当該家賃の額が住宅扶助基準に基づく額を超える場合は、当該額)を合算した額以下であること。
四 申請日における当該生活困窮者及び当該生活困窮者と同一の世帯に属する者の所有する金融資産の合計額が、基準額に6を乗じて得た額(当該額が100万円を超える場合は100万円とする。)以下であること。
五 公共職業安定所に求職の申込みをし、誠実かつ熱心に期間の定めのない労働契約又は期間の定めが6月以上の労働契約による就職を目指した求職活動を行うこと。
⑸ 施行規則第12条において、都道府県等は、生活困窮者住居確保給付金の支給を受けようとする者が、申請日において第10条各号のいずれにも該当する場合は、3月間生活困窮者住居確保給付金を支給する。ただし、支給期間中において生活困窮者住居確保給付金の支給を受ける者が第10条各号(第1号を除く。)のいずれにも該当する場合であって、引き続き生活困窮者住居確保給付金を支給することが当該者の就職の促進に必要であると認められるときは、3月ごとに9月までの範囲内で都道府県等が定める期間とすることができると規定されている。
⑹ 施行規則第13条において、生活困窮者住居確保給付金の支給を受けようとする者は、生活困窮者住居確保給付金支給申請書(様式第一号)に厚生労働省社会・援護局長が定める書類を添えて、都道府県等に提出しなければならないと規定されており、提出する書類については、「生活困窮者自立支援制度に係る自治体事務マニュアル」(厚生労働省社会・援護局発出)に基づき策定された「大阪市住居確保給付金事務取扱い要領(以下「事務取扱い要領」という。)」にて定める様式において、収入状況及び資産状況の記載並びに事実を証明する資料等(申請日の属する月の世帯収入・申請日の世帯預貯金額)とされている。
⑺ 法令等の解釈について、事務取扱い要領の「11 住居確保給付金の支給期間の延長等」において、次のとおり示している。
ア 支給期間の延長等
 給付金の支給期間は3月であるが、支給期間中に受給者が常用就職できなかった場合又は受給者の給与その他の業務上の収入を得る機会が改善しない場合であって、引き続き給付金の支給が就職の促進に必要であると認められる場合は、申請により、3月の支給期間を2回まで延長及び再延長をすることができる。
イ 手続等
 受給者が支給期間を延長又は再延長を希望する際は、支給期間の最終の月の末日までに「住居確保給付金支給申請書(期間(再)延長)」を自立相談支援機関に提出する。本市は、当該受給者が受給期間中に求職活動等を誠実かつ熱心に行っていたか、支給要件に該当しているかを勘案の上、上記による延長等の要件を満たすと判断された場合は延長等の決定を行い、当該受給者に「住居確保給付金支給決定通知書(期間(再)延長)」を自立相談支援機関経由で交付する。
⑻ 事務取扱い要領「11 住居確保給付金の支給期間の延長等」(1)において、「引き続き支給が必要と認められる場合」については、当該受給中に誠実かつ熱心に求職活動等要件を満たし、かつ、延長等の申請時において、支給要件を満たしている場合とすると規定されている。
2 本件処分について
⑴ 本件処分に違法又は不当な点があるかについては、支給要件を定めた施行規則第3条第2号「就業している個人の給与その他の業務上の収入を得る機会が当該個人の責めに帰すべき理由又は当該個人の都合によらないで減少し、当該個人の就労の状況が離職又は前号の場合と同等程度の状況にある場合」に該当する事実を審査請求人においては認めることができないとした処分庁の判断は妥当か否か、である。
 審査請求人は、本件処分の取消しを求める理由として、勤務先の都合により減収の状況が続いていることから、給付金の支給期間延長に係る支給要件に該当するとして、本件処分に理由がない旨主張するものである。
 本件申請においては、処分庁が、審査請求人の主張する減収の状況が続いているという事実を説明するための資料の提出を求めたことに対し、一度審査請求人は、通帳及び給与明細書を処分庁に持参し提出する旨の応答をしたにもかかわらず、これを履践せず、それ以降の処分庁からの連絡にも応じていない。
 処分庁においては、給付金の支給期間延長に係る支給要件充足を審査するに当たり、申請者が提出した資料を基礎として要件充足に係る事実認定をする以上、処分庁が減収の状況が続いているという事実に関する資料の提出を申請者に対して求めることは不合理なものではない。そして、審査請求人は、本件申請においては申請書を提出したのみであり、当該申請書以外には証拠書類がないことから、再延長の要件に該当するという事実の証明はなかったと言えるし、認定の基礎とする資料が得られなかったことにより、要件充足が無かったとする判断を処分庁がすることは、やむを得ないものであると言える。
⑵ また、処分庁から再三にわたって審査請求人に対して連絡を試みていたことからしても、処分庁において調査不尽であるということも言えない。
 いずれにしても、本件の事件記録からは、審査請求人が主張する勤務先の都合により減収の状況が続いている事実を認定するために必要な証拠を確認することはできない。
⑶ 以上から、本件において、支給要件を定めた施行規則第3条第2号「就業している個人の給与その他の業務上の収入を得る機会が当該個人の責めに帰すべき理由又は当該個人の都合によらないで減少し、当該個人の就労の状況が離職又は前号の場合と同等程度の状況にある場合」に該当する事実が審査請求人に認められるとは言えない。
⑷ よって、審査請求人の申請に対して、支給要件に該当する事実を審査請求人においては認めることができないとした処分庁の判断は妥当であり、本件処分に違法又は不当な点があるとは認められない。
3 上記以外の違法性又は不当性についての検討
 本件審査請求に係る審理手続について、違法又は不当な点は認められない。
4 結論
 以上のとおり、本件審査請求は理由がないことから、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第45条第2項の規定により、主文のとおり裁決する。

令和4年3月1日
審査庁 大阪市長  松井 一郎

裁決書(令和3年答申第16号)

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